SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】
あの日、時が止まった瞬間。 ( No.41 )
- 日時: 2022/10/30 15:55
- 名前: らる@羅瑠
私の名前は、空上詩歌(そらうえしか)。
そこら辺にいるフツーの中学生だった。
ただ、普通に片思いをしていて、勉強が好きでも嫌いでもなく、先生の言うことを聞いて、運動神経もそこそこという普通の中学生。
のはずだった。
私は、片思いしている奏斗に告白してみた。
ずっと、幼馴染だったんだ。
「いいよ。」
「えっ…?」
爽やかな笑みを浮かべながら、奏斗は返事をした。
「俺も好きだったから。」
その言葉は、私の心の中全てを満たしてくれた。
「あれ…?これってなんだろう?落とし物かな。」
ある日の帰り道。
私は腕時計を拾った。様々なボタンがついてる珍しいモノ。
その中でも、右の方に特に目立つボタンがあったので、そのボタンを押してみると。
「カチッ」
その音と共に。
世界中が止まった。人も、動物も、音も、全てが。
「ええっ!!?時が、止まった?」
意外な事なので、漠然としていた私。
もう一度押すと、時はもう一度進み始めた。
「なんだったんだろう‥?」
それを持ち帰って、後悔したのはまた後程。
そして、次の日の帰り道。
もう一度腕時計を使ってみた。
その次の日も、一週間後も。
テストの答えをみたり、盗みをしたりとダメなことに使ってしまったけど。
そして、二週間目に…
「カチッ」
「また止まったぁ!やっぱり面白いなー。いつでも使えるし。」
さて、戻そうか。
そう思ったけど。
「あれっ‥戻せない!?」
もう1度、もう1度。と呟きながらボタンを押す。
でも、戻せなかったんだ。
「自分がしでかしたことだ。今更後悔してもムダだよ?」
後ろから、声が聞こえてきた。
「えっ…?かな、と?どういうこと?」
「詩歌、キミはテストの答えをみたり盗みを働かしたり、悪いことをしてきたんだろう?
だから、この俺と君しかいないこの世界で、一生罪を償んで。ね?」
「あ‥ああ…………っ」
後悔してもムダだった。
“ある日、時が止まった瞬間。”
私の人生は不幸で満ち溢れることになった。