SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

俺は旅に出る。 ( No.16 )

日時: 2024/01/09 14:52
名前: 黒百合

__俺は旅に出る。

今は亡き君を探す旅に。俺には彼女が
いた。とても愛していたんだ。でも、
君は自殺をした。別に喧嘩とかをした
わけではない。君は、どうやら虐めら
れていたらしい。彼氏である俺がこの
ことを知らなかったという罪悪感に、
襲われた俺は自殺をしようとしたが、
飛び降りれなかった。君に失礼だと、
思った。君は頑張って生きたのに。
どこに行けばいいか分からないけど、
どこに行くかは決めている。君との
思い出の場所を周る。君と始めての
デートをした遊園地、一緒に花火を
見た場所など色々な場所に行った。
どんな場所でも何があったのか思い
出せる。どこに行っても君の笑う声
を思い出せる。その度に俺は悲しく
なる。それでも泣かない。君の分も
強く生きようと思うから。色々な所
を周っていたら、ふと思い出した。
まだ君と始めて出会ったあの場所に
行ってない。君と出会ったのは確か
この公園だった。ブランコに乗って
俯いている君に俺が声をかけたのが
きっかけだった。そんなことを思い
出しながらブランコに座る。そよ風
と共に君の声が聞こえる。俺の名前
を呼んでいる。周りを見渡しても、
君はいない。そりゃそうか。だって
君はもういないんだから。もう一度
ブランコに座る。目の前に半透明の
君の姿。思わず抱き締めたが、君に
触れられない。死んでいるからか。
「ごめん。俺のせいで死んだのに、
俺は何もできなくて……」
君は首を振る。
「あなたのせいじゃないよ。あなたは
何も悪くない。私を愛してくれた」
いや、全部俺のせいだ。俺が君に何も
出来なかったからだ。
「あなたがいなかったから、もっと
早く死んでたと思う。あなたといる
時だけは、楽しかったよ」
君は少しずつ透明になっていく。
「ねぇ、最後に伝えていいかな?
本当は生きている時に言いたかった。
ずっと大好き……愛してる」
そう言って君は消えた。俺は家に帰り
屋上へ向かう。俺の家は10階建ての
マンション。強い風が吹く中、君の声
が頭の中を回る。柵を越える。

__俺は旅に出る。君が居る遥か遠い
  場所に向かうために。

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