SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】
空の彼方 ( No.31 )
- 日時: 2024/08/25 03:38
- 名前: うみ
「キーンコーンカーンコーン」
そんな鐘が鳴り響き、一日が始まり、一日が終わる。 僕は普通の中学校に通っている三年生だ。学校に通うのはとても苦しいが、時々楽しいこともある。そんな僕の一部の人生を、この小説に書こうと思った。
「ガラガラ」
この音と同時に、同級生からの悪口、冷たくて鋭い視線、重い空気が教室を包む。まるで、今すぐにでもここから出ていけと言われているように感じる。なぜこんなことになってしまったのだろう。今さら考えても遅い。事はもう大きくなりすぎているから。でも、犠牲者をまた出したくない。絶対に。絶対にダメだ。
僕の友人だった、あいつは通学路の橋から自ら命を絶ってしまった。原因は、いわゆるいじめだった。
あいつは、優しく、臆病で、恥ずかしがり屋で、人のことをとてもに大切にする正直な奴だった。あいつは僕を助けてくれた。あいつの助けは本物だった。それが理由で、クラスメイトたちはあいつを次の標的にした。それからは、二人揃っていじめられるようになった。
それでも、僕には一つだけ楽しみがあった。それは、あいつと笑いながら階段の端っこでこそこそ話すことだった。僕は自分が人と話すのが苦手だと思い込んでいたが、実際にはこんなにも笑って話せる自分に気づいた。思い込みはよくないと、痛感した。
そして次の日、あいつは空へと旅立ってしまった。その知らせを聞いたとき、僕はその橋に向かい、後追いしようと思った。しかし、もう一歩踏み出す前に、ブレザーが掴まれたような気がした。恐怖と悲しみに打ちひしがれながら、手を合わせて家に帰った。
その後、僕は学校に行かなくなった。理由は、怖かったからだ。もうあいつはいない。僕一人だから。夏休みが始まり、あっという間に終わってしまった。
「いってきまーす」
久しぶりに学校に行く決心をしたのは、ただの好奇心からだった。でも、やっぱり怖かった。あいつが側にいるような気がして、だからこそクラスに入ることができた。クラスメイトたちは相変わらずだった。幼稚だなぁ、小学生のようだと思いながら過ごしていた。
そんなことを考えているうちに、下校時間がやってきた。「あの橋を通るの、久しぶりだなぁ」と呟きながら歩いた。着いた先の橋は、空気が澄んでいてなんだか安心した。
暗くなりかけた頃、帰ろうとしたそのとき、耳に聞こえたのは、どこからともなく響く声だった。「ありがとう。ごめんね。頑張れ。」
その声はあいつだった。僕はその声を胸に、これからも前に進む決意を固めた。あいつが教えてくれた大切なことを忘れずに、僕は自分の未来に向かって歩き続けるつもりだ。