コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 荻原千佳の災難!(オリキャラ募集中)
- 日時: 2013/07/12 11:17
- 名前: ちぇりお (ID: Su8t9C5g)
私、荻原千佳には悩みがある。
それは、腐女子の友達がいないことだ。
学校では、それなりに友達と話しているけど私の好きなBLについては一度も話したことがない。
だって、美少女好きのオタクですら嫌われるんだから腐女子が嫌われるのは当然でしょ?
学校での私はといえば、黒髪で制服は校則をきちんと守った着こなしをしている。爪にマニキュアを塗るなんてもってのほかだ。メイクは、ばれない程度にはしてる。
勉強は、上の下ってところ。
昼休みに私が本を読んでいると、
「ちっかりーん!あたしノート全然まとまってなくてさー。お願い!貸してくれる?」
「誰がちかりんよ。…ノート持って行ったら?」
私の唯一の親友、岡田美奈が軽快に声をかけてきた。
美奈は、ザ・元気ハツラツ!って感じの女の子。
面白いジョークやおどけた態度で、私とは別ベクトルで人気がある。
「シシャモナルドの向かいに新しいクレープ屋できたの!放課後におじさんと一緒に行かないかい?」
「何故一人称がおじさんなのよ…いいわ、行きましょう。私、最近クレープ食べてなかったしクレープニウムが不足してきたところだったから」
「クレープニウムが不足している…だと…!?そりゃ大変だお嬢ちゃん!今日の帰りにでもクレープニウムを補給しなければっっっ!」
私は、顔色が青くなったり身振り手振りで感情を表現する親友が友達として好き。一緒にいると空気が和むし、何より見ていて飽きないのだ。
私は、ずっと気になっていたことを聞いた。
「ねえ、美奈。私ずっと気になってることがあるんだけど…」
「なんだい、まさかこの僕に惚れてしまったのかい?フッ、このショ〜ゥトヘアーでボーイッシュな姿を見れば誰しも…」
「あなたのその単細胞な頭をどうにかしなさいな。そうじゃなくって、そのバケツの中身は?」
青いバケツから見えるのは、黄色くてぷるんとしている物体。それを私の机に置いて、
「これはなんだと聞かれたら、教えてあげるが世の情け!…その名も!その名も…!」
私は、呆れ顔で言った。
「プリンでしょ?…でもよくこんなおどろおどろしいものに出来たわね」
「なっ!我が最高傑作をそのような凡庸な名で呼ぶでない!エクスキューズミーだ!」
美奈の心からの叫びをスルーして、
「どうやったらこんなブニョブニョになるのよ」
つんつん、と人差し指でつつくと底なし沼に入り込んだかのような錯覚を覚える。
私が気味悪そうにつついていると美奈が、
「食べてみる?見た目と手触りはアレだけど、味は保証するよ!」
「おっ、手作りスイーツかぁ?お熱いねぇ、お二人さん♪」
なんて、おどけた口調で話に入ってきたのは美奈と幼馴染の緑川光春だ。
私は、気安く女子に話しかけてくる軽い男は嫌いなのだが光春君が言うと何故だか嫌味にならない。さすが、美奈の幼馴染というべきか…
「そうなのっ!ちかりんが私のことを姉妹にしたいって言ってね!ちかりんは友達だから、断るに断れなくて…」
「そんなこと一言も言ってないでしょう。誤解しないでね、光春君。美奈の冗談みたいなものだから…」
光春君は、子供のような笑顔で、
「わかってる。伊達に十二年も美奈の幼馴染やってねーっつー話だよ。今のはちょいと美奈のジョークに乗ってやっただけだからそんなに真剣に受け止めるなよ委員長!」
もちろん私は委員長などやってないわけだが、光春君からは委員長と呼ばれている。眼鏡をかけていて理知的な顔立ちをしているせいだ。
「光春もエクスキューズミー食べる?」
「あ、俺昼飯食ってないから頂こうかな」
幼馴染のくせに、一番大事なことは知らないらしい。…美奈が料理苦手ってことを。
「ちかりんも食べなよー、おいしいよ?」
家庭科の調理実習では塩と砂糖を間違えて入れるわ、調味料を入れ忘れるわで阿鼻叫喚の地獄絵図になったことがある。…それを目の当たりにしている私としてはとても食べる気にはなれないのだが…せっかく作ってきてくれたのだし食べられずに捨てられる食べ物の気持ちを考えると、食べないという選択肢は自然となくなってしまう。
「私も頂こうかしら」
もうこうなったら、腹を括るしかなさそうね。
「は〜い、ちかりーん。あーん」
「何故、あーんしなければならないわけ?」
「いいからいいから」
恐る恐るプリンの乗ったスプーンに顔を近づけていく。
ぱくっ。
光春君も、美奈からもらったスプーンで今まさに口に運ぶところだった。
味覚に来たのは…
「…うまい」
最初に感想を漏らしたのは光春君だった。
「…美味しいわね」
意外だった。料理音痴の美奈がこれほど美味しい(見た目は別として)スイーツを作るなんて。
「ふっふーん。これでも、最近師匠のところに行って料理教えてもらってるんだからね!」
光春君が、感心したように言った
「あんなに料理をしたがらなかった美奈が、料理を教えてもらいに言ってるとはな…お兄ちゃん感動したぞ」
私は疑問に思っていたことを聞いた。
「で、美奈は誰に料理を教えてもらっているの?」
「ひ・み・つ♪」
放課後、美奈とクレープを食べた帰り道。私はいきつけの本屋へと寄った。
「今日の新刊、新刊!」
私はウキウキ気分で、書店内を歩いていた。
ウキウキ気分で気づかなかったのか、本棚を曲がってきた人とぶつかってしまった。
「いったたた…すみません、大丈夫ですか?」
私が立ち上がり、手を差し伸べようとしたところで見てしまった。
ぶつかった人の傍らにはウィッグが落ちており、ぶつかった人の頭が——
丸坊主だったのだ。
私が呆気にとられていると、
「すみません、こちらこそ…って、荻原!?な、なんでこんなところに!」
「こちらが聞きたいのだけれど…まずそのウィッグは何?」
私の目の前にいたのは、私と同じ美術部部員にして私の幼馴染(あぁ、忌々しい)の、民安佑太だった。
しかも、佑太の手に握られていたのは茶髪のロングヘアーのウィッグだった。…明らかに女装のそれとわかるものをいそいそと頭に被り直し、こほんと咳払いをした後、
「俺は、女装が好きでBLも好きだ」
「気持ち悪いからさっさと死んでくれないかしら」
「お前だって人のこといえないだろ!?BL好きだし!」
精一杯考えたであろう反論を、私はしかし鼻で笑った。
「それはそれ、これはこれ。だいたい、男でBL好きってのがありえないし、女装まで?はっ、人間落ちるところまで落ちると惨めになるものね」
まさか、私の幼馴染が女装なんて奇抜な趣味に走るとはこれっぽっちも思っていなかったけれど。
「なじるのはいいんだが、女装のことはどうか!どうか学校のやつらに言わないでくれ!なんでも、なんでもするから!」
ん?
「今なんでもするっていったわね」
「あ、あぁ…本当に何でもするよ」
いい名案を思いついたわ。私が、腐女子友達を作るためのね。
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- Re: 荻原千佳の災難!(オリキャラ募集中) ( No.3 )
- 日時: 2013/07/11 17:21
- 名前: ちぇりお (ID: Su8t9C5g)
朱奈さん、オリキャラ投稿ありがとうございます!
早速使わせていただきますよ〜☆
また朱奈さんの小説見に行きますね!
- Re: 荻原千佳の災難!(オリキャラ募集中) ( No.4 )
- 日時: 2013/07/11 17:23
- 名前: 朱奈 (ID: 8Q63fUc/)
ちぇりお様
ありがとうございます!
ついさっき更新しましたw
使って頂けるなんて光栄です!
- Re: 荻原千佳の災難!(オリキャラ募集中) ( No.5 )
- 日時: 2013/07/11 18:40
- 名前: ちぇりお (ID: Su8t9C5g)
佑太と本屋で遭遇した翌日。私は、柊涼音と雑談していた。
「千佳もあのクレープ屋行ったの?おいしかったよね〜」
「私は、ゴールデンハバネロチョコバナナがおいしかったわね」
涼音が引きつった笑いを浮かべながら、
「へ、へぇ〜…ずいぶん変わったもの食べるんだね。あたしは普通のクレープにしたよ」
涼音とは、中学校の頃からの友達でもう四年くらい涼音と同じクラスである。
垢抜けた容姿をしていて、両耳にはピアス。髪を茶髪に染めていて、スカートが膝より上で、Yシャツのボタンは二つ開けている。
涼音は服のコーディネートをするのが得意だ。
私の服装も何度か変えられそうになったのだが、頼み込まれるたびに断っている。
正直、いつもの服装を少し変えてみようとは思うのだが、優等生で通っている私がいきなり今風のコーディネートで現れたら、先生たちが卒倒しかねない。
だから、あまり気づかないような地味〜なところからコーディネートしてもらおう。
「涼音、少し頼みたいことがあるのだけれどいいかしら?」
涼音は快活に笑って、
「いいよ〜。で、頼みたいことって何?」
私は一瞬躊躇してから、意を決して言った。
「ヘアバンドと、あとピアスをつけてみたいのだけれどいいお店知らない?」
鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた涼音は、
「えっ?千佳がぴあすつけるって?へあばんど?…マジで?」
今度は一転変わって、慎重な面持ちで聞いてくる涼音。
「ええ。何か問題でも?」
私の受け答えに涼音は深呼吸を二回ほどして、
「問題ありまくりだっつーの!今まで私のコーディネートすら断ってきた千佳がピアス!?や、ヘアバンドはわかるよ?夏は髪伸ばしっぱにしてるとあせもとか出来やすいし。ピアスかぁ〜、千佳も大人になったんだね…母さんうれしいわ〜」
「あなたに育ててもらった覚えはないし、ピアスなら小さいから目立たないでしょう」
「あ、それもそうだね…小さいピアスだったらそんなに目を引かないもんね」
納得したように呟いたあと。涼音が、ふと思いついたように言った。
「あ、そうだ。今日『降魔界悪魔ジェスキンソンさん』の最新刊がでるんだった〜!帰りに本屋寄っていかない?」
涼音の欲しい漫画というのは、『降魔界悪魔ジェスキンソンさん』という漫画で、週刊グラヴァーで連載中のコメディ漫画である。少しBL要素も入っているのでジェスキンソンさんを見ている腐女子も多いことだと思う。
「いいわよ。本屋に行ったあと、カラオケでも寄っていきましょうか」
その提案を聞いた涼音は、
「やったー!!じゃあ、光春君と美奈ちゃんも誘っちゃおうか!」
とてとて、という音が聞こえそうな足取りで美奈のところへと駆けていった。
「あのことは誰にも言ってないだろうな」
五時限目がおわった後の休み時間。そそくさと、私の下にやってきたのは佑太だった。
「安心しなさい、誰にも言いふらしたりはしていないわ。特に女子にはね」
侮るなかれ、女子のネットワークは言ったその日に拡大していくので一度情報を漏らすと止める術がないのだ。
がやがやと騒がしい教室の中、佑太と私の周りだけがぽっかりと穴が開いたように誰もいなかった。
「ふぅ…ならよかった。で、お前が俺に頼みたいことってなんだよ」
今から思えば、たぶんドヤ顔で言っていた。
「よくぞ聞いてくれたわね。あなたにやって欲しいのは、腐女子のSNSコミニュティのオフ会に私と一緒についていくことよ」
ちらり、と佑太の顔を見てみると片方は般若面。もう片方は猛烈なニヤケ面だった。
あしゅら男爵の完成である。
奇妙な顔のまま話し始めた。
「いくら俺が女声をマスターしたとは言っても、ウィッグが取れたらばれるわけだしさ。だから、女の子のオフ会に行くのはちょっと…」
ボソッ、と私は魔法の言葉を唱えた。
「女装のことをばらす…」
ビクビクゥッと体を揺らして、
「わ、わかったわかった!!やればいいんだろう!…あぁ、俺の社会的地位がゴミクズ同然となった…(泣)」
私の机に突っ伏してシクシクと泣く情けない男が教室に爆誕した。
- 荻原千佳の災難!(オリキャラ募集中) ( No.6 )
- 日時: 2013/07/18 15:12
- 名前: ちぇりお (ID: Su8t9C5g)
〜佑太side〜
朝の七時半、土曜に俺の携帯が鳴った。
誰だ…?こんな時間に電話してくるやつは・・・
「はい…もしもし…?」
『けぷこむ、けぷこむ!もしもーし、メランコリィでーす』
「なんだ、メランコリィか。どうした?こんな時間に」
『窓の外見てくださいな〜』
窓の外を見ても、普段なら舗装された道路と住宅しか見えないはずだが…
「…なにしてんの?」
カーテンを開け放って見た外の景色には、緑のヘルメットを被ったワンピース姿で金髪をショートヘアーにした、メランコリィがいた。
『いやいや〜、そこは【僕の名前をミュージカルのように歌い上げるな】ですよ?』
「言うにしてもまずそっちから言われてないし、突っ込む気力もない」
窓の外のメランコリィは不敵に笑いながら、
『そう言うと思ってましたよ。ところで話は変わりますが、今すぐ女装して家から出てきていただけませんか?』
「はぁ!?なんで俺の趣味知ってんの?!っていうか、俺の家の住所も教えてないよね?!何でわかったんだ!」
『世の中には、聞いてはいけないことがあるんですよ…?』
ひぃぃー!!助けてー!!
で、俺は女装をして家から出てきたわけだが…
「メランコリィには俺の弱み握られてるし…千佳には振り回されるし…どうなってんだよ、もう」
メランコリィは、くるりと俺のほうを向いて、
「私の追っかけを撃退して欲しいのです」
追っかけっていうと、普通アイドルとかにつくのが一般的だと思うのだが・・・
「ようするにストーカーってことだろ?」
俺はあまり回りくどい話が得意ではないので、率直に言ってみた。
「まぁ、そうですね。隠してても仕方ないですし」
しばらく、俺とメランコリィは無言で歩いていたが沈黙を先に破ったのはメランコリィだった。
「もうすこし、入り組んだ場所のほうがいいと思うんです。たしかに、開けた道のほうがいいって言うのは賛成なんですけれどここだと逆にストーカーが出てこれないんじゃないですか?」
振り向いてみたが、怪しい人影は見当たらない。
ただ、肩掛けバックに半そでジーパンの人がいるだけで。
「そのストーカーはメランコリィが外に出るたびにいつもついてくるのか?」
「そうなんです…家から出てしばらくすると嫌に背中に視線を感じて…
私、何度か捕まえようとも思ったんですけど怖くて…」
メランコリィは、両手で自分を抱きしめるような仕草をしてカタカタと震えた。
俺はストーカーの被害に遭ったことがないからわからないけれど、自分の後を知らない誰かがつけているというのはそれだけで怖いだろう。ましてや、そのストーカーが人に危害を加えるものを持っていたら大変なことである。
俺は不安がるメランコリィを元気付けるように、
「大丈夫だよ、俺に任せとけっ!」
俺たちが来たのは秋葉原だった。
『メランコリィに馴染みの深い場所ならストーカーもすぐ捕まえられる』というれっきとした事実に基づいて動いた結果である。
メランコリィは、ストーカーの話をしていたときとは嘘のように明るくなっていた。
「アキバに来たのはいいんだけど、どうやってストーカーを捕まえるの?」
当然の疑問を口に出した。
「ちゃんと考えてありますよ、ほらこっちこっち!」
踊るように駆け出した彼女には、これからの憂いはまったく感じられず。
本当に、その場のノリで生きているように俺には見えた。
俺たちはアニメ専門店へと足を踏み入れた。
「見てくださいよ、『破壊戦記ストラバイバー』のブルーレイBOXですよ!!うっはーっ!欲しいです!…でもお金が…」
メランコリィは、飛び級で日本の高校へとやってきたが、アメリカの学生時代に貯めたお金はほとんど全てアメリカから日本への引越し代に使われてしまったため、今はほとんどお金がない状態なのだ。
アニメのブルーレイBOXを親の仇でも見るような目で見つめ、
「いつか…いつか必ず手に入れて見せますから!」
好きなものを真っ直ぐ一途に好きって言える姿に、感動したよ。
俺は、胸を張ってこれだけは誰にも譲れない!と言えるものがないからだ。趣味はあるけど、人様に自慢できるようなものでもないし。
アキバから帰る途中、ふと思い出したことがあった。
「そういえば、ストーカー結局見つけられなかったな…」
メランコリィは歯を見せて、にししと笑いながらこう言った。
「いいじゃないですか、アキバを満喫できたことだし。メイド喫茶なんか初めて入りましたよ。いいもんですね、お姉ちゃんって言われるのって!」
ストーカーに追われて怖いと言っていた、怯えた姿はどこにもなかった。
数日後、千佳にストーカー騒ぎのことを話したのだが…
「それはきっと、佑太とデートしたかったんじゃないかしら。面と向かってデートしてください、なんて恥ずかしくて言えなくてだからストーカーの話と演技をしたんじゃない?」
あっさりと、そう言った。
なるほど確かに、ストーカーに怯えている人がわざわざ人気の多い場所を選んで行動するのはおかしい。
それに、演技をしていたというならアキバについたときのテンションの高鳴りようも理解できる。
「でも、なんで俺とデートなんか?他にもかっこいいやつはいくらでもいるだろうに」
千佳にしては珍しく、ウィンクをして言った。
「ひ・み・つ♪」
- Re: 荻原千佳の災難!(オリキャラ募集中) ( No.7 )
- 日時: 2014/05/18 00:30
- 名前: 管理人 ◆cU6R.QLFmM (ID: QYM4d7FG)
管理人です。
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