コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 封魔士軍団—アボロナ— 27話更新
- 日時: 2011/01/04 14:11
- 名前: アビス (ID: U3CBWc3a)
- 参照: http://syousetu2.gaym.jp/s/read.cgi?no=2219
こんにちはアビスと申します。
頑張っていきますのでよろしくお願いします。
コメ大歓迎ですのでお願いします。
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〜プロローグ〜
俺は霊感がある。だがそれ以外は普通の学生だった。
普通に学校に行き。普通に友達と馬鹿をやり、普通に笑う。
そう、俺は普通の人間だった。あの日までは・・・
〜人物紹介〜
獅子山 琥空(ししやま こくう)♂
・175cm ・赤茶の髪でボサボサ
霊感があること以外ごくごく普通だった男子高校生。常に軽口だが、しっかり者。
封器:?
能力:?
天女乃 鈴華(あまめの りんか)♀
・156cm
・水色で髪を下の方で結んで腰辺りまで前に垂らしている
童顔で大人しくて恥ずかしがり屋な女の子。でも人並み以上に表情が豊か。
封器:扇子(アリナ)
能力:自然物の操作
双神 刹那 (ふたがみ せつな)♀
・168cm ・黒色でポニーテイル
冷静で落ち着いた性格。だが、闇魔神に対しては冷酷な一面を持つ
女だが男の様な言葉使いをする。
封器:長剣(フォルナ)
能力:全ての物を切る
神路 爽輔 (かみじ そうすけ)♂
・180cm ・銀髪でロング
封魔士軍団—アボロナ—を仕切る男。物腰が柔らかく笑顔を絶やさない。
封魔士からは統帥と呼ばれており慕われている。
封器:?
能力:?
天童 湊(てんどう みなと)♂
・180cm ・茶髪でウルフ
・琥空が自分の代りにと送りこんだ美少年。気さくなで、好きな事にはとことん追求する。
琥空に対してそれなりの敬意を示していて、多少の我が儘も通してあげる。
その他登場人物>>56
1話>>1 2話>>2 3話>>10 4話>>14 5話>>20
6話>>30 7話>>34 8話>>37 9話>>38 10話>>41
11話>>44 12話>>45 13話>>46 14話>>47 15話>>50
16話>>51 17話>>54 18話>>55 19話>>57 20話>>58
21話>>61 22話>>62 23話>>65 24話>>66 25話>>67
26話>>68 27話>>69
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- Re: 封魔士軍団—アボロナ— 22話更新 ( No.65 )
- 日時: 2010/12/02 22:44
- 名前: アビス (ID: U3CBWc3a)
23話
「コア・・・中々見当たりませんね」
それほど広くはないはずの体育館。殆どの所は見終えたはずだが、一向に見当たらない。
「これだけ探してないとなると、壁の中に埋め込まれてる可能性が高いな」
刹那はそう言うと、壁を斬り付けた。だが壁は直ぐに元に戻ってしまう。
「くそ!私に力があれば、高速再生の力を切って無力化させることができるが、
ない物ねだりをしていても仕方がない。一度湊の元に戻るぞ」
二人が戻ると湊は積み上げられた蛇の残骸に座っていた。どうやらこのフロアの
再生能力が出来なくするほど毒を送り込んだらしい。
湊は二人が戻ってきた事に気づくと残骸の山から飛び降りた。
「どうだった?」
「体育館全てを調べたがコアは見当たらなかった。おそらく壁の中に埋め込まれてる可能性が高い」
「そんなのどうやって見つけるんだ?」
しばらく考えた末、鈴華が口を開いた。
「・・・・この体育館は木製ですよね?」
「ああ、そうだと思うが、どうしたんだ?何かいい案が浮かんだのか?」
「体育館は人工ですけど、使用されてる木は自然界の物のはずです。ですから私の力で・・・・」
「あんたの封器の能力は自然物の操作だっけ?出来るのか?」
湊の問いかけの鈴華は分からないと言いたげに首を横に振った。
「分かりません。手の加わった物を操った事はないので。でも、やってみない事には分かりません」
鈴華はそう言うとアリナを身体の前に翳した。
「樹念の舞」
しばらくすると体育館全体が震え始めた。
「っつ!!」
鈴華が苦しげに声を漏らす。体育館の揺れはどんどん激しくなってくる。
「お・・おいおい!大丈夫かよ!?」
「鈴華を信じろ。きっと大丈夫だ」
「きっと・・・ってことはあんたも少しは不安なんだな」
湊がそうからかう口調で言うと、刹那は細く笑った。
「君は琥空に似ているな。そうやって人を小馬鹿にするところなんてそっくりだ」
「そうか?あいつに似るなんて正直微妙だな・・・」
と冗談半分真面目半分で言う湊。その頃には鈴華は体育館の原型は変え、木とその他に分けていた。
「はぁ、はぁ・・・」
鈴華は汗びっしょりで息を整える。
「よくやったな鈴華」
刹那はそう言いながらも辺りを見渡してコアを探す。すると、刹那の目が一点を見つめた。
「・・・あった!」
木に挟まる様な形でコアがその姿を現していた。刹那はそれを取った。すると
身体の中に風が通り抜けたようなそんな感覚に陥った。それと共に周りの気配が異様なものへと変わった。
だがそれは一瞬で、今はただ少し肌寒い夜風が吹いているだけだった。
「あっ!無事に取れたんですね、コア!」
鈴華が喜びの表情を浮かべる。これを察するに先ほどの感覚は感じてはいないようだった。
(私の気のせいか?)
まだ少し疑問に思っていたが、次の湊の言葉でそんな疑問も吹っ飛んだ。
「なぁ・・・体育館、どうやって元に戻すんだ?」
「あ・・・」
見ると体育館の会った場所は今や骨と砕けたコンクリートの山が、そしてここには
木がぐにゃぐにゃに散らかっている。
「鈴華!!」
刹那が鈴華に求めると、鈴華も困った表情で
「む・・無理ですよ〜〜〜!!もう限界です!!」
「どうすんだよ!?日の出まであと5時間くらいだぞ!!建て直すか?」
頭を抱え、頭を振り回しながら湊が言う。正常な思考が出来ていないのだろう。
「馬鹿者!そんなので間に合うわけないだろう!!
と・・取りあえず直ぐに本部に連絡を入れて、対策を取らなければ」
急いでポケットに手を入れるが携帯がない。と、いうか普段実地に当たる時は携帯は邪魔になるので
持ち歩かないのが刹那なのだが、もうパニくってそれどころじゃない。
「私が本部まで行ってくる。それまで二人はここで待機していてくれ」
言うや否や、刹那は走りだした。湊はその後ろ姿に手を振った。その手には何かが握られていた。
「お〜〜い!!俺が携帯持ってるぞ・・・・って聞えてないなこりゃあ・・・・」
「私にもっと力があったらこんな事には・・・」
鈴華が一人でしょぼ〜んとしている。それを見た湊が鈴華に近づいた。
「ふ〜〜ん・・・・」
「え・・・え〜〜と。何ですか!?」
顔を覗きこまれたりされて、顔が紅潮していく鈴華。そんな様子をみて湊が一言。
「可愛いなお前」
「・・・・・」
面と向かってまじまじと言われて鈴華の顔は爆発した。
「あれ?・・・・お〜〜い、鈴華さ〜〜ん。大丈夫ですか?・・・まずいな。
琥空の奴、『鈴華に可愛いって言うと面白い反応するから言ってみろ』なんて言ってたけど、
こんなリアクションのどこか楽しいんだよ」
「・・・こ・・くうさん?」
「お、戻った」
「琥空さんに言われてたんですか?」
鈴華がぽ〜とした目で呟いた。
「ああ、まあな。言っただろ?あんたらの事は琥空から聞いてたって」
「そう・・・でしたね」
鈴華はどこか嬉しそうな、寂しそうな表情を浮かべる。それから数十分後、刹那のともに
駆けつけた封魔士の力を借りて、どうにか日の出までに体育館の復興を果たせた。
- Re: 封魔士軍団—アボロナ— 23話更新 ( No.66 )
- 日時: 2010/12/13 19:53
- 名前: アビス (ID: U3CBWc3a)
——————————?????——————————
『レン、ギン。仕事だ』
琥空が呼ぶと二人は颯爽と現れた。そして琥空から内容を聞くと姿を消した。
「順調だな」
すると奥からあの男が現れた。琥空は少し仏頂面で
『お前の頼み通り、レンとギンに取りに行かせた。けど、わざわざあの二人じゃなくても
それに適した人材は沢山いるぞ。なぜ、あの二人に?』
「確かにその者たちなら素早く取りに行く事は出来るだろうな。
だが、万が一その事に封魔士が気付けば、その者たちでは対処が出来ない」
「確かに、あいつらは探知専門の奴らだからな」
「そう言うことだ。大事なものだが、一番不味いのは封魔士に渡る事だ。
最悪、破壊してしまってもあれに詰まってる物はいずれ再生する」
男の言葉に琥空は方を竦めながら言った。
「・・・俺にはお前のその崇高な趣味は理解できないな」
そう言うと、男は本当に面白可笑しそうに笑いながら。
「だろうな。今までも理解してくれる者は誰もいなかった」
——————————トルニス——————————
「任務ご苦労様です。鈴華、刹那」
統帥室に呼ばれた刹那と鈴華が統帥に言われた言葉はますそれだった。
「いえ。まだ任務は終わっていません。しっかりとことの究明をしなければなりません」
「そうですか。では、改めて今日ここに呼んだ理由ですが、コアを取りに行ってもらいたいのです」
「コア?・・・ということは新しい封器になるコアが見つかったのですか?」
刹那の言葉に総帥は頷いた。
「ええ。最近はまったく見つからなかったのですが、ここから北東100キロの地点にそれらしい
反応が出ました。本来コアの奪取は天の3段階以上を倒せる者に行かせるのですが、
今は生憎皆出払っていましてね。それであなたたちに頼みたのです」
「ですが統帥。私たちはまだ天の3段を倒したことは有りません」
刹那の言葉に統帥は笑顔で
「大丈夫ですよ。確かにあなたたちはまだ倒していないですが、その実力は十分にあると思いますよ」
「あ・・ありがとございます!」
統帥の言葉に頭を下げる鈴華と刹那。
「それでは、あなたたちに神の御加護があらんことを」
————————————————————
「こんな森の中にアマガミがいるんですか!?」
「さあな!!」
北東100キロの地点は森に囲まれた樹海だった。その中を鈴華と刹那は疾走していた。
今回は湊はいない。これは完全にこちら側の事だ。湊は巻き込めない。そう判断してのことだった。
「アマガミらしき気配はまったくしないな。どうなっている?」
刹那は一度立ちどまると当たりの木を調べる。そして訝しげな表情をすると
「・・・・鈴華、周りの木を操ってみてくれないか?」
「え?・・・いいですけど・・」
不思議に思いながらも鈴華は封器を取り出して、周りの木を操ろうとした。
「・・・・え?」
周りの木を操れない。何度試しても木はうんともすんとも言わなかった。
「この木、作り物ですか?」
「いや、確実に本物の木で間違いない。だが、自然の物ではない事も確かだ」
刹那が周りを警戒しながら言った。
「気を付けろ鈴華。アマガミの他に何かいるぞ。そしてそれは確実に私たちの
存在を確認す惑わそうとしている」
————————————————————
森の中のひっそりとした場所。そこに男女二人が立っていた。
「どうだ、レン?」
「ええ。大丈夫よギン。あいつら、仕掛けには気付いているみたいだけど、
まだ抜け出すには時間がかかりそうよ」
「そうか。なら急ごう」
レンとギンは目的の場所に向かって走りだした。
「始めは琥空さんがなぜ俺達にこんな仕事任せたのか不思議だったが、
なるほど。封魔士の奴らも来ていたのか。さすが琥空さんだな」
「そうね。やっぱ琥空様は素敵ね〜〜」
レンはうっとりとした表情を浮かべ
「相変わらず琥空さんにぞっこんだな」
「そりゃあそうよ。琥空様にならこの心も身体も全てを任せても構わないわ」
「あ〜〜。はいはい、分かったよ」
ギンが手をブラブラさせながら言うと、レンがむっとした表情で
「何よその投げやりな言い方!?あんた、琥空様がどれほどの方か分かってんの!?」
「琥空がどれほどの人物かって?」
「!!!」
突然の現れた声に二人は立ちどまった。
「琥空を崇高しているようだが、それは大きな間違いだぞ。あいつは崇高するには値しない人物だ」
「・・・!!誰だい!!?琥空様を侮辱するなら奴はこのあたしが許さないわよ」
レンが怒鳴りながら言うと、後ろからの殺気の塊が自分に向かってくる。
「樹木降誕」
レンの背中が蠢き、そこから木が飛びだした。殺気の塊はそれを見てレンの頭上を飛び越える。
「なぜならあいつは崇高される存在ではなく、悪友と称される存在だからな」
「でも、刹那さん。琥空さんを仲間と、認めてるんですよね」
現れたのは口元だけに笑みを浮かべた刹那と笑顔一杯の鈴華だった。
「ああ。私もとんだ悪友を仲間にしてしまったもんだ」
- Re: 封魔士軍団—アボロナ— 24話更新 ( No.67 )
- 日時: 2010/12/13 22:39
- 名前: アビス (ID: U3CBWc3a)
25話
「随分早く抜け出してきたじゃないか」
「ああ、あのリングワンダリングを使った惑わしか。中々のものだったが、
もう少し木の強度を強くしないと、一点突破されて終りだぞ?」
「そうかい。わざわざ忠告ありがとう」
レンがギンとアイコンタクトする。ギンは頷くと足を一歩引いた。
と、ギンの後ろの土が盛り上がり、ギンの行く手を防いだ。
「流土の舞」
「悪いが貴様たちをそれ以上進ませるわけにはいかないな。・・・お前たちの目的もコアか?」
刹那も自分の封器を取り出し、切っ先を目の前の二人に向ける。
「・・・本当に俺たちが来て良かったなレン」
「ええそうねギン。それにここが一目のつかない樹海で良かったわ。
恥ずかしい姿を見られないで済むから」
二人の身体からアマガミの気配が強くなった。
「気を付けろ鈴華。こいつらはおそらく湊と同じレベルの使い手だ」
「はい。わかっています!」
「樹木降誕!!」
「鷹の爪翼(ファルコン・クロウ)!!」
ギンと呼ばれる男の右手が鳥の翼のように変わり二人に向かって行く。
それを隠す様にレンの幾多の木々が二人に襲う。
二人はその木々を薙ぎ払う。とそれに気が捉われギンの姿を見失う。
「戦闘中に敵を見失うなんて、甘いなお前」
「!!!」
—ギィィィンン!!—
ギンの爪が刹那の封器と交わる。だが、僅かに刹那が圧されていた。
「俺たちはアマガミ化して身体能力も飛躍的に上がっているんだ。生身で勝てると思うな!」
「くっ!!」
「刹那さん!!」
刹那の劣勢に鈴華が駆けつけようとするが、目の前に木々が現れ阻止された。
「おっと、あんたはそこでじっとしてなさい。少しの間あたしと遊びましょ、お嬢ちゃん」
レンが妖美に笑いながら言う。鈴華は周りの木を切り払うが、木はすぐに再生してしまう。
レンは更に笑う。木々は鈴華を取り囲み始め、最後には中に閉じ込めてしまった。
「ふふっ!まずは一人・・」
「鈴華!」
「他人の心配をしている場合か?」
ギンが更に刹那を圧す。刹那は歯を食いしばると相手の爪を流した。
二人が交差する。僅かに髪が切れるが、それを気にせず刹那はギンに刀を振う。
「無駄だ!」
ギンは後ろは見ずに翼の羽を広げて刹那の一撃を受け止める。そして上に弾くと爪で刹那を切り裂く。
間一髪、後ろに引くが服が切れ血が僅かに流れる。銀は自分の爪に付いた刹那の血を舐める。
「首を刎ねるつもりだったが、良い反応するな」
「アマガミの力を授かった人間か・・・。どうやら、貴様を『人間』と思っている内は私に勝ち目はないようだ」
刹那を封器をブランと下げるとそう言った。
「・・・遠回しに負けを認めているのか?」
「そうじゃない。少々忍びないが君を・・・」
—ザンッ!!—
「!!!」
「『アマガミ』と判断することにしよう。・・・全てのアマガミは私が滅ぼす!!」
刹那が鋭い一撃を放つ。ギンはそれを羽で受けるが、今度は逆に圧され始める。
「こいつ、さっきまでは手加減していたのか。・・・いや、違うな。・・・意思の差か」
ギンは刹那を弾き飛ばす。態勢を立て直して起き上がった刹那の目は先ほどまでの目とは明らかに違っていた。
「お前のアマガミに対する憎悪がそこまで自身を変えるのか。ならば、お前に見せてやる。
意思一つではどうにもならない力の差を。全身アマガミ化・・・鷹の化身(ファルコン・ソウル)!!」
ギンの姿が右腕だけではないく、全身が変わる。それに対しても刹那は顔色一つ変えない。
「人の姿をなくしたか。その方がアマガミらしくていいぞ!」
「全身アマガミ化は本当にアマガミになってしまう恐れがある故、使えるのは俺を含めて4人。
この力、先ほどまでの俺と同じと思うな!!」
完全な鷹と化したギンが風の如く刹那に突き進む。それを遠くで見ていたレンが呟いた。
「全身アマガミ化・・・。ギンの奴、あそこまでしなくても勝てるだろうに」
「どこまですれば、勝てるつもりでいるんですか?」
声が響いたと同時に、レンが作っていた木の牢獄が爆発した。そして中から鈴華が現れた。
レンは少し驚いた表情をしたが、すぐに余裕の表情を見せた。
「驚いたね。よくあの檻から抜け出せたね」
「刹那さんも言ってたでしょう?もう少し木の強度を強くした方が良いって。
だからちょっとした爆発でも壊れてしまう」
レンは自分が生み出した木の周りの様子がある程度だが分かる。
木の牢獄の中は爆発する寸前、中の空気がほぼ真空になっていた。
おそらくこの女は何らかの方法で中の空気を一点に凝縮させ、それを一気に放つ事で
あの空間から脱出した。と、レンは読んだ。そう思った上でレンは鈴華に尋ねた。
「随分と無茶な方法で脱出をしたようだね。そこまでして頑張る理由があるのかい?
たかがコアの一つに命を掛ける意味があるのかい?」
鈴華はまだ息の整わない口調で言った。
「・・・私たち封魔士は何も世界のためだけにアマガミを倒しているわけではありません。
皆アマガミに何かしらの恨みを持ち、それを晴らすために、その力が欲しいために封魔士になっています。
刹那さんは両親も霊感の持ち主だったため、目の前でアマガミに両親を喰われ孤独に陥ってしまいました。
・・・私は小学校の頃、私を狙ってきたアマガミのよってその場にいた私のクラスメートの半分が殺されました。
アマガミは霊感のないものは食べません。でも、食事の邪魔だと感じた者は容赦なく殺します。
例えそれが、無邪気に笑う子どもだろうと関係ありません。
私はそんな復讐心はありませんが、唯一つ、アマガミによって失う命があることに私は憎んでます。
アマガミにとってはただの食事でも、私たちにとっては人の命に関わる重要な事。
これ以上、一人でも多くの命を救うためにも封器化出来るコアが必要なんです。
封魔士が一人増えることが、何人もの命が救われる事に繋がるから。
だから、たった一つでも私にとっては夢を叶える希望なんです!」
全てを聞いた後、レンは暫く黙った。その第一声は
「きゃははははははは!!!」
大笑いだった。本当に可笑しそうな笑った後レンが言った。
「馬鹿じゃないのあんた!?人間は自分の命を掛けてまで守る程いいもんじゃないんだよ。
人間なんて薄汚れていて、汚くてゴミのような存在さぁ!!
そうさ。そんなものを守ろうなんて偽善もいい所何だよ!!全身アマガミ化・・・樹木の妖精女王(ティターニア)!!」
レンが顔だけを残して全身が木に埋もれていく。レンが一本の大樹と化した。
「さぁ!!偽善を言う悪い子はこのあたしがお仕置きしてあげる!!」
- Re: 封魔士軍団—アボロナ— 25話更新 ( No.68 )
- 日時: 2010/12/23 11:05
- 名前: アビス (ID: U3CBWc3a)
——————————?????——————————
—プルルルルルッ プルルルルルッ—
琥空は自分の携帯が鳴っているのに気付き手に取る。
『あっ。琥空様』
「レンか。任務は順調か?」
その言葉にレンは嬉しそうに鼻を鳴らした。
『任務は無事に成功しましたよ。今ギンがコアを持っています。
序でに歯向かってきた封魔士の小娘2人も倒しと来ましたよ」
「小娘2人・・・」
『ええ、どうします?奴らまだ息はありますが止め刺しときましょうか?
と、いっても放っとけば死にそうですけどね!!』
携帯越しのレンの声がどんどん高くなって言っている。相当興奮しているようだ。
琥空は携帯を握る手を強めながら、冷静に言った。
「レン。ギンに変われ」
暫くした後、声の主が変わった。
『ギンです』
「ギン、新たな任務だ。コアをレンに持たせレンには帰還を伝えとけ。
お前は近くにいる封魔士二人を今から言う場所まで運んでくれ」
『・・・あんたはやっぱりこの二人には甘いんだな』
ギンの言葉に取りあえず了承は得たと感じる琥空。
「そうでもないさ。それじゃあ場所を伝えるぞ。場所は・・・・」
——————————トルニス——————————
「・・・・・ここは」
刹那が目を覚ますとそこはトルニスの医務室だった。少し記憶が戻らなかったが、
一瞬で今まであった出来事を思い出す。
「・・・・・つっ!!!」
思わず起き上がってしまい、その反動で全身に痛みが走る。そしてまた倒れ込むようにベットに寝そべる。
暫くぽうっとした後、刹那は微笑を漏らしながら言った。
「そうか・・・私は任務を失敗してしまったのか・・・・」
本当に自分が情けなくて仕様がなかった。統帥が太鼓判を捺してつかせてくれた任務を失敗してしまった。
「あまり深く考えないようにね」
「・・・!!衣吹、何時の間に?」
いつの間にかすぐ傍にいた衣吹に驚く刹那。と同時に自分がさらに情けなくなった。
人の気配も感じられないほど私は弱いのか、と。
「私は正直あなたたちにはまだコアの奪取は無理と思っていたわ。あなたたちの実力はまだ
天の5段階程度。全く何を考えてるのかしらね、統帥は」
「・・・それでも統帥は私たちなら行けると言って下さった。私はそれを見事に裏切ってしまった」
歯を食いしばりながら言う刹那。衣吹はため息を一つ吐くと。
「貴方達をこのトルニスの近くで発見した時にね、統帥に二人の事を話したんだけど、
第一声が何だったと思う?『二人は無事ですか?』よ。
コアの奪取よりも二人の命が大事って感じの言い方でね。分かる?
統帥にとっての一番の裏切りはあなたたちが死ぬこと。そう言う意味じゃ、
あなたたちは何も統帥を裏切ってはいないのよ」
笑顔で語る衣吹。少し心が楽になった気はするが、やっぱり何か心に引っかかっていた。
「取りあえず今は休んでおきなさい。これから何をするにしても、まずはその傷を治すことが第一でしょ?」
「ああ、ありがとう」
「どういたしまして」
そう言って立ち去ろうとする衣吹。と、それを刹那が止めた。
「ちょっと待て」
「何かしら?」
「さっきこの近くで発見したって言ったな?どういうことだ。
私たちは森の中で倒れたままのはずだったが?」
そう。レンとギンとの戦いに敗れそのまま気を失った。
それなのにこのトルニスの近くで発見出来たと言うの可笑しいはずだ。誰かが運んでくれたのか?でも、一体だれが?
そんな疑問が頭の中をグルグルしていると衣吹が言った。
「おそらくだけど、琥空君の部下だと思うわ。あなたたちを発見する直前、すぐ傍で
アマガミらしき気配を感じ取ったから」
「・・・そうか」
刹那がそれ以上何も聞いてこない事を確認すると、衣吹は部屋から出て行った。
「・・・何を考えているんだ琥空の奴は?」
自分の部下で私たちを戦わせておきながら、助けたりもする。昔から何を考えているか分からない奴だったが
今は本当に何を考えているのか分からない。
「・・・ふ〜〜、いかんな。少々寝て、頭を冷やすか」
刹那はそう言って再び眠り就いた。この時にはすでに、運命の歯車が狂い始めている事に
気付いているのは一体何人いるのだろう。
——————————常夜の空間——————————
真っ暗な空間。一寸先も見えない空間にどこからか伸びる鎖に繋がれた何か。
「あと・・・二つか。そすれば我は・・・・。くくっ、精々精進しろ?愚かな封魔士共め」
- Re: 封魔士軍団—アボロナ— 26話更新 ( No.69 )
- 日時: 2011/01/04 14:10
- 名前: アビス (ID: U3CBWc3a)
「・・・大丈夫かあんたたち?」
数日後。体の傷も癒えて学校に登校した二人。今日も何時もと同じように放課後に屋上に集まっていた。
傷跡は完全に消えているのだが、湊は二人の違和感を感じ取っていた。
「ああ。大丈夫だ」
刹那が素っ気無く返す。湊はそれ以上聞き返すことも無く、そうか、と言っただけだった。
「それで、今日は一体なんの調査をするんだ?」
「今日は前に湊さんが言っていた呪いについての検証です」
「ん??それ、あんたらの仕事の内に入るのか?」
湊が少し不思議そうな顔で尋ねると、刹那が答えた。
「元々私らの任務はこの学校の調査だ。七不思議について調べていたのは、
それが一番怪しいものだったからだけだ」
「なるほど。で、どうやって調べるんだ?」
「勿論、それのプロにやってもらう」
そう言って現れたのは3人の人物。3人とも顔は頭に被ってる布地で見えないが、
如何にもな雰囲気を醸し出している。
「彼らはアボロナの呪い、及び解呪に長けた呪師だ。普段は呪いの開発や研究を行っているが、
私らが調査するよりよっぽど確実だろう?」
「じゃあ、俺らはここで待機か」
湊がつまらなそうに言う。
「そんなわけないだろう。私らは彼らの護衛だ。彼らはアマガミと戦える戦闘力は
持ち合わせてはいない。アマガミと遭遇した場合を考え、私らが彼らを守るんだ」
呪師が一人一人に付く。勿論、湊の前にも一人呪師が現れ頭を下げる。
「じゃ、調査を開始するぞ。湊は正門とプールを。鈴華は裏門と体育館、それと運動場を。
私は校舎と学校全体を回ってみる。以上だ」
————————————————————
「はぁ〜〜あ。護衛とかつまんね〜〜」
湊は正門への移動中、大欠伸をしながら言った。時間はまだ夕時。まだ部活などをやっている生徒は多いが、
そんなこと気にせずに湊は歩く。湊も刹那から腰布を渡されているのだ。
初めはいらないと言った湊だが、脅しに近い説得を受け承諾したのだ。
ため息をつきながらちらりと呪師を見るが、無言で湊の後をついてきている。
「・・・なあ、あんた」
「・・・・はい、なんでしょう?」
「おおう!」
湊が驚きの声を上げる。どうせ話しかけても無言だろうな、とか思いながら声をかけたのだが、
すんなりと返事をしたからである。・・・声からして女性であろう。
「・・・・何をそんなに驚いているんですか?」
「ああ、いや・・・。喋れるんだな、と思ってな」
湊がそう言うと呪師は笑っているのか布地がユラユラと揺れる。
「ふふっ。ただ、無駄話が好きじゃないってだけですよ」
「・・・何か顔が見えないって変な気分だな」
「・・・取りましょうか?」
そう言って呪師は頭の布地を取る。と、湊はその呪師の素顔を見て目を丸くした。
「・・・??どうしたんですか??」
「いや、あんた・・・顔・・・」
湊の予測通り女性ではあったが、予想にしていなかったのはその顔。
顔の右半分が火傷なのか焼け焦げているような感じになっていて、右目はガラン洞だった。
女性の顔としてはとても痛ましいものだった。だが、女性は軽くああ、と返すと。
「すっかり忘れてましたね。呪師の皆はだいたいはこうですよ。
新しい呪いの研究は失敗と暴発が日常茶飯事ですから。傷のない研究者は無能だって言われるくらいなんですよ」
笑顔で語る女性。左半分だけならとても美しい顔なのだが、もう半分がそれを阻止している。
「俺にはとてもじゃないが理解できないな。
女としての顔を捨ててまでどうして研究を続けるのか」
「ならばその理由をあなたに説明しても意味がありませんね。ご理解頂けないなら。ところで・・・」
ばさっ、と音がして湊が振り向くと、女性は手にナイフと拳銃を持っていた。
「あなたは刺殺と銃殺・・・どちらがお好きですか?」
「なっ!!」
女性はナイフを投げ、そして引き金を引いた。殺気を込められた二つの凶器が湊へと向かう。
———————————————————
その頃刹那は校舎を歩き回っていた。勿論背後には呪師もいる。
「どうだ、何か感じるか?」
「何かと言うならばこの学校に入った時点で感じております。
ですがそれが何なのか、一体どこから来ているのかまではお分かりになりません」
「そうか」
「ところで、非常につまらない質問なのですが・・・」
「何だ?」
「今現在生存している封魔士は一体いくらおいでで?」
呪師の声の調子が少し変わったことに気付いた刹那。
「そんなことを聞いてどうする?」
「いえいえ。もしご少数なのであれば、ここで2人も失うのはとても痛いことだとろうと思いまして」
「なに!?」
刹那が後ろを振り向くと呪師がこちらに向かってナイフを突きたてようとしていた。
だが、刹那は冷静に対処をした。迫りくるナイフを受け止め、呪師の首の後ろを手刀で打つ。
呪師はそのままばたりと倒れてしまう。と、そこで携帯が鳴った。
普段は携帯を持ち歩かないようにしていた刹那だが、万が一の時もあるので、
戦闘になっても邪魔にならないポーチに入れ持ってくるようにしたのだ。
電話にでるとその主は湊だった。
『おい!何か呪師の奴がいきなり襲ってきたぞ!?』
「そちらもか。怪我はないか?」
『ああ、なんとかな』
湊の近くでは呪師の女性が倒れている。勿論気絶させただけで、命に別状ない。
「取りあえず一度合流するぞ」
『ああ、分かった。・・・おおっと!!』
「どうした!?」
『プープープー』
湊からの電話が突然切れてしまった。次に鈴華に電話をかけるが繋がらない。
「・・・・一体何が起こっているんだ」
刹那はそう呟きながら駈け出した。
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