コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- どうやら僕は異世界に来てしまったようです。
- 日時: 2010/08/12 16:56
- 名前: 村人A ◆UcTzrn55Fk (ID: VfitXk9z)
初めまして、村人Aと申します!
主にファンタジー小説を公開していこうかと思っております。
何分未熟ながら至らない点が多々あるかと思われるので、作品へのアドバイス、または感想等がありましたらお気軽にコメントの程、お願いしますっ。
どうぞ、これからよろしくお願いしますです><
※作品名を変更致しました。(旧名:男性Yの異世界譚)
【どうやら僕は異世界に来てしまったようです。】
・10/07/31 3-1投稿。
・10/08/12 3-2投稿。
第一話 >>1 >>2 >>3 >>4 >>5
第二話 >>6 >>7 >>8 >>9 >>12 >>13
第三話 >>14 >>17
- 男性Yの異世界譚 2-END ( No.13 )
- 日時: 2010/07/28 22:19
- 名前: 村人A ◆UcTzrn55Fk (ID: VppVA6tq)
男性Yの異世界譚 2-END
「逃げろ!」
「嫌です!」
「何言ってるんだよ! 君がアイツに適うわけないだろっ!!」
「わかってますよ!!」
そう言うと彼女はグッと僕の前に出てきて、両腕を広げた。
まずい。これじゃ二人共殺される。彼女を逃がすにも本人が逃げる気ないし、今の僕じゃ彼女の身代わりになることも難しい。またあの時と同じような事もできないし、なんてったって武器になるものは周りにない。
『■■■■■■■オォォ!!』
化け物が唸り声を上げ、牙と同じように鋭くとがった爪を向けて、容赦なく僕達に襲い掛かってきた。
——死んだ。
頭の中にそんな言葉が過ぎる。迫りくる化け物と、怖いにもかかわらず両腕を広げて僕を守ろうとする彼女。それは、まるで映画のワンシーンのようで、僕はそれを他人ごとのように見ていた。すべての動くものがスローモーションをかけたかのようになり、確実に僕達は死へと向かっていた。
あとわずかまで迫ってきた化け物に対して僕は目を瞑る。
——17年間生きてきた僕の人生はこれで終わるのだろうか……。
つい数時間前まで過ごしていた平凡な日常に懐かしさを感じる。
僕そうあきらめた——瞬間。何かが風を切る速さで顔の横を通りかかった。
それは化け物に向かって、綺麗な直線を描いて飛んでいき、やがて化け物の眉間に鮮血の花を咲かせる。
『■■ォ!!』
眉間になにやら棒状の物を生やした化け物は短い悲鳴を上げ、やがてその大きな体は地面へと倒れた。
「…………」
しばしの沈黙後、さっきまでかかっていたスローモーションはもう解けていた。
——何が……起きたんだ? 何で、化け物が倒れているんだ?
「ミル! 大丈夫っ!?」
一連の出来事に唖然としていた僕達に、いや、僕の後ろにいる彼女に誰かが声を掛けた。僕は後ろを向き、声の主を見つけるとそこには、大きな弓を構えた状態で立つ一人の女性がいた。
綺麗な黒髪を肩よりも少し上まで伸ばし、ピン止めで長く伸びた片方の髪を止めている。目鼻立ちは、僕の後ろにいる少女と同じように、綺麗に整っていて、後ろの少女が可愛いというなら、今僕の目の前で弓を構えている彼女は「綺麗」というべきだろうか。
「姉さんっ!!」
僕がそんな美女に見とれていると、さっきまで唖然としていた少女が弓を持つ女性に向かって走りだし、そして飛びついた。
——って……お、お姉ちゃん?
「ミル! 大丈夫だった!? 怖くなかった!?」
「怖かった……すごく、怖かったっ」
「もう、大丈夫だから。怖くないからね」
……なんですか、これは? 今、僕の目の前で熱く抱き合っている美女美少女がいる。いや、彼女達の話によると二人は姉妹なんだろうけど、目の前で、なんかこう、二人だけの世界を作られてしまうと、僕はなんなんだろうって思うわけで……。今の僕は蚊帳の外って感じだ。
——疲れた……。
僕は目の前の光景に、今まで緊張や何やらで張っていた気が緩み、急に眠気が襲ってきた事を感じる。
次第に視界が狭まっていき、視線がどんどん下へと下がっていく。たぶん、今僕は地面へと倒れようとしているのだろう。さっきまで聞こえていた周りの音が今は何も聞こえず、かすかに見える先には、僕に気が付いた少女達が驚いた顔をして、何かを言っている姿だった。
——こうして僕は、地面に倒れた衝撃と共に意識を手放した……。
【男性Yの異世界譚 第二話 終】
- 男性Yの異世界譚 3-1 ( No.14 )
- 日時: 2010/08/12 16:48
- 名前: 村人A ◆UcTzrn55Fk (ID: VfitXk9z)
男性Yの異世界譚 3-1
暗い。暗い。何も視えない。何も聞こえない。そんな暗闇に包まれた空間に、一つの光が現れた。僕は意識をその光に向けると、次第に光は大きくなり、それと同時に、微かにだが、どこからか音が聞こえる。
——これは、小鳥が鳴いてる?
僕はその、チュン、チュンと、規則正しいリズムと、可愛らしい鳴き声に、意識を覚醒させつつ、閉じた瞼をゆっくり開けていく。
「ん……朝? ふっ……ふぁ」
欠伸をしてぼやけた視界から見えるのは、いつも見慣れた、自分の部屋の白い天井、ではなく、赤色の——瞳だった。
「のぁっ!?!?」
僕はだらしなく声を上げながら、後ずさりをしようとするも、足の上に何かが乗っているのか、上手く体を動かすことができない。というより——。
「なんで僕、上半身裸なのよ」
着ていたシャツを、何故か脱いでいて、見事に裸体をさらけ出している。それに、胸を覆うように包帯が巻かれていて……。
「ッ!」
途端、頭の中に映像が、フラッシュバックのように流れ込んできた。
森。女の子。化け物。逃げる僕。化け物に胸を咲かれる僕。弓を持った少女が現れ、倒れる僕。その光景はどこか非現実的なものに見えるが、全て現実に起きた事なのだと理解する。
「そうか……僕、生きているんだ」
そう呟くと、意識もせず、それは自然と、頬をつたった。
しばらく、俯きながら、嗚咽することもなく涙を流す僕は、ふと、自分への視線を感じ、眼をゴシゴシと擦って、顔を上げると、ワインレッドの赤い瞳に、くりくりとした愛らしい眼。腰まで伸びた黒髪に、まだまだ幼さを感じさせる小柄な体系をした、小学低学年くらいの女の子が、僕の足の上に、ちょこんと座っていた。
「…………」
み、見られた! それはもうジックリと見られた! 泣いているところをがん見された!
「コホン! あ、あー。眼にゴミが〜」
とにかく、ごまかしてみる事にする。
「…………」
無言。
「や、やぁ。君は誰?」
「…………」
「あ、あの、どちら様でしょうか?」
あまりにも気まずい空気に、思わず、あきらかに自分よりも年下の女の子に対して敬語を使ってしまう。
「…………」
「あのー」
「…………」
無反応です、はい。女の子は、僕の問いかけに反応を示さず、ジッと僕を見つめているだけで……。ふふ、わかってるさ、やってやる。僕の頭の中にはこういう歳の子の対応がしっかりとマニュアル化してあるのだっ。
僕は喉の調子を窺いつつ、コホンと咳を一つして——。
「あはっ☆ 僕ミッ○ー☆ 君は誰なんだい?」
「…………」
「……あはっ☆ 僕はミッ○ーじゃないよ☆ 僕はグ〜○ィ〜。君はだれなんだぁい?」
「…………」
くっ、これはあのキャラクターをやれということか! いいだろう、やってやる、やってやるぞ僕は!
「コホン……。くぁwせdrftgyふじこlpッゲフ! ゲフッ!」
某アヒルのキャラクターの真似をしようとしたけど、うまくできない上に、喉に多大なダメージを負ってしまった。
僕は咳をしながら、涙眼で女の子の様子を窺うと——。
——スッ
彼女は眼を細めた。
あ、あれ? これ、どういう意味なんだ。なんで眼を細めたんだ? どことなく、哀れんだ眼をしている気が……。これは、はめられたのか僕は? そうだ、そうに違いない。きっと彼女は、無反応に対して僕がなにかアクションを起こすことを予想し、その上、僕の羞恥な行動を心の中でクスクスと笑っていたのだ。
——僕は、完全に、彼女の掌で遊ばれていた。
……なんて恐ろしい事だ。未だ未熟な少女が、成人まじかの男を弄んだのだ。恐ろしい。この子、恐ろしい子っ!
「ガクブルガクブル」
「………くろ」
「ガクブルガ…?」
「黒い……眼」
ビクビクと体を振るわせていると、女の子が、さっきまで閉ざしていた小さな口を少し開けた。そして僕は、そこから発せられた、小さいけれど、透き通った声を、確かに聞きとる。
「えと、瞳の事、かな? うん。そりゃ、黒いよ。僕は純粋なアジア人で、日本人だもの」
「アジアジン? ニホ、ンジン?」
この歳くらいの子には難しい言葉なのかな? 日本人という言葉くらいは知っていると思ったけど。というか、わからないという様子で、小さく首を傾げている彼女が、なんというか、非常に愛らしくて、思わず、僕は彼女の頭に手を乗せて、ナデナデ。
「ッ!?」
ビクリと肩を震わす彼女。恐がらせてしまったのかと思ったけれど、しばらく撫でていると、ジッとした様子で、素直に撫でられる。その間も、くりくりとした眼は相変わらず僕を見つめているわけで……。うむ。可愛いい。僕には妹がいないけれど、いたとしたら、こんな感じに撫でていたのだろうか。
「……恐く、ない?」
そう言った彼女の表情は、一見、今までと変わりなく無表情のようにも見えるけど、なにかを恐れているのか、どこか、怯えを含んでいるように見えた。
「恐く、ないの?」
ここでの恐くないというのは、彼女のことをいうのだろうか? だとしたら、なんともおかしな問いである。こんな愛らしい子を恐がる人なんていないだろう。
「うん、全然怖くないよ」
僕は彼女を安心させるように笑みを浮かべると、彼女はしばらく僕を見つめ、そして、眼を瞑った。そんな彼女の新しいリアクションに僕は興味しんしんといった感じで見ること数秒、彼女は再び眼を開けて——。
「……アイシャ」
そう、呟くように言葉を放った彼女は、無表情という仮面をはがして、綺麗に、そっと、微笑んだのだった。
- Re: 男性Yの異世界譚 ( No.15 )
- 日時: 2010/07/31 16:17
- 名前: ユーリ (ID: YQSziswG)
幼女! 幼女! あ、すみません。。。
初めまして、ユーリと申すものです。
早速ですが、読ませていただきました!
いやぁ、面白いですねW トリップ物は僕の好物なので楽しく読ませていただいてますよ!
描写と文章が読みやすくて苦になりませんし、主人公が面白いです(笑)
トリップ物はやはりテンプレがちになるので、この先、他の小説とは味が違った小説になることをひそかに期待しつつ応援してます!!
ちなみに、僕も先輩が好きなので、どこかでまた登場する事を期待してます・・・。
- Re: どうやら僕は異世界に来てしまったようです。 ( No.16 )
- 日時: 2010/07/31 22:47
- 名前: 村人A ◆UcTzrn55Fk (ID: mZiC8SdU)
幼女! 幼女! ようじ——はっ! ……コホン。
気を取り直して、ユーリさん。感想の程、ありがとうございます!
感謝感激でございます・゜・(ノД`;)・゜・
楽しんで頂けてなによりでございますですよっ。
何分、今作品が私の初作品となるので、そんな作品を見ていただいて、尚且つそう言っていただけるとは……。あれ、口からなにやら魂みたいなものが……。
はい、そうですね、確かにトリップ物は書きやすくはあると思うのですが、王道的にもなりやすいのですね。
そこを一癖あるものにするのは、やはり作者の私であり……はい、頑張ります!
主人公に関しては、他キャラに存在を食われない程、魅力的なキャラにしたかったのですが……なんかただのギャグ要員になりつつありますw
先輩の登場は、楽しみにして頂けると幸いです(キリッ
これからも頑張って書いていきますので、応援よろしくお願いいたします!
……なので、誰か私に夏休みをくださいぃぃ!
コホン。ではまたっノ
- どうやら僕は異世界に来てしまったようです。 3-2 ( No.17 )
- 日時: 2010/08/13 00:43
- 名前: 村人A ◆UcTzrn55Fk (ID: Na535wgJ)
どうやら僕は異世界に来てしまったようです。 3-2
ナデナデ。ナデナデ。
「………♪」
ナデナデ。ナデナ——。
「………?」
「あの、もう、いいかな、撫でるの」
「…………」
「う、腕が疲れちゃって……」
「…………」
「……はい。喜んで続けさせていただきます」
「♪」
もう何回目かとなる彼女、アイシャとの攻防は、再び僕の敗北で終わった。あれから、どうも彼女は頭を撫でられることを気に入ったのか、こうしてずっと僕に頭を撫でさせている。やめようにも無言の拒否をくらい、仕方がなく撫で続けるしかないわけで……。
——ああ、明日、完全に筋肉痛ですよ。二の腕がプルプル痙攣してるし。
自分の筋肉痛で苦しむ姿に小さく溜息を吐きつつ、僕は部屋の中を見渡した。
自分の部屋とは違い、全体が木をベースにして作られた部屋からはほのかなに木の香りを漂わせ、部屋の内装はこのベットと小さなタンスに、部屋中央には丸いテーブルが設置してある。良く言えば清楚、悪く言えば、どこか寂しさを感じる部屋だ。
「この部屋って、アイシャの部屋?」
「……シア」
なるほど。シアっていう人の部屋なのだろう。シアというのは、アイシャもそうだが、名前からして、外人さんか?
ん? というか、アイシャって見た目は外人の容姿をしているけど、悠長な日本語を話しているな。
「ところで、アイシャって、ハーフなの?」
「……」
少しの沈黙後、コクリと頷くアイシャ。
「ああー、やっぱりそうなのか。日本語がこんなにうまかった「魔人と……人間の、ハーフ」か、ら…………。ごめん。もう一度お願い。ぱーどぅん?」
「……。魔人と人間のハーフ」
……オーケイ。オーケイ。落ち着こうじゃないか僕。彼女は何て言った? まじん、マジン、魔人?
なに、そのよくゲームで聞きなれている言葉は。あ、ああ、そうか。もしかして彼女は、外人のことをなんらかの事で勘違いして、魔人と言っているに違いない。うん、そうだ。よくこの歳にはあることだ。
——スリ、スリ。
「?」
うんうんと頷く僕は、掌から感じるくすぐったいさに目を向けると、アイシャが頭をスリスリと僕の掌に押し付けていた。どうやら撫でる手が止まっていたようだ。
「よしよし」
「ん……」
彼女の魔人という言葉に、本能が気につちゃだめだと告げているので、これ以上は考えないようにしようと決めた僕は、再び彼女の頭を撫でる。
すると、ガチャリと部屋の扉が開いた。反射的に扉の方へと顔を向けると、そこには少女が一人、驚いた表情をして固まるように立っていた。
僕がその少女をどこかで見たことがあるようなと記憶を探っていると、途端、少女は肩を震わせ……なんだろう、雰囲気的に、やばい気がするのは気のせいだろうか。
「……アイシャに。……アイシャに」
俯きぶつぶつとなにかを呟いている少女。
——うん、これ、やばいよ。なにか知らんけど、やばいと僕の本能様がおっしゃっておりますよ!
全身からだらだらと冷や汗を流しつつ、撤退準備を始めようとする僕。だけど、すでにもう、遅かったみたいで——。
「あんたアイシャに何してんのよっ!」
彼女がそう怒鳴った瞬間、いつのまにやら目の前まで迫っている、怒気を含んだ彼女の姿と、右頬になにか食い込む感触を感じると同時に、目の前が再び暗闇へと変わった。
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