コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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Every Fragment.
日時: 2010/07/28 20:33
名前:  さくら. (ID: NTjRWWeg)
参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?355209

.+ぷろろーぐ+.

古く汚いさびた扉。
誰も開くことはできない。
永遠に閉ざされた扉。

鍵の欠片を手にしたのは、
貴方でした。

‘Every Fragment.’

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Re: Every Fragment. ( No.4 )
日時: 2010/07/30 19:48
名前:  さくら. (ID: NTjRWWeg)
参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?355209

2.

今日も真っ白な部屋の中。
一人で窓から見える大空を見つめる日々だった。
この空は好きだ、だが真っ白な部屋は嫌い。

この部屋に聞こえる音は全て単純。
点滴を動かす音、ナースコール、医者の足音。
そう、この場所は病院という真っ白い地獄だ。
この地獄は檻がないはずなのに、この部屋から出ることはできない。

私は一つのボロけた本を取りだした。

Re: Every Fragment. ( No.5 )
日時: 2010/07/30 20:05
名前:  さくら. (ID: NTjRWWeg)
参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?355209

3.

本は少し黄色になりかけ、本当に古いものだった。
本の題名は‘逝れない天使’
絵本のような、小説のような物語の本だった。

私の好きな物語。
そして唯一、あの人の形見。


私はその本を一ページめくった。

Re: Every Fragment. ( No.6 )
日時: 2010/07/30 21:15
名前:  さくら. (ID: NTjRWWeg)
参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?355209

4.

『とあるところに、一人の天使がいました。
天使の名前はアイ、とても成績優秀な天使でした。
でもアイは、やってはいけない過ちを犯しました。

自分の涙によって人間を生き返らせてしまったのです。
天使は羽をきられ、天界を追い出されました。』



私は静かに本を閉じた。
窓の外からやってくる風、その風に近づこうと足を進ませる。

私が此処に来たのは半年前だった。
貴方が消え、混乱に陥った時にきたのがこの白地獄。
入ってきた時のことはよく覚えている。


私は腕にある一つの深い傷を指でなぞった。

Re: Every Fragment. ( No.7 )
日時: 2010/08/05 01:39
名前:  さくら. (ID: NTjRWWeg)
参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?355209

5.

腕にある深い傷。
その傷は徐々に増えていく私の生き様だった。
自分に流れる真っ赤な血。
丈夫な体。
この体があれば、君は死ななかったのだろうか。
そう思うたび、自分を傷つけ続けた。

今日もいつも通り、一本の筋を作ろうとしていた。
のに。

「おはざーす……て、え、ちょ!!」

大きな音を立てて病室の扉が開かれる。
可笑しい、此処は一人部屋だ。
どうして人がこの中に入ってくるのだ。

真っ先に私の手にあるカッターを取り上げた。
顔に目を向けると、それは一人の少年だった。




嗚呼、おとこ、だ。

Re: Every Fragment. ( No.8 )
日時: 2010/09/29 20:46
名前:  さくら. (ID: NTjRWWeg)
参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?355209



嗚呼、男だ。
私の大嫌いな、男が目の前にいる。

「え、何これなにやってんだ!」

彼の言葉に、私は耳を傾けなかった。
彼奴には何も関係などはないことであって、口出しをされたくはない。


黙り込む二人。
静かな部屋。
手に握られたカッターと古い本。


‘貴方は私に何が出来るの?’


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