コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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   rainy blue......
日時: 2010/09/23 17:46
名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: kQLROmjL)

*+。...  *+。...

 走っても走ってもこのてのひらに温もりはなくて
 それでもひたすらに走り続けた
 頬に伝う涙は空から零れる雨になって
 見上げた先には ひたすらに広がるrainy blue


...。+*  ...。+*


挨拶*+・。*
 諸事情によって小説が書けなかったのですが、此度復活いたしました(^o^)
 更新は亀更新です。来る時間帯は不定期ですが、大抵は夜だと思います。来ない日もあります。
 今回の作品はレイニーブルーです。意味は知りません(@_@;)←
 適当で大雑把で飽きっぽい作者ですがどうぞ、広い目で見てあげてくださいm(__)m 


目次
 第一章 退屈〈Borebom〉
  001>>006 002>>016 003>>018 004>>023 005>>026

 第二章 空の涙〈Empty tears〉
  001>>027 002>>028

お客様
 そらね様——理桜様——ちいこ様——tapi様——

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Re:    rainy blue...... ( No.26 )
日時: 2010/09/17 20:49
名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: kQLROmjL)

005


「へーえ? 成績良いからって余裕ぶっこいてていいのかな、学年一の秀才さん?」
「って何で知ってんだよ」
 やけに挑戦的に言うので顔を顰めた。逢来が知ってるのも無理はない。成績は上位五十名が廊下に張り出される。一位に俺の名前があったとか、誰かに聞いたらそう帰って来たとかそんなとこだろう。
 でも、最初あった時と全然性格が違う。もっとこう、何だっけ。ああそうだ、ほんわかしてる? いや、ちょっと違うか……。
「何百面相してんの。変な人、奏って」
 いやいや、お前に言われたかねーよ。俺が変人だったらお前はもう地球上の生物の域超えてんぞ。なんて言えるはずはないけどさ。
「うっせーよっ。それより、お前って友達作らねーの? いっつも一人って寂しくないのか?」
「……んー。ひとりで居たいわけじゃないよ。気が合う人がいないの。奏だって一緒でしょう? 行きたくもないトイレについてったり、愛想笑いして仲間作ったり。そんなの面倒だから中学できっかり止めた。そんだけだよ」
 淡々と言葉を紡いでいく逢来に似たようなものを感じた。俺と同じ。他の男子にちょっかいかけられても面倒だし、某アイドルグループでぎゃあぎゃあ騒ぐ意味も分かんねえ。確かに可愛いけど、現実を見ようぜ、って思う。
 やっぱ、似てんのかもな。
「俺も、若葉……あ、昨日の奴な。若葉しか気が合わないと思ってる。でも、俺逢来となら友達になれるかもしれない」
「じゃあ私の友達になってくれるの?」
 友達。勿論答えは決まってる。
「当たり前じゃん。逢来なら、気が合いそうだし。おもしろいしな」
「本当? やった、ありがと! 私ちょっと奏のこと尊敬してたから、嬉しいなっ」
 ……尊敬? 何処に? 成績が良いことが?
 馬鹿馬鹿しい。取りたくて取った一位じゃないし、成績を下げようと思えば下げれる。けど、それじゃダメだ。〝あの人〟はそれだけでは満足しない。もっとキラキラ光る何かを欲しがる人だ。だから……。
「ってちょっとー? 聞いてるの、奏?」
「んー。ちょっと過去に耽ってた」
 おじいさんみたいっ、と突っ込まれたけど俺の心はもう本当に過去に引きずりこまれていた。こうやって、ふとした拍子に過去の扉が開くともうダメだ。自己嫌悪に陥って簡単に扉を閉めることができない。
 もう、消えちまいたいな。
「でもさあ、奏って一生懸命に頑張ってて私……」
 私、の後はチャイムが鳴ったせいで遮られた。一時間目の終わりの合図だ。逢来は口をきゅっと閉めると、顔を赤らめて早口で言った。
「私は奏のそういう所、すごくいいなって思ってるよっ。じゃあね!」
 そして俺が何か言う前にさっさと屋上を駆け下りて行った。暫く呆然と立ちつくす。

 一生懸命頑張ってる。

 今の俺が一番欲しい言葉だった。そう、すっごくすっごく頑張ってる。強がってるともいうけど、やっぱり人並み以上の努力はしていると思ってる。
 誰か、そう誰か一人でもいいから『頑張ってるね』って声をかけて欲しかったんだ。頑張ってるから。
 若葉はいつも頑張ってんねと言ってくれるけど、逢来に言われた方が——若葉には失礼だけど——何倍もうれしい。
「あいつ、何者……?」
 俺は同じく闇を抱えている孤独な少女に出会ってしまった。これから半年で、一生分の恋をするとも知らず。


 これは逢来との出会いから別れまでの小さな小さな話——……。





 ——第一章end——

Re:    rainy blue...... ( No.27 )
日時: 2010/09/19 18:46
名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: kQLROmjL)

第二章 涙の空。


 叫びたい。声をあげて泣き続けたい。……ねえ、教えてほしい。
 雨上がりの空には綺麗な虹がかかりますか?
 どんよりと、雲が立ち込めたままですか?
 お願い、助けて。
 そう叫ぶことしかできない僕たちは、ただ前を見据えて待つしかない。

 ——たとえ、
 涙の雨が頬を打ちつけようとも。


。+*.+・,*


「おい、奏」
「うっさい、眠いんだ俺は」
「即答すんな。首絞めるぞ」
 若葉にたたき起こされた俺は眠い目をこすりながらしぶしぶ起き上がった。此処で死ぬのは惜しい。そして、その会話をくすくすと笑いながら見ている女子が約一名。
「あははっ、本当に二人の会話って見てて飽きないよっ」
 榎並逢来だ。逢来は最近よく笑うようになった。と、皆が噂している。それは劇的な変化で、不思議なことに前までの悪い噂はほとんど流れていなかった。
「う、うっさい。榎並は関係ねーだろ!」
 若葉はまだ噂を気にしてるみたいだ。だけど、前みたいな怯える目はしなくなった。逢来の目が柔らかくなったからだ。それに……
「榎並さん、正輝の首絞めちゃえば? 神楽も叩き起こされたみたいだしね」
 今ではクラスの女子も逢来に話しかけるようにもなった。俺は俺で、それはかなり嬉しい。
「いやいやいや、榎並に絞められるとか最悪……すみません冗談ですっ! ちょっとした冗談だって……!」
 で、只今若葉は逢来に首を絞められてるところだ。とりあえず、放置しておこう。
「ちょ、無視はないだろ!? おい奏——」
「図書室行くから、部活終わったら起こしてね」
「じゃあ、助けろよ!」
 突っ込まれたけど、俺が図書室に行くときは必ず逢来もついてくる。若葉がそれに安堵の表情を浮かべていたと言うのは後で聞いた話。
 逢来は首を絞めるのを止めて、代わりに若葉の腹にストレートパンチを喰らわせて、トコトコと俺の後ろをついてきた。振り向くと、変わらず一メートルの幅を保って大きな目で俺を見つめていた。
 その目には心なしか悲しみがこもっているように見えた。


 その目は、何を信じているんだろう。


Re:    rainy blue...... ( No.28 )
日時: 2010/09/23 17:45
名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: kQLROmjL)

002


「ねえ、奏。奏ってばっ!」
「……何」
 何じゃないよ、と俺の右ポケットを指さした逢来。あ、俺寝てたんだ。と、今さらながらに気が付いた。
「あ、ケータイ? って若葉か」
 右ポケットに入っているケータイが、メールが来ていることを示していた。開くと、短い文が絵文字もなしで綴られていた。
 〝お前に逢いたがってる奴がいるから早く正門に来い〟
 ……俺、悪い事したっけ? 俺の知り合いは若葉の知り合いでもあるから、若葉が知らない奴はほぼ初対面のはずなんだけど。まあいいや、とりあえずいかないと。
「悪い、急用だって。何か呼び出された」
「そっかあ、モテるね奏ー」
 誰からのメールだとか内容はとかあれこれ聞いてこないのが逢来の良い所だ。鞄を持ち上げた俺を見て、鍵を持ち上げて振って見せてきた。
「じゃあ、鍵は私が返しておくね。また明日!」
「おう、また明日な」
 ひらりと手を振って俺は図書室を出た。一抹の不安と、不思議な期待を胸に抱いて。


「あっ、奏! こっちだよ!」
 校庭を出て正門近くまで来ると、若葉が疲れたような笑みを浮かべてこちらに走ってきた。
「なあ、あいつ俺苦手なタイプだわ……」
 じゃあな、と言ってふらふらと校庭に戻って行った。正門を見るとショートカットの俺らと同い年位の女子が仁王立ちしていた。案の定面識はない。
「あ、やっと来た。待ちくたびれたぞ」
 喋り方は男みたいだ。しかも前から知っているみたいに。でもさばさばした奴は嫌いじゃない。
「で、なんか用?」
「じゃあ行くぞ」
 ……話がかみ合わない。何気に睨まれてるし。俺、恨まれるようなことしたっけ?
 とにかく、ずんずんと先に歩いていく女子を黙って追いかけることにした。あ、名前聞いてない。
「なあ、お前名前は?」
「……普通は自分から名乗るだろうが」
「呼び出したのはお前だろうが」
 まず俺の事知ってるから呼び出したんだよな。何か理不尽じゃねえ?
「江袋瑞希。瑞希でいい」
 自己紹介の後すぐ学校近くの公園についた。ベンチが一つと大きい楠があり鬼ごっこもできなさそうな小さな、殺風景な公園。瑞希はベンチに腰かけたから俺も隣に座った。
「あんた、最近逢来と仲いいのか」
「は? ……お、おう」
 聞き返したら睨まれたからとりあえず返した。何で俺敵対視されてんの? ってかなんで瑞希は逢来を知ってんの?
「あたしは逢来の幼なじみ。で、今日はあんたに話がある」
 何処か、違和感があった。瑞希の声が明らかに鋭くなって、それでいて泣きそうな声だった……気がする。



「逢来に…………近づかないでくれ」




Re:    rainy blue...... ( No.29 )
日時: 2010/10/05 18:36
名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: kQLROmjL)

003


「……無理」
 初対面の奴に「逢来に近づくな」って言われて「はい分かりました」なんて言えねーだろ。それよりも俺が、嫌だ。逢来とやっと仲良くなれたというのに。
「だと思ったよ。でも、逢来の過去を知らないから言える話だろう?」
「知ったら、幻滅するってか?」
 絶対幻滅しない。俺の心はそんなもので折れやしない。逢来を心から信頼しているから。出会って少ししか経っていないけど、信頼している。
——たとえ、逢来が俺を信頼していなくても。
「あんたが、その逢来の過去を知っていて幻滅しないのと同じように、俺も幻滅しない」
「じゃあ、話してやる。それからの話だ」

——————
————

 逢来には、幼なじみがあたしともう一人いた。木谷和稀と言う同い年の男子。和稀と書いて逢来と同じ読みをする。
 皆一番後ろに〝き〟がつくよしみでか、中学に入ってからもずっと仲良くしていたんだ。
 彼女は、和稀の事がずっと好きで二人とも両想いだった。丁度思いを伝えようとしていたその日に、彼は居なくなった。逢来の目の前で。
 交通事故だった。信号を無視してきたスピード違反のトラックに轢かれた。

「でも……」
 瑞希はそれで一回区切った。今にも泣きそうな顔で、それでも続けようと話しをし始めた。俺は黙って瑞希の言葉に耳を傾けていた。

「でも、逢来は自分を責めている」

 逢来は自分の目の前で彼が轢かれるのを呆然と見ていた。スピード違反で百キロ以上出してていたのだから、助けられないのは無理もない。
 でも「あの時手を引いていれば助かったかもしれない」「助けられなかった」って自分を責め続けている。
 それから、逢来は変わった。学校に行っても上の空で、先生まで彼女の変わりように同情したほど。ほんわかして、ムードメーカーだった彼女は、一日にして地味で冷酷な人間に変わってしまった。
 彼女は……和稀を愛していたから。初恋の人を一日で失った悲しみは誰にも解けない。


「分かっただろ。逢来は人に心を開かない。だから、お前には——」
「行かないと……」
 思わず呟いていた。瑞希が怪訝な顔をしていたけど、俺は立ち上がって瑞希に早口で言った。
「悪い、俺逢来のとこ行ってくる」
「お前っあたしが言ったこと聞いてたんだろ……!」
 瑞希は俺の胸ぐらを揺すってきたけど構わず振り払った。
「あいつ、今平気でいると思うか?」
「…………」
「独りになれば、木谷のこと思い出して泣いてるかもしれないって分かんねえのかよ!?」
「分かってる!」
 瑞希は大声で反論した。分かってるなら、如何して……。
「じゃあ、お前に逢来の闇が分かるか?」
 逢来の、闇。黒色、光さえ見えない漆黒のセカイ。それを受け止めることが、できるか。救うことが、できるか。
 嗚呼、俺はきっと試されている。暗闇しか見つめていない瞳を見て、心が一瞬でも揺らがないか。だったら、もう決まっている。
「やって見せる。救えなくても、共有してやる、絶対」
 沈黙が流れた。
「……お前は和稀によく似てるよ」
「え?」
 意外な言葉に目を見開いた。似ている? 俺が?
「性格。優しくないところ」
「は?」
 え、え、優しくない……だと? それはちょっと心外ですけど!
「優しさ程残酷で辛いものはないな。最近の女子はちょっと気を使いすぎだと思う。言いたいことくらい言えよって感じ」
 何かどんどん話がそれてる気がしなくもなくなってきたので、無言で立ち去ることに決めた。後ろで何か言っていたけど、気にはしなかった。



 

Re:    rainy blue...... ( No.30 )
日時: 2010/10/02 17:42
名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: kQLROmjL)


最近更新しなくてすみませんっm(__)m


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