コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 変人でっとひーとっ!
- 日時: 2010/11/29 22:34
- 名前: 遮犬とむーみん (ID: 20F5x0q3)
クリックありがとうございます!
蛍野風学園探偵部の変人共がおくる超ドタバタコメディ、お楽しみください。
それではどーぞっ!
→目次
零話 プロローグ >>1
一話 変人たちの聖地 >>6
二話 変人は最強ステータス >>11
三話 守護霊の本体と新入部員 >>15
四話 守護霊さん守護霊さん、貴方のお名前なんですか? >>16
五話 スポーツ系美少女と、ゲームとゲーム >>19
六話 え?初依頼?これが? >>25
七話 追跡24時 >>27
→お客様
・腐女子まん*羽菜。さま ・愛歌さま ・ナナさま ・翔亜さま
- Re: 変人でっとひーとっ! ( No.27 )
- 日時: 2010/11/25 21:05
- 名前: むーみん ◆bbb.....B. (ID: 20F5x0q3)
7話 追跡24時
その後、子猫はおびえて逃げ出し(まあ当然の事だが)俺は今それを何故か未だゴ●ラのまま追いかけていた。
しかし、ゴ●ラ。
なんせゴ●ラ。
着ぐるみで運動神経のよくない俺が追いつくわけもない。
というか……
「なんで皆は追いかけないんだぁああ!!」
気がつけばまりあ先輩と小春は遥か後ろにいて、笑顔で手を振っていた。
これは、俺一人で捕まえろ、ということか?
あいつらの頭はおかしいのか?
状況的に言うと、猫を捕まえるために道をただ一人突っ走っている。あ、正確には天音が隣にいるのだが。
そういえば、さっき犬を散歩しているおじいさんに「がんばれー」とか言われた。
傍から見れば完全に仮装マラソン大会的な感じなのだろうか。
いや、もしかしたら完全なる変人?
『それ、警察に通報されかねないんじゃない?』
天音が必死に笑いをこらえるように隣でそう言った。
さすが霊体。必死で走る俺とは対照的に、余裕で隣を走って(いや浮いて)いる。
「……マジもう勘弁して!」
そんな俺の悲痛の叫びも、虚しく街中に消えていった。
『あ、猫曲がったわよ』
「なんだと!?」
すると天音が急にそう言った。確かに、子猫は方向を変え、狭い道へと入りこんでいる。
俺も急いで曲がり、全力で追いかけた。熱い。着ぐるみのなかはきっと40度近くあるだろう。
何か、意識が朦朧(もうろう)としてきた。
しばらく走ると、前方から何か声がした。
そしてその声ははっきりとこう言ったのだ。
「あれ、白丸13号っ!こんなとこにいたのねっ!」
——と。
俺は立ち止った。
着ぐるみの間から覗くと、かすかに見えるのは、白丸13号と呼ばれた例の子猫を抱く少女。
ネーミングセンスの奇抜さは、あえて突っ込まない。耐えろ、俺。
状況から察するに、どうやらこの子猫の飼い主は彼女らしい。
子猫は彼女の腕の中でごろごろと甘えていた。きっとよほど安心したのだろう。
いろいろあったが、これで初依頼は終了……と思ったその数秒後。
「……何!? このゴ●ラぁああっ!」
「ぐはぁっ!」
その叫びとともに、俺は思い切り殴られた。
その時の記憶は定かではないが、恐らく2メートルくらい飛ばされたんじゃないだろうか。
そして……俺の顔を覗き込むようにして天音は爆笑していた。
- Re: 変人でっとひーとっ! ( No.28 )
- 日時: 2010/12/06 23:41
- 名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: XvkJzdpR)
- 参照: 久々の更新ですっ!遅れてまことに申し訳ございません;
8話 果ては変人1人発見っ!!
『あはははは!!』
「いい加減笑うのやめろっ! ったく……」
現在、俺は探偵部の部室内でかなり赤く膨れた頬を必死にビニールに入れた氷で冷やしている最中だ。
隣には爆笑しているアホ守護霊、天音。
「本当にごめんなさいっ!」
俺の目の前でペコペコ頭を下げているのは俺の頬をここまで膨れあがらせた張本人。
そして猫の依頼を申し込んだ張本人でもある。
「あぁ、大丈夫ですよ。こいつ、こういうのが趣味なんで」
「お前は俺の何を知ってんだっ! 昨日今日会ったばかりだろっ! それに変な設定付け加えるなよっ!」
小春の野郎……。実際一番爆笑してたのはこいつでもある。あ、でも天音も負けてないか……。
「あ、そんな趣味を持ってらした方だったんですか」
「普通、真に受けますかねぇっ!? あんたら絶対グルだろっ!」
子猫を抱く依頼人はか弱そうな少女である。とても「このゴ●ラぁああっ!」と、俺を吹き飛ばしたとは
到底思えないのもまた事実。人って見かけによらないというのは本当なんだな……。
「まぁでも……新しいメンバーになっての初めての依頼達成ですね」
まりあさんが横から営業スマイルともいえるほどの輝きを持った笑顔を見せて言った。
裏表ものすごいなぁとか思うのは昨日今日で普通になってきた。
「よかったね〜、白丸13号」
それにしてもこのニックネームセンスだ。
ア●ロ13号から取ったのだろうか? それにしては可哀想すぎじゃないか?
殴り飛ばされる前まではツッコミを我慢していたがとりあえず心中でつっこんでおくことにする。
「ニャ〜」と、可愛らしい声で白丸13号は主人の撫で撫でに対応していた。
「にしても子猫って……すげぇ破壊力あるよな」
いきなりわけの分からんことをほざきだしたのは小春である。
元から(自主規制)とか余裕でプレイしていたりしたので普通の女子高生ではないと思っている。
「この可愛さ。味方にしたらすげぇ萌え系だけど、敵にしてみたら恐ろしく強いよな」
「アバウトすぎるって! わけわからんわっ!」
「いや、マジ。風邪気味なんだって」
「今と全く関係ないよなぁっ!?」
そういえば風邪気味とかなんとか依頼が来る前に言ってたような気がするが……
風邪気味にしてはものすごい走りっぷりだったがな。スポーツ少女様様である。
「ま、とにかく子猫は最強ってことだよ。うん」
「どこからその結論出たのか教えて欲しいんですけど」
『あはははは!!』
「そんで天音はいつまで笑ってやがるっ!」
小春といい、天音といい。こいつは俺に対する価値観ってものが——
「あはは。それにしてもすごいですね? ワイヤーアクションですか?」
っとここで依頼主もなにやらわけの分からん言葉を。
「えっと……何が?」
「え? 浮いてますよね? すごいですね? 天音さんって言うんですか?」
「「ちょっと待ったああっ!!」」
何気ない表情ではてなを頭に思い描いている依頼主。そんな場合じゃないんだよっ!
天音の姿が見える? また?
「……実はみんな見れたりして?」
『そ、そんなことないっ! だって証拠に登校中全然私違和感なかったじゃない!』
「それは……あぁ、痛い子なんだな、って」
「何それっ!?」
小春と天音の討論はアホすぎる。とりあえず俺だけでも冷静にならないと……
「いやいや、天音ちゃんじゃなくて新の方が」
「俺の方かよっ!!」
どうやら小春が痛い子だと思っていたのは俺のようだった!
ダメだ……! 落ち着けぇええ! 俺が取り乱してどうするっ!
「あの……そこのドMさん」
「誰がドMじゃああああっ!! 違うって言ってるでしょおぉおうgsfがwりおrtgjrgg」
「後半、言葉になってないからな?」
小春になだめられるとは……。クソゥ、依頼主、なかなかしていい攻撃をしてくるじゃないか。
……って俺は何を言ってるんだああああっ!
「一人もがいているアホは放っておいてだな……天音の姿が見えるのか?」
小春に進行係的なのも奪われた。ていうかさ、俺の立場に一回なってみ? 一回は悶絶するぞコラ。
「え? 姿が見えるって……もちろん、当たり前じゃないですか」
「………」
俺たち、探偵部と天音は顔を見合わせた。
まず最初に……この人、何者? ていうことだな。
「あの……」
俺がしょうがないから切り出そうとする。だがしかし、他メンバーも言いたげにしていた。
そして、異口同音の如く——
「「貴方も、変人ですか?」」
と、聞いてしまっていた。
全員、声を揃えて、だ。
「え? あ、そうなんですか?」
いやいや……聞かれても。
何だか変な雰囲気の漂う彼女は恐らくタダ者ではないだろうということだけは確かだった。
そして俺の頬の痛み。いつ消えるんだろう……? という疑問は永遠の闇であった。
- Re: 変人でっとひーとっ! ( No.29 )
- 日時: 2011/01/04 11:35
- 名前: 椎奈 ◆bbb.....B. (ID: 20F5x0q3)
- 参照: 改名しました。そしてPC解禁じゃあ!
9話 変人一名追加。
「ところで、あなたここの生徒?」
未だ子猫を抱く少女にそう尋ねたのはまりあさんだ。
「はい! 藤原ひかり、一年生です」
「部活は?」
「それがまだ決めてないんです」
そう答えた少女にまりあさんの顔がとても悪意的な顔になった。フフっと笑ったまりあ先輩の顔に、背筋が凍った。
「探偵部、どう?」
「お、いいじゃん! 入れよ」
「……今なんて!?」
天音が見える=変人。
何故か俺の頭の中でそれが成り立っている。それを言ってしまえば俺も変人の部類に入るのだろうが、今はいいだろう。っていうか触れたくない。
あ、天音にすっごい睨まれた。こいつ、ほんとに俺の心読んでんのか? めちゃくちゃプライバシーの侵害じゃねえかおい。
……まぁいい。つまりだ。
変人しかいないこの空間にもう一人変人が加わることによって、俺のツッコミ業務は年中無休でフル稼働。そして、間違いなく俺も変人色に染まってしまう。
なんとしてもそれは避けたい!
小声で、俺はまりあさんに言った。
「どうしてそうなるんですか、これ以上部員いらないでしょ?」
「何言ってるの、部費の増収よ。部員は必要よ」
「……」
「それに、かわいいじゃない。ひかりちゃん」
俺は何も言えなかった。
この先輩……恐ろしすぎる。
「ほんとですか! 私運動も全然だめで……どこ入ろうか悩んでいたんです。入部させてくださいっ」
運動が全然だめなら、俺をぶん殴ったあの馬鹿力は何なんだ。
確かに華奢だし、運動ができる人には見えないが、証拠に今でも頬はズキズキしている。
しかし、ひかりのかわいすぎる笑顔に俺も彼女の入部を快く引き受けてしまったとさ。
「ただ……白丸13号も一緒でいいですか?」
はい、ツッコミ業務のフル稼働が決定しました。
- Re: 変人でっとひーとっ! ( No.30 )
- 日時: 2011/01/05 03:59
- 名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: zWHuaqmK)
- 参照: よくぞ帰ってきた同士よっ!wこの時間帯が一番安全時間w
第10話 幽霊について考えてみた
新入部員が一人と一匹が新しく加入したのだが……。
「うーん……」
『……何その顔。ものすごく腹立つんですけど』
俺は特別広くもない俺の部屋で幽霊一匹に対峙していかにも唸るような顔で考え事をしていた。
目の前にいる幽霊美少女こと天音は今日の晩飯の一環である味噌汁を啜りながら俺を変態としてみるかのような目で見ていた。
「いや、やっぱおかしい。うん」
『何がよ。それよりその顔やめろ。後数秒経てば箸で両目粉砕するからね』
「そこまでしなくていいだろっ! てか別にこの顔でもいいだろうがっ! 生まれつきなんだよっ!」
『そのアホっぽい唸り顔をやめろっつってんのっ! マジで目玉抉り取るわよ!?』
「抉り取るなよっ! そこまでいったら完全にアウトだよっ!」
あれ? よくよく考えたら抉り取るより粉砕する方がやばくねぇか? ……まあどっちでもいい、それは。
それより問題は目の前のコイツだ。てかコイツしかいません。
「お前の存在自体が納得できないって言ってんだよ」
『何よそれ。呪うわよ?』
「そう簡単に呪われてたまるかっ! ……いやだから、俺の知ってる幽霊とは全く違うって言ってんだよ」
パクパクと軽快にご飯を食べまくる天音は睨みを利かせた目で俺を見てくる。
俺は一つため息を吐いて説明を始める。
「いいか? 俺の知ってる幽霊ってのは……まず食べ物食べないんだよ。てかその食料どこにいくんだよ」
『は? 胃に決まってんじゃん』
「違げぇよっ! お前一応、幽体なんだよな? ご飯食わなくても大丈夫じゃね? てか何で食えるんですか?」
どう見てもイレギュラーすぎるから俺は言っている。
少しだけ体浮いてるし、その状態でご飯バクバク食ってるし。
『知らないわよっ! お腹空いたから食べてみたら腹が膨れたのっ! それだけよっ!』
とは言ってもそれがわけが分からんから言ってるんだけどな……。
「じゃあいい。次の質問だ」
『また質問?』
呆れたような怒ったような顔をして天音は俺を睨むが決して俺の心は曲げない。
ていうかここらへんはハッキリさせておいた方がいいと思うんだよ、うん。
「何で変人にしかお前、見えないんだよ」
その時、天音の動きも何もかも全て止まった。
何も動かず、表情一つも動かさない。これが固まったーとか、フリーズしたーとかいう奴であろうか。
『何で……だろ?』
「え?」
不意に出た天音の一言。
それは今までとは違う強気な言葉じゃなく、少し弱気な感じだった。
『何で、私は変人にしか見えなくて、どうして私はここにこうやっているんだろ……?』
ついには不安そうな顔をして俺を見つめてくる。いきなりどうしたのかと聞きたかったがそんな雰囲気は微塵もなかった。
心から不安そうにしていて、なおかつ助けを求めているような目。
——もしかして、口に出してないだけでかなり不安だったんじゃないのか?
そんなことが俺の脳裏にちらほらと見え隠れする。
こいつは根は強気だが、本当は不安でたまらないのだろう。
現に俺だって天音のような状況に陥ったら不安にもなるだろう。それは確かだ。
だとすると自分はとんでもないことをぬかしたかもしれないと後悔の念が押し寄せる。
「いや……悪気があって質問攻めしたわけじゃないんだ。俺もわからないことだらけで——」
と、俺が後悔と共に謝ろうとしたその時
バシィッ!! と、肩に激痛。
「いてぇっ!? 何すんだよっ!」
俺は叩かれた肩に手をやるといつの間にか立ち上がっていた天音を見上げる。
満足そうな顔をして仁王立ちしている天音は自信満々に言う。
『なーんて! 私が気にするなんてアホらしいアホらしい! ただ単に幽体離脱しただけだっての』
「いや、お前それはな——」
『あーもううるさっ! そしてしつこっ! 絶対あんたモテないわよね〜……』
天音の一言に俺は顔を真っ赤にして反論しようとするが何も言い返せない。
今まで恋愛とした恋愛を特にしたこともない俺にとっては返しようのないことだった。
「う、うるせぇなっ! もういいっ! 寝るっ!」
俺はさっさと部屋のドアを開けて部屋から出て行った。
『……私は……』
俺が出て行った部屋の中で天音は一人呟いていたことなど知るよしもなかった。
翌日。
天音に自分のベットを貸すようになってからリビングのソファー上で寝るようにしているのだがどうにも好かん。
親などからは変な子扱いされたが「新しいダイエット方法なんだ」と、何とも苦しすぎる言い訳をして眠りについている。
だがしかし、想像以上にソファーの居心地が悪い。さすが安物だな、母上よ。
俺はとりあえず目覚めると歯を磨いたりして服を着替える。
そして俺の部屋へと天音を起こしに行くのが今や日課となっていた。
あいつそういえば俺の守護霊的存在じゃなかったか? 普通逆じゃないか? 立場というものが。
色々と思うところがあるがそれらを押し留めてドアをノックした。
「おーい。入るぞー」
そして開けた先には俺のベッドの上で小さなイビキをかいている娘の姿。
何とも無防備な格好だがこいつは思えば幽霊である。幽霊って言っても物とかには普通に触れたり飯食ったりするんだが。
「おーい、起きろよー」
ゆっさゆっさと体を揺らすがこの野郎、幽霊のくせに全く起きない。
本当にこいつ幽霊か? 神経図太すぎるだろ……。寝てると見せかけてもうお陀仏するのかもしれないので数分待ってみる。
……アホらしい。何も起こりなどしないのにな。
「天音ー。お前起きろって。おい、あま——!」
そこで気付く後ろの方から痛い視線。
「……何してんの? 新」
そこにはMYマザーの姿が。
「ま、待ってくれ! 誤解だっ!」
「……幸せに過ごせればそれでいいのよ……」
「母上ーーッ!!」
完全に誤解されてるままでMYマザーは俺の部屋から出て行った。もうこれで俺の痛い子というレッテルが不動のものとなったな。
しかし本当に天音の姿って見えてないんだな……。ああいう場面が訪れるたびに幽霊なんだと思う。
もし見れたら見れたでMYマザーが変人という格付けにされちまうからそれもどうかと思うが。
「……いや、やっぱり考えないでおこう」
もしかして天音の姿が一番最初に見えてる俺こそが変人の中の変人なんではなかろうか? とか。
変人&痛い子。……キツいレッテル二枚ですか、とか考えたがやはり性格的なのか受け付けない。
「う、うぅん……」
するとようやく天音が目覚めたようで唸り声をあげる。
「生誕おめでとう。よくぞ生まれてこれたな」
『……は? 何言ってんのアンタ』
寝起きだから何か騙されてくれたり何かしてくれるものだと期待したのだが残念な結果に終わってしまったな。
「ところでだ、天音」
『何よ。それと呼びつけしないでくれる?』
「アンタとうとう何様ですかっ!?」
『神様』
「胸張りながら言うんじゃねぇよ……。仕切りなおしだ。今日は休日だろ?」
俺が言うと天音は少し呆けた顔をした後、ゆっくりと頷いた。まだ寝起き状態なのは間違いないみたいだな。反応がおせぇ。
「これよりだな。変人っていうか、まあそれに値するかもしれない人がいっぱいいる聖地に向かうことにする」
『聖地?』
素っ頓狂な声をあげる天音を差し置いて俺はさも自慢げに言う。
「そうっ! 秋葉原だっ!!」
『……は?』
明らか軽蔑した目で天音が俺を見たのはもうこのさい気にしないでおこう。うん。
昨晩、色々と考えてたどり着いた答えが秋葉原だったんだ。変人って言ったらダメだけど、探偵部ほどの人はたくさんいる。
ものは試しっていうしな。行こうじゃないかっ! 秋葉原っ!
天音の視線は……気にしたら負けだと俺は思った。
- Re: 変人でっとひーとっ! ( No.31 )
- 日時: 2011/01/22 09:21
- 名前: 椎奈 ◆bbb.....B. (ID: 20F5x0q3)
- 参照: 数学なんて滅べばいいのに。○4点とかorz
第11話 秋葉原なう@メイドカフェ
電車を完璧に乗り継ぎ(天音が寝ている唯一の憩いの時間にめちゃくちゃ下調べをしておいたから)颯爽と改札口を潜り抜け(普段電車なんてのらないくせにこの日のためだけにSuikaを作ったから)完璧な足取りで(これも俺の下調べの賜物)秋葉原へとたどり着いた。
いつも天音には散々な扱いを受けているが、今日はビシッと決めて天音に少しくらいは尊敬してもらいたいという何とも女々しい考えから、下調べは十分すぎるほどに完璧だ。
『あんた、絶対慣れてないでしょ』
突然天音に言われた。正直その通りなので内心は心臓ばっくばくだが、ここで折れたら負けだ。
俺は精一杯の余裕顔を作って言った。
「何がだ?」
『何がってそりゃ、電車の乗り継ぎとかタッチアンドゴーとかアキバとか』
「……」
俺は完璧にスルーした。
ティッシュを配るメイド、多くの観光客、並ぶ電気店に独特の秋葉文化。とにかく、ようやく秋葉にたどり着いたのだ。
俺は最初の目的地へと足を進める。
『ちょっと、どこ連れていく気?』
「決まってんだろ、秋葉に来たらまずおさえておくべきスポット。メイドカフェだ!」
『あたしAKB劇場行きたい』
「……お前なぁ、今AKBなんてテレビに出まくりじゃねぇか。劇場行っても研究生に会えたらいいほうなんだぞ?(下調べ済み)」
『ネットで散々調べてたくせに、よく自分で判断したみたいに言えるわね』
「……」
俺は完璧にスルーした(2回目)。
*
「さぁ、ご主人様。手でハートを作って下さいっ」
……まじか。
どうやら周りの客やメイドには天音の事が見えていないらしい。
その証拠に、周りの女性客から変なものを見る目で見られている気がする。女性客が多いってのも予想外だった。
男一人でメイドカフェって、痛すぎるだろ……。
誰かに見られたら終わりだな、と思いつつ手でハートを作り、
「せーのっ」
「「萌え萌えきゅーん」」
……なんかこう、場のノリでやってしまった。
しかも結構ノリノリで。
目の前には天音がいるが、周りから見えていない。
つまり健全な男子高校生が一人でメイドさんと一緒に、オムライスに向かって萌え萌えきゅーんしてるわけで。
『あんた、馬鹿じゃないの』
天音は明らかに不機嫌な様子でそう言った。頬杖をつき、どこかを示すように指をさしている。
「え?」
天音の指の先には、クラスメートの女子が4人でこっちを見ていた。
あぁ……グッバイ、わが青春。
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