コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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氷の中の花
日時: 2010/11/08 17:56
名前: 九龍 (ID: N7y5mtYW)

どうも初めまして、またはこんにちは。九龍です。

今回は、恋愛小説を書いてみます。ファンタジー要素ありですがね。
テーマは、異種族との恋と悲恋です。まぁ、最後にはハッピーにしようと思っていますがね。
ついでに、ジョッキング要素もありかもしれません。
そんな形でしか、僕は文が書けないので、すみません。

御注意
・僕が嫌い? 帰った方がいいですよ。
・僕の書く文が嫌い? 帰った方がよろしいかと。
・悲恋やファンタジーは苦手ですか。帰った方がよろしいかと。
・荒らし・チェーンメールはお断りです。速やかにお帰りください。


……これでも残ってくださるんですか?
できれば、本編も呼んで行ってくださると嬉しいです。


目次
第1幕≪枯れかけた花≫
>>3 >>6 >>9

第2幕≪枯れかけた花に水を与える者は≫
>>12 >>13 >>14 >>15 >>19


お客様
瑚雲様、真飛様

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Re: 氷の中の花 ( No.15 )
日時: 2010/11/08 17:12
名前: 九龍 ◆vBcX/EH4b2 (ID: N7y5mtYW)

昼休みのルシファーの言葉が、何度も頭の中で繰り返される。

「自分が嫌いか?」

私にとって、とても難しい質問だ。
私は自分が嫌いだ。面白みもなく、人と話すこともできなくなってしまった弱虫。
でも、自分が完全に嫌いというわけではないのだろう。
そんなに自分が嫌いだったら、今頃自殺でもしているはずだ。
私にとっては、この問題はどんな問題よりも、解りにくいものだった。

もう、みんなは帰りの挨拶をして、帰ろうとしている。
教室のドアを開けて、大勢のクラスメートが体育館へ走って行ったり、階段を下りて行ったりするところが目に入る。
ルシファーと由愛も、いない。どこかに行ったんだろう。
私はそう思いながら、かばんを持って帰ろうと、階段まで歩いて行った。
もう少しで、玄関に行ける。あと、五段下りれば、帰れる。

その時、誰かから背中を強く押された。
体が倒れる。廊下が、どんどん迫ってくる。
とっさに顔だけ後ろに向けると、いやらしい笑みを浮かべてこちらを見ている凛がいた。

「悠佳、大丈夫?」

聞き覚えのある、落ちついた声。
顔をあげてみると、ルシファーが優しい微笑みを浮かべて、私を見ていた。
私が足元を見ると、つま先は階段についているが、体は倒れかけていた。
背中には、ルシファーのものと思われる手。
ルシファーが、私の体を支えてくれたのだろう。

「行きますよ、悠佳」

ルシファーが、ルイの時のようにそう言う。
私は体勢を立て直してから、静かにうなずき、ルシファーについて行った。

玄関で靴を脱ぎ、スニーカーをはいて、外へ出た。
空はまだ青く、白い雲がふわふわと浮かんでいる。
まだ、桜が咲いているので、桜の花びらが風に乗って、ひらひらと舞っている。

「お前も、大変だな。毎日あのようなことをされているのか?」

ルシファーが、一枚の桜の花びらを指先でつまみ取り、それを眺めながらそう聞いてきた。
私は歩きながら、ルシファーの質問に答えた。

「うん。時々だけど、ああいうこともあるんだ」

ルシファーが急に立ち止まる。
横断歩道の白線が見えた。顔を上げると、信号が赤く光っているところが目に入る。
ルシファーは、とても優しい目で私を見た。いつもの毒の混じったような目ではなく、毒の代わりに悲しみが混じっていた。

「人間は弱く、壊れやすい。体も、心も、他の生物より強いが、それでも弱い」

ルシファーがそう言って、私の手首をつかんだ。
信号機はいつの間にか青になっていて、信号機から放たれる緑の光を見ながら、ルシファーは続けた。

「お前は違う。体は弱いだろうが、こうして今の状態を保っている。なのに、なぜあの者達はお前を嫌うのだろう」

ルシファーが悲しみに満ちた声でそう言い、信号を渡りきり、誰もいない通学路を歩いて行く。
手首をつかんでいた手は離れ、ルシファーはただただ歩いて行く。
私は、ルシファーの後ろをただついて行く。

突然、ルシファーが立ち止まり、顔だけ私の方に向ける。

「悠佳」

ルシファーが、私の名前を読んだ。
いつもの冷たい声ではなく、やわらかく包み込むような、優しい声だ。

「お前はもう少し自分に自信を持て。あの者達がなんと言おうと、お前はお前のいいところがある」

ルシファーがそう言い、微かに微笑む。
私はその言葉を聞き、呆然と立ち尽くした。
ルシファーはそんな私を置いて、すたすたと歩いて行く。
私は駆け足で、ルシファーの背中を追った。

Re: 氷の中の花 ( No.16 )
日時: 2010/11/06 19:26
名前: クマのシュンスケ (ID: 3eop5mZb)

いきなりこんにちは!
参加させてもらいます
面白いですねぇ…
とても参考になる文章構成です
小学生でまだまだわからないことだらけなので、よろしくお願いします
応援します!

Re: 氷の中の花 ( No.17 )
日時: 2010/11/06 20:27
名前: 風菜 (ID: a32fGRWE)

初めまして!!!!

風菜といいます^^

ファンタジー好きなんですが、すっごく面白いですね!!!
続き楽しみにしてます♪

Re: 氷の中の花 ( No.18 )
日時: 2010/11/07 16:55
名前: 九龍 ◆vBcX/EH4b2 (ID: 6QQsLeeZ)

クマのシュンスケ様へ

こんにちは〜。
面白いなんて、恐縮です。
僕は中学生なんで、一応年上ってことになるんですね。一応……。

応援、ありがとうございます。

風菜様へ

初めまして〜。

面白いなんて、恐縮です。
早いうちに続きをかきます。

Re: 氷の中の花 ( No.19 )
日時: 2010/11/08 18:35
名前: 九龍 ◆vBcX/EH4b2 (ID: N7y5mtYW)

私の、いいところ?

下校するときにルシファーが私に言った言葉が、ぐるぐると頭の中で回る。
なんなんだろう、私のいいところって。
他の人とは違うのは、いいことなの?

そう思いながら、あいていた窓を閉めて、カーテンも閉める。
そして、布団にもぐりこみ、ゆっくり目を閉じた。


「悠佳」

私に、誰かが話しかける。
ゆっくりと目を開けると、体が凍えるように寒くなっているのに気がついた。
そして、目の前に広がる光景は、いつもと同じ凍った世界。
そして、私の隣には、ルシファーが座っている。

足の感覚が失われかけている。
そのことに気がつき、足元を見ると、私の足の下に見たこともない花の花びらが落ちていた。
黒く、まん丸の、なんだか悲しさを感じさせる花弁。
そして、ルシファーの足元には、色とりどりのうろこをもった魚がいた。
だが、その魚は動かない。沈みもしない。
どうやら、私は凍った湖にあしをつけているようだ。

手元には、凍った黒い花がある。
花弁は、足元にある物と同じようで、茎は細く短い。
この花は凍ってはいないが、何故か悲しさを感じさせる花だ。

「悠佳、寒くはないか? お前がここにきて、しばらく眠っている間に、お前の体は相当冷えているはずだぞ」

ルシファーがそう言って、私の手に手を重ねた。
ルシファーの手は、意外と温かかった。
こんなところにいるくらいだから、凍っていると思えるくらいに冷たいと思っていたのだが、全然冷たさを感じない。
いや、私の体温が下がっているだけなのだろうか。

「ここに来たとして、現実に影響するようなことは起きないが……。毛布はいるか?」
「うん」

私がそう言うと、ルシファーはベージュの毛布を渡してきた。
私はその毛布をはおり、手に息を吹きかけた。

「悠佳、お前は笑えるか?」

ルシファーが、唐突にそう聞いてきた。

「笑える、と思うよ。私、中学校に入学してから、笑ったことないけど」

私がそう言うと、ルシファーは少しだけ考え込む。
私は笑うのが苦手だ。
中学生に入学してから、笑顔なんて作れなくなっていたんだもの。

「お前は人間を無意識に拒絶している。その気持ちは相手にも伝わり、相手もお前を拒絶する」

ルシファーはそう言いながら、何も見えない真っ黒な空を見る。
私が人間を拒絶しているのは、私も解っていた。
虐められてから、自分を虐める人が信じられなくなっていて、他の人も信じられそうになくて。
だから、自分から人を避けていた。

「とりあえず、今のお前に必要なのは、挨拶と笑顔だな」
「あいさつと、笑顔?」

ルシファーの言葉を聞き、私は首を傾げた。
ルシファーはゆっくりうなずき、話を続けた。

「とりあえず、お前から人に近づくんだ。話はそれからだな。それに、お前は人に笑顔を見せない。笑顔は人間の武器とも言ってもいいものだからな」

ルシファーがそう言って、私に微笑みかけた。
私は戸惑いながらも、ルシファーの事を見つめ、考えた。
私は、こんなにきれいに笑えない。笑顔なんて、作ったものしか作れない。
でも、作ったものでもいいなら。

そう思いながら、私はルシファーに微笑んだ。
ルシファーはそれを見て、目を細める。

「よし、笑顔は合格としよう。次は挨拶だな。とりあえず、明日の間に十人の生徒に挨拶をしてこい。話はそれからだ」

ルシファーがそう言って、空を見上げた。


目を開けると、朝だった。
目覚まし時計の高く五月蠅い音が耳に入る。私は目覚まし時計を止めて、カーテンを開けた。
温かい朝日をいっぱいに浴びて、私は微笑んだ。

今日は、私が一歩踏み出してみよう。


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