コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 【長編集】灰猫の狂想曲(唄ってみせよう、命の限り、魂の限り)
- 日時: 2010/12/04 21:27
- 名前: 刻鎖 ◆4PE6.BwxWY (ID: aYwQGfB6)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel5/index.cgi?mode=view&no=12291
ねえ、何でみんな、僕を拾ってくれないの?
僕の声、綺麗って言ってくれるじゃない。素敵って言ってくれるよね?
どうして、どうして、どうして、どうして——……、
もしかして、僕の毛が気に入らない?
灰色って、汚いから……?
——もっと、綺麗な声で、鳴いてみせよう、
そして、
( 狂想曲を奏でてみせよう )
* *
〝灰猫の狂想曲〟
* *
こんにちは、観覧ありがとうございます。
ちなみに刻鎖とかいて「こくさ」と読みます。
「思いっきり当て字じゃねーか」とか思ったそこの貴方、刻鎖の心を傷つけるのは止めましょう。
オリジナルの小説(や詩)を書かせていただきますノン
一応長編集。中編短編もやります。——長編というか連載作品集ですね。
作品名を置いていってくだされば、貴方様の小説もお訪ねします。
一応URLをクリックしていただければ〝灰猫の幻想曲〟に飛びます。
○●スレッド生成日●○
2010年12月3日.
±訪問者さま±
≪訪問ありがとうございます!≫
♭お題を提供してくださった方々
≪提供ありがとうございます!≫
————
†目次†
(※......グロテスクな表現を含みます/ショッキング系要素があります)
(◇......シリアスです/死ネタ有です)
(☆......重いかもしれません/重いです)
<!>
【灰猫の狂想曲について】>>1
<長編連載>
*悪魔の女王.*
【悪魔の女王.】未完◇☆>>3
【Memo】ネタバレ注意>>4
*守護霊さま大暴走!*
【守護霊さま大暴走!】>>6
Page:1 2
- Re: 【悪魔の女王.】 灰猫の狂想曲 【序奏up】 ( No.6 )
- 日時: 2010/12/04 18:52
- 名前: 刻鎖 ◆4PE6.BwxWY (ID: aYwQGfB6)
*思いっきりコメディです
*一応長編です
〝守護霊さま大暴走!〟もくじ
序奏......>>5
だんだん普通の人間ではなくなってきてしまった俺 >>8-10
( めっちゃ恐いよ、
他の家に生まれたかった
いや、反抗期とかじゃあなくって
本当に )
( 普通、って何?
何にもしないこと?
目立たないこと?
……や、普通は普通 )
- Re: 【長編集】灰猫の狂想曲(唄ってみせよう、命の限り、魂の限り) ( No.7 )
- 日時: 2010/12/04 08:05
- 名前: 刻鎖 ◆4PE6.BwxWY (ID: aYwQGfB6)
||組織編 - 会議
大きな建物……まるでどこかのお伽話の城のようなところで、ある会議が行われていた。丸いテーブルを囲んで10人ほどのものが椅子に座り、30代後半くらいだろうか。1人の男がぶ厚い資料を持って話していた。
「アレジア王国より、ジュアイ・ロー、50歳——……」
男はそういって、資料を見ながら何人もの情報……国名、名前、年齢、性別、罪や善、死因を述べていた。その話を聞き、一番奥に座る大きく豪華な椅子に座ったいかにも偉そうな者。黒い布で身を隠すように身体を包み、フードのようにターバンを被った若者は何かをごにょごにょと言っている。
こちらからはよく聞き取れなかったが、9人の者たちははっきりと聞こえたようでメモを軽くとっていた。
「——ルダより、ゼルス・フィーリィ、18歳、男。生前は15人を殺害、13歳の少年に殺された。とのことです」
15人を殺害……それを聞くと、城の広間からは、はあ……というため息が聞こえる。
その30代後半の男のちょうど隣に座っていた老婆も、あきれたようなため息をついた。
(ルダは……もうどうしようもない国になっちまったねえ)
誰も驚くような素振りは見せない。もう、ルダを消したほうがいいのでは、という意見も出るくらいに、ルダの者たちは凶暴で冷酷だということは有名である。
少々のざわめきの中、黒い布で身を包んだ男は冷静に判断を下した。
「——……」
ぼそぼそとしていたため、その声は聞こえなかったが、若者からいちばん離れている席にいた老婆もシャープペンシルを白い紙にはしらせた。
老婆は、〝ゼルス・フィーリィ魔界行き〟とだけ書くと、「さ。もう終わりかい? そんならわたしゃ失礼するよ」と奥の若者に尋ねた。
「ああ」
返ってきたのはそれだけだったが、老婆に続き8人は席を立ち、みな大きな扉からさっさと帰っていった。
丸いテーブルに残ったのは、あの若者だけだった。
- Re: 【長編集】灰猫の狂想曲(唄ってみせよう、命の限り、魂の限り) ( No.8 )
- 日時: 2010/12/04 18:47
- 名前: 刻鎖 ◆4PE6.BwxWY (ID: aYwQGfB6)
朝。
うるさく鳴る目覚まし時計を止めて、時間を見ると6時ぴったり。俺こと鐘いつもは7時にセットして、8時30分ぎりぎりに遅刻寸前で学校までたどり着く俺だ。
普通の人間なら何故6時に目覚ましが鳴ったのかと疑問が頭を横切るはずだが、馬鹿な俺…しかも寝起きでまだ頭がはっきりしていない俺は何も考えず、「今日は目覚ましがなるのが早ェな。」と呟き、7時に設定すると、寝ようと布団に視線を移す。
——…と、俺は言葉を失った。
其処に在ったのは、10歳くらいの少女だった。
俺の掛け布団を首くらいまで綺麗にかけていた為、顔くらいしか見えなかったがスースーと寝息を立てて眠っているのは確かである。……当たり前だが知った顔ではない。
叫ぼうとするが、こういうときは冷静にもなれるもので母や父に知られたら大事になるだろうから止めておいた。耳元で「あのぉ…?」と囁けばガバッと起き上がる少女。
少女は俺を見ると、辺りをきょろきょろと見渡し、また俺に視線を戻す。そして、布団を剥ぐと瞳をキラキラさせながら、珍しいものを見るかのようにまじまじ観察してくる。
「鐘! お前、やっとわしが見えるようになったか!」
(———は?)
やっと? というか、其以前に何で俺の名前知ってんだ? よく状況が理解できないという顔をしていると、少女はニィっと歯を見せて笑うと「解説じゃ!」としゃべり始めた。
「わしは既月いう者じゃ! 鐘の守護霊じゃよ、鐘が生まれたときから傍におったのにのぉ。お前なかなか気づかんからなぁ……」
守護霊……コイツが? 生まれたときからって…お前俺より年下じゃねーのか? すると、既月はふっと鼻で笑うと俺の考えていることをズバリ当てやがった。
「わしゃ、鐘の心が読めるからの、変なこと考えない方がええぞ。ちなみにわしは1214歳じゃ。」
————……もう、これは夢だ。
寝ぼけるのもいい加減にしよう……そう思って掛け布団をかぶろうとすると、「鐘!!」と既月にとび蹴りされた。
確かに痛かった。既月は靴とか何も履いていなかったから奇跡的に怪我はなかったが、堅い靴を履いたまま今の蹴りを連発でもされたら大怪我だろうというくらい恐ろしい。
「はっ、せっかく親切に目覚まし6時にセットしてやったんじゃ! 感謝くらいせんか!」
(……あ、そういうこと。)
はい、謎は一つ解けた。だが……、何故、突然俺は守護霊が見えるようになったのだろうか。
「そりゃ、お前。霊感に目覚めたからやろう?」
「随分とまあ、ベタですねぇ。既月さま」
軽く流してやることにした。俺の理解力も追いつかないくらいの速さ(元々俺の理解力は埃が舞うくらい遅ぇんだけど)で物事が進んでいる。
「既月さまではないわぁ! 既月と呼ぶんじゃ!」
——自分勝……いえ、何でもありません。
「今日、霊感に目覚めたんやろ? わしら守護霊以外にもたくさん見えるはずじゃぞ?」
既月に言われて周りを見るが、別に何一つ変わったものもなく、変わったこともない。目を擦ってみても、何もない。
すると、既月は馬鹿に大口を開けてしたように笑い出した。
「見えるようにはなっとるが、今此処で見えた言うたらヤバいに決まっておろう? 妖や霊がその辺にブラブラ歩いていたらわしらが大変じゃ」
既月の説明によると、人間の周りには、霊や妖…時には神までもがいるらしい。だが、霊や妖が姿を現せることは一月に2回くらいで、だが人間に危害を加える霊や妖もおり、そのような者から守護霊が命をかけて護っているということだ。
「あれ? でも、お前も命かけて俺のこと護ってたの?」
問うと既月は、「何を言う。」ときょとんとした顔で口を開く。
「鐘を護ってきたというのは事実じゃが、わしゃ命なんかかけたことないのぉ。ま、わしの方が強いいうことじゃけん」
意外にナルシストなんd……って今度はチョップかよ!?
「痛ぇ」
「『痛ぇ』じゃなかろう! 先ほどわしが言ったこと、忘れたとは言わせんぞ?」
ああ、心が読めるんだっけ。……既月、ごめんなさい、許して、怖ぇよ。
「しょ、鐘……お前、いい加減に——……」
リリリリリ……。眉をヒクヒクさせながら既月が放った言葉と、さっき俺がセットしなおした目覚ましの音が重なった。そして、ギクリと部屋の扉にゆっくりと視線を移す俺。
母が階段を上って、俺の部屋の前までくる。こういうのには結構敏感。
てか、敏感じゃないと死……。
「鐘!! 起きろ、殺.すぞテメー!!!」
「ギャ——ス!」
ガンッとドアノブの壊れる音と同時に母が放送禁止用語を使って入ってきた。ちなみに、そのとき俺も悲鳴を上げたつもりだが、母の耳には何も入らない。
茶髪で色白でスラッとしてて、結構若そうに見えるのになあ、こうなるとイメージ崩壊。
……と、その後ろから姉ちゃん登場。「あ゛ー、またやってるの?」という顔でこっちをジロジロ見てくる。金髪にピアス、ロック(?)系の服をきてるのは……ヤンキーだから。さらっと言ってるけど何かすごいらしい。
「な、何じゃ。こいつら?」
おい既月! 死にたいのか、お前!! マジで人殺しそうな奴等だぞ!? 父が家出したくらいだぞ!? 結局みつかったけどね。
「あ、安心せい。この2人にゃわしが見えとらんで」
少し驚いたような顔をしながらも既月は人差し指をたてる。
だが、俺はそんな既月にかまう暇もなく、母のパンチを必死に避ける。……怖ぇ、このパンチ避けられる俺もすごい。自分で言うけどすごい。
「早く顔洗って飯食え! おらァ゛!!」
「おがっ……。す、すいません。——か……顔洗って来ます……」
ひ、肘打ち……卑怯だぞ。だが、返事をしないと殺されるということは、うちのみんなが知っている。今頃天国にいるだろうゴキブリも。あー、哀れで仕方ない。
「おーい。鐘、大丈夫かぁ?」何て、明らかに心配していないだろう姉の声にも、「大丈夫」と途切れ途切れに答えると、洗面所に向かう。
うん、既月も恐る恐る俺についてきた……というか、早くその場から離れたかったのだろう。気配で分かる、何か殺し屋のような纏め方だが、今はもうそんなこと関係ない。
「鐘? お前顔洗う前に警察に訴えなくてええんか?」
「警察が殺されたらお終いだろ?」
そりゃ、そう思ったことも何度かあるけどさ。——っていうか、お前俺の守護霊だよな? 俺は、今日突然見えるようになっただけだけれど、既月は俺が生まれた頃からいるんだからそれくらい知ってておかしくないはず……。
「……ま、色々あるんじゃ。大人の事情ってやつじゃよ」
「ばあさんの事情だろ?」
(——……あ、ごめんなさい)
だが、既月はその件については何も反応せず、顔を真っ青にしながらリビングの方を指差す。
「飯食えやァァ!」
母の叫び声と「行って来らァ。」といういかにも不良の姉の声が聞こえる。うん、姉ちゃんは制服着ない。理由は聞くな。
- Re: 【長編集】灰猫の狂想曲(唄ってみせよう、命の限り、魂の限り) ( No.9 )
- 日時: 2010/12/04 18:49
- 名前: 刻鎖 ◆4PE6.BwxWY (ID: aYwQGfB6)
大急ぎで顔を洗いリビングにスライディング。
まださっき肘打ちされた腹は痛いし、゛あんなもの゛を食べる気にはなれないが、仕方ない。殺されるよりはマシだろう。
「おい、忙しい中作ってやってんだよ゛。さっさと食え!」
「……はい。い、いただきます……」
見た目は美味そう。高級レストランの食事みたいだが、味は死ぬほど不味くて。……料理の仕方が下手なんじゃなく、何か変なものをいれているみたいなのだ。
この前なんか、何かのパウダーと間違えて洗剤入れられたもの食ったし(※良い子は真似しないでね。勿論悪い子もだぞ! 死んじゃうからね☆)。暴力、不味い飯。……おまけに家族愛がねえ。家族愛ってもんがねえ。
父も引きこもりみたいになったし。
早く学校いきたいんだけどなー。
色んなことを考えながら食う飯は、何時もと違って美味い……わけねーだろ! し、死ぬ! 救急車ぁ!!
既月は、何か恐ろしいものをみるかのような目で俺を見る。止めてくれ、俺が哀れな奴みたいじゃねーか……。そりゃ泣くほど哀れで可哀想だけどよぉ。
「食ったんなら早く学校いきな。遅刻するよ!」
「は、はい……」
何時も遅刻してるって! 母のせいで!
腹を押さえながらリュックを背負うと弱弱しく「行ってきます。」と母に伝え、家を出る。
——これが俺の日常。今泣いた奴、俺に土下座しろ。
(あ、既月はしなくていい)
ごめんなさい、マジ許して。
(さっき7時半だったから……。あ、今日も遅刻だな)
俺の家から学校まで、徒歩1時間。——遅刻確定。でも、遅刻を連発してると親に電話されるから必死に走る。
既月は結構普通についてきてた。……勿論、中に浮くなどはしてない。ちゃんと自分の足で走ってる。霊って足あるんだな、と思ったが、既月は走るのに集中してるらしい。そりゃ、10歳の少女の体をした者が12歳の速さに楽々追いつけるわけもないしな。
教室の扉を開くと同時に、キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴った。ふぅ、とため息をつく俺。その横でぜーぜー言っている既月。
担任が教室に入ってきたのは、それから3分くらい後だったから、遅刻にはならな……なったけど、担任にバレなかった。助かった。席に着くと、隣の席のヤツがいないことに気づく。別に俺は気にしないが。
朝のごたごたした朝会のようなものが終わると、いきなり1時間目。チッ、国語かよ。——何故だろう、既月に睨まれた。
——隣の席の奴。名前は確か……一之宮伊吹?
滅茶苦茶怖ぇ幽霊みたいな奴だった気がする。
……ボサボサの黒髪に死んだような目をしてて、眼鏡(周りのアレ、なんだっけ? あのふち的なもの。アレはついてなかったけど)は何時も掛けてて、何か肌が怖いくらいに白い……てか実際ものすごく怖いんだけどね。しゃべり方とか多分相当ヤバいよ、一回も聞いたことないけど。
そんな幽霊さんが遅刻かあ。珍しい。
なんてことを考えながら国語という怪物をスルーしようとしていると。
——スススス……。音も立てずに教室に入ってきた隣の席の幽霊さんこと一之宮。こっこここここここここ怖ぇー。「遅れました」とでもいうような態度だが、声は発していないだろう。
授業中だったにも関わらず、教師は全く気づかない。てか、気づいているのは俺を含め5人くらいだと思う……後ろの方の席の奴らが冷気(?)にビクリとして気づいてるだけだな。——俺もそいつらたちの一部なんだけど。
よっぽど影薄いんだな。
——すると、一之宮は既月のいる方を見て首をかしげている。……幽霊同士(失礼)なんか通じるのだろうか。
とりあえず、既月のことは分からないだろうと思って国語という怪物と戦おうと決心した俺だった。
結局、国語には勝てずにそのまんま時間が過ぎていった。
そして放課後。
既月はちょいちょいと俺の肩をたたく。
(……何。)
「走れ、馬鹿者。」
——はァ!?
馬鹿者はどっちだよ……じゃなくて、何故?
そんな疑問を抱きながらも、いつの間にか既月にひっぱられて走っていた俺。……まったく、何だって言うんだよ。
理由を訊いても既月は答えてくれねぇし、かといって「今なら聞いていない」と思い既月の悪口を言う(?)と耳をひっぱられる。
ちょっと涙目で走る。
——そのとき。つんつんと誰かが俺の背中をつついた。文句を言おうと後ろを振り返る。
……だが、そこにいたのは幽霊さんこと一之宮だった。
- Re: 【長編集】灰猫の狂想曲(唄ってみせよう、命の限り、魂の限り) ( No.10 )
- 日時: 2010/12/04 18:50
- 名前: 刻鎖 ◆4PE6.BwxWY (ID: aYwQGfB6)
怖い怖い怖い怖い!!
あれ? こうしてみると結構美人……じゃないじゃないじゃないじゃない。何考えてるんだ、俺は。
「しょ、鐘! 走れと言ってるだろう!!」
(走ってるよ!? 十分本気で走ってるよ!?)
既月が本気でビビってる。やばい。
もう声が出せない。心で会話ができてよかったと初めて思ったよ。
ってかそんなことだらだら語っている暇なんてねえ!
一之宮、お前はこんなに足が速かったんだな……——本当に速ええええええ!!
え、何。俺そんなに遅かった? これでもクラスじゃトップ3には入るほうなんだぜ? 母さんと姉ちゃんのおかげだが(ある意味)。
(——あれ?)
一之宮は、さっきから全くしゃべろうとしない。ただ俺の背後に幽霊のようにくっついてきているだけ。それに、なんだか分からないが既月が見えているみたいだ。
当の既月は10歳くらいの体で必死に走っている。
——ぴん、いきなり一之宮に制服を引っ張られ、思わず足が止まった。というか無理矢理止められたというほうが正しい。
(怪力ィィィィィィ!!!)
や、ヤバい。首絞まる首絞まる……!
既月はそんな俺を無視して逃げてる。足の速さクラストップ3に入る俺が幽霊さんに捕まって10歳の肉体を持つ守護霊さまに逃げられて。
(どんだけだよ、自分!)
一之宮にいきなり肩をがしっと掴まれて、道端に座らされる俺。一応歩道だけど母とか姉とかが通ったら普通に蹴飛ばされたり踏まれたりしそう。
そんなところに正座させられて……何をされるのか考えようもない。
すると、一之宮も俺の向かい側に正座になった。
うわーお、迫力あるなァ。肌めっちゃ白いじゃん、髪ぼさぼさだけど……うわ、小顔。
走るのに大変だったからか眼鏡はつけてなかった。
目、意外にデケェ。死んだ魚みたいな目だと思ってたけど、近くでみると結構よかったぜ。唇の形とか整ってるし、鼻も小さくてまゆも細いし。
あ、思ったよりまつげ長ェ……身長も俺より15センチくらい小さいだけで。うん、ちょうどいいな。よく見てみれば胸も結構ある……C? あ、スカートの丈も膝上28センチくらい?
(細いし手足も長「何考えてんじゃこのスケベ野郎がァァァァァァァ!!!!」……あ、既月お帰り)
向こうから既月が走ってきたと思ったらいきなりとび蹴りされた。
「『お帰り』とはなんじゃ、『お帰り』とは」
「走ってきたから「関係あるかボケ!」」
「……」
あ、しまった。絶対変な人だと思われた。だって多分見えてないもん。うん。
だけど、一之宮は既月の方を見てから俺の方に手を置き、こんなことを訊いていた。
「……妹なんていたの?」
「……は?」
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