コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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-Rifle Gilr.
日時: 2011/01/07 21:27
名前: 羽世渡 ◆zK1NnKGOB. (ID: E7aQ60YV)

こんにちは、羽世渡(パセリ)といいます。

私は今回、-Rifle Gilr.(ライフルガール)という小説を書きたいと思います。
最初は少し病んでる主人公が、ライフルと少年をきっかけに・・・
最後はハッピーエンドにする予定です。

まだまだ未熟ですが、ぜひ立ち寄っていってくださいね。


※主人公は愛彩ですが、目線は風生で行きます。

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Re: -Rifle Gilr. ( No.10 )
日時: 2011/01/14 21:47
名前: 羽世渡 ◆zK1NnKGOB. (ID: E7aQ60YV)

07-明かされた事



愛彩が来てから、いろんなことがあった。
この学校、それにこの町ごと、“愛彩色”一色に染められたのだった。

7月7日。
暑い季節がやってきた。俺はこの季節が嫌いだ。
汗はかくし、やりきれないほどくらくらする。
それに、日に焼けやすいのだ。
これは元々黒めの俺にとって、悲しいことだった。
あいつはいいな、ふと俺は思う。
いつも白い肌。真っ白な雪のよう。
雨にあたると、ああなるのか、と考えたけれど、
それ以上考えるのはやめた。

バカみたいだからだ。


   学校/

朝のホームルーム。俺の1番好きな時。
先生があまりきびしくなく、ちょっとおしゃべりしたって何も言われない。
でも、今朝はちょっとおしゃべりどころではない。
うるさすぎる爆音、とでも言っておこうか。
とにかく、あいつの話題で持ちきりだった。

「なぁなぁ、知ってたか?」
1人のおしゃべりが、クラスみんなに話しかける。
俺も、その話に耳を傾けた。
幸い、担任がいなかったからいいものの、いたらどうなっていたか。
それにさらに幸い、あいつと雨流派は、外に雨を感じに行っていたのだ。

「女神様の情報なんだ。」
おしゃべりがおしゃべりを始める。
「女神様が雨流派に、みんなに教えても良い、とOKを出してくださった事だと言う。」
そんな、大げさな。と俺は思ったが、それでも聞いた。
「女神様には、妹が1人いるらしい。」
その瞬間、教室のあちこちからいろんな声が上がった。
「妹は、中1。その他に父か母がいるかは、何も聞いていない。」
意外な家族構成が浮かび上がった。
俺は迷わず、頭にメモをとった。
こんな大事な情報、聞き漏らしてたまるか。

「おい、他にはないのかよ。」
1人、誰かが騒ぎ立てると、1人、またもう1人と声を上げる。
「わかった、わかった。」
また全体が静まる。
「女神様は・・・」

Re: -Rifle Gilr. ( No.11 )
日時: 2011/01/19 19:52
名前: 羽世渡 ◆zK1NnKGOB. (ID: E7aQ60YV)

08-ネーミング



教室がいっきに静まり返る。
おしゃべりの話を聞きたくて、元から少し静かだったが。
“女神様”の人気は絶大だ、と俺は確信した。

「実は・・・」
そこまでためなくてもいいだろう、と
だんだん腹が立ってきた頃、ようやくしゃべり出した。

「自分の名前が大嫌いなんだそうだ。」
なんだそんなことで、そんなにもためていたのか、と俺はガッカリした。
でもこれは、あいつに関わる大事な情報だ。メモしておこう。
まわりも、俺と同じことを思っていたらしく、
「そんなことかよ。」、「期待させるなよ。」なんて声が上がった。
おしゃべりのくせに、以外におしゃべりが下手なんだ、と少し笑えた。

それにしても、どうして与えられた名前を嫌がる?
まあ、あいつの名前はあいつには似合わない気もするが、
俺はこの『風生』という名前が世界一と言っていいぐらいに気にいっている。
この名前を考えてくれた、母さんと、風生の生を輝から生に変えてくれた父さんにも感謝している。
俺は絶対に輝けない、そう知っているのに輝くなんて絶対に嫌だ。

「ねぇ、どうして嫌いなんだろう?」
この日は、委員長までが仲良しの女子たちと一緒に話し出した。
「うん。だって愛彩なんてとっても可愛い名前だし、女の子らしいと思うな。」
「でもやっぱり、女神様には似合わないんじゃない?もっと自由な名前がいいよ。」
「うんうん!舞うって字とか、風もいいんじゃない?」

舞うって字とか・・・・風もいい?

俺と同じく、似合わないという意見には賛成だが
舞うなんてあいつがやってることそのままじゃないか。
でも、俺と同じ風を使ってくれたら・・・・なんてちょっと思った。
だけどちっともあいつらしい名前が浮かばない。
あいつはどんな名前で、どんな風に生きたいのだろう?

Re: -Rifle Gilr. ( No.12 )
日時: 2011/01/19 20:07
名前: 羽世渡 ◆zK1NnKGOB. (ID: E7aQ60YV)

09-恋煩い



その夜、俺はなかなか眠れなかった。
あいつのことが頭から、離れない。
あいつの名前を必死に考えてあげようなんて思っていたけど、
まず、あいつとしゃべることすらできない。
どうしたらいいのだろう?
クリスマスに、名前をプレゼントという案も浮かんだけど、
変わってるなんて思われてしまう?
(観察してる時点で変わっているのは認めるが。)

胸のあたりがムカムカして、どうにもこうにも眠れなかった。


   そして、朝/

やっぱり、ムカムカしたままだった。
それに結局いい名前も思い浮かばなかった。


   学校で/

「ふう、どうした?」
隣の席の奴から声がかけられた。
にも関わらず、無視してしまった。
いけないこと?
知っている、でもしている。
「・・・・。」
しばらく沈黙があったが、
寝ていると思ってくれたらしく、救われた。

本当に、寝ていると思って欲しかった。
今、なったこともない感情にどぎまぎしているからだ。
顔にあとがつきそうなぐらい、腕におしつけた。
逆に、うでから何センチか浮かせてみたりもした。
でも変わらなかった。

「本当に好きなの?」

「えっ!」

あいつの声がして、飛び起きた俺は目を丸くしてしまった。
クラス中が俺を見ていて、俺はどうやら寝ていたらしい。
どうしたんだろう、と思ったのか変なやつ、と思ったのか。
俺は別に、どうでも良いと思った。

「おい、大丈夫か?」
また隣の席の奴。
(心配し過ぎだから、心配性とでも呼ぼう。)
「あぁ。」
俺はそれだけ答えると、心配性から目をそらして
いかにも黒板に集中してます、というように目線を上げ、体も起こした。
でも、それは長く持たなかった。
そのまま俺の体は、くたくたっと机にあたり、またもや注目されるはめになった。
だけど今度は、気にすることすらできない。
体中が震え、だるくなった。息も苦しい。
そしてそのまま、夢の世界へと潜り込んだ。

Re: -Rifle Gilr. ( No.13 )
日時: 2011/01/19 20:16
名前: 羽世渡 ◆zK1NnKGOB. (ID: E7aQ60YV)

10-病人



「風生くん、恋煩いなんだね。」
またしてもあいつの声。

そこは、夢の中だった。

「恋・・・煩い?」

「うん。好きな人がいて、好きすぎて、困っちゃうぐらいの病気なの。」
そうか、俺は恋煩いなのか。
・・・なんて納得したくない。

じゃあ、誰が好きなの?
「愛彩。」
どうして好きなの?
「とてつもない、魅力のせい。」
いつ好きになったの?
「わからない。」
告白したい?
「したいと思っても、きっとしない。」

じゃあ・・
「うるさい。」

俺の中の俺が、答えたくない質問を投げてくる。
答えたくないなら答えなければいいのに、
どうして答えてしまうのか。

夢の中だから?
「お見事。」

ほらね?
次から次へとうるさい自分に、俺はガムテープをはった。
それでも何かもごもご言っている。

もう早く、こんな夢から目覚めたい。
そう思って俺は頬をつねった。

Re: -Rifle Gilr. ( No.14 )
日時: 2011/01/30 14:09
名前: 羽世渡 ◆zK1NnKGOB. (ID: E7aQ60YV)

10-真白少女



俺の頬は、つねったのではなくつねられたのだった。

目を覚ますと、そこには愛彩がいた。
「おいっ!何でいるんだよ!?」
俺の家なんて教えてないし、確か俺は教室で寝ていたはずだ。
とてつもなく、体がぐったりして・・・

「私が運んだのよ。」
「何だって?!」
「・・・私、私が。」
そうだった。
愛彩は、したいと思ったことはなんでも実行する人だった。

それから愛彩は、俺におかゆを作ったり
ふとんをかけてよしよし、と叩いたり、自分まで寝そうになったり、
俺の部屋をすみからすみまで見渡したり、
ベッドの横にちょこっと座ったり、していた。

「お前、なんで来たんだ?」
俺は思わず、そんな心無い言葉を口に出してしまった。
「・・・お前って名前じゃないわ。」
でも愛彩はそんなこと気にせずに、指摘をした。
「じゃあ、あ・や・や。これでいい?」
そして、またしても口にしてから気づいた。
愛彩は自分の名前が大嫌いだったはず・・・。

「はる。」
しばらくの沈黙の後、愛彩は口を動かした。

「はる?」
もうしばらくの沈黙の後、俺は口を動かした。
「そう、愛彩なんて名前、大嫌い。はるって呼んで欲しいの。」
今まで非公開だった情報が、なぜ俺の耳に入ってくるのか、
俺自身も、不思議だった。

「俺は、風生。成瀬風生。」
そういえば、俺はまだ自己紹介をしていなかった。
「知ってるわ。風生。私、その名前好きよ。」
一部抜き取ると、「私、風生、好きよ。」になる。
でもそんな意味じゃない。考えた俺は頭がイカレてる。
「ふうで、いいよ。」
あいつが、はるなら俺は、ふう。
そんな感じで、俺らのあだ名が決まった。

「ねぇ、ふう?」
「なに?はる。」
自分の好きな奴とこんな素敵な時間を過ごせるなんて、
きっと今日の俺は、ついている。つきすぎている。
「こんな風に、本当みたいな友達ができて、良かった。」
いきなり何を言うのかと思ったけれど、
今まで自分の中での、本当の友達がいなかったのか。
「なぁ、はる。」
「・・・何?」
「何かあったら、絶対俺に言えよ。」
我ながら、これは頑張ったセリフだ。
「うん。」
「それと・・・俺はお前が、はるが、好きだ。」


こんな風に、何もなかった心が、急に桜色に染まることなんてあるのだろうか。

でも今、俺は不思議なまでに濃い(恋)、桜色に染まっている。


「知ってるわ。」
「・・・え?」
「だって、ふう、恋煩いでしょ?」

今の俺の気持ちが、誰かにわかるだろうか?
はるは、可愛い。
はるは、不思議。
はるは、すごい。
はるが、好き。

今日の日記は今まで以上に華やかなものとなった。
すばらしく、すばらしく。
そして別れ際に彼女が言った言葉を覚えているだろうか。

「私ね、真白少女なの。」


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