コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- スキマノハザマ Prologue追加。大幅修正予定
- 日時: 2011/01/30 20:05
- 名前: 椎奈 ◆bbb.....B. (ID: 20F5x0q3)
◇初めに
※他2作を主に書いているため、信じられない位亀更新です。
※一応恋愛ものになりますが、甘い展開全くなし、主人公暗い感じのとにかく異質な物語になります。甘い展開をご希望の方は、他の方の素晴らしい作品へレッツゴーすることをお勧めいたします。
※アドバイス・感想いただけるととても助かります。
◇目次
Prologue >>01
#1 >>02
Page:1
- Re: スキマノハザマ ( No.1 )
- 日時: 2011/01/29 20:02
- 名前: 椎奈 ◆bbb.....B. (ID: 20F5x0q3)
#0 prologue
朝の公園は肌寒くて、少し霧がかっていた。
いつもより一定のリズムで刻む自分の心臓の音しか聞こえない静まり返った空間。息を吸う音さえもうるさく感じてしまうほど、いつになくそこは静寂に包まれている。
不思議なことに、今俺の中には不安も恐怖もない。あるとすれば——
ザァ——……
その時、急に強い風が吹いた。
葉が落ちた枯れ木が、音を立てて揺れる。ブランコが揺れ、金属が擦れ合う音がする。自分の癖のある黒髪が視界を邪魔する。
でも、俺はその風が止むのを待つことなく、風に吹かれてぼさぼさの髪を直すこともしない。ただ、目の前のブランコに乗っている少女に向かってまっすぐに言った。
朝日がゆっくりと昇っている。
——街には、もうすぐ春が訪れようとしていた。
- Re: スキマノハザマ Prologue追加。大幅修正予定 ( No.2 )
- 日時: 2011/02/11 13:41
- 名前: 椎奈 ◆bbb.....B. (ID: 20F5x0q3)
#1
「智也、朝よ! 起きなさい!」
夢と現実の間でそんな母の声が聞こえた。
しかしそれは夢などではなく、どうやら朝のようだ。
目は開いたが体は鉛のように重い。
カーテンの隙間から漏れる太陽の光が何故か鬱陶しくて、隙間を塞ごうと手を伸ばす。しかしその手はカーテンには届かずにベッドに落ちた。
隙間風が小さくカーテンを揺らし、それと共に隙間から漏れる日の光も揺れた。
「……ふぅ」
俺は小さくため息を漏らすと仕方なく起きあがり、カーテンを開けておおきく伸びをした。眩しい朝の陽が部屋の空気に溶け込む。
天気もよく、気持ちのいい朝のはずなのだが、どうも気分は重い。
クローゼットから出した制服に着替えて階段をゆっくりと下ると、殺風景なリビングでは仕事用の服に着換えた母親があわただしく仕事へ向かう準備していた。
「あ、やっと起きてきた」
「おはよ」
頭をぼりぼり掻きながら定番の挨拶を言うと、母は不満そうな顔。
「もう、いつまでぼーっとしてるの? あたしも仕事なんだから、急いで準備しなさい」
「はいはい」
俺の家は両親共働きの3人家族。
母親は仕事と言っても、地元のスーパーでレジを打ついわゆるパートなのだが。決して裕福なわけではないが、それなりに不自由ない生活を送っている。
母親は俺がご飯を食べ始めたのを見届けると、「それじゃ、行ってくるね! 戸締りだけ忘れないでちょうだい」と言い捨て、小走りで家を出ていった。こんな田舎、戸締りを怠っても泥棒なんか入らないと思うの
だが、母親は毎回仕事に行く前に決まってそう言っていた。
一方父親は、俺が起きるころには仕事に行っていて、俺が寝た後帰ってくるため、しばらく会っていない気がする。
食卓に並んだ覚めた朝食を食べながらふとテレビの隅に映る時刻を見ると、もうすぐ八時になろうとしていた。
「やべ」
急いで準備し、きちんと戸締りも確認して、俺は家を出た。今朝は随分冷えている。
吐いたため息は白かった。
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