コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 本物ノ笑顔。
- 日時: 2011/03/06 09:14
- 名前: 與那 (ID: .XINq6xY)
▼......ご挨拶。
はじめましての方、お久しぶりの方。
こんにちわ、與那です。一年間ほどほったらかして本当にすいません。
此処の所、面白い恋愛小説のネタが思いつかなくて——試行錯誤していた結果、今に至る、という感じです。
まぁ待ってた人なんてそれほどいないとは思いますがw
さて、今回の「本物ノ笑顔。」のキャストは、
前回の「恋愛時効。」とその番外編「足掻き続ける恋。」と同じキャストで行かせていただきたいと思います!
だからと言って、恋愛時効。の続きと言うわけでは御座いませんので。
キャラ作りが面倒だっただけです、はい←(自嘲
▼読むにあたっての注意事項。
一、恋愛もので、途轍もなく甘いです。
二、不定期連載です。
三、作者が嫌いな方は電源ボタンor戻るボタンを連打してください。
四、読んで下さる方は、できるだけ最後まで暖かい目で見守っていただけると幸いです。
五、コメントくだされば返信します、
六、一年間もたったのに上達してねぇな、とか言わないの!
▼......目次
キャスト>>>001
序章「現実でまた会いましょう」>>002
第一章「後ろに出来た未練」>>>003
Page:1 2
- Re: 本物ノ笑顔。 ( No.5 )
- 日時: 2011/03/06 16:10
- 名前: 與那 (ID: .XINq6xY)
▼......美桜様。
コメントありがとうございます。
美桜様の作品も読ませていただきました!
素敵な物語にカッコイイ文章、自分にはないものを持っていらっしゃいますね!
文才がある……? それはきっと何かの間違いですよw
これからもよろしくお願いします!!
- Re: 本物ノ笑顔。 ( No.6 )
- 日時: 2011/03/06 16:27
- 名前: 與那 (ID: .XINq6xY)
「……まだ怒ってんのかぁ? アイツ」
頭を掻きまわしながら朱雀からのメールを捜すが、一向に見つからなかった。
那留はパソコンでメールアドレスを三つも持っていて、朱雀には二つ教えている。なので両方捜してみたのだが——それでも見つからないということは。
「やっぱ怒ってんだなぁ……やっぱり三件も送るのは駄目だったか」
『今試験一週間前で忙しい、正直言ってウザい』
——なーにがウザい、だ。
人を散々待たせておいて、それで会いたいって言ったらウザい、って。
それは、那留に興味がないというのと等しい、と考えてもおかしくないのだ。
「馬鹿」
一言そう言い捨てると、前回のメールをゴミ箱フォルダに移した。
- Re: 本物ノ笑顔。 ( No.7 )
- 日時: 2011/03/06 17:12
- 名前: 與那 (ID: .XINq6xY)
*
那留からメールが来たのは、試験が終わった一週間後だった。
『悪い、今愚痴乗れるか?』
相変わらず男っぽいなぁ、と渡利は思うのだがそこはあえてスルーしておこう。
『OK、聞くよ!』
と言っては見たものの、愚痴って誰に対する愚痴なのだろう? 聞くの忘れたな、と後悔はしてみるが、那留の事だし大したものじゃないだろう。
そう思ったが、彼女の愚痴は渡利が一番関係している人の愚痴であった。
『よっすぃーにさ、「会える?」ってメールを、返事がないから三回送っちまったんだよ。そしたら三回目の返事にさ、「ウザい」って。三回も送ったのにちゃんと言ってくれないお前の方がウゼェ——! って思ったんだけど、どう思う?』
これは愚痴なのかよく理解できないが、那留にとっては愚痴なのだろう。関係者だしちゃんと返信してやろう——とは思ったのだが、もうすぐ好きな番組が始まるので適当に済ますことに決定した。
『ぴんぴんも大人になったんだよ! それじゃ!』
適当に文章をつくって送信。
那留からの返信など気にせず、番組を見ることに専念した渡利であった。
*
「——……あんの女たらしめ!」
俺と朱雀をくっつけたのはお前なんだから愚痴(相談)くらい聞けよ! と思ったのだが、此処で怒っても仕方がないので『付き合ってくれてありがと』とだけ返信しておく。
「なんだってこんな時期にこんな風にこじれなきゃいけないんだ俺らは!」
今日は十一月二十七日で——クリスマスまで後約一カ月だ。
朱雀と過ごす(と言っても遊ぶだけ)クリスマスは大切にしようと思ってたのに——その結果がこれだ。
クリスマスの話もしようと思ってたのに、バーカ。
誘いも、告白も全部自分から。何でこんなに頑張らなきゃいけないのか分からなくなってきた。
男児は常に女子の事を考えるべし——こんな事を言う番組を見てしまったからか?
だとしても、朱雀が男である以上、こんな事しても何の得にならない事も知っている。
——自分が楽しけりゃそれでいいってか。
朱雀にも——主に自分にも刺さったその言葉は、どうやれば抜けるのだろうか。
後ろに出来た未練は、今だ断ち切れていない。
- Re: 本物ノ笑顔。 ( No.8 )
- 日時: 2011/03/07 22:19
- 名前: 與那 (ID: .XINq6xY)
▼第二章「君の世界に居させて」
夢の世界でも、現実の世界でもなくて。
俺が行きたいのは、君が創りだす世界なんです。
*
「あ……————」
目の前に現れたカップルは、クリスマスモード一色な世界に溶け込んでいた。
彼氏がいるのに、溶け込めていないのは俺だけ。
そう思うと、大きな溜息が白く濁って出てくる。
「——貴方は今どこで何をしていますか?」
『この空に続く場所にいますか?
いつものように笑顔でいてくれていますか?
今はただそれを願い続ける』
某アニメの曲のワンフレーズを口ずさむ。
那留はこのアニメを見た事がないが、この曲は大好きであった。色んな人が歌ってるし、優しい雰囲気が漂っていて——聴いた直後に涙が溢れた。
彼はこの曲を知らないし、彼は那留がこの曲を口ずさみたくなる状況に置かれている事を知らない。それは、現実から逃れたいがために眼を逸らしているのかも知らないが……でも、それでも。
「俺は、お前に会いたいよ」
大好きだから。
*
「よっすぃー?」
朱雀一葉は、最近落ち込んでいる兄に対して疑問を抱いていた。
「…………何?」
「彼女さんとうまくいってないの?」
「るさい」
一言で片付けられ、ぷぅと頬を膨らませると、兄の頬も膨らんでいる事に気付く。
その仕草で、うまくいってないという風に感じた一葉は、そのまま話を進めた。
「よっすぃーは、もっと彼女さん大事にしなきゃいけないよ」
「分かってる……」
「分かってたらこんな結果になってないでしょ!?」
何で自分は兄に怒っているんだろう、と自分にも疑問を抱くが、こんな兄にほったからされている那留の事を考えたら腹が立って来た。
「メールは?」
知ってるんでしょう? と問い詰めると、彼からは思いもしない返事がやってきた。
「……僕は皆月のメアドを欲しいなんて言ってない。だからメールしない、相手からの返信はするけど」
「それ……って」
自分から誘ってないってことっ!?
一葉の言葉が部屋の張りつめた空気を震わせた。しかし朱雀はこちらに怒りもしない。
ならもっと畳みかけてやる、と一葉は更に言葉を並べたてる。
「あのね、彼女さんが男っぽかったって、やっぱり女の子なんだからよっすぃーからリードしてほしいに決まってるでしょ!? それに、全然会ってないんだから『会える?』って言われた時はちゃんとあった方がいいの!」
「うるさいっ!」
完璧に逆切れ状態の朱雀の声が一葉の耳に届く。一葉の目が潤むが、彼女は怯まなかった。
「何、煩いで片付けるわけ?」
四年生のくせに——妹の生意気だなんて言わせない。
私にだって、ちゃんと彼氏はいるんだから。
彼女の気持ちに、なれるんだから。
「反論するならちゃんとしてよ、反論できないの?」
朱雀が怯んだように俯く——逃がすものか。
「だからダメなんだよ! 待ってる彼女さんの方がよっぽどカッコイイし、告白したのもあっちからなんでしょ? 那留の方がよっぽど男らしいよ!」
途中から『彼女さん』から『那留』になってしまったが、それ位彼女は本気で彼に怒っていた。
「——反省しなよ」
そう一言だけ残すと、一葉は部屋から出ていった。
那留から来たメールをもう一度見る。
『ゴメン』
タイトルからして、彼女は反省してるのに。
『——反省しなよ』
妹にざっくりと切り込まれた。
「やっぱサイテーだな……アイツの方がよっぽど男っぽいよ……」
そう言って朱雀は携帯を閉じ、ベッドに寝転がった。
- Re: 本物ノ笑顔。 ( No.9 )
- 日時: 2011/03/09 21:13
- 名前: 與那 (ID: .XINq6xY)
*
こんな形相の一葉は久しぶりに見るな、と半分面白げに雲雀は眺めた。
放課後呼び出された雲雀夏弥はいつもの通りデートに行くのかと思っていたが、とんだ勘違いだったようだ。
——いや、デートと言えばデートか。
一葉の愚痴をとことん聞く、というデート。
「ねぇ夏弥聞いてる? あのくそ馬鹿兄がさぁ!」
「聴いてる聞いてる、彼女を大事にしないんでしょ?」
そうなのよ! と一葉の怒声が飛ぶ。この台詞を何度聞いただろうか。
学校では普段通りだったのにこんな一面が見れるのは——彼氏として少し嬉しいが、流石にこれは怒り過ぎだろう。
「彼女さんが可哀そうなのにアイツったらぁっ!」
一葉の声が大きいのか、それとも一葉が怒っているのが面白いのか、道歩く人達が自分達を振り向いてはくすくすと笑っている。
自分は恥ずかしくないが、彼女が笑われている事は気にくわないのでこっそりと彼女に教える。
「一葉、ちょっとボリューム下げたら?」
彼女がハッとなって口を押さえ「ゴメン、うるさかった?」と上目遣いで尋ねる——あぁ、もう。可愛いな。
「大丈夫、面白かった」
「うるさかったって聞いてんのにぃ……」
頬をぷぅと膨らませてこちらを見てきたので軽くゴメン、と謝る。
「で、彼女さんって、誰さ?」
一葉の兄には何度か会った事があるので知っているが、一葉の言う『彼女さん』の事は詳しく聞いた事がないので知らない。
折角なので興味本位で聞いてみると、彼女の口からは意外な答えが返ってきた。
「えっと——皆月那留さん、だったかな?」
ああ——アイツか。
「なんだ、その人俺知ってるわ」
「え、ホント? 野球の人のお姉さん?」
「ううん……皆月は元副キャプテンだよ」
「え、女の人なのに野球やってたの!?」驚きの声が雲雀の耳に届く、それもそうだろう。野球は男子がやるスポーツ、と世間には広まっているのだから。
「うん、確か今もやってるんじゃないかなぁ?」
「すごーいっ! やっぱあの人外見だけじゃなくて普通にカッコイイ!」
さっきの怖い雰囲気が一瞬にして明るくなったのに恐怖を覚えるが、元気になったらそれでいい。怒ってる一葉より——笑ってる一葉の方が好きだ。
「そーいやぁ、皆月が酷い目に会ってんの?」
「あー、うん。そうらしくて……よっすぃーからメールも届いてないっぽいんだ。多分」
「はっきりしてないの?」
「聞いてみたら、『メールは返信しかしない』って言ってたし、なんか落ち込んでたからきっとそうだとは思うんだけど……」
「ゴメン、はっきり言っていい?」
言うつもりだが一応聞いてみると、一葉は何の事を言われたか分からない様子で首を傾げた。じゃあ、言ってもいいか、と半分開き直って雲雀はその言葉を発した。
「お前の兄ちゃん、予想以上に皆月大切にしてないんだな。アイツは男っぽいけど、涙脆いし、プライド高いし、心は結構繊細なんだよ。多分お前の兄ちゃんはその事を知らないからそんなことできるんだろうけど——他人から見たら最低な男だよ」
愚痴を言っていたからっていくらなんでもこれは言い過ぎだろうか、と後悔するが、一葉は——
「——そうだよね! アイツは大切にするって言葉を知らないんだよ!」
賛同してくれた。
「というか、七年間一緒にいるのに夏弥の方がよっぽど詳しいね、もしかして、」
昔付き合ってた?
後付けの言葉に驚くが、その表情より先に笑いが込み上げてきた。
「まさか! 俺でもあんな男っぽい人とは付き合いたくないよ」
「ほんと? よかったー……」
安堵の息を吐く一葉を見てクスッと笑う。本当に可愛いな、こいつは。
「落ち着いた? もう兄ちゃんの愚痴は大丈夫?」
「うん、夏弥と一緒にいたらもうどうでもよくなっちゃった」
そう言って一葉は微笑んだ。
我慢の限界だ、雲雀は一葉の手をキュッと握った。
「俺はお前を大事にするからね」
「当たり前でしょ?」
あぁ、やっぱりそうだった。
こいつがこんな話をしたのは、
自分はそういう風になりたくないという意思表示で。
自分から気付かせようとしてたみたいだけども。
——ばればれだっつーの。
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