コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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透明度五十パーセントの非日常。 【完結】
日時: 2011/06/18 15:08
名前: 風琳 碧羅 ◆bimZ8KrNKc (ID: 2RWcUGdy)

初めまして。
ファジーの方でひっそりと書かせてもらっています、風琳碧羅フウリンヘキラと申します。
何故か明るい小説を無性に書きたくなったので立てさせてもらいました。
初心者なので下手ですが温かい目で見てもらえれば嬉しいです。

*注意

自己満足です、八割方。

基本的になんでもありで書いていくので不快に思う場面があるかもしれません。その時はすぐにバックしてください。

−目次−

兄弟の絆。【完結】 >>7

透明度五十パーセントの非日常。【完結】 >>22


兄弟の絆完結 2011.05.27
透明度五十パーセントの非日常完結 2011.06.18

since 2011.05.23
until 2011.06.18


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Re: 透明度五十パーセントの非日常。 ( No.18 )
日時: 2011/06/17 18:46
名前: 風琳 碧羅 ◆bimZ8KrNKc (ID: 2RWcUGdy)
参照: 歩はある意味卑怯なおん……男の子です、はい(

十 実は俺、女の子だったのか


「……はい?」
「え、だから……。好きですっ!」

 うん、状況は何となく理解した。


 ——これはタチの悪い夢なんだ。そうだろう。


 で、ここで質問だ。


 ——今、俺の事『あ、コイツ滅茶苦茶馬鹿で鈍感野郎だぜ、ひゃっほう』なんて思った奴、挙手。


 ま、それはそうとして。

「何故、俺なんだ? 別に俺でなくとも、もっとかっこいい人なら沢山いる。御園さんと俺じゃ釣り合わないよ」
「そ、そんな事ないですっ! 歩君は可愛いし、この学校できっと一番人気のある男の子なんですよっ!」

 そう言い終えた後、恥ずかしくなったのか「あぅ……」と可愛らし過ぎる声を出して顔を隠してしまった。
 それにしても。
 俺が人気あるなんて初耳だ。

 櫂が人気あると言うのは聞いた事がある。何度も。確かに彼は運動はやたらと出来るし、黒い髪だしな。黒髪の男はモテると言う話を耳にした事がある。
 そもそもだな。男の俺が可愛いというのは恥以外の何でもないんじゃないだろうか。

「ひぇっ!? あ、歩君って男の子だったんですかっ!?」

 いやいやいや。其処で驚かれても。というか、歩君と呼んでいるのだから男だと認識していたんじゃないのか? しかもなぜ今更。今更過ぎるだろ。
 そもそも俺、まだ御園さんから何にも聞いてねえし。

「その前に、だ。昨日何があったかとか全部話してくれ。物凄く頭の中が混乱しているんだ」

 そう言うと御園さんは快く了承してくれた。そして、話しだした。それをまとめると次のようになる。

・昨日、俺が居ない教室で、御園さんが『私は歩君が好きなんですっ!』と叫んだらしい。
・それを聞いたクラスメイト達が、明日伝えたらどうだと冷やかした。
・しかし御園さんは彼等に『自分で言うから黙っていて』と懇願し、俺に訊かれた時の為に嘘の情報を渡す事にした。
・俺に嘘をついてしまったのが少し嫌で、思わず謝っていた。

 ……どうしようもないが。というか省略し過ぎて訳分かんないよな。別に補足説明する気なんてないが。面倒だし。

「わ、わたくしっ。歩君の事が本当に好きなんですっ! 付き合っていただけませんかっ!」

 実を言うと、告白されたのは初めてである。自慢じゃないが。
 どうしたものか。しかも相手が相手だ。

 某有名企業の会社の娘であり、超美形の秀才に告られて、これでオーケーってしていいものなのか?
 なんだか一抹の拭えない不安が心の中で騒いでいる。

「……えっと」
「わたくしじゃ、駄目なんですか?」

 潤んだ瞳で見上げてくる。……ちょっと、なぁ。俺、こういうのに……弱過ぎるんだ、ああ。
 思わず「うん」って言ってしまいそうになったじゃねえか。というか、言ってもいいのか?
 もう頭の中がぐちゃぐちゃで何もわかりゃしない。分かると言ったら御園さんがもう色々と可愛らしいという事ぐらいだ。ちなみに俺は可愛くない。

「……じゃあ、お願いです。歩君がオーケーしてくれないのなら——」

 と、その時、タイミングを見計らったとしか思えないタイミングで、保健室に居たただ一人の部外者、即ち、先生が割り込んできた。

「——私が、歩君に告っちゃおうかしら」

 しかも何て事を言いやがる。先生に失礼だとは思ったが、そんな感想を持たずには居られなかった。というか俺の周り、本気で変人集まり過ぎだろう。
 御園さんは顔を真っ赤にして「駄目ですっ!」と叫んでいるし、先生の方は口に手を当てて上品に微笑んでいるだけだった。
 いったい何なんだ。新たな虐めの一種なのか? 終いには泣いてしまうぞ、誰かが。俺は泣けねえよ、多分。知らんが。責任放棄? よく分かったな。

「と言う事で」

 どういう事で。

「歩君は今日からわたくしの彼女ですっ! 異論は認めませんっ!」

 チョイ待て。彼氏、の間違いだろう。少なくとも、俺は女ではない。見た目が女だと言われたとしても俺は男だ。

「どうでもいいんですっ!」

 全然よくねぇって。

「……やっぱり……歩君はわたくしの事が嫌いなんですね…………」

 何故そうなる。俺はひとっ言もそんなこと言ってないからな。
 見かけによらず、御園さんは結構思い込みの激しい人物のようだ。何故こうも俺の周りにはこんな良く分からない思考の持ち主ばかり集まるんだろう。

「あー、もう分かったよ、いいってもうっ!」
「え……? じゃあ、付き合ってくれるんですね?」

 もう頭の中がくるくるぱーだぜもー本当に。訳がわかんねぇ。
 だから俺は叫んだ。その意味も理解せずに。すると、御園さんは目を輝かせた。そして、確認するように問いかけた。
 俺はもう訳も分からずに「ああ」と簡単に答えた。


 もう訳わかんねぇよ、狂ってしまうな、あいあむくれいじー。
 なんかクレイジーって名前の奴と昔会った気がするが、多分それは夢の中だ。嗚呼俺はもう現実と夢との境界線も引けないのか。


 そこまで考えた時、急にあり得ない程の眠気に襲われ、そのまま昏倒した。


Re: 透明度五十パーセントの非日常。 ( No.19 )
日時: 2011/06/17 18:50
名前: 風琳 碧羅 ◆bimZ8KrNKc (ID: 2RWcUGdy)
参照: ちょっと忙しくなってきたのでさくっと完結させる事にする。

十一 『お前らもうくっつけよ』

 目を覚ますと、真っ先に見えたのは黒い瞳だった。続けて、黒い髪が目にとまる。そして「大丈夫ですか?」というソプラノの声。
 俺はゆっくりと体を起こすと、周りを眺めた。

「よう、歩。起きたか」
「……櫂か。御園さんも、すまないな。俺、倒れたのか?」

 俺がそう言うと、櫂は笑って「お前らもうくっつけよ」

 ……チョイ待て。
 それとこれとは話が違う。そもそも、おま、俺の事心配してたんじゃなく、冷やかしに来ただけか。帰れ。
 とりあえず言っておくが、今は授業中だぜ。朝っぱらから休むんじゃねぇ。


「だからな、お前が倒れたのは里桜に告られたのが原因だろ? だったらもう、くっついちまえよ。そうしたらほら、色々と」
「スマン、櫂。俺にはお前の思考が読めない。それから色々ってなんだ、色々って。何もないだろ」

 俺がそう言うと、御園さんが「歩君! やっぱりわたくしじゃ駄目なんですか!」と涙目で訴えかけてくる。

 この二人の相手もう無理。俺には無理。先生何処行った。誰か助けてくれよ。

「……あー。もう、よく分からねぇ」
「歩君がわたくしと付き合ってくれたらいいんです! それだけなんです」

 あー、その事なんだが。

「お前ら二人って、付き合ってたんじゃなかったのか?」
「は?」「どういう事ですか?」

 二人とも目を丸くして、俺の言葉に反応した。
 数秒遅れて櫂が「里桜に歩について聞かれてただけだ。どういう女の子が好みだ……とか」

「…………」

 俺はなんだか申し訳ないような感じがして、何も言葉が出てこなかった。

 俺は暫く考える素振りを見せてから「いいよ」と小さな声で呟いた。
 御園さんが、え、と言って俺の方へ可愛らしい瞳を向けた。


「……付き合ってもいい」
「本当ですか! 嬉しいですっ!」

 彼女はその言葉の通り、その場で飛び跳ねていた。その様子が実に可愛らしい。

「やっとか。奥手野郎は本当に面倒だな」

 俺の方を見て、櫂がそう口にしたのが聞こえた気がした。


Re: 透明度五十パーセントの非日常。 ( No.20 )
日時: 2011/06/18 14:58
名前: 風琳 碧羅 ◆bimZ8KrNKc (ID: 2RWcUGdy)
参照: これで最後。とりあえず自己満足だけど完結はさせておく。


十二 ある意味でのしつけ

「ただいま、姉さん、兄貴」
「お帰りー、歩ーっ!」
「歩お帰りーっ!」

 俺が家に帰ると、やはり兄も姉もいた。
 のんびりと自室に向かって荷物を下ろすと、兄が「学校どうだったー?」と、いつものように聞いてきた。
 俺は何気なしに「御園さんに告られた」と口に出していた。

 瞬間、空気が冷たくなった、気がした。

 兄がゆっくりと「……承諾は…………してない……よね…………?」
 続けて姉も「してたら許さないわよ……」と殺気の籠った目つきで見てくる。
 あちゃあ。俺はなんて間抜けな事を言ってしまったんだ。

 俺はどう言い逃れようかと視線を宙に舞わした。それが決定的になったらしい。
 姉は、そう、等と言って、俺の部屋へと入ってきて、兄は無言でドアに鍵を掛けた。俺の逃げ場はなくなった訳だ。

「……あたし、前に言ったわよね? 手を出しちゃいけないって」
「僕の歩なのに…………」


 おーおー。ヤバい。これは冗談抜きでヤバい。
 二人とも目がいっちゃってるし。やー、俺、ちょっと逃げないと命の危険を——


「明っ」
「分かってる」


 二人はそう合図を送ると、一瞬で俺の腕を捕らえ、兄が俺を羽交い絞めに、姉は「ふふふ……」と不気味に笑いながら俺の下へと近づいてくる。
 いつもは仲悪い癖に何でこういう時だけ……!

 そして姉は、何処からともなく鋏を出してきて(というか、俺の机の上のペン立ての中にあった)、その切っ先を俺に向けた。
 実を言うと、俺は極度の先端恐怖症で。こんなのでも……目を向けられない。怖いんだ。

「さて。どう言い訳してもらおうかしら」

 そう言って、更に鋏を俺の顔に近づける。ここまで来ると、俺は思わず顔を背けてしまう。

「……言い訳、ないの? まさか怒られるのわかっててやった、とか?」

 姉は遂に鋏をじょきっと開け、俺の首に当ててきた。ひやりと背筋が冷たくなる。
 そのまま彼女は俺の首に喰い込ませようとする。痛い痛い痛い。

「ごめんな、さい、姉さ……ん」

 俺がそう呟くと、彼女は「その『御園さん』を殺さないといけないようね……これも歩を守るためよ」と言って、鋏を放り投げた。
 今俺を殺そうとしていたのはどこのどいつだ。


「冗談よ、歩。別に、あたしは歩が幸せならそれでいいのよ」


 彼女はそう言ってほほ笑むと、俺の部屋を出て行った。何だったんだ、一体。

 一方兄貴の方は「茜は起こらすと面倒だからねー」と言って、彼もまた部屋を出て行った。


「……何だったんだ、一体…………」


 俺の呟きは、誰にも届かなかった。

Re: 透明度五十パーセントの非日常。 ( No.21 )
日時: 2011/06/18 14:59
名前: 風琳 碧羅 ◆bimZ8KrNKc (ID: 2RWcUGdy)
参照: 完結!


終 不透明で見えない未来


 まったく、俺が何したって言うんだ。

 こんな呟き、聞き飽きただろう?

 だからな、俺はこういってやる。


『未来が曇り過ぎていて、何が起こるか分からない』と。


 結果的には、俺の未来は明るいのかもしれない。

 俺は、この憂鬱過ぎると思えるような非日常を楽しんでいるから、別に暗くたって構わない。

 もう慣れたさ。生まれた時から変な兄姉が居るからな。

 櫂とも御園さんとも仲良くやっている。勿論、クラスメートたちともちゃんとやってる。


 楽しい。


 これからも、こんな幸せな日常が続けばいいなと思いつつ、先が見えない、分からない、未来の不透明さに俺は喜んでいたりする。

 だって、定められた未来というのに、縛られたくないからだ。


 俺はこの先、どんな未来を歩んでいくのか?

 御園さんも、櫂も、茜姉さんも、明兄さんも。どんな人生を歩んでいくんだろう。

 俺は、正直不安で、でも物凄く楽しみだ。


 俺がこんな気持ちになったのはきっと、彼等のおかげだろうな。


 ——ありがとう、兄さん、姉さん。そして、櫂、里桜。本当に、ありがとう。



Fin.

透明度五十パーセントの非日常。 ( No.22 )
日時: 2011/06/18 15:03
名前: 風琳 碧羅 ◆bimZ8KrNKc (ID: 2RWcUGdy)
参照: 完結!

透明度五十パーセントの非日常。


「未来は不透明だからこそ楽しいんだ」


 零 不運の絶頂と感じる憂鬱 >>8

 一 壊れて行く非日常 >>9

 二 カオス過ぎる再会 >>10

 三 最強の姉に逆らえない事実 >>11

 四 危険と戦うという裏の事情 >>12

 五 『俺はどっからどう見ても男だからな』 >>13

 六 迷惑だと分かってくれ、と思いつつ >>14

 七 普通に立った奇妙なフラグ >>15

 八 まだまだ続く奇妙なフラグ >>16

 九 そして狂うよ何処までも >>17

 十 実は俺、女の子だったのか >>18

 十一 『お前らもうくっつけよ』 >>19

 十二 ある意味でのしつけ >>20

 終 不透明で見えない未来 >>21



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