コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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自転車ライフ。 —ひまわりのさくころに—
日時: 2011/07/28 16:42
名前: よるうた。 (ID: u0xvo3rP)

   自転車ライフ。 —ひまわりのさくころに—

□前置き

 はじめまして。 よるうた。 です。
頑張りますので、皆さん、暖かい目で、見守ってやって下さい。





 上手くいかない、中学生活。
中学生になら、よくお分かりになられることでしょう。

 これは、とある夏の、小さな物語————。
「恋って………なんなんだろう」


□本編

登場人物  >>02

第1話  >>01

Page:1



Re: 自転車ライフ。 —ひまわりのさくころに— ( No.1 )
日時: 2011/07/28 14:11
名前: よるうた。 (ID: u0xvo3rP)

「あと………5分だけ………………むにゃ」



第1話




「遅刻————————っ!!」

 そう叫び、制服で階段をばたばたと、騒がしく下りる。

「試験勉強で寝過ごしちゃった!」

 少しふらつきを覚えながら、テレビのニュースが聞こえる食卓へ駆けこみ、プラスチック製のお皿の上に用意されていたマーガリントースターを口にくわえ、玄関へ走る私。

「試験、がんばりなさいよ」

 靴をとりあえずつま先だけ履くと、洗い物をしていた母の冷たい声が聞こえた。
 しかし、私は返事も返さず、勢いよくドアを開けた。
バンッと、壁にドアの側面がぶつかる。
 私は、靴をかかとまできちんと履くと、坂道の道路を走り出す。

 皆さん、こんにちは。自己紹介が遅れました。
私、津那 南。ごく普通の中3。
 今は夏で、もうすぐ模擬試験がある。それで、昨日は徹夜したんだ。
気付いたら、自分のノートの上に頭を伏せていて、周りには真っ白な光が差していた。
 中3は、とても大変。試験勉強に、進路だってある。部活もあるけれど、私は帰宅部だから、そこはパス。

 私は、坂を思い切り突っ走る。
やがて、坂は普通の道となり、車が走っている大通りに通じた。
横断歩道についたが、信号は運が悪く、赤に染まっていた。

(急いでるのにー………………)

 さらに運が悪く、信号は赤いままだった。点灯もしない。
急いでる分、自分が感じる時間が遅く感じるのだ。
 しかし、そんなことに気が付かない私は、信号が青になるまで、足踏みしながら苛立ちを覚えていた。
 やはり、なかなか色が赤から青に変わらない。
もう、朝の学活の時間が終わる頃に値していた。
 私は仕方なく、遅刻回避は諦めた。
車が間断なく進んでるのを見るのも暇だったので、視線を少しの間、滑らした。
 私の視線が注目したのは、信号機の柱に貼り付けられていた、夏祭りのちらしだった。
『夏祭り 来てね』と、大きな文字で書かれていた。
 そうか、もうそんな時期かと思いながら、それを眺めていると、ぴんぽん、ぴんぽんと、信号機から音が鳴り響き、信号待ちだった人が、どんどん進んでいた。

 ふう、とため息をつき、机の上にスクールバックを下ろし、中から教材を取り出していた。
 正面の教卓の上には、先生の手帳と学級日誌が置かれていた。
やはり、朝の学活は終わってしまったようだ。

(後で、遅刻届を出さなきゃ………)

教卓をただ、ぼーっと眺めながら、さっさと1時間目の準備を始めたのだった。


第1話 終。

Re: 自転車ライフ。 —ひまわりのさくころに— ( No.2 )
日時: 2011/07/28 16:43
名前: よるうた。 (ID: u0xvo3rP)

自転車ライフ。—ひまわりのさくころに— 登場人物

■ 津那 南 (つな みなみ)
性別:女  職:中3  歳:15  役:女主人公(主人公)

 模擬試験 真っ最中な中学3年生。
明るく元気で、頑張る時はとことん頑張る努力家。
悩みは、『自転車に乗れない』こと。

「恋って、なんなんだろう」


■ 海岬 蒼 (かいさき あおい)
性別:男  職:高3  歳:17  役:男主人公

 鴬稜高(おうりょうこう)の3年生。
ヘタレで性格が悪いが、明るくて優しい面もある。
試験勉強をまったくしていない。

「ここ、俺のサボリ場なんだけど」

Re: 自転車ライフ。 —ひまわりのさくころに— ( No.3 )
日時: 2011/07/29 12:28
名前: よるうた。 (ID: u0xvo3rP)



第2話


 学校も終わり、夕暮れがまぶしい放課後。

「何で乗れないんだ〜!?」

 そう叫ぶ私。
さっきから乗ろうとしているのは………自転車。
 右に傾いたり、左に傾いたり、上手くこげなかったり。

「何で………」

 はぁ、とため息をつく。
実は、私、津那 南は………
————自転車が乗れないんです!!
 いつも、学校が終わると、人気のない空き地で練習してる。
なのに、乗れない。

「どうしよう………試験会場、自転車でなきゃいけないのに………」

 再び、ため息をつく。
もう、私にはやる気が無かった。

(そろそろ帰って、試験勉強しなきゃ)

 そう思い、自転車をおしながら、帰ろうと思うと………

「諦めんの?」

 背後から声がし、私はぱっと振り返る。
と、そこには、一人の男がいた。
頭に腕を組んでいて、何だかかったるそうな感じだった。
「あの………」と声を掛けようとすると、男の子は、

「まだ、時間はあるじゃん」

そう言い、背中を向ける。

「お前は、時間がないと思ってるのを、いい訳してるだけ。特に、決まった時間はないんだろ?」

「なら」と、こっちの様子も確かめないで言葉をつなげ、こちらを向く。

「できるように努力すりゃぁいいんじゃねーの」
「………………」

 言葉を発せなかったが、確かにそうだと思いはした。
「ほら、乗れよ」と自転車の後ろに手を置き、私に言う。
私は無言でいたが、自転車に乗ると、男は、自転車をおしてくれた。私は、頑張って、自転車をこいだ。
 静かなのも嫌なので、私はおそるおそる、男に聞いた。

「いつから、いたんですか」
「さっきから」
「どうして、ここに来たんですか」
「ここ、俺のサボリ場なんだけど」
「………サボリ場? 何のですか?」
「べんきょー。かったりーし」
「でもそれ、鴬稜高の制服ですよね? 頭いいじゃないですか!」
「全然。俺のクラス、バカクラスだし」
「………変なの」

 くすっと笑う私に、「何だよ」と、機嫌悪そうに言う。
一瞬、何かが軽くなった気がしたのを、少し不思議に思った。

「私も、鴬稜目指してるんです。お母さんが、勝手に決めたんですけど………」

 そう言い終わると同時に、振り向くと、男はそこにいなかった。

「あれ!?」

 びっくりした私は、急ブレーキをかけて、足を地面にのせた。
そんな私を他所に、男は、私より少し離れた場所で、ズボンのポケットに手を突っ込んでいた。

(まさか、さっき軽くなったのって………?)

 あいつが、自転車から手を離したから?
しかし、少しちがう気がしたのを、また不思議に思う。

「乗れたじゃん」

 男の声に、はっとする私。

「やったー、乗れたぁ!!」

私はばんざいをし、思い切り嬉しいことを表した。

「んじゃ、俺帰る」
「へ? 帰っちゃうんですか? 勉強をサボるんじゃ………」

私は、首をかしげる。

「いや………」そう言い、頭を掻く。

「お前見てたら、やる気出た」

 「えっ」と戸惑う私に対して、男は、背中をこちらに向け、歩き出す。
 行っちゃう、と思い、私は思い切って聞いた。

「あのっ………私は、津那 南です!! きみは………っ」

「海岬 蒼」


 男————蒼は、即答し、すぐに去っていってしまった。


第2話 終。


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