コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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仲矢金物堂日誌(仮)著:俺
日時: 2012/08/01 16:58
名前: すずか (ID: 39RfU1Y2)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi?mode=view&no=327

昔のやつの続きを書こうと探したら見つからなかったから、どうせだし新しく書こうとした次第。ちなみに特に終わりはないです。思いのまま行き当たりばったりでストーリーが進行します。

相も変わらずコメディ一途で行く気満々です。
コメントとか貰ったらちょっとテンション上がって一時的に頑張ったりするかもしれません。

※大好きな某ゲームキャラクターと、大好きな某漫画キャラクターをモチーフにした人物が登場します。多分どちらも、元ねたを知ってる人は多分分かります。気付いた人は生温かい目で哀れんでください。
※参照はシリアス・ダークにて書いてる小説です。厨二病と妄想の権化です。

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50 ( No.70 )
日時: 2012/06/07 23:55
名前: すずか (ID: LTdV0xGg)

「で?突然どうしたんだ大勢で」

 大地さんが店頭ガラスケースに右肘をついて、悪戯っぽく笑う。うわ何だこれ、様になるとかそういう次元じゃねえぞ。このモーション、大地さんの為に作られたって言われても納得するぐらいかっけえ。しかも制服なのか、ウェイターの格好をしているのが益々。エプロンまでもが輝いて見えるわ。

「パンフを見た」

 同じガラスケースに左腕につけた店長が、無表情に右手に持ったパンフを突き出す。これまた様になる。今日は店長、光と村山に言われるがままモデル仕事の時に貰った服をそっくり着てるから、正真正銘のイケメンになってる。見た目だけは。ガラスケース近辺輝きすぎ。

「こういうのって集客を増やすために作るんだぜ?身内が来てもらっちゃ困るな。で、どれにする?」

 口では文句を言っているけど、笑顔でショーケースの中身を指差す大地さんは、ちっとも迷惑そうな素振りをしない。まだ開店すらしていないのに。心までイケメンだなこの人、村山が言うだけのことはある。

「はいはーい、私このラズベリーチーズケーキ!」
「お、良いの選ぶじゃねえか美鈴保。それ新作」

 軽口を叩きながら、ひょいとトングでケーキをつまみ、お皿によそうまでの動作が完璧すぎて何だもうこの人。イケメンスペック的には店長越えてるだろ。勿論店長も人間的にはとんでもないスペックだけど、イケメンスペックが大地さんよりあるかって言われたら、まあ、うん。変な人だよな。

「満は?」
「じゃー俺チョコレートムースケーキで」
「はいよ。そこの二人は?というかどちらさんだ?」

 チョコレートケーキをつまみながら、質問を飛ばしてくる大地さん。

「あ、初めまして。金物堂でバイトしてる高砂雄人です」
「それの友人の加賀卓巳です」

 こいつ今『それ』って言った。物凄いさりげなく『それ』って言った。当然のようにit扱いだった。

「ほー。新の所でバイトか。大変だろうに」
「……どういう意味だ?」
「ははっ、それを分かってない辺りが大変なところだな」

 旧知の仲だけあって店長の性格は熟知しているらしい。良いコンビだな、見た目的にも性格的にも。この二人でアイドルユニットを組んだら、テレビ界に革命が起こるだろうな。

「で、雄人くんに卓巳くんだったか?どれにするんだ?」
「あ、俺ショートケーキで」
「んー、プリンタルト」
「了解、どっちも美味いぜー。ま、不味いもんなんか売りに出してないけどな!」

 超絶爽やか笑顔で4人分のケーキを取り終わる大地さん。何なの、この人体内に空気清浄機でも内蔵してんの?村山も内蔵してんの?

「新は?」
「……ごまめ」
「店頭にあるものから選べって、何度言ったら分かってくれるんだ?」

 店長は体内に何を内蔵してるんだろうな。洗濯機?

51 ( No.71 )
日時: 2012/06/17 22:35
名前: すずか (ID: iYTaD9NP)

「まあ、ごまめもあるけど」
「あるんですか!?」
「新の好物だからな。もしもフラッと遊びに来た時に出してやろうと思ってたんだ。実際そうなったから、作っておいて正解だったな」

 ぱ……ぱねえ!この人ぱねえ!空気が読めて気配りもできて爽やかで親切で尚且つ料理もできるだと!?もし大地さんが女性だったら求婚されまくりじゃね!?いや現状のままでも求婚されまくりだろうけど!!

「村山」
「何だ」
「あの人に弱点はないのか?」
「糖尿病以外は見当たらないな」

 そういえば糖尿病だったなこの人。ここまでくると、だからどうしたって感じだけど。

「そうだ、仕込みも終わったし、ちょっと早いが昼飯食べてくか?用意してやるよ」
「え!?いや、流石にそれは迷惑じゃないですか!?」
「助かる」
「やったーありがとう大地さん!」
「御馳走になりまーす」
「あざーす」
「え、あれ!?」

 こいつら遠慮の欠片も無え!!旧知の仲の商店街組はともかく、初対面の卓巳までちゃっかり頂こうとしている!!

「ふふっ、雄人くんは良い子だな。他の奴らは食べてくみたいだし、1人増えたところで変わりゃしないさ。遠慮せずに食べていきな。ほら、そこ座って」

 窓際のテーブルを指差す大地さん。お言葉に甘えてわやわやと座る俺ら。大地さんが腕を組んで考えるポーズ。そのまま銅像にできるぐらい絵になる。

「そうだな、デザートにケーキだから洋風の方が良いか。んー……グラタンでどうだ?」
「いや、ほんとにもう何でもいいです」
「……ごまめは?」

 ごまめに拘りすぎだろ店長。グラタンにごまめとか合わないって。

「わーった、ごまめも持ってきてやる。他の子もグラタンで構わないか?」

 全員が賛同する。それを見てにこっと笑い、腕まくりをする大地さん。

「よし、腕が鳴るぜ。ちょっと時間かかるが待っててくれよ」

 大地さんが機嫌よくそう言った時、再びベルがカランと鳴った。ひょこりと顔を覗かせたのは、髪を三つ編みにし、愛嬌がある顔立ちをした女の人だった。手にはスーパーの袋。

「ただいまー……あれ、仲矢君だ」

 その瞬間、既に生気で溢れている大地さんの目が一層輝き、その女の人へと一目散、そのままの勢いで飛びつくように抱きついた。

「繭梨!!!!」
「きゃっ!」

 え、何事。どうされた。

「だ、大地君!何か色んな人が驚いてるよ!?離れてほしいな!!」
「……あー、すまん。我を忘れた」
「も、もー。びっくりしちゃうよー」
「いやー、朝からずっといなかったからな。寂しかったんだ」
「たった2,3時間でしょ?それぐらいで寂しくなってたら体保たないよ」

 そう言いながらも、繭梨と呼ばれた女の人の顔は真っ赤で、尚且つちょっとニコニコしてる。ラブラブしい。超ラブラブしい。

「なんつーバカップルだ」

 卓巳が失礼なことを言うが……ま、その通りだな。

52 ( No.72 )
日時: 2012/07/15 22:16
名前: すずか (ID: 9QWGnv70)

「えー、雄人くんに卓巳くんだったか?紹介するぜ、嫁の繭梨だ」

 あ、もう結婚してたのか。そうか、店長と同級生なら23だもんな。ちょっと早いけど結婚しててもおかしくないか。

「付け加えるなら、世界一の嫁だ」

 繭梨さんが現れてからずっと思ってたけど、この人繭梨さんにベタ惚れすぎるだろ。それよりも、大地さんはいい加減その手を繭梨さんから離したらどうだろう。まだ腰にあるよ。軽く抱き寄せてるよ。

「へー。どの辺がですか」

 心底どうでもよさそうに、でも一応卓巳が社交辞令的に質問をした。昼飯の恩ぐらいは感じているらしい。

「匂い」
「は?」
「へ?」
「繭梨はな、そりゃもう良い匂いがするんだよ。どんな菓子よりも美味そうな甘い匂いが」
「……匂いフェチか?」

 卓巳が大地さんに聞こえないよう、ぼそっと呟いた言葉に同意。大地さんの残念ポイントその二だな、匂いフェチ。ていうか、繭梨さん何で満更でもない表情してるんだ。いや、でもその匂いで完璧人間が釣れたんだから、誇るべきなのか。

「しかも菓子作りも上手い、加えて優しい、ついでに言うなら可愛い!」

 優先順位はそれでいいのか。何で可愛いが最後なんだ、どんな人でも女性に求める要素TOP3には入れたい要素だけど。

「ま、そういうわけだ。じゃ、俺はグラタンを作ってくるよ。繭梨、その袋貰うぞ」
「ありがとー。あたしはどうしたらいいかな?」
「そうだな……開店準備を頼む」
「はいよ!ってうひゃあ!?」
「お前は可愛すぎる!!!」

 にこっと笑って敬礼する繭梨さんに、大地さんが耐えきれなくなったのか再びホールド。

「……これ、俺らは出歯亀ってことになんの?」
「見せつけられてるんだからこっちが被害者だろ」

 今日は卓巳がよく正論を言う日だ。

53 ( No.73 )
日時: 2012/08/01 16:57
名前: すずか (ID: 39RfU1Y2)

 繭梨さんが何とか大地さんを引き剥がす。名残惜しそうに手をぴこぴこしてた大地さんだったけど、ようやく踏ん切りがついたようで、ぴっ、と手を挙げる。当然、非常に様になっているわけだけど、さっきのアレを見たせいで以前のように純粋にかっけえ、って思わなくなってしまった。

「じゃ、そういうわけで。あ、新!繭梨に手を出すなよ!」
「出さん」
「……はっきりと否定されるのもそれはそれで腹が立つな」

 じゃあどうしろというのか。
 大地さんが厨房へ引っ込み、繭梨さんが店内の整理を始める。手持無沙汰な俺は、繭梨さんの素状を聞いてみる事にした。最近、自分が結構野次馬根性持ちであることを自覚し始めてる。

「大地さんとはいつ頃知り合ったんですか?」
「大地君とー?高校の頃だよ。仲矢君も同じ学校だったんだ」

 へえ。ここの3人は同級生だったのか。

「大地君も仲矢君も、高校ではすっごく有名だったんだよ?凄く格好良いし、しかも優等生だしね」
「でしょうね」

 そりゃあ轟いていただろうな、名前。その時の他の人の反応をちょっと見てみたいもんだ。タイムマシンとかどっかにねーかな。

「あたしは地味だったから、正直関わる事なんてないかなって思ってたんだ」
「でしょうね」
「おいこら卓巳、しれっとさも俺が言ったかのように失礼なことを言うんじゃない」

 今の「でしょうね」は卓巳だから。俺言ってないから。

「ふふふ、でもほんとに地味だったんだよ?それでね、何で知り合ったかというと……」

 にこにこしながら繭梨さんが語ること十数分。

「……そういうわけで、大地君と結婚することになったの」
「あ……甘酸っぱい!!超甘酸っぱいですよ!!!」
「うふふ、よく言われるね」

 そりゃあもうド青春な話だった。そのまま恋愛小説一本書けるぐらい山あり谷ありでキュンキュンドキドキな話だった。男の俺がそう思うぐらいだから、ぶっちゃけそのまま本にして出版したら売れると思う。

54 ( No.74 )
日時: 2013/11/26 01:20
名前: すずか (ID: tkV8RM03)

「まあそんなこんなで、今は仲良くやらせてもらってます」

 えへへ、と照れ臭そうに笑う繭梨さんは、なるほど確かに可愛い。仲矢や相原さんみたいに誰もが見とれるような美人ではないけれど、仕草や言動がとても愛嬌があって凄くほんわかする感じは、一緒にいて楽しい。

「んー何度聞いてもキュンキュンですな!私もこんな恋をしてみたいものですっ!」

 ほっぺに手を当てて大袈裟に体を捻る仲矢に俺はキュンキュンしてる。

「というわけでレッツトライトゥギャザー雄人くん!」
「マジっすか仲矢さん是非とも今度もよろしぐほぁ」
「食いつきすぎだろお前」 

 思わず身を乗り出して仲矢に握手をしようとしたら、後ろから卓巳に首根っこをキュッとされた。一瞬息止まったんだが、こいつ適格に急所を突いてきやがる。

「はははー冗談だよー」
「はははーですよねー」
「笑い飛ばそうとしてる割には随分と未練たらたらな顔だな」
「うっせぇ」

 だって仲矢とキュンキュンの恋だぜ。未練を残さずして他に何を残すのか。

 その後もだらだらとお喋りをしているうちに、厨房の方から非常に良い匂いが漂ってきた。思わずお腹が鳴る。

「あ、そろそろかな?」

 ガラスケースを磨いていた繭梨さんがそう言うと同時に、大地さんが厨房から顔を出した。

「おい君たち、飲み物は何がいい?オレンジジュース、ジンジャエール、コーラ、あと紅茶も出せるぞ」
「はいっ、オレンジジュースください!」
「あ、じゃあ俺もオレンジジュースで」
「コーラ貰ってもいいですか」
「……玉露」
「だから何でお前はリストにあげたものから選ばないんだよ……」

 少々呆れた顔をしながらも、厨房の傍の棚から玉露が出てきた辺り大地さんの店長に対しての理解度は相当やばい。普通玉露なんか常備してねえよ、すげえなほんと。

「ペットボトルから直で悪いが、適当に注いでくれ。おい新、ここにお湯と茶葉置いとくからあとは自分でしろ」

 大地さんが、2種類のジュースのペットボトルと3つのグラス、そしてお湯の入った急須と玉露の茶葉、湯呑みをショーケースの上に置く。新さんセットの浮きっぷりがすごい。有難く頂戴して、テーブルの上まで持ってくる。店長はその場で茶葉を入れてぼんやりと突っ立ってお茶ができるのを待っている。行動自体は随分と間抜けだけれど、店長がやるとどこまでもスタイリッシュになるのがこの世の不公平さを感じる。いつ見てもイケメンの無駄遣いをしているよなあ。


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