コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 【真】ツキシマヒロトの愉快な部活! 【Re:make】
- 日時: 2013/02/17 23:10
- 名前: 藤田光規 ◆bh.mYRAeMo (ID: TZln3PE9)
- 参照: 放置タイム終了です
空土「作者www少年自衛官落ちてんじゃねェかw勉強しろよww」
作者「俺が勉強したらお前の時間止まったまんまなんだぞ!それでいいのか?」
拳正「手前の脳は中二の夏から時間止まったまんまだけどな。いいかげん勉強しろ」
自虐から入る嫌な厨二小説です。逃げろ毒されるぞ
こんにちは!初めましての人も、また会いましたねな人もとりあえずはクリック感謝です。
カゲプロ風に言うと『目に入れなくてもイタい』話です。不自然の味方Pとも言って下さいw
今回はリメイクとして、かなりパワーアップして全力で取り組んでいきたいと思います。
ご注意
・僕は重度の廚2患者です。のであちらこちらにバカみたいな描写が入ります。
・僕は掛け持ちをしています。しかも学生なので更新頻度はまばらです。
・藤田嫌いって方はさようなら。荒らしもゴメンです。チェンメなども苦手です。帰って下さい。
・こんな僕の駄文をパクる人なんていないと思いますが、いちお言っておきます。
コメントが来たら一人感激の演舞を踊ります。是非コメを恵んで下さい。
応援と拍手と暖かいまなざしをヨロシクお願いします。
***********************************
目次↓です。本編を読むときはこちらからどうぞ!
>>30
登場人物 (剣道部一年生&二年生)>>56
今は無いですが、この小説の番外も書いていきたいと思います。
もらい物などその他の情報類。
motooさまから「岡村友美」ちゃん書いて貰いました!美少女!!>>10
前作含めのお客さま。
takashowくん (リア友、大親友。時折本名をばらすA級犯罪者がァ!)
みらーさうんど。ちゃん (リア友。パない小説を書く住民でもあります。コラボしたいなー。)
みうちゃん (またもやリア友。部活の後輩で次期部長。がんば!)
リンさん (名前を見て鏡音さん家の娘さんを想像するのは僕だけじゃ無いはず!)
煉ちゃん (多数の二次小説を持つリア友。イナヅマヲタでございます)
チャラ子さん (リア友。あえて説明しない。)
烏兎さん (かっこE名前ですNE。HAHHAHA〜N) ※テンションが迷子
イカさん (イカした小説をかく住民。・・・あっ!わざとじゃありませn((殴 )
箕羅為さん (ミライ、と読むそうです。明日にきらめけ 何とかかんとか ゴー!ニコg)強制終了。
愛河 姫奈さん (コメディで小説を絶賛カキコ中です。もう戦友みたいなものかな♪)
コルくまさん (前作からこの駄文を読んで下さっていた方です。灯ちゃんが推しだそうです。)
バンビくん (リア友です。まだ小説初心者ですがセンスがあります。開花を待ちましょう)
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- Re: 【真】ツキシマヒロトの愉快な部活! 【Re:make】 ( No.69 )
- 日時: 2013/01/07 11:07
- 名前: 藤田光規 ◆bh.mYRAeMo (ID: kG6g9hX2)
「ふう・・・。」
溜息を付きながら僕は持っていたバットを体育倉庫の床に置いた。石灰がまるでサンドアートでも描くように地面に振り撒かれている。再度溜息をついて箒を掴み、その白くて細かい粒を掃いた。
負けたチーム恒例の行事、『後片付け』だ。同じチームの人たちはサヨナラ負けを喫するや否や、猛ダッシュでどこかに駆けて行った。たじろいでいる僕の肩に相手チームの誰かの手が置かれ、こう告げたのだ。
「はい博人。お前片付けな。」
というわけで僕は用具を運動場の片隅にある体育倉庫に直していたのだ。おかげで履いていたジャージの裾が石灰と砂ぼこりで白くなっている。洗濯するとき怒られるだろうな、と憂鬱になる。
体育倉庫の扉を閉め、運動場を縦断する。
「よお!ヒロ。おめェ何やってんだ?」
突然前方から声がかかった。やけに明るい声。下を向いていたのでまるで気がつかなかった。
わざわざ確かめなくとも声質で誰かは分かっている。
「空土さんじゃないですか。こんにちは。」
「あァ。昼休みの野球、乙だ。ナイスランだったぜ。」
空土さん——西首空土(にしくびくうど)はゆっくり頭を下げた僕に向かって、ヘラリと笑いながら人差し指を立てた。
西首空土。僕が所属する剣道部の副部長。茶髪でやせ形の中学二年生男子。いつもやる気がなく、サボっていることの方が多いが、実力はかなりのものらしい。というか、空土が負けるのを僕は見たことがない。(部長と勝負するのは嫌がっている)
「で?ヒロ、おめェ何やってンだよ?もうすぐ授業始まるぜ?」
「僕は野球の後片付けです。空土さんこそなにやってるんですか?」
「あ?俺ァあれだ。委員会のお勤め。」
空土はさっきまで僕がいたプレハブ小屋、体育倉庫を指差した。
「おめェらが野球してたからな。使ってたボールとかバットとかがちゃんと個数分あるかってのを確認しに行くんだよ。めんどくせェんだけどよ。」
ああそうか、と思った。空土は総務委員会に所属している。その委員会の仕事に備品の確認というものもあるのだ。
なにしろ、この学校は結構治安が悪い。
と、ところで僕はあることが気になったので聞いてみた。
まあ、そうたいしたことではないのだが。
「そうだ空土さん、聞きたいことが。」
「? なんだいきなり。そんな改められて聞かれたらちょっと怖いぞ。」
僕の様子に少し困ったように眉をひそめながら空土は頭をかいている。
「どうして総務委員会なんて入ってるんですか?面倒なことは嫌いですよね?」
「・・・授業もう少しで始まるってのになんでそんな禅問答みてェな話題を振るんだおめェは。・・・まあ、面倒は大嫌いだぜ。委員長は胡散臭ェしよ・・・。なんでかって言われるとだな。」
空土は少しの間考えるようなしぐさをしていたが、やがて顔を上げ、言った。
「あれだ。あれ、俺って『総』って漢字が好きなんじゃねェか?」
「予想以上に不純な答えですね・・・。空土さんに甲斐性とか期待した僕が悪かったです。」
「なんだおめェ。喧嘩売ってンだな?売ってンだろ。買うぞいくらでも。」
眼の下を僅かに黒くした空土。危険性を感じ、一応「すいませんでした」と謝っておく。
今、校舎の時計は1時50分を指している。五時間目が始まるまであと10分。その10分の間にこのグラウンドから副校舎三階の第一美術室までたどり着かなくてはいけない。無理な時間ではないが結構きつい。少し切羽詰まっている状況だ。
そろそろ行かなくては、と僕は頭を下げ、踵を返し歩き出そうとする。
「ちょっとヒロ、待てよ。ちょいと話があんだよ。」
あけすけにさわやかな声で空土に呼びとめられ、右肩を掴まれる。
「そろそろ行かないと僕も空土さんも遅刻しますよ。いいんですか?」
「遅刻ごときで怒られてたら俺ァとっくに死刑待ちの身だよ。」
そう言って空土は胸を張った。何の自慢と自信だそれは。
「・・・さいですか。」僕は息をついた。
「何の話ですか?できれば手短にお願いします。」
「じゃあ言わせてもらわァ。今日、友美の野郎の誕生日なんだ。」
初耳。驚いた。岡村友美(おかむらともみ)剣道部の女子部員。素っ頓狂な言動で周りをにぎやかす、山椒少女。
空土は続ける。
「んで今日の放課後、武道場で誕生パーティーやらねェかって話だ。どうだ、ヒロも行くか?」
「じゃあ喜んで行かせてもらいます。放課後に武道じょ・・う・・・。」
そこで僕は言葉を止めた。というかひっかかった。ダウトだ。
「?」
怪訝な顔をする空土。頭一つ分高い位置から視線を感じる。
「空土さん。いま武道場って言いました・・・よね。」
「ああ。確かに言ったぜ。」
「どうして学校の敷地内!?本人の家でもいいでしょう!!」
「や、待てヒロ。それはあちら側の都合だ。 今あいつの家に親戚が来てるようでな。ドンチャン騒ぎするこたァできねェだろ?」
「じゃあ、どこかの飲食店とか、カラオケとか使えないんですか?」
「それはあれだ。青少年育成条例的なもので中学生で平日の夕方以降に、んな店に行くのは禁止されてんだよ。俺は別にいいんだが、あやめとケンとか真面目軍団が許さなかった。」
「・・・・・・。」
まあ、確かにウチの剣道部はルールや常識をあちらまわしにして日々はしゃぎ回ってるけど、結構真面目さんが多いんだよな。
詩子なんかスカートの裾がアキレス腱に付きそうだし、拳正は言うまでもなく、巨人の星の一徹おやじさながらの熱血スポ根だからな。
空土のようなアウトローの方が少ない。
「んで。宴会をするのに最適な場所は武道場ってことですか?」
僕が聞くと、空土は「そういうこと」とダルそうに頷いた。自らの茶髪を、揉みこむように撫でた、と思えばいきなりしゃがみ込み、足元に落ちていた野球ボールを拾い、指先でくるくるとまわし始めた。
・・・・ホントこの人は節操が無いな。
「器用ですね。空土さん。」
「あん?まあ、こーゆーのは得意なんだ俺。おっと?あいつは?」
空土の視線が僕を飛び越え、運動場正面の旗掲揚台の方に向いた。朝礼台を片手で担いで運ぶ、生徒の姿。
「あいつァケンの野郎じゃねェか。頑張るな、あいつ!」
「頑張ってますね・・・・。」
拳正の朝礼台を鞄でも持つ様に軽々と持つ程の腕力には突っ込まないんだ。流石ライバルにして悪友にして先鋒大将の最強バッテリーの空土拳正のKKコンビ。互いの事をよく知っている。
「——空土さん。拳正さんって何組でしたっけ?」
「Aじゃねェか?Bかも知んねェしDかもな。ぶっちゃけ心底どうでもいいが。」
「無関心過ぎます。」
拳正は体育器具倉庫前でだべっている僕と空土の存在には気付いてないようだ。片手に担いでいた朝礼台を第五レーン近くに置くと拳正は自分の短髪を固めるようにかき上げた。
五時間目が始まる数分前にどうして委員会業務をしているのだろうか。
まあ、この疑問は総務である空土にも言えるのだろうが。
「いー事考えたっと。」
突然そう声を発すと空土は指先で回転させていた野球ボールを右手の手のひらに握り、右肩を回し始めた。
「・・・・一応聞きますね。何がしたいんですか?」
「このボールをケンの頭にぶつけてやろうと思ってな。」
「バカですか?貴方は。」
空土が持っているのは硬球。実際、かなり固いし重い。頭に当てるなんて狂気の沙汰だ。
拳正は特別体が丈夫だと聞いているが、空土の運動感覚で投げられたボールを頭に受けたらいくらなんでも無事では済まないかもしれない。
拳正が無事だとしても、そのアフター、つまりやり返しが恐ろしい。空土はちゃんとそこらへんを考えているのか?
・・・・でもいくら空土でもそんな横暴はしないだろう。
小学生じゃないのだ。
「くらえケン!そいや!!」
流れるようなモーションで空土は腕を振りかぶり、投げ放った。
投げちゃった。
スパイラルの回転がボールにかかり、まっすぐの軌道を描き、拳正に向かって一直線に飛んでいく。レーザービーム。
その速球は拳正の短く刈りあげられた後頭部まで吸い込まれるように飛んでいき。
僕は眼をつむった。
・・・・・・・。
眼を開けると、顔を怒りで上気させ、朝礼台を両手に抱え上げた拳正の姿が見えた。エマージェンシ。
「ぬわぁぁにしやがんだコルァァァァァァァァァァ!!!!!」
僕は初めて見た。かなりの質量をもつその銀色の物体が、朝礼台が、軽々と。例えるならバスケットボールのように空中に高く舞い上がったのを。
- Re: 【真】ツキシマヒロトの愉快な部活! 【Re:make】 ( No.70 )
- 日時: 2013/01/07 12:17
- 名前: 藤田光規 ◆bh.mYRAeMo (ID: 7gBpjPib)
「すいません、空土さん。大丈夫ですか?」
「大丈夫だって!きにすんな!全面的に俺がわりーから!」
ここは、微かに消毒の独特の鼻に付く臭いが香る保健室。
四方を囲む真っ白い壁が目にまぶしく、「歯を磨きましょう」だの「手洗いうがいをきちんとしましょう」だのベタな標語が黒墨に半紙に書かれ、軒を連ねる。かなりの達筆だ。
数分前、空土に向かって放り投げられたはずの朝礼台は、ほんの少し落下地点を違い、僕の頭に指してゆっくり落ちてきた。突然の事で狼狽し、足がすくみ動く事が出来ず、あえなくジ・エンドと思ったが。
空土が僕を軽く付き飛ばし、(“軽く”でも僕には十分に体勢を崩し、倒れるに至った)空土の細い体に朝礼台が激突した。
痛くもかゆくもないような顔をしていた空土だが、僕が無理やり彼の制服をめくると、ばっちり赤くはれていた。
ので、一応大事を期し、保健室に来室した、というわけだ。
「えっと?西首くん?」
白衣を着た髪の長い先生が空土の姓を呼んだ。指で湿布をつまみ、フィルムを剥ぐ。結構若い先生だ。
「怪我した時の状況を紙に書いて頂戴。ほら、机の上にある。」
「めんどくさい。ヒロ。頼む。」「了解です。」
僕は机に向かう。確かにA4の紙が造作無く置かれており、傍らにはボールペンも置かれてある。
「・・・・・・・・・。」
【いつ(昼休み)どこで(運動場で)誰が(二年C組西首空土)どのようにして(飛んできた朝礼台に激突し)怪我の症状(打ち身、痣)手当て(湿布)】
よしっ!これで完了!!HOWがシュールだけど気にしない。だって事実だもん!仕方ないもん!
書いた紙を先生に渡した。
「・・・・・。」
怪訝な顔をされた。
やっぱりそうだよな。訝しがるよな。僕が逆の立場だったら注意するだろう。ちゃんと書け、と。
しかし、白衣の先生の口から出てきたのは、意外な言葉。
「西首くん。また任内くんと喧嘩したの?」
任内とは、拳正の姓だ。拳正の怪力が教師陣にも知れ渡ってるなんて意外だ。多分先生は拳正みたいな異常な生徒がいるとやりにくいとおもうけどな。まあ、その拳正が至って真面目というのが救いどころだろうが。
先生は、ふっと息をつき、これで四回目。と告げた。
「よ、四回目!?」これは僕だ。
「そ。西首くんが怪我するのが、じゃないわよ?任内くんが原因で誰かが怪我したのが。」
「・・・・・。」
拳正も拳正で無茶苦茶なとこあるからな。類は友を呼ぶというか朱に交われば赤くなる、というか。
僕の周囲は危険すぎる。笑う門には福来るというか曲がる角には服破るみたいな世界だ。
「ホント任内くんは無理するわよ。この間なんか腕相撲した相手の腕の腱をブチ切っちゃって。切妃くんの方がマシなぐらいよ。」
「なんにしろ僕らの剣道部は危険ってことですね。」
切妃とは、亦紅の姓。切妃亦紅(セイルヒモコウ)。律狩中伝説の不良。剣道部所属であり、運動神経、特に脚力が異常に強い。
亦紅の名前を出されても僕にはあまりリアクションを取れないのだけど。
あの人の殺意に常時見張られているような気がして。
「なァ。美濃ちゃん?」突然、空土が口を開いた。美濃(みの)とはこの白衣の先生の姓なのだろう。
「美濃先生と呼んで頂戴。西首くん。」
「美濃先生。俺ァ一カ月後に剣道の試合が控えてるんだがそれまでに万全に治るか?」
「『治らない』と言ったらどうする?」
「ケンの野郎を殺す。んで無理に出る。」
「答えになってないわよ・・・・。そうね。普ッ通ーに治るわ。西首くんなら。」
よかった、のだろう。僕の身代わりで剣道部のクリーンナップが崩れたら、大変なことだ。
まあ、そうなったら空土は(自業自得)で僕は(とばっちり)なのだろう。
「ほう、そりゃァ良かったぜ。おかげで親友のケンを殺さなくて済んだからな。」
貴方達のどこが親友だ。と思ったが自重。
美濃先生は言う。
「この学校の救護技術は結構凄いから。敗れた鼓膜も速効で元通り。怪我方面の事は心配しないで頂戴。」
「そりゃァいいじゃねェか。惜しむらくは保健室の先生に色気がゼロなとこだよな。」
「内臓。西首くんの内臓を南アフリカに売り飛ばしてやってもいいわよ。」
「丁重にすいませんでした。」
大仰に頭を下げる空土。珍しい光景だ。
すると、だ。突然トタトタトタ・・・・と跳ねるような足音がドア越しに聞こえてきた。廊下を走ってはダメというルールは、最早黙殺だ。
途中からタッタッタッタッタ・・・という快活さが増してきて、保健室の白い扉がパシャァン!と開け放たれた。
「しっつれいしまぁす!!彫刻刀で指切っちゃいましたーっ!!」
保健室に入ってきたのは、色黒で背の低い、見覚えがある男の子。
- Re: 【真】ツキシマヒロトの愉快な部活! 【Re:make】 ( No.71 )
- 日時: 2013/02/20 19:02
- 名前: 藤田光規 ◆bh.mYRAeMo (ID: TZln3PE9)
「犬飼くん…?ですか?」
質問系となった僕の声は、やはり情けない程細く、白けた保健室の壁にむなしく響いた。
野球部唯一の一年レギュラー、犬飼圭師郎(イヌカイ ケイシロウ)。背は低く、友美と上背はそんなに変わらない程。
色黒の肌にいくつもかすり傷ができており、右ほおと左目元に絆創膏が貼られている。
髪は寝癖が立っており、ボサボサ。僕と違って希望に満ち溢れた目をしている。
「ふー、博人くん。オイラのことが分からない? じゃあ三択で答えを選べ! 1、ルカリオ、2、ピカチュウ、3、エドモンド本多!」
「…4番の『うるさいから即刻Uターンしてください』でファイナルアンサー」
相手の流れには乗らず、意思表示をし、しかもツッコミになっている。我ながら100点だ。
「ブー、不正解だよ。自分で選択肢を作っちゃ失格だ。選択肢の中に正解が無い場合は黙っておくのは一番だよ、ってセブン会長が言ってた!」
「選択肢の中に正解を入れるつもりが無い君はどうなんですか? 1と2はポケモンだし、3は遊牧民じゃないですか?」
「ヒロ」
と空土は自身の茶髪を撫でながら僕の名前を呼ぶ。よく見ると不快そうに眉をひそめていた。
「そいつ誰だ?見るからに鬱陶しい野郎っぽいが」
「他人です」強い声で即答だ。
「ちょっとちょっとちょっと博人くん? 友達って言ってくんないとさあ? オイラがバカみたいじゃないの?」
「実際に馬鹿なんです」
おっ?と、犬飼は空土の方に向きかえり、アメリカンカトゥーンばりの素早さで空土に駆け寄った。かなり早い。
「どうもどうも! 西首空土兄さんじゃないですか! わぁー! 会いたかったんですよー! セブン会長から『凄い奴』って聞いてますーっ!」
顔を近づかせ、眼を輝かせる犬飼に、空土は迷惑そうに顔をしかめるも、「あ?」と口を意外そうに開けた。
「犬飼…だったか? おめェセブンと知り合いなのか?」
「はい!オイラは生徒会見習い庶務を務めさせてもらってます!生徒会執行部の人たちからは『ポチ』って呼ばれています! 空土兄さんの耳にもオイラの名、届いているでしょう!?」
そう言うや否や、犬飼は自分より一回り上背がある空土の肩を、がしりと掴んだ。空土の過激思想を知っている僕はその行動に危険を感じたものだ。
何しろ、年下の女子に木刀で制裁を加えるような人だ。今すぐ犬飼がぶっ飛ばされてもおかしくは無い。
「いやいやいや、おめェの事なんか知んねェし」
不快そうに手を払いのける空土。「確かにセブンたァ友達だが、生徒会に見習いがいることも、そいつがこんなチビってことも知らされて無ェよ。」
チビという言葉に敏感なのか、あっという間に犬飼は顔を赤くし、
「誰がチビだコノ野郎!!」
犬飼は節操無く叫ぶと空土に前蹴りをかまそうとした。
したのだが。
「———————は?」
犬飼の小さな身体は易々と宙を舞い、空土の頭の上をベリーロールの要領で越して、ベタンと尻もちをつくように着地した。
「あら〜西首くん、年下に暴力振るっちゃ駄目じゃないの?」
PCのキーを叩きながら美濃先生。今、何があったかはこの人は分かったようだ。
犬飼の足を空土は両手で掴み、背負い投げのように投げた。
本格的な柔道で使う背負い投げと違う面は、犬飼の体を空中に放り投げたところ。
「なァ、犬飼圭師郎、だったか?」
思わず背筋が冷たくなるようなドスの聞いた低音。
「おめェが正しかったか、悪かったかは、俺は分かんねェからセブンにでも聞いとけ。でもよォ、ただ一つ、おめェが間違ってたと確かに分かる事はあんだ」
ポケットに手を突っ込み、空土は眼の下を黒くする。
僕と空土との短い付き合いでも分かる、空土の『ブチギレ』モード。
「そりゃァな。おめェがこの俺に、前蹴りをしようとしたことだ」
犬飼は、はい、とひきつった顔で素直に頷くと綺麗な姿勢で土下座で空土にひれ伏した。
「素直でよろしいぜ」
空土は腕を組んで満足げに何度も頷く。くるりと振り返って美濃先生に向き合った。
「あー、美濃ちゃん。もう大丈夫だから俺とヒロは教室に戻るわ。迷惑かけたな」
「ええ、まったくもって迷惑だったわ。下級生を痛めつけられる余裕あるんなら大会でも活躍できるはずよ」
「嫌だな美濃ちゃん、褒めたって手しか出ねェよ」
「褒めてないし、皮肉だし、じゃあ何にも言わないわよ!」
ほら、行くぞ、と空土は僕を急かしながら出口へと向かう。
ちょっと待て。僕はまだ今の発言に突っ込みを入れてないぞ。
ふと振り返ると膝を抱えたままの犬飼の姿があった。
- Re: 【真】ツキシマヒロトの愉快な部活! 【Re:make】 ( No.72 )
- 日時: 2013/02/20 23:09
- 名前: 藤田光規 ◆bh.mYRAeMo (ID: BUG11FhX)
「えー! 博人君セブンさんもしらないの?」
僕のセブンさんとは何者?という問いを受け、同じクラスの岡村友美はそう叫ぶように言った。
5時間目の美術が終わり、美術室からクラスの教室に移動していた。
犬飼の話で『セブンさん』という単語が何回も出てきたのだ。そういえば、チャットでも『セブンの野郎』という言葉が出てきた様な気がする。
次の時間の準備もそこそこに済ませて、携帯小説をよんでいた友美に思い切って話しかけたという次第だ。
「転校してきたばっかりだからあんまりこの学校の子と知らないんですよ」
言い訳するように僕は言った。
「ばっかりって言ったって、結構立つじゃん?3週間ぐらい。いや一カ月かな?ちょうど」
左上を向いて、思い出すように友美は言った。ちょうど今日で転校して一カ月だ。そんなに僕のことが印象にのこっていないのか?
あっ、そうだ、と友美を言葉を継ぐ。
「律狩中学校の生活に慣れた?友達も結構出来てるじゃん」
「話題が脇道に逸れ過ぎですよ。まあ、悪意は無いんでしょうけど」
僕は苦笑いする。「おかげさまでようやく学校生活には慣れてきました。でも部活には慣れませんよ」
「? なんで?拳正さんの作った稽古ってそんなにきついっけ?」
「いや、そんな事じゃなくてですね…、空土さんや拳正さんが成す非日常がぶっ飛び過ぎて…刺激がありすぎて困りますよ」
「あっはw、博人くんは真面目だからあまり変わった事は苦手なのかな?あー、セブンさんの事だったね」
友美は前髪を指に巻きつけながら言葉を紡ぐ。
「セブンさんは、この学校の生徒会長さんだよ。本名は『瀬文嬉佑(せぶみきすけ)』どこかは忘れたけど帰国子女なんだって。IQは189っていう噂」
「凄いお方なんですね…」
「かなり凄いらしいよー。おととし、生徒会長を決めるって選挙で当時一年生ながら支持率99,9%。就任直後からいろいろな改革を行ってて、『神より神な生徒会長』って異名も持ってるんだ」
「へー、…って。友美さんは何故そんなに詳しいんですか?一昨年のことなんて分かるわけないですよね?」
「あはは、ぶっちゃけこの情報はあやめから聞いた情報なんだよ。いわゆる受け売りっていうの?」
「…僕は同じ質問を連チャンしないといけないんですか?」
思わず語感が冷たくなってしまった。そんな僕に友美は「本当に博人君は何も知らないんだね」と憐れむような視線を向けた。
「あやめのお姉さん、杉原かえでっていう三年生なんだけど、そのお姉さんは生徒会執行部の会計を務められているんだよ。そのお姉さんのおかげであやめはこの学校の内政に詳しいんだよ」
「あやめさんのお姉さん・・・・。」やばい、セーラー服着たスケ番のイメージしか浮かばない…。
僕の脳内を見透かしたように友美は「そんなに怖い人じゃないよー。」と明るい声で言った。
「小学正の時何回か遊んでもらったことがあるし、あやめとは似ても似つかないよ。」
「貴方の『似てない』はどうしてそんなに信憑性が低いんでしょうか…?」
「あはは、博人くん、『あやめさんのお姉さんなんて毘沙門天みたいな人だな』って顔に書いてあるよ。」
「顔の皮剥がせばいいんですか?」
そんな意味の無いやり取りが終わった時だ。背後に気配を感じた。あ、と友美は右手を挙げた。
「博人くん。誰の姉が毘沙門天だと言いました?」
突然後ろから高い凛とした女声が聞こえた。あわてて振り向くと眼鏡をかけた眼光の鋭いポニーテールの少女。
「あ…あやめさん」
「やっほー、あやめ。なんでB組の教室に来てるのー?」
友美は、にへら、と効果音が出そうな程、快活に笑いながら言った。
そして僕は微妙に修羅場だ。
あやめは腕を組んでサディスティックに鼻をふんと鳴らした。
「友美、私の英和辞典借りたままでしたよ。E組次英語なので返して下さい」
「あはは、確かロッカーにあったと思う。取ってくるね〜」
♪〜と友美の鼻歌が僕とあやめの間に気まずく流れた。マンツーマンでこの人と話すのは初めてだろう。
「あ、あやめさん。さっきのは違いますよ?友美の勝手な独りよがりで」
「独りよがりの使い方間違ってますよ?いえ、博人くんが正しくこの言葉を使っているのならば私は博人くんを赦すことはできませんが。」
「なっ…揚げ足を…」
「ところで博人くん、話題は180°変わりますが、愛の宣教師たる少女が全く好きじゃない型物系部長に告白する光景と、食べることが何より好きな少女が口を針で縫われ悶絶する姿、どっちが見たいですか?」
「凄いことを言ってきた!!?詩子さんと灯さんに何する気だ!?」
「私は別に固有名詞を言ってないですよ。博人くんが灯というならば灯。亦紅さんというならば亦紅さんです」
「貴方なら実際にしないと限らないから怖いんですよ」
「お待たせ〜」
スキップで帰ってきた友美。その左手に赤い辞書を持っている。
「ロッカーの中に何故か花火のパーカーが入っててね。それ着て携帯で自撮りしてたんだよ。どうあやめ!似合う!?」
そう言って友美は携帯を取り出し、起動させてディスプレイをあやめに堂々と見せつける。
「やっぱ似合ってるでしょ!?」
「はい、友美。限りなく似合ってます。流石です」
「あーそうー?ありがとー」
あやめに褒めてもらった友美は不格好な程頬を緩めている。あやめは友美に甘すぎると感じるぞ。なんださっきの外道極る脅迫は。
「博人君はどー思う?」
今度は僕に携帯を突き付ける。それに映っていたのはピースをした友美の姿。
自撮りは慣れているのだろう、ピントが合っていてなかなかうまく撮れているが肝心のパーカーが映っていない。顔と手しか撮れていないのだ。似合ってるもなにもあったものではない。
「はい・・・。友美さん。似合ってますよ。素敵です」
「あは、ありがとー」
ニコニコとする友美。その横で。珍しくあやめはくすりと笑った。
「?」
「あ、友美。もうすぐ授業が始まるので教室に帰ります。」
「ほえ?ああ、分かった」
「では、今日の部活の時にまた会いましょう」
早口で言いきるとくるりときびすを返し、すたすたと歩いて行ってしまった。
「・・・・。」
怪し過ぎる。壁の時計を見ると授業が始めるまであと五分ある。
「あははwあやめったら真面目なんだからw」と笑う友美。十分おかしい。
すると、ポケットでバイブが震えた。携帯がメールを着信したのだ。携帯を開くあやめからだ。そこに書いてあったのは、
『大うそつき。』
「・・・・・。」
空土ならばこう絶叫していただろう。『あんの野郎ォ!!!!』
- Re: 【真】ツキシマヒロトの愉快な部活! 【Re:make】 ( No.73 )
- 日時: 2013/02/23 10:16
- 名前: 藤田光規 ◆bh.mYRAeMo (ID: 7gBpjPib)
王生隼威(いくるみじゅんい)剣道部元部長 3−Aクラス ♂
背が高く、隆々とした偉丈夫。
ただものでは無い雰囲気を纏っており、生意気な空土や実力主義の拳正からも認められている
学校の指定ジャージを胴着風にアレンジして着ている。
強制的に言う通りにさせる能力を持つ。
浮槻遊楽(ふつきゆら)剣道部 3−Cクラス ♂
飄々としたお気楽主義の少年。よく隼威に絡んでいる。
放浪癖があり、眼を離すとどこかに消えていることがある。
対象の身体能力、潜在能力、才能などを見抜く『ジャッジメント』という能力を持っている。
紫崎黄色(むらさきざききいろ)剣道部 3−Dクラス ♂
かなり背の低い、幼児のような生徒。身長は100cmもない。
幼稚園の黄色い制服と黄色い帽子を着用している
手を触れずに物を動かすサイコキネシスを自在に使える。
切妃亦紅(せいるひもこう)剣道部 2−Bクラス ♂
停学処分を受けていた不良。
学ランなどで体中を黒で纏っている姿から「カラス」と呼ばれる有名人。
身体能力がずば抜けている。超過激主義。
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