コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- Memory Dust(学園ミステリー)
- 日時: 2012/07/11 00:29
- 名前: yuunagi(悠凪) (ID: wfu/8Hcy)
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n0270ba/
・あらすじ
「君は、生きているの?」「私は、私を殺せる人を探しにここへ来た」——それが僕と彼女たちとの出会い。そう、暴君「水無月アスカ」とツンドラ転校生「時雨悠」との……。——あっ、ついでにアスカの双子の弟「水無月アキト」も忘れずに……。
・当作品は超常現象交じりの学園ミステリーとなっていますご了承ください。
・なお、当作品は小説家になろうさまの方でも投稿させていただいていますご了承ください。(只今、諸事情により更新停止中。涼しくなった頃に再開予定)
※お気軽にご感想などをよろしくお願いしますm(。-_-。)m
・亡霊姉弟篇
第零章 〜数奇な運命の出遭い〜 >>01
・死にたがりの少女篇
序 章 〜死にたがりの少女 前 篇〜 其の一 >>02
序 章 〜死にたがりの少女 前 篇〜 其の二 >>03 >>04
序 章 〜死にたがりの少女 前 篇〜 其の三 >>05 >>06
序 章 〜死にたがりの少女 前 篇〜 其の四 >>07 >>08
第一章 〜死にたがりの少女と女王様の戯れ〜 其の一 >>09 >>10
第一章 〜死にたがりの少女と女王様の戯れ〜 其の二 >>13
第一章 〜死にたがりの少女と女王様の戯れ〜 其の三 >>14 >>15
第一章 〜死にたがりの少女と女王様の戯れ〜 其の四 >>16
第一章 〜死にたがりの少女と女王様の戯れ〜 其の五 >>17
第一章 〜死にたがりの少女と女王様の戯れ〜 其の六 >>18
第一章 〜死にたがりの少女と女王様の戯れ〜 其の七 >>19
第二章 〜死にたがりの少女と天真爛漫少女〜 其の一 >>20 >>21
第二章 〜死にたがりの少女と天真爛漫少女〜 其の二 >>22 >>23
第二章 〜死にたがりの少女と天真爛漫少女〜 其の三 >>24 >>25
第二章 〜死にたがりの少女と天真爛漫少女〜 其の四 >>26 >>27
- (2)第二章 〜死にたがりの少女と天真爛漫少女〜 其の二 ( No.23 )
- 日時: 2012/06/18 23:02
- 名前: yuunagi(悠凪) (ID: wfu/8Hcy)
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n0270ba/14/
すると、突然——
【ピンポーン!】
と、インターホンが鳴り響く。
もしかして、と思い。僕は財布を持って玄関に向かい。
玄関先には案の定、ピザ宅配員が立っていた。
ふむ、意外に早いんだなぁ〜と思いながら、支払いを済まして、ピザを受け取り。
悠が待つ居間に戻ると、そこには待ち侘びたと言わんばかりに目をキラキラと輝かせて、こちらの行動を一挙一動見逃さぬように目で追ってくる彼女の姿があった。
まるで、尻尾を振ってエサ待ちをする犬のような様相である……。
——全く、食い意地を張ったお姫さまだな。
そんなに見つめなくてもピザは逃げやしないし、僕が一人占めする訳がないだろ。
少し呆れながらもゆっくりと焦らすようにピザをテーブルに置くと、瞬時に悠が我慢できずに手を伸ばしたもんだから、僕は咄嗟に容器ごとピザを持ち上げてやった。
「……瑞希ちゃんのイジわるぅ」
「何とでも言え。まぁ〜その前にやる事があるだろ?」
この投げかけに悠は知恵を振り絞っているのか、眉間にしわを寄せ、視線を彷徨わせながら考え込み。しばらくして何か浮かんだのか、清々しい表情を浮かべた。
「はい! 飲み物の用意!」
挙手をしながら元気よくそんな事を言い出した悠に僕は思わず額を押えてしまう。
「それも正解だが……まず、手を洗って来なさい」
「は〜い」
不貞腐れながらもしっかりと返事をし、隣の台所に手を洗いに行く彼女を見送りながらピザをテーブルに戻して、僕も手を洗いに台所へ赴く。
その際に僕は冷蔵庫から適当に飲み物を手に取り、悠が食器棚からグラスを人数分手に取って先に居間に戻る。
彼女の後を追うように飲み物を片手に居間へ戻り、定位置になりつつある場所に僕はゆっくりとした物腰で腰を下ろす。
各々、グラスを手に取り。僕が適当に見繕った飲み物を入れて、ようやく食べる準備が整った。
僕はそこですかさず毒味と言わんばかりに彼女の隙を狙ってピザに手を伸ばす。
と、それに気付いた悠が頬を膨らませてこちらを睨んで来た。
「メッ! だよ、瑞希ちゃん」
「良いだろ。別に……」
「ほら、食べる前にする事があるでしょ?」
そう言うと、悠はゆっくりと両手を前に出して合掌をする。
彼女の行動に僕は頭を掻きながらも手を合わして、食べる前の儀式——と言うよりは挨拶をする態勢に入る。
「いただきま〜す!」
「……いただきま〜す」
挨拶を済ませた僕たちはよっぽどお腹が減っていたのか、無心でむさぼりつくようにピザを食べ始めた。
互いにトマトソースで口周りを汚しながらも気にする事無くピザをむさぼり続ける。
しかし、いつ振りだろうか。こうして誰かと夕食を食べるのは……。
いつもなら家路の途中にあったスーパーで食材やらを購入し、自炊して一人で食べている所。けれど、こうして二人で「いただきます」の挨拶をして、夕食を食べるのは何だか新鮮な気分だ。
「——おいしいかぁ?」
美味しそうにピザを食べる悠に唐突にそんな事を投げかけてみた。
家族団らん、和気藹々としたあの雰囲気の中ではこういう他愛もない掛け合いをしたりするんだろ?
確か……。
「うん! Margherita Pizza美味しいよ」
「ゴホっ!」
彼女の返答に僕は堪らずむせてしまった。
急いでテーブルに置いてあるティッシュペーパーを二、三枚手に取って少し飛散した残骸を回収する。
それにしても無駄に発音が良い……。
突然、むせた僕を不思議そうに見つめながらもしっかりと次のピザを手に納めて口に運ぶ悠の姿に僕は少し頬が緩んでしまう。
「——そうかい」
鼻で笑いながら、僕もピザを手に取って口に運ぶ。
うん、美味しい……。
たまにはこうして誰かと夕食を共にするのも悪くないのかも知れないな。唯一食べる相手がいるとすれば、姉さんだが——姉さんは仕事で帰りが遅くなる事が多いため、自ずと食べる時間がずれてしまう。
しかし、たまにある休日には姉さんの取り決めで、二人で外食をする事が決定事項であり如何なる理由があろうと強制参加である。
別に美味しい物がタダで食べられるなら何でもいいけどな。
それに僕の家事労働がその分、少なくなるから悪い事でもなかろう……。
「ねぇ〜。瑞希ちゃんは呼ぶ時、ピザ派? それとも、ピッツァ派?」
「何だよ。突然」
「単なる興味本位だよ〜」
「そうか……。ふむ、僕はピザ派かな? 『ピッツァ』って呼び方は何だか気取っているような気がして少し気が引ける。それに店によって『ピザ』と表記している所もあれば。『ピッツァ』って表記している所があるだろ? だから、どっちでも良いんじゃないか? まぁ〜大概『ピッツァ』って表記している所は少し高級感がある店か隠れ家的な感じ——所謂『通』が通う店に多いよな〜」
「へぇ〜」
僕に変な質問を投げかけといて当の本人はピザを食べながら空返事しか寄こさない……。
「へぇ〜って、そういう悠はどっちなんだ?」
「ん〜どっちでも良いかな? だって、呼び方が違うだけでどっちも基本一緒だもん。それに美味しければそれで良いと思う」
「……まぁ〜そうなんだろうけど、な」
本質的にはそれが一番理にかなっているとは思う。
——美味しければそれでいい。
だけど、作り手としては少し味気ないような気がするな。
まっ、腹に入ればどれも同じと言われるよりは幾分かマシか……。
しかし、急にクールな感じの事を話すな……。
やはり、そこまでキャラ設定が定まっていないのか?
「あれだよね。何を勘違いしてか近年のつけめんブームもただただお客さんがつけめんの方がラーメンより食べやすいから注文しているだけだよね、所詮は」
「そ、そんな事ありません! お客さんはその時、たまたまラーメンよりつけめんが食べたかっただけだ!」
変な汗がドッと出た。
この子、何!?
急に毒舌をぶっ込んで来た!
お兄さん焦っちゃったよ……。まぁ〜地が地だから、毒舌ぐらい出て当然か?
ふむ、それはそうと……ピザが残り最後の一ピースとなった訳だが——お互いに譲らず、と言った所だな……。
僕と悠は互いに残りの一ピースから目を逸らさずに熱い視線を送る。
目を逸らそうならそれは試合放棄とみなされて負けが決まってしまう。
つまり、最後の一ピースの権限が相手に渡ってしまうって事だ。
だが、僕はこんなくだらない争いを大人の権限を行使して終止符を打とうと思う。
——だって、争いからは何も生まれない、だろ?
「……それ以上、食ったら。太るぞ〜」
「……良いもん、別に……。それよりも瑞希ちゃんはお兄ちゃん何だから我慢するのが妥当だと思うよ」
「……僕は悠の実兄ではない。だから、その詠唱は無効だ。よって、このトライフォースは僕が貰い受ける」
「ずるいよ〜」
「はっはっは、これが大人のルールと言う物だ。悔しがるがいいさ。その悔しがる様を肴に僕が最後のトライフォースを美味しくいただくとするよ」
悠が指をくわえて悔しがる様を肴にして、僕はこれ見よがしにピザをゆっくりと堪能しながら否が応でもある事に気付いてしまう。
——妹口調になった同級生と何をやっとるんだ、僕は……。
自分の愚かさに気付かされた所で自ずと手に取った最後のピザの味が心なしか、ほろ苦いモノになってしまっており。
そんな僕にさらなる仕打ちと言わんばかりに玄関の方から、
【ガチャガチャ】
と、物音が聞こえ、悠は何事かと小首を傾げた。
が、この家の住民である僕はグラスを手にしたままフリーズしてしまう。
それは言うまでも無く、先ほどの物音は残念な姉がご帰還なされた合図なのだから……。
- (1)第二章 〜死にたがりの少女と天真爛漫少女〜 其の三 ( No.24 )
- 日時: 2012/06/29 15:45
- 名前: yuunagi(悠凪) (ID: wfu/8Hcy)
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n0270ba/15/
「ねぇ〜誰か帰って来たのかな?」
悠が飲み物を飲みながら不意にそんな事を口走る。
僕はバツが悪そうな表情を浮かべながらも飲もうとしていた飲み物を口に含んで、口内を潤す。
奴が、奴が帰って来たのか……。今日は案外早いお帰りだ。
さて、この状況をどう説明すべきだろうか。
僕が眉間にしわを寄せて考え込んでいる間に悠の姿が消えていた事に気付く。
アイツ、どこへ消えたんだ?
まさか、な……。
少〜し、嫌な予感が頭によぎった僕は徐に立ち上がって、玄関に向かおうとしたその時、
「キャ〜! 何、この可愛らしい子は〜!」
玄関の方からそんな黄色い声が聞こえた。
はぁ〜、出くわしてしまったか……。
額を押えながら溜め息をした僕は少し気だるそうな足取りで玄関に向かう。と、そこには悠に抱きつく黒のスーツが乱れに乱れ、身嗜みが悪い長髪の若い女性の姿があった。
「何!? このモフモフ、モキュモキュしたくなる愛らしい子は!」
「もう、抱きついてるだろ。姉さん……」
僕が嘆息交じりに苦言を呈した若い女性こそ少々問題がある我が姉——如月瑞花(きさらぎみずか)だ……。
外見だけならそれなりにモテそうである端正な顔立ちにグラマーな体躯。そして、クールで知的の完璧人間と言うのが世間でのイメージ。
しかし、一歩家の中に入ると外でのイメージの反動のせいなのか、グータラな姉に変わり果ててしまう。
少々——いや、かなり残念な姉である。
そんな姉さんは悠の事を気に入ったのか抱きついたまま離れず、自分の頬をすりすりと悠の頬に押しつける始末……。
「姉さん。そろそろ悠を解放してくれ」
「ヤダヤダヤダも〜ん! 絶対、放さないもん! ゲフッ!」
「酒クサッ! また飲んでるのか……」
「だってぇ〜。仕事なんてお酒を飲まなきゃやってられないもん!」
プンプン、と少々ご立腹なご様子の残念な我が姉……。
しかし、そんな事よりも姉さんの酒の匂いにあてられてか、悠の顔が少々紅潮しているように思える。耳が少し赤い……。
「ねぇ〜、キー君。この子、キー君の何? もしかしてコレ? それともコレ?」
僕の心配を他所に姉さんは悠に抱きついたまま怪しげな笑みを浮かべ、両手の小指を立ててこちらに提示して来る。
「……その指折るぞ、コラ」
「キャ〜! キー君が反抗期だわ! 怖〜い」
ダメだこりゃ……。
完全に酔っぱらっているし、いつものグータラスキルが相まって余計たちの悪い姉が出来上がっている。
「——違ぁうっ!」
突然、悠が姉さんを押し退けながら怒号を上げた。
「私とぉ〜瑞希ちゃんはぁ〜コレでしゅよ〜」
姉さんの酒の匂いにあてられて悠は少し酔ってしまっているのか、呂律が回っていなかったものの親指をしっかりと立ててみせる。
「えぇ〜! 君って、男の子——いや、いわゆる男の娘だったのぉ〜⁉ 女っ気がないと思ったら、キー君がまさかそっちの気があるなんてお姉ちゃんショックだわ〜」
酔ってしまっている姉さんは悠が提示した親指を真に受けたのか、歪んだ結論に至ってしまった。
「……いや、そんな訳ないだろ……」
額を押えながら否定したけれど、酔った姉には僕の言葉は届かなかったのだろう、悠の身体を舐め回すように吟味し始める。
時にはボディータッチ。
さらには怪しげな手の動きをさせながら制服の上からでも分かるふっくら盛り上がった悠の双丘を揉み始めた。
「キャハハハ!」
やられている悠はこそばゆいのか涙目になりながら大声で笑う。が、年頃の少年である僕にはちっと刺激が強すぎて目のやり場に困った。
しばらくして悠の身体検査に飽きたのか姉さんは悠から身を引いて、少し険しい表情を浮かべながら感慨深く頷く。
僕は何事かと首を傾げながら静かに見守っていると、結論が出たのか姉さんが徐に口を開いて、
「……現代の美容技術は凄いのねぇ〜」
と、感心する。
「おい、馬鹿。どこに着眼点を置いている。悠は歴とした女の子だ」
まだ、悠が男の娘だと信じていたのか、この酔っ払いは……。
僕が呆れて嘆息を吐いていると姉さんがまだ僕の言葉を信じられないのか、悠のとある部分に手を伸ばそうとした瞬間——僕は咄嗟に姉の腕を力強く掴んでそれを制止する。
「——ヤダ〜キー君、腕が痛いじゃな〜い」
「……それだけはやめろ」
僕たちのやり取りに悠は首を傾げて何の事か分からずにいた。
ああ、そうだ。お前は何も知らなくても良いんだ。
——うん、これは薄汚れた大人の抗争だから気にしなくても良い。
僕が力強く姉さんの腕を掴んだまましばらくこう着状態が続き、根負けしたのか姉さんは小さく息を吐く。
「……分かった。分かったから、この手を放してちょうだい」
その言葉を信じて僕は手を放して、解放された姉さんは僕に掴まれていた腕を気遣うように労わる。
そんなに強く握ってはいないんだけどなぁ〜。
「さてと……酔い醒ましにお風呂でも行こうかな〜。もちろん——悠ちゃんも行くわよねぇ〜?」
「うん! 行くぅ〜」
含みのある笑みを浮かべながら述べられた姉さんの提案に嬉しそうに返事をした悠に対して、僕はどうしてか不安で胸が一杯になった。
「お、おい!」
「なぁに〜? キー君。もしかして、一緒に入りたいとかぁ〜?」
「ち、違う!」
「何もないのなら邪魔しないでね。私たちはこれからゆっくりとどっぷりとガールズトークに花咲かして来るから」
そう言い残して姉さんは早々に悠を引き連れて僕の前から姿を消した……。
姿が見えなくなる直前で姉さんが不気味な笑みを浮かべながら、一人取り残された僕を見つめていたのが何よりも印象的で。
そんな姿を見せられた僕は姉さんがやらんとしている事が自然と頭に過り、膝から崩れ落ちるようにして座り込み——そして、床に拳を叩きつけた。
僕の完敗だ、姉さん……。少しでも信じた僕がいけなかった……。
もうこれ以上、僕には術がない。だって、そうだろ?
乙女の花園と化した風呂場に男の僕が何をしに行くってんだ?
陰鬱な気持ちながらも立ち上がって、のそのそとした足取りで居間に戻り。定位置たるテレビを正面に向えるテーブルの前に腰を下ろすと、僕は自ずとリモコンに手を伸ばしており音量を上げていた。
近所迷惑なんてお構いなしに音量を上限いっぱいに上げ、テーブルに項垂れるように顔を乗っけて大音量のテレビをボーっと見続けてやった。
——大音量で響き渡るテレビから流れる笑い声。耳が痛くなりそうだ……。
だけどさ、これもマナーだろ?
いくら近所迷惑になろうが乙女の会話を盗み聞きしないようテレビの音量を上げてそれをシャットダウンするのが紳士として当然の事だろ?
うん、僕は将来立派なジェントルマンになれそうだ。
天国にいるジョンに成長した僕の姿を見せつけた所で僕は自分自身に突っ込もうと思う。
——だから、ジョンって誰だよ……。
……はぁ〜、と大音量の中で深い嘆息をしたが、即打ち消されてしまい虚しさだけが僕の心を突き刺してしまう結果になってしまった……。
- (2)第二章 〜死にたがりの少女と天真爛漫少女〜 其の三 ( No.25 )
- 日時: 2012/06/29 15:43
- 名前: yuunagi(悠凪) (ID: wfu/8Hcy)
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n0270ba/15/
しばらくして、のぼせたのかはたまた姉さんに何かされたのか、呆けた表情を浮かべながら少しブカブカの白いブラウス姿の悠が現れ、僕は堪らず頬を上気させてしまう。
彼女の白い柔肌を包み込んでいるのはブカブカの白いブラウスだけらしく、ブラウスの下裾から悠の白い脚線美がさらけだされている。そして、彼女の綺麗な黒髪が少し湿っているせいか、艶やかな様相を醸し出し、ほのかに香るシャンプーの匂いが何とも言えなかった……。
ご自慢のスタイルを遺憾なくさらけ出すのにうってつけのランジェリー姿の姉さん(もう、毎度の事で見慣れた)も後から居間に現れ、冷蔵庫から取って来たのか、二人分のコーヒー牛乳を手に持っていた。
それを悠に渡すと二人は恒例のように腰に手をあてて、グビグビと喉を鳴らしながらコーヒー牛乳を一気に飲み干す。
——うん、二人とも良い飲みっぷりだ。
「私たちの残り香がある内にキー君も早くお風呂に行って来たら〜?」
「……行きにくくなるだろ……」
姉さんに苦言を呈しながらもどの道、お風呂に行かなきゃならならないので二階にある自室に一旦戻り。着替えを手に取って、お風呂に行く事にした僕。
決して、残り香を嗅ぎに行く訳ではない事をここに誓う。
そう、天国にいる心の友のために……。
しかし、姉さんにあんな事を言われてか変に意識してしまい、自分の家じゃないような錯覚に襲われ緊張しながらもお風呂に入る事になり。
いつも通りに身体を洗う僕だったが、やはりと言うか何と言うか——湯船には浸からず、シャワーだけで早々に切り上げたのだった……。
……無理だ。一刻も早くこの場から脱したい。なぜか分からんが罪悪感に苛まれてしまう。
早々に切り上げた僕は台所に行き、冷蔵庫を開ける。
すると、あれが最後の二本だったのかコーヒー牛乳の姿はどこにもなかった。
がっくし、と肩を落とした僕は消去法で牛乳をチョイスした。
別に牛乳は嫌いじゃないけど——コーヒー牛乳の方が、何か少しランクが上のような気がしないか?
子供じみた自論はともかく……僕は二人を見習って腰に手をあてて、グビグビと喉を鳴らしながら牛乳を一気に飲み干す。
もちろん、コーヒー牛乳と違い。牛乳特有の白い髭を拭き取る事も忘れずに、だ……。
牛乳を飲んだ僕は隣の居間に戻る。と、そこには姉さんは居たが、悠の姿はなかった。
「あれ? 悠は?」
「あの子ならキー君の部屋で眠っているわよ」
湯冷めして酔いも良い具合に醒めたのか、まともな姉さんの姿がそこにはあった。
そんな姉さんはテーブルに肘を付けてボーっとテレビを見ており、僕も姉さんの隣にゆっくりと腰を下ろす。
「——で、あの子は結局。キー君のコレなの?」
姉さんはテレビに視線を向けたまま小指だけ立ててこちらに提示して来る。
「そんな訳ないだろ。——ただの同級生だよ」
「へぇ〜。同級生ねぇ〜。私以外に興味がないキー君が誰かに興味を持つなんてねぇ〜」
「おい。それ、色々と語弊があるぞ」
「冗談よ。でも、初めてじゃない? この家に『お友達』を連れて来るなんて」
ニヤニヤ、と気色の悪い笑みを浮かべながらこちらを見つめる姉さんに僕はバツの悪い表情を浮かべながら頭を掻く。
僕の事をイジって満足したのか、姉さんは再びテレビに視線を向けてボーっと見始める。
——ったく、余計なとこに食いついて来るな……。
だけど、見ず知らずの年頃の女の子を一泊させるなんて普通のご家庭なら理由を問う所だろうけど……悠の事をこれ以上何も追及してこない事には感謝しないと、な……。
僕自身、どう説明したら良いか分からなかった所だし……。
「——さてと、私もそろそろ寝ようかな。明日も早いしね」
テレビの上に掛けられた壁掛け時計を見ながら姉さんが唐突にそんな事を呟き、ゆっくりとした物腰で立ち上がると口元を押えて欠伸をする。
「おやすみ、姉さん」
「うん、おやすみ〜。キー君」
また、口元を押えて欠伸をした姉さんはそのまま居間を出て行き、二階にある自室に向かって足音を立てて階段を上って行った……。
——さてと、僕もそろそろ寝ようかな。
腕を頭上に上げて伸びをした僕はゆっくりと立ち上がる。
忘れないようにテレビを消し、居間の照明も消して廊下に出た僕は薄暗く灯った廊下の照明を頼りに壁伝いに足を進めて、一階にある和室を目指す。
僕の記憶が正しければ、和室の押し入れに敷布団などが収納されていたはず。だから、僕はそこを目指した。それに僕の自室は現在、悠が使用しているため。どの道、和室に向かわなきゃならない。
先ほどの居間で寝ればいいのだろうけど、まだ春先で肌寒い中。何もない所で寝ると風邪をひく恐れがある。
しばらく壁伝いに歩いていると目的地の扉前に到着し、滑りの良い引き戸を開けて中に入ると、窓から差し込む月明かりに照らされた部屋の中央に敷布団が用意されていた。
それが姉さんの計らいだと分かった僕は姉さんに感謝しつつ、床に就いてそのまま誘われるよう就寝……。
- (1)第二章 〜死にたがりの少女と天真爛漫少女〜 其の四 ( No.26 )
- 日時: 2012/06/29 21:31
- 名前: yuunagi(悠凪) (ID: wfu/8Hcy)
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n0270ba/16/
——翌日。
なぜかいつも起きる時間より早く目が覚めてしまい。布団に包まれたまましばらくボーっとしていると、どこからともなく「ガサゴソ」と物音が聞こえた。
もう、誰か起きているのだろうか?
そう思った僕は少し気だるそうに上体を起こして、布団から出てみたら思ったより肌寒く身震いしてしまう。
やべ、出たくない……。
息を吐くと少し白い息が出てびっくりしたが、布団から出ない訳には行かないので少し気合を入れ、一気に布団から飛び出ると、敷布団を綺麗に畳んで、物音がする方へ足を運ぶ。
足を進めるごとに「トントントン」と鮮明になって来た物音に少し不安を抱きながらも一歩ずつ進んで行くと、謎の物音はどうやら台所の方から発しているようで。
僕は台所に向かいこっそり覗き込んで見ると——そこにはきちっと着こなした黒のスーツの上にエプロンを身に付け、長髪が邪魔にならないようシュシュで髪留めした姉さんの姿があった。
「おはよう、姉さん」
「あら? ずいぶんと早いお目覚めなのね。もしかして、興奮して眠れなかった?」
「……何に興奮するんだよ」
「ほら、そこは姉の淫らな妄想をしてとかあるでしょ?」
そう言いながら作業を中断して、こちらに振り向いた姉さんは徐にスーツの中に来ている白いブラウスのボタンを一つ、二つ外して前屈みになり。見せつかせなくても十分衣服越しからでも分かる小玉西瓜を強調させながら、恍惚な笑みを浮かべ。艶やかな唇に小指を当てて僕の事を誘惑するように見据えた。
「ねぇ〜よ!」
僕は声を荒上げながらも即答で否定する。
なぜに実姉に欲情せにゃならんのだ。
それにそんなポーズされても見慣れてしまっているから何も思わん。
「……グスン、酷いわ。私なんてキー君の事を思って毎夜毎夜枕を濡らしていると言うのに……」
僕の悪態(?)に突然、嘘泣きだろうけど涙を拭く仕草を取りだした姉さんは乙女の涙で僕の事を泣き落そうと試みるが——当然の事ながら僕には通じない。
全く、何年姉弟やっていると思ってるんだ……。
「……誤解を招く事を言わんでくれ……」
「そうね、キー君の言う通りだわ。そこは『枕』じゃなくて『シーツ』だったわね。私のうっかりさん!」
テヘ、と少し舌を出しながら軽く頭を小突いて、一昔のブリっ子のような仕草をする残念な我が姉……。
「……いや、ホント土下座でも何でもしますからこれ以上しゃべらないでください!」
僕は半泣き状態で姉さんに訴えかける。
だって、そうだろ?
これ以上、馬鹿なやり取り続けていると僕の身が持たない。
「冗談はさておき——そろそろあの子を起こしに行ってあげなさい。もう、朝食が出来るわよ」
「りょうか〜い」
姉さんとの馬鹿なやり取りを終えて、僕は姉さんの言いつけ通り。
僕の自室でまだ眠っているであろう悠を起こしに二階へ足を運ぶ。
扉の前に「ミズキのへや」と彫られた木彫りのネームプレートが掛けられた部屋の前で僕は一旦立ち止まった。
この部屋の向かいに姉さんの部屋があり、僕の部屋の様に「ミズカのへや」と彫られた木彫りのネームプレートが掛けられている。
コンコン、と一応扉をノックして、中から返事があったので部屋に入る僕。
「悠(ゆう)。もう、起きて——ヘブシっ!」
突然、顔に枕を投げられてしまい、僕は思わず昔懐かしリアクション言葉を発してしまう。
なぜに枕をぶつけられなきゃならんのだ。
よくあるお着換え中にうっかり部屋に入ってしまった訳でもないし……。
そう、悠はもうとっくに制服に着替え終わっており、僕のベットの上で腰を掛けてのんびりと座っていたのだ。
それなのにだ……枕を顔に投げられてしまった。
悠は身体を小刻みに震わせながらこちらを凍りつくような鋭い目つきで睨む。
ああ、何か懐かしい視線だな……。
「——ホント、アナタって人は人の名前すら覚えられないの? こんなありふれた名前を間違えるなんてドット未満だわ。もう、無よ。無。今までドットと言う名の地位に甘んじていた事が奇跡だわ。ねぇ〜他のドットたちに失礼だと思わないの? 謝りなさいな。その汚らしい額を床に擦りつけて、その摩擦熱でこの家が全焼するまで謝り続けなさい」
開口一番に流暢な毒舌オンパレードで僕の存在そのものを否定されてしまった……。
僕に毒を吐いてすっきりしたのか、どこか清々しい顔を浮かべる悠。
——ん? ちょっと待て。今し方、名前を間違えるなんてって言わなかったか?
どういう事だ?
僕の目の前にいるこの少女は時雨悠(しぐれゆう)じゃなく——時雨悠(しぐれはるか)って事か?
それはつまり、今現在あの変な妹口調のキャラを演じていないって事、か……?
全く、分かりづらいな。でも、この方が彼女らしいか……。
ホント、ここまでキャラを使い分け出来るなんて将来名女優になれるような気がするよ。
「まぁ〜いいわ。で、何の用?」
「ああ、姉さんが朝食出来るから来いってさ」
「——そう。なら行きましょうか」
ゆっくりとした物腰で立ち上がり「スタスタ」と歩き出した彼女の姿をまじまじ見ていると鋭い目つきで睨まれてしまい、僕は思わず顔を強張らせてしまう。
ふむ、本当に元に戻っているようだ。
僕たちは姉さんが朝食の準備をしてくれているであろう居間に二人揃って出向く。
しかし、テーブルにはサラダしか並べられておらず、僕は悠(はるか)を居間に座らせると姉さんの手伝いに隣の台所へ向かう。
「姉さん。手伝おうか?」
「ありがとう。そうね……それ運んでくれる?」
「了解」
ハムエッグでも焼いているのだろうかフライパンを睨みながらトースターがある方を指さした姉さんに対して、何を言わんとしていたのか理解した僕は食器棚からトースト用の皿を人数分取り出す。
「あっ、姉さん。一つ、伝えなきゃならない事がある」
トーストを取り分けながら僕は思い出したかのように口ずさんだ。
——いや、これを伝えるために台所に再び出向いたと言っても過言じゃないな。
「プロポーズならロマンティックな場所が良かったけど……この際、台所でも良いわよ。気持ちが大切だものね」
そう言いながらハムエッグが出来上がったのか、フライ返しを手に取って、予め用意していたお皿にハムエッグを盛り付けた。しかも、豪勢に卵二個使用の星人バージョンである。
「違うわい。アイツの事なんだけど……」
「アイツ? ああ、悠(ゆう)ちゃんの事ね」
再び、ハムエッグ作りに取りかかった姉さんは油をひいて熱していたフライパンにハム、卵の順に投入して焼き始める。
「今のアイツは『ユウ』じゃなくて『ハルカ』なんだ。だから、呼ぶ時は悠(はるか)で頼む。それと口調も昨日とは全然違うから」
「……ふむ、乙女には色々秘密があると言った所ね。分かったわ」
フライパンを睨みながら特に追及する事無く了承してくれた姉さんは、少量の水をフライパンに注ぎ入れて「ジュ〜」と言う音と共に手際よく蓋をして蒸し焼き状態にした。
「じゃ〜宜しく頼む」
そう言い残して僕はトーストを盛り付けた皿を居間に運んでテーブルに並べていると、悠が少し照れた様子で「手伝おうか?」と申し出てくれたが、客人なので丁重にお断りした。
断った際に彼女が少しムスっとした表情を浮かべていたのは何だか印象的で、少し打ち解けたのかなって勘違いしそうにもなった。
- (2)第二章 〜死にたがりの少女と天真爛漫少女〜 其の四 ( No.27 )
- 日時: 2012/06/29 21:33
- 名前: yuunagi(悠凪) (ID: wfu/8Hcy)
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n0270ba/16/
しばらく姉さんの手伝いをして、やっとこさ全ての行程を終え。
居間のテーブルに並べられた朝食を前に各々好きな場所に座る。
僕はテレビを正面に向える特等席、その右隣りには客人である悠で姉さんは悠の向かい側に座った。
「えっと……こういう時は、アレよね?」
姉さんがキャラに似合わず少しドギマギしながら言葉を発し、それに僕たちは小さく頷く。
そして、僕たちは前に両手を出して合掌すると、
『——いただきます』
その挨拶と共に各々好きな物から手を付け始めた。
「そう言えば、姉さん。今日は結構のんびりしてるけど、仕事は大丈夫なのか?」
「……折角の食事時に嫌な事を言わないでよ……」
バツが悪そうな表情を浮かべながら姉さんはそう苦言を呈し、サラダを口に運ぶ。
隣を見ると黙々と朝食に手を付けている悠が居て少しホッとする。
口に合わなかったらどうしようかとひやひやしていたが、良かった……。
まぁ〜そんなに手の込んだ物は並んでいないし、朝食では定番メニューだから口に合わない奴は少ないか。朝食は和食派の人も居るみたいだけど……もしかして、遠慮して合わしてくれているのかな?
ふむ、表情に出さないから分からん……。
「……ふぁに?」
僕が悠の事をまじまじ見つめていると、それに気付いたのか、トーストをくわえながら軽く睨んできた。
僕はその姿に思わず、クスリと笑ってしまった。
無表情クールっ子がまさかトーストをくわえている事を忘れて頑張って言葉を発したんだ。
結局、何を言っているのかあまり聞き取れなかったし、これを笑わずにいられないよ。
「……何、笑ってるのよ」
今度はトーストをしっかり口から離して僕の事をさらに鋭い目つきで睨んで来たが、今の僕にはそれは通じない。
「いやいや、何でもないよ。ククク……」
「——何々、二人して。お姉さんに内緒で何か楽しい事でもあったのかしら?」
僕たちの他愛もないやり取りに姉さんが食い付き、しばらくの間この朝食会は和やかな雰囲気に包まれた……。
朝も朝で、出勤時間が早い姉さんとこうして話ながら朝食を食べる事が少ないから、ホント……昨夜の夕食と同じで何だか新鮮だった……。
しばらくして、出勤時間が迫った姉さんが慌てて朝食を流し込むように平らげ、僕たちは姉さんを見送りに玄関まで一緒に足を運ぶ事に。
「——仕事やぁ〜だぁ〜! キ〜く〜ん! どうにかして仕事を休めるように上に掛け合ってよ〜!」
玄関先でグータラスキルが発動した姉さんは客人の前で駄々をこね始め、僕に泣きついて来る。
僕は頭を掻きながらも毎度の事で手慣れたように姉さんにヒールを履かせ、玄関の扉を開けると——姉さんを強引に外へ突き出す。
外に突き出された姉さんは少しよろけたが、すぐに姿勢を正して少し乱れた身嗜みをきっちり整え、髪留めで使用していたシュシュを手首にはめ直し。長髪をなびかせながらこちらを振り向いた姉さんの雰囲気はキリッとした凛々しいモノへと様変わりしていた。
「——それじゃ、行って来るわね。瑞希、後は宜しく。悠ちゃんもまたね」
優しく微笑みながらそう言い残して姉さんは何事もなかったように出勤して行く。
その一瞬の変わりように悠は呆気にとられているように見受けられた……。
「……アナタのお姉さんって……」
「……この家で起こった事は全て忘れてくれ。特にアレの存在を重点的にお願いします」
「……努力はしてみるけれど、たぶん無理だと思うわ……」
「……そうですか」
表情には出ていなかったが、アレを見て明らか引いた様子の悠に少し申し訳なく思う。
姉さんの見送りを終えて、居間に戻った僕たちは残っていた朝食を無言のままゆっくりと平らげ、悠が「洗い物ぐらいはさせなさい」と軽く睨みながら申し出て、断る事も出来ずそのままやらせる事に。
だが、少し心配になった僕は遠目から彼女が洗う様子を窺っていると、気配を感じ取ったのか鋭い目つきで睨まれてしまい、あえなく退散する羽目になる。
——ふむ、心配だなぁ〜。
僕は居間で胡坐をかきながらも少し貧乏揺すりのような動作を取る。ちょっとした物音がする度に隣の台所の方へ視線を向けたりと、本当に落ち着きがなかった……。
しばらくして、流水の音が聞こえなくなり台所の方へ視線を向けていると、居間に入って来た悠と目が合い、冷たい視線で軽くあしらわれてしまう。
「……全く、洗い物ぐらい出来るわよ」
座り際に僕に苦言を呈して来た悠は少しご立腹の様子だった。
これに関しては明らかに僕が悪いから反省しないと……。反省、反省と軽く頭を小突いた僕はテレビの上に掛けられた壁掛け時計に目をやった。
時刻は午前七時三十分を回ろうかとしていた。
ふむ、そろそろ出る頃かな?
少し早いかも知れないが余裕を持って行ってもバチは当たらないだろ。
「——そろそろ、行こうか。悠」
「……何、気安く名前で呼んでいるのよ」
名前で呼んだ事が気に食わなかったのか、凄い剣幕で睨まれてしまった。
はて、これはどういう事なんだろうな。名前で呼ぶのは、あの妹口調キャラ限定って事なのだろうか?
結局、彼女の呼び方が定まらないまま、僕たちは学校に向かった……。
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