コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 苦労する男とドヤ顔の幽霊。終了。
- 日時: 2012/07/27 23:11
- 名前: オレオ (ID: qoVi4/mV)
幽霊に取りつかれました。
いや、呪いのひでおとかそういう類じゃなくて、もっとサブカルチャー的でなんか色々おかしい
「何一人語りしてるんですか?構ってくださいよ!美少女ですよー!」
外人さんでやたら美少女なアホの子。
風呂入ってたら「なかなかにご立派」とか言って覗きしてた。
やだよく考えたら超怖い。
「で!私ってなんなんでしょうね?俺さん!」
俺さんってなんだよ。と疲れ気味にオレはツッコんだ。
幽霊は大げさに、演劇か何かのような動作をしながら
「ほら私ってこんなに美少女じゃないですか?あ、発情しました?うっわやらしいちょっと近づかないでください気持ち悪いです。あとうれしくて私が発情します」
どっちだ。新手のツンデレか
「はっ、デレなんてないですよ。初回でデレるほど尻軽になった覚えはないです。体重0キロですけど!やだ俺さん、女の子の理想体型ですよ私!」
お前の理想はなんかおかしい。
あと俺さんってやめろ。
「いやほらSS的にね。んーじゃあ何がいいですか?名前?あなた?ダーリン?家畜?それとも大尉とか?……お兄ちゃんとか言わないでくださいね?ちょっとさすがに引きます」
何も言ってねえよ……。もう好きに呼んでくれ……。
「じゃあやっぱ俺さんで。なかなか気に入りました。個性のない俺さんにはぴったりなニックネームだと思うんですよ」
泣きたい。
ところでお前ほんとになんで俺に憑いてるんだよ?
「……いや、知らないです。私の人生?取り憑いた時からはじまってますし、生前の記憶なんてさっぱりありませんし」
まじかよ……。
こうして俺さんこと俺と、名前もないうざい美少女幽霊(自称)の共同生活が始まったのである。……明日神社とかで御参りとかすれば消えるかな?
- Re: 苦労する男とドヤ顔の幽霊。変わった人達との日常 ( No.8 )
- 日時: 2012/07/11 00:19
- 名前: オレオ (ID: CrVsa58M)
休みィ!?
「おう、会長からさっきメール入ってな。熱上がって酷いから病院行ってから一日おとなしくするそうだ。ん?お前に連絡来てないの?」
来てないです……。
あー、どうしよ。流石に二人分は食えないな……。
「おれが食っといてやるよ。お前の作ったもんならいくらでも入るぜ」
男相手にイケメンしないでください。
ま、もらってくれるなら助かりますよっと、
「あとお前会長の家近いじゃんか。一応学祭の資料もってってやってくれ。……好都合だろ?」
……了解です。とだけ答えて資料を受け取る。
……なんで連絡くれなかったんだろ?
いつもなら生徒会メンバー+オレに一括送信されるはずなんだが……。
しかも今日オレに弁当を頼んだ先輩が、だ。
「愛想尽かされたんじゃないんですか?」
幽霊が言う。
Tさんを呼ぼう。
「すいばぜん。もういいません」
「まー実際珍しいよな。会長がお前に連絡寄こさないの。単純に送信ミスか、言い辛かったとか?」
そうであってほしいですね……。
マジで愛想尽かされてたらどうしよ。
「あ?愛想?ばーか、んな訳……っと、……理由なく人を嫌いになるような奴じゃないのは分かってるだろ?いらん心配すんなって」
そっすね。
「ほぁー。副会長さんはいい兄貴ですねえ。ほんとみんなのお兄さんポジションを確立してそー」
ん、そうだな。この人は下級生から兄貴呼ばわりされてるぜ実際。
年下キラーだし。
「ふぃー。ごっそさん!流石だなやっぱ。……実際特にチャーハンならプロ級だろお前。これはヤバイウマイ」
お粗末様です。って、そんなプロになる気も無いですって。
煮物とかはてんで作れないしオレ。
「あー、煮物も喰いてえなあ。うし!明日煮物作ってきてくれ」
だからできませんって
「冗談だよ。……んで?どーよ?告れそうか?会長に」
……正直厳しいですね。一緒にいるだけで満足しちゃってるんで。
今の関係壊すのも怖いし。
「(うっわ、会長と同じ事言ってるよコイツ……)」
三年が卒業するまでにはなんとか……区切りをつけるつもりですけどね。どんな形であれ。
「ホント、お前はそういう事に堅いっていうか……もっと軽く考えていいんじゃないのか?」
キャラじゃないですって。それに、先輩の事は軽く考えたくないです。
「言うじゃん。そうだな。学祭期間中には上手く二人っきりにしてやろうか?」
あー、助かりますけど用意されても困るかな
「ヘタレ」
……最近よく言われます。
- Re: 苦労する男とドヤ顔の幽霊。変わった人達との日常 ( No.9 )
- 日時: 2012/07/16 00:45
- 名前: オレオ (ID: CrVsa58M)
先輩の家、丼屋に来た。
「門前払いとかされたらどうします?」
うるせえ。
……ちわーっす。
「いらっしゃーい。っと君か!ああ、娘を心配してきてくれたのかい?」
大将が嬉しそうに言う。
この人はどうもオレを気に入っているらしく、家でバイトしないか、娘を嫁にとかいろいろ言ってくる。
娘さん嫁にしていいんですかやったー!
本人の意思無視じゃないですかヤダー!
と、そんなどうでもいい心理描写は置いておいて、だ。
……生徒会からプリント届けてくれと頼まれたんで。先輩、風邪ですか?
「あー、なんか今朝から急に高熱でなぁ。ケータイでいろんな人に連絡してたがあんな画面凝視してたら治るもんも治らないだろうから無理やり休ませたんだが……」
ああ、だから俺にメール来なかったのか。
「っと、にしても悪かったなわざわざ。生徒会メンバーだっけ?」
いえ、生徒会のパシリですよ。オレは
って、あれ?今キッチン誰入ってんだ?いつもは大将が……
「ん?あれ?少年?」
Tさんだった。
「なんだ少年この店の常連だったのか?しかも妹の友達かぁー!」
い……も……うと?
嘘……だろ?
た、大将この人もしかして……
「ああ、ウチのバカ息子さ。定職に就きもしないでフラフラとやってなあ目の上のたんこぶだよまったく」
「ひでーな親父。せっかく妹が寝込んでるって聞いたから手伝いに来てやったのに」
……頭痛くなってきた。
……んじゃ、これでオレは……あ、先輩にお大事にって伝えておいてください。
「あいよー、いつでも連絡してなー!」
「また食べに来なよ、サービスするから」
二人に軽く会釈して帰路に就く。
なんか今日一日、心が重い。
あの兄弟はオレのテンションに著しく影響を与える。
プラスマイナスの違いがあるけど。
……明日は先輩出てこれるかな。
「なんかオレさんって乙女ですねー。つか大和撫子的な?」
うぜえ、今すぐお義兄さんを呼ぼうか
「すいません許して!あとなんで即お義兄さん呼びなんですか!」
- Re: 苦労する男とドヤ顔の幽霊。変わった人達との日常 ( No.10 )
- 日時: 2012/07/16 23:45
- 名前: オレオ (ID: CrVsa58M)
翌日。
「お、おはよう」
あ、先輩。回復したんですか。
というかお兄さん。いたんですね。
「な、何からどういえばいいのかちょっと……とりあえず色々ゴメン。お弁当とか連絡とかプリントとか」
いえ、構いませんよ。全然。
「あとその、兄さんの事はうん……変な人でごめん」
ああ、それはなんというか、ご愁傷様です。
正直オレもあの人苦手です。
「一番最初に君に連絡しておけばよかったかな、お弁当の事もあったし」
まあ大将に携帯取り上げられたんなら仕方ないんじゃないですか?
結局、お弁当は副会長が全部食べちゃいましたし。
「そうなんだよ。それだよ……ああ、君のお弁当だけが昨日一日の楽しみだったのに」
また機会があれば作りますよ。
「ん、期待して……くちっ」
……寒いですか?
と聞きながらオレはポケットティッシュを渡す。
「ありがと。んー、寒くはないし熱も引いたんだけど鼻水と咳がまだちょっとね」
辛いと思ったらすぐ早退とか考えてくださいよ?大事な時期なんですし。
「……そんなに私を帰らせたいか」
違いますって。
「あはは、分かっているよ。君は優しいからね」
ちょっと沈黙。
どうも先輩の調子がまだ悪そうだ。
いつもなら無駄話に花を咲かせているところだ
なんだか顔も赤い。
ホントに大丈夫か?
「あ、あのさ……」
ん?どうしました?
「今年の学祭ラストに花火大会をやろうと思うんだ」
おっ、いいんじゃないですか?パーッとはでな締めで
「そうか。よかった。君が賛同してくれるとなかなかどうして案に自信が持てるな」
……先輩。だいぶ前から思ってたんですけど……
「ん?なんだい?ジト目で」
先輩ってオレの事一回も名前でも苗字でも呼ぼうとしたこと無いですよね?
「……あーあー、なんのことかな?」
知らん顔が露骨すぎます。
いや、別に文句があるって訳じゃないんですけど浅い間柄ってわけじゃないんですし、
「(そりゃあ名前も苗字も恥ずかしくて呼べないなんて……言えないね)」
んー、としばらく先輩が考え込む。
「私にとって君は君で……んーそうだな。あだ名で呼ぼう!たっくん。君は今日からたっくんだ」
オレの名前にも苗字にも”た”の字は入ってないじゃないですか。
どっから来たんですかたっくん。誰ですか。
「昔近所にいたかわいい犬。君によく似ている……気がする」
結局ちゃんと呼ぶ気はないんですね。
「いや、あるある。努力するよ」
名前を呼ぶのに努力って……まあ、期待してますよ。
- Re: 苦労する男とドヤ顔の幽霊。変わった人達との日常 ( No.11 )
- 日時: 2012/07/19 22:11
- 名前: オレオ (ID: CrVsa58M)
ぐぁあああ。金曜日が終わった!
ふはは!明日は休みだ!久々に中学メンバーと遊ぶのもいいかもなー。
そう思って中学から一緒のやつに声をかけようとした矢先だった。
「お疲れ様、みんな」
ガラリ。と、先輩が入って来た。
人気者でファンクラブすらある先輩が脈絡もなく教室に入って来たのだ。
静まったようなざわついているような不思議な雰囲気に包まれる。
「たっくん、すまない。DVDの返却期限が一昨日だった。お金を貸してください」
これだ。
教室中の視線が俺に集まる。
嫌に恥ずかしい。
ため息を一つして財布からお金を出して先輩に渡……いや、
……先輩、ちょっとこっちへ。と先輩と一緒に教室から出た。
昨日寝込んでいたとはいえそれはそれ、これはコレ。
お叱りモードである。
「…………」
びくびくと小動物のようにこちらを窺う先輩。
一応お金を出してから
……貸すのは良いんですけど……と言い出すと
「か、返すっ!絶対返す!」
いえ、それじゃなくて、教室以外でお願いできませんか?恥ずかしいで
「……それは……私と話しているところを見られたくないと?」
そういう訳じゃないですけど変な噂立てられるのは互いに嫌でしょう?
「……ごめん、今日はもう帰るかな。お金明日返すね」
それだけ言って先輩はそそくさと行ってしまった。
ぬっと後ろから幽霊が出てきて
「俺さん、おっかけたほうがいいですよ」
あ?なんで?
「いいから。俺さんが先輩の為に言った事でも先輩は違う風に聞こえたから変だったんですよ!泣き出しそうな顔してたのわかりますか!?」
……マジか。
ああ、よく考えたら確かに……。
気恥ずかしさで気が回らなくなってた。
……くそっ。
悪態をついてオレは先輩を追いかけ始めた。
- Re: 苦労する男とドヤ顔の幽霊。変わった人達との日常 ( No.12 )
- 日時: 2012/07/27 23:07
- 名前: オレオ (ID: qoVi4/mV)
先輩は屋上にいた。
ここは、オレと先輩が最初に話した場所だ。
今でも鮮明に覚えている。
昨年の春、
友達と昼飯を食べに来てオレが眠いから授業前に起こしてくれって頼んだらまさかの裏切りにあって……。
「おい、君。もう六限目だがまさか昼休みから寝ているのかい?」
と、話しかけられた。
……どちら様ですか?
と聞いてからすぐ生徒会の会計の人だったな。と思い出した。
ので、ああ生徒会の先輩でしたか。とすぐ起き上がったはずだ。
そして先輩は聞いてもいないのに
「ふふ、実は私もサボタージュだ。今日は女の子の日でね。どうも授業を聞く気にならないからね。来てみたら君があんまりに気持ちよさそうに寝ているわけだから」
イライラして起こした。
と自信満々に言っていた。
正直なんだこの女。と腹が立った。しかし、今から授業に戻るわけにもいかない。
「君は無駄話は好きかな?」
ちょうどそんな事を聞かれたので
「まあ質疑応答程度なら」
渋々そう答える。
時間潰しのハズだった。
楽しかった。話が弾んだ。
そして、次第によく話すようになり、いつの日かオレはその人が好きになった。
どうしようも無い理由である。
そして、今、オレはその人の泣いている顔を初めて見た。
「すまない。ちょっと今顔を見られたくない」
先輩は振るえた声でそう言ってオレを遠ざける。
が、ここで引いたらクソ幽霊にこっぴどく怒られるし、何より
ここまでされて無自覚なほどオレも腐っちゃいない。
下手をすれば痴漢である。
失敗すれば絶交である。
ビンタからの音信不通になってしまう。
が
知らん。
抱きしめて好きですと言った。
先輩は泣くのを我慢していたようだが、どちらの意味か、感極まって声を上げて泣き出した。
身長はそこまで変わらないがとても小さく見えた。
……遅くなりました。すいません。と謝る。
付け加えるようにさっきも酷いこと言ってすいませんと謝る。
「馬鹿だねっ……ふっ……えっ……君は……ぁっ」
引きつった声で先輩はなんとか優位に立とうとしている。
あんまりにも愛おしくなったので抱きしめる力をちょっと強めた。
先輩もおずおず背中に腕を回してくる。
「うん。私も……好きだよ。いや、君の二倍は愛していると言っても過言では無いね。私の勝ちだ」
恥ずかしくなってきたのか先輩は強がって早口でそんなことを言う。
だが負けたくないのも恥ずかしいのもテンパっているのも、オレも同じであり、
笑わせないでくださいよ。オレの方が五倍は好きですって。好きすぎて虐めたくなるぐらい好きですって。オレの勝ちです。
「はっ、恥ずかしいことを言うね!だ、だが君は好きだと言ったな?私は愛してるっていったもん!私の勝ちだろう!質がちがうよ質が!」
いやオレより先輩の方が恥ずかしいこと言ってますよね。
「ぐあっ!や、やめてくれ。抱きしめたまま頭を撫でるな!く、くそう恥ずかしくて死にそう」
……ふー。と先輩は息を整えて。
「天海宗一君。私は君が好きです。結婚を前提に付き合ってください」
初めて、名前を呼ばれた。おら、たの字なんて一文字もない。
ならば、オレも先輩の名前を呼ぶべきだろう。
志乃先輩、勿論オレはOKなんですけど、オレの方に答えはくれないんですか?
「む、意地悪だな君は。OKに決まってる」
こうして主人公であるオレの物語は終了。ハッピーエンドを向かえた。
「さて、今度は主人公、幽霊の物語を始めなくてはいけない」
そうですね!次からは私の出番です!
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