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ミルクティーと、雨降りSunday
日時: 2012/12/01 08:05
名前: アオサキ (ID: WhsLmv8J)


長編はオチまで書けないので【短編】初挑戦です!
楽器・機械の擬人化含みますのでご注意を。

うまくいったらまた書こうかなー……と思っております。

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Re: ミルクティーと、雨降りSunday ( No.1 )
日時: 2012/12/01 10:17
名前: アオサキ (ID: WhsLmv8J)



 雨降る休日。
 今日は日曜。

 窓を開けると、冷たい風と雨の匂いが部屋に流れ込む。
 灰色の空から降る雨は、ぽつりぽつりと心地良い音を立てながら屋根
に落ち、また地へ落ちる。雨の日ならではの音を邪魔しないように、遥
はそっと窓を閉めた。



 キッチンで紅茶を淹れ、自室へと向かう。
 ドアを開けると、そこにはつまらなそうな顔でテーブルに突っ伏すギ
ターがいた。

「おはよ。カイ」
「……んー……おはよ」

 遥はそのギターの事を『カイ』と呼んだ。ブランド名から取ったもの
だ。
 カイの素っ気無い答えに機嫌を損ねるでもなく、遥はカイの向かいに
腰を下ろし、まだ湯気の立つカップをテーブルに置いた。

「今日はどっか出かけんの?」

 むくりと起き上がったカイが、遥のカップを凝視しながら訊ねる。

「まあね」
「……ふーん」
「なによその反応。アンタは留守番だからね」

 わかってますと言わんばかりにカイはテーブルに肘をつき、楽しそう
に服を選ぶ遥を目で追った。

 ……『アノ人』に、会いに行くのだろうか。

 遥の好きな人。実際口で言った訳ではないが、見ていればわかる。
 アノ人にあった後の遥はとても嬉しそうで、どこか悲しい顔をする。
悲しくなるくらいなら会いに行かなければ良いのに、とカイは毎回思う
のだが、それが人の恋って奴なのだろう。カイは何も言わないことにし
た。





「いってきます」
「あんまり遅くなるなよ?」
「わかってる」

 小走りで駅に向かう遥の姿を見送ると、カイは遥の部屋に戻った。
 部屋には遥の飲みかけの紅茶が、もうすっかり冷めて残っていた。

Re: ミルクティーと、雨降りSunday ( No.2 )
日時: 2012/12/01 11:22
名前: アオサキ (ID: WhsLmv8J)



 やがて日は暮れ、また雨が降り出した。

 カイが買い物から帰ると、そこにはひどく沈んだ様子の遥がいた。朝
のあの機嫌はどこへやら。あえて何にも触れないで買った物を収納して
いると、あまりにもわざとらしい深い溜め息をするのでカイは仕方なく
遥の隣に座った。

「私があと七、八年早く生まれていれば……」
「なにそれ」
「だって……そうなんだもん」

 この様子からして、せいぜいアノ人に彼女がいたとかそんなことだろ
う。まあ遥からしてみれば「そんなこと」で済むほど軽くは無いのだろ
うけど。

「……まあ、仕方ないんじゃない?」
「うん」
「俺はそういうのわかんないけどさ」
「……知ってる」

 このままじゃ会話なんて続かない。とりあえずカイはいつも遥がやっているようにミルクティーを淹れてやった。

「飲む?」

 こくんと頷くと遥はカイの淹れた紅茶を一口飲み、匂いを嗅いでから
不満そうな顔で一言、「牛乳入れすぎ……」と呟いた。

「だったら俺にやらせるなよ」
「いいじゃん。たまには淹れてほしかったの!」

 部屋に響く雨音と深い溜め息——+カイの歌。

「なんで失恋ソングなのよ!?」
「いいじゃん、別に」
「……わざとでしょ」
「……」

 紅茶香る部屋の中、遥は静かに泣いた。
 遥が悪い訳じゃないんだ。アノ人が悪い訳でもない。タイミングが少
し、悪かっただけだ。そう言おうとして、カイは口をつぐんだ。きっと
遥もわかっているのだろう。それでもアノ人が好きなんだ。


 人の恋って難しいな。そう改めて思いながら、カイは歌を続けた。

 
 優しい雨とギターを伴奏に、その日はずっと歌声が響いていた。


Re: ミルクティーと、雨降りSunday ( No.3 )
日時: 2012/12/01 11:27
名前: アオサキ (ID: WhsLmv8J)




ここまで読んでくださりありがとうございました。
どうだったでしょうか?

また会える日をお待ちしております。


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