コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 俺と羊と彼女の3ヶ月【完結】
- 日時: 2013/10/20 00:14
- 名前: ゴマ猫 (ID: QXDbI9Wp)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=33042
はじめまして、ゴマ猫です。
コメディライト、2作品目となりました。
今回はちょっと不思議なラブコメに挑戦しています。
内容がわかりづらかったらすいません(汗)
読んでくださった皆様のおかげで、無事完結させる事ができました。
参照が、2000を超えました!!
ここで書かせていただいてから初めてこんな凄い参照数になり、ただただ、感謝の言葉しかありません。読んでいただいた皆様、本当にありがとうございました!!
2013年夏の小説大会コメディライト部門で、銀賞をいただきました。何かの間違えではないか? と思ってしまうほど驚きました。
すべてこの作品を読んでくださった皆様のおかげだと思っております!! 本当にありがとうございます!!
下の作品は、自分の過去作品と、合作です。
どちらも、完結作品です。
興味があったら、この作品も含めてコメントいただけると嬉しいです。
【日々の小さな幸せの見つけ方】前回作品です。(1ページ目にリンクあります)
【幼なじみから恋人までの距離】あるま様との合作です。(リンクは上です)
——あらすじ——
眠ることが大好きで、中学時代は寝る事に没頭していた桜井洋一(さくらいよういち)は、羊神社で謎の羊に遭遇。羊の呪いで洋一の記憶は徐々に消えていき、3ヶ月しか持たないと言われる。呪いを解くために羊に出された条件とは……?
【お客様】
結衣様 華憐様
朔良様 春歌様
藍歌様 一之瀬様
あるま様 珠紀様
七海様
【目次】
登場人物紹介>>7
羊との遭遇>>1 >>2 >>3 >>4
羊との再会>>8 >>9
彼女との遭遇>>12 >>13
俺と彼女の距離>>14 >>15 >>18
夢の中で>>19 >>20 >>21
帰り道>>22 >>23
葉田の憂鬱【番外編】>>26 >>27 >>30
おんじぃの助言>>31 >>32 >>33 >>34
幼い頃の記憶【橘 菜々編】>>35 >>38
彼女の場合【橘 菜々編】>>39 >>42 >>47 >>48
デート>>49 >>50 >>54 >>55 >>60 >>64 >>67 >>70 >>74 >>75 >>78 >>81 >>83 >>87
日常の変化>>88 >>93 >>97 >>98 >>104 >>109
空白の時間【橘 菜々編】>>110 >>113 >>116 >>119
空白の時間【桜井 洋一編】>>123 >>124 >>125 >>126 >>130 >>131 >>135
エピローグ>>136
???>>137
あとがき>>144
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- 空白の時間【桜井 洋一編】 ( No.135 )
- 日時: 2013/08/27 22:31
- 名前: ゴマ猫 (ID: RohPBV9Z)
お賽銭箱の所まで着くと、橘さんは俺から手を離し、目を閉じて両手を合わせ、祈りはじめた。
すると、まもなくして急速に意識が落ちていく。意識が戻り、ゆっくりと目を開けると、あたり一面が真っ暗な空間に俺と橘さんは居た。
夜の暗さとはあきらかに違う異質さを感じる暗闇、ただ橘さんと俺だけはぼんやりと見える。
例えるなら、俺達にだけ弱めのスポットライトでもあたっているような感じだろうか。
「……あっ」
橘さんが呟くような小さな声をあげた。
俺は橘さんの視線の先を見てみると、そこには真っ白な毛皮におおわれた羊が居た。
……これは夢なのか?
そんな疑問が頭に浮かぶ中、橘さんと羊は会話を始めた。
「……今日はお願いがあってここまで来ました」
「そなたの言いたい事はわかっている。その少年の記憶を戻せと言うのだろう?」
「はい」
羊が喋る事にも驚きだが、橘さんが羊と普通に会話をしている事にさらに驚いた。
事態がいまいち理解できないまま、俺は橘さんと羊の会話を聞く。
「それはできない。その少年は約束を果たせなかった。……いや、というより果たす事ができなくなったという方が正しいのか」
「ど、どういう意味ですか……?」
訝しむような視線を羊に向ける橘さん。
「そなたの願いはすでにかなえられたからだ。離ればなれになった、そなたの父は戻ってきて、そなたは心からの笑顔を取り戻した」
重く低音の声で、淡々と話す羊。
「偶然ではあるが、少年が約束を果たした訳ではない。……それに、自らにかかわった全ての人物の記憶を消してほしいと、その少年が望んだ事なのだ」
……よくわからないが、この『羊』は他人の記憶操作ができるという事か?
たちの悪い冗談だ。
羊が喋るってだけでも驚きなのに、人の記憶操作までできるなんてもはや漫画や映画の世界だ。
——それと、いくつか疑問もある。
『かかわった全ての人物の記憶を消してほしい』と『俺』が願ったのなら、なぜ橘さんは『俺』の事を覚えているんだ?
——それに、その約束だと、まるで羊が橘さんのためにした事のようだ。
「……その約束は、私のためにしたものなんですか?」
橘さんはかすれるような声で羊に尋ねる。
俺が疑問に思った事と一緒だ。
「そうだ。そなたが幼い頃に私は一度助けてもらった。あの時から、私はずっと思っていたのだ……いつかそなたを心からの笑顔にしたいと」
「……じゃない」
羊が話し終えると同時に橘さんが聞こえないぐらい小さな声で何か呟いた。
「そんなの私が望んだ事じゃない……。お父さんも、桜井君も居るから私は笑顔でいられる。どっちが居なくなっても、私は笑顔になれないよ」
橘さんは、今度はハッキリと聞こえるように話した。
……橘さん。
以前の記憶はないけれど、俺は橘さんに笑っていてほしいと思う。
「……橘さん。大丈夫……大丈夫だから。俺、前の記憶はないけど、もうどこにも行かないから」
「……さ、桜井……くん」
俺を見つめたまま、橘さんの瞳から決壊したダムのようにとめどなく流れ落ちる涙。
きっと、記憶があってもなくても、橘さんの事は好きになったと思う。
もう一度、そう、最初から始めればいい。
何度だって、やり直せばいい。
迷ったら一緒に考えればいい。
——俺のこの気持ちがあるかぎり、何度だって。
- エピローグ ( No.136 )
- 日時: 2013/08/28 18:21
- 名前: ゴマ猫 (ID: tHinR.B0)
「ご、ごめん!! お待たせ!!」
「ううん。私も今来たとこだから」
うだるような夏の日差しが降り注ぐ中、駅前にあるカフェの自動ドアを通り、先に着いて待っていた橘さんに謝る。
今日、俺と橘さんはここで待ち合わせをしていた。
……いわゆるデートというやつか。
昨日の夜、緊張し過ぎたせいか、あまり眠れず寝坊という最悪なパターンになってしまったにもかかわらず、橘さんは春のやわらかな陽光のような笑顔で許してくれた。
本当は結構待っていた気もするけど、ここは橘さんの優しさに甘えてしまおう。
「えへへ、今日の水族館楽しみだね」
「本当だね。地元に新しくできた水族館だし、期待しちゃうよ。アシカショーが注目らしいけど」
橘さんと対面の席に着き、そんな会話をしながら、頭の中でこの間の出来事を思い出していた。
あの日の、橘さんと羊のやり取りを。
——あの時、もう記憶が戻らない事を覚悟していた俺は腹をくくっていた。
『このまま記憶が戻らなくてもいい』っと。
しかしそう思った瞬間、意識が現実へと戻されて俺の記憶は戻っていた。
俺と橘さんは、2人して抱き合い喜びあったのだが、いくつか疑問というか、謎が残った。
なぜ急に羊は心変わりしたのかという事。
あれ以降、羊に会う事はおろか、夢にすら羊が出てくる事が一切なくなった事。
そして、記憶を失っていた時にお世話になった竜さんも、いつの間にか居なくなってしまった事。
……とまぁ、事実を知っているであろう張本人(羊は人ではないが)が居ないのでは推測をする事ぐらいしかできない。
今はただ、記憶が戻った事を素直に喜ぶべきだろう。
「さ、桜井君?」
心配そうな表情で俺の名前を呼ぶ橘さん。
考え事をしていたせいか、橘さんの会話を聞いていなかった。
「ご、ごめん。ちょっと考え事しててさ。何の話しだっけ?」
俺がそう言うと、橘さんは少し拗ねたように頬を膨らませて、先ほどの話しをもう一度してくれた。
「……だ、だから、せ、せっかく、恋人同士になれたんだし、そろそろ名前で呼び合っても……いいんじゃないか……と思った訳です」
橘さんはそう言うと、頬を染めて少し恥ずかしそうに俯く。
……そう言えば、出会ってからずっと名字で呼び合ってたんだよな俺達。
「確かにそうだね。じゃあ、今から名前で呼ぶ事にしよう」
「う、うん。……えっと、よ、よ、よう、よう」
かなり恥ずかしいのか、言葉がつまりすぎて若干ラップになっている気がする。橘さんとラップ……うーん、全然似合わないな。そんなどうでもいい事を考えていると、橘さんは俯いたまま無言で俺の手にタッチしてきた。
これはつまり、『交代』という事か。
「じゃあ俺が言うね。えーっと、な…………な」
うん。まさか、面と向かって名前を呼ぶのがこんなに恥ずかしいとは……!
俺もつまり気味に言うところを見て、俺と橘さんはお互いに笑いあう。
「まだまだ練習が必要だね。私達」
「そうみたいだね」
——でも焦る必要はない。
これからゆっくり、名前を呼びあえる関係になれればいいのだから。
「橘さん」
「うん?」
少し周囲を気にしながらも、俺はずっと伝えたかった言葉を言う。
「……大好きです。もし迷惑じゃなかったら、これから先もずっと橘さんと一緒に居たい」
「ふぇ……!?」
唐突に言ったせいか、先ほどよりさらに頬を真っ赤に染めて、驚く橘さん。
そして、少しの沈黙の後。
「……うん。私も同じ気持ちだよ。……もう勝手にどっか行ったらダメだからね?」
「あはは……。もうどこにも行きません」
橘さんはゆっくりと頷いてそう言ってくれた。
軽く釘をさされたが、もう何があってもどこにも行く気はない。
——だって
「そ、そろそろ行こう!! 間に合わなくなっちゃう」
「う、うん!!」
急におそってきた恥ずかしさをごまかすように、俺は橘さんにそう促す。
——俺が居たい場所は、君の隣りなのだから。
〜END〜
- ??? ( No.137 )
- 日時: 2013/08/28 18:35
- 名前: ゴマ猫 (ID: vysrM5Zy)
「お前も甘いね。あの少女の記憶だけ消さないとは。おかげで話しがややこしくなった」
「……あの子には昔助けられた恩があってな。恩返しをするつもりが、いつの間にか私はあの子を苦しめていたようだ」
真っ黒な毛皮におおわれた羊が問いかけると、対照的な毛皮の真っ白な羊は苦々しい表情でこたえる。
「お優しいことで。まぁ、お前があの少女の笑顔を奪ってたんだからな。当然といえば当然か。だったら、頼まれた時にあの少年を直接こっちに移動させれば良かったのに」
「……故意ではない。あの子の父が戻ってきたのも予想外であった。それと私は万能ではないのだ」
黒い羊の責めるような口調に、白い羊は苦々しい表情のまま言葉を返す。
「ふん……どうだか。ともかく、お前の目的は達成されたんだ。これ以上、人間達にかかわる必要はないな」
「達成されてはいない。私の過ちであの子を傷つけたなら、最後まで見守る義務がある」
真っ白な羊は語気を強くして、真っ黒な羊にそう言う。
「やれやれ、欠陥だらけの神様だねぇ。俺ならもっとスマートにやれたのによ」
真っ黒な羊は挑発的な笑みを浮かべて白い羊にそう言った。
「……こりないやつだ。また何かをするつもりならば容赦はしないぞ」
白い羊は、キッと睨めつけるような視線を黒い羊に向ける。
「おいおい、そんな怖い顔で見るな。俺も人間達と気の遠くなるくらいの時間を過ごしたんだ。そんな無駄な事はしないさ」
その鋭い視線をかわして、飄々とする黒い羊。白い羊もその言葉を聞いて安堵したのか、視線を別方向へとうつした。
「……人間になって思ったんだ。人間も悪くないってな」
「まさか、お前があの少年を助けるとは思わなかったが?」
「気まぐれさ。あとは……お前への嫌がらせってとこか」
「……性格は相変わらずだな。しかし、今回は感謝せねばならんな」
白い羊は一呼吸置いたあと、ゆっくりと次の言葉を紡ぎ出した。
「最後の最後で……あの子を本当の笑顔にさせられたのだから」
- Re: 俺と羊と彼女の3ヶ月 ( No.138 )
- 日時: 2013/08/29 00:14
- 名前: あるま ◆p4Tyoe2BOE (ID: Ba9T.ag9)
完結、お疲れさまです&おめでとうございます!!
ゴマ猫流も、だんだん確立されてきてますね笑
楽しくて後味の良い作品で、見習いたいぐらいです笑
今回は日常系ラブコメでありつつファンタジー(ミステリー?)な要素も入っていて、従来の作より深みが増しているかと思われました。
まあ理屈は程ほどにして笑
またお時間あれば是非とも書いて欲しいところです。
ではまた!!
- Re: 俺と羊と彼女の3ヶ月【完結】 ( No.139 )
- 日時: 2013/08/30 00:48
- 名前: ゴマ猫 (ID: QXDbI9Wp)
あるま様
完結してからの初コメです。
いつもありがとうございます(^_^)
無事、完結させる事ができました!!
ゴマ猫流が確立されているのか自分では分かりませんが(笑)
あるま様に見習いたいと言われるとは……!
読んでいただいて少しでも『楽しい』と思ってくれたのなら嬉しいです!!
そうですね。
前作と比べると、描写も少し重い部分が増えた作品になりました。
それだけに、『読みやすさ』や『分かりやすさ』を意識しましたね。
深みが増したと言っていただき、ありがとうございます!!
次回は何を書くか、まだ未定なんですよね。
でも、短編でもいいので、何かしら書きたいな〜っとは思ってます。
あるま様の方にも、時間がある時にまたお邪魔したいなっと思います!!
応援、ありがとうございました!!
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