コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- キミに捧げる5つの言葉
- 日時: 2014/01/30 21:11
- 名前: Budgerigar (ID: axyUFRPa)
初めましてです!
今までは読む派だったので、書くのはまだ慣れてなくてグダグダかもしれませんが、
よろしくお願いします(・v・;)/
更新は基本遅いですが、なるべく出来るように頑張ります((*^o^
というか受験終わって落ち着いたら、また更新頑張ります。
- Re: キミに捧げる5つの言葉 ( No.9 )
- 日時: 2013/08/18 11:26
- 名前: Budgerigar (ID: YIyIMDeD)
#6
そうこうしてる内に四時限目開始のチャイムが鳴り、生徒たちはズラズラと自分の席へ戻っていく。
うー・・・この時間が終わったら説教かぁ・・・・優鬱だぁ・・・・・・・。
「——咲良」
この後の自分の説教されている姿を想像して、なんとなくブルーな気持ちになっていると、隣から小声で呼ぶ声が。
「何? 奏都」
呼んだのは、隣の席の奏都。
「この後・・・・・・どうすんだ?」
この後って、多分・・・・・・説教のことだよね。
そういえば、どうしてさっき起こしてくれなかったんだろう。
「どうする、って?」
「真面目に説教受けるのか?」
「だって・・・・・・仕方ないじゃない」
「ふーん・・・・。・・・・・・逃げるの手伝ってあげてもいいけど?」
「!」
う・・・・・・うそっ、奏都が!?
常にテストで学年トップ(偶に2位だけど)の、先生たちから信頼されている、あの真面目な奏都が!?
「なんだよ、その“信じられない”みたいな目は・・・・・・」
「だ、だって・・・・・・うーん・・・・・・・・・・・・」
奏都、本当にどうしたんだろう。
今日はなんだか意外な発言するし、優しいし。否、優しいのはいつものことなんだけど。
「で、どうすんの」
「えっと・・・、お願いします・・・・・・っ」
なんか奏都に頼ってばかりで申し訳ない気がするけど、あの怖い先生の説教を回避出来るのなら、それに越したことはない。
「ん」
一応授業中だから前を向いたまま、少しぶっきらぼうに言い放つ奏都。
だけど、チラッと隣を盗み見ると、すごく優しい顔をしていて。
それを見るたびに鼓動が速くなって。
”好き”という気持ちが溢れてきて。
「——・・・奏都」
知らず知らずのうちにキミの名前を呼んじゃってて。
「・・・・何?」
ハッと気づいたら奏都がこっちを向いて、不思議そうに首をかしげていた。
「ううん、なんでもない————・・・けど」
私はそのままノートの端を小さくちぎって、一言書いてから奏都の机の上ににそっと置いた。
私がそこに書いた一言は————
『ありがとう』
————強く想いを込めてこの言葉を、キミに。
今朝遅刻しないように走ってくれたことも、
逃げるのを手伝うって言ってくれたことも、
全部、全部ひっくるめて。
ちょっとずるいかもしれないけれど、奏都の顔を見ながらだと緊張しちゃって、絶対顔が真っ赤になるから。
私も前を向いて、必死に授業を聞いてるフリをしたんだ。
だから実はその時、その小さな手紙を読んだ奏都の頬がほんのり桜色になっていたことを、私は知らなかった。
——それに、後から聞いた話では、紅葉はその一部始終を見ていたんだとか。
第1章・完
- Re: キミに捧げる5つの言葉 ( No.10 )
- 日時: 2013/10/20 12:15
- 名前: Budgerigar (ID: prO5lpAd)
*第2章『愛しの、キミへ』*
#7
えへ。
えへへへ。
只今、顔がニヤケ中です。
———あっ、決して常日頃からニヤニヤしてるわけじゃないよ!?
今現在、奏都が物凄く近くにいて・・・・・・顔がゆるゆるなのです。
・・・・・・あれ、私変態みたい。
・・・・・・まぁ、それは兎も角として、やっぱり好きな人の近くにいれるっていうのは、嬉しいものですな。
「・・・・・・狭いな」
「そ、そだねっ」
そして何故こんなに近くにいるかというと———、
「! ・・・・・・っ静かに」
「おーい、誰かいるかー? って返事するわけないか!」
只今タッチ隠れ中でもあるのです。クラス全員で。
(で、暗いロッカーの中で一緒に隠れててお互いの顔が見えないから、ニヤニヤ出来るのだ!)
「うーん、ここにはいないかー」
鬼役の瀧本くんが此処から離れていったのを確認して、ほっと息をつくと、急に肩にずっしりとした重みが。
「え、ちょ、奏都!?」
どうやら奏都が私の肩に頭を乗せたようで。
「ごめん、安心しちゃってさ・・・・・・。さっき息まで止めてたし」
少しの間このままでいい?、と奏都が耳元で小さく呟いたから、「うん」と返して私も頭を奏都の肩に預けた。
「・・・・みーつけた!」
視界が急に明るくなって、何事かと思って外の方を見てみると、そこには鬼役の瀧本君が。
「げ」
私と奏都は咄嗟にロッカーから出て、タッチ場所へ急いで向かった。
だけど、先に走り始めていた瀧本くんに勝てるはずがなくて。
「ターッチ! 佐倉と咲良ちゃんアウトー!!」
無念にも二人揃ってアウト。
「ッチ、もうちょいだったのに・・・・・・」
「ヘッ。今回の勝負、俺の勝ちだな」
「いや、勝負はしてないから」
少し悔しそうな奏都と、満足げな瀧本くん。
瀧本くんも、奏都とまではいかないけど、太陽のような笑顔がとても似合っててかっこい———
「あ、でもごめんな? 折角のラブラブタイムを」
・・・・・・余計な一言さえ言わなければ。
- Re: キミに捧げる5つの言葉 ( No.11 )
- 日時: 2013/10/20 13:13
- 名前: Budgerigar (ID: prO5lpAd)
#8
「やは〜。奏都が捕まったら、あっという間だったねぇ」
タッチ隠れが終わって、汗を流しながらもサッパリとした笑顔で言う瀧本くん。
「・・・・・御前、走ってるときの自分の顔、一回鏡で見てみろよ」
「は?」
・・・・・・うん。
奏都が思わずそう言っちゃう気持ち、ちょっと判る気がする。
瀧本くんって、普段はすっごく『爽やかな美少年!!』って感じなんだけれど、何かに熱中したときは・・・・・・言っちゃ悪いけど、
殺人者みたいな目をしてるんだ。
・・・・・・本人は気づいてない様子だけど。
「いっくん!!」
奏都が呆れ、瀧本くんが首を傾げ、私が二人のやり取りを見て笑っていると、遠くの方から瀧本くんを呼ぶ声が。
「おー!紅葉〜」
声の主の紅葉は、瀧本くんが返事をするとすぐさま駆け寄ってきて、そのまま瀧本くんの胸にダイブ!
「ぐぇッ、びっくりした〜」
「えへへ。いっくんとのハグ、久しぶり〜」
実はこの二人付き合っていて、このことは皆には内緒にしてるから、親友の私と奏都しか知らないんだけど・・・・・・。
「わぁ〜、いっくんの頬っぺた柔らかーい」
「ん・・・・・・くすぐったいよ、紅葉ぁ」
私たちの前では、所構わずイチャイチャし始めて勝手に二人の世界に入っちゃうから、
見てるこっちが恥ずかしくなってくるんだ。
まぁ、そんな時は奏都とこっそり抜け出して、二人きりにしてあげるんだけどね。
「んじゃ、俺らは帰るか」
「そだね」
さて、今回も二人の邪魔をしないように、私たちはひっそり退散しますか!
まぁそんな訳で、奏都との下校中。
「———あぁ!!」
奏都と久しぶりに帰れるので浮かれてて、すっかり大事なことを忘れてた!!
「ん? どうかしたか」
「鍵・・・忘れた・・・・・・」
「鍵・・・って、家のか? おばさんは?」
「今日お母さんは高校の同窓会で、帰り遅くなるから・・・・・・」
「あーもしかして、帰ってくるまで家に入れない・・・・・・とか?」
「・・・・・・うん」
うわー最悪だぁ。
私のバカ・・・・・・。
「ったく、御前バカなんじゃねぇの」
「正しくその通りでございます・・・・・・」
・・・・・・どうしよう。
まだほんのり肌寒い中、自分の家の玄関の前で一人ぼっちで待つのかー。
・・・・・・なんか泣きそうになってきた。
「んー・・・それじゃ、俺んちで待ってたら? まだ外冷えるし、風邪ひくと大変だろ」
「・・・え?」
な・・・なんか、今度は奏都が・・・天使に見えてきた・・・・・・。
「ちょうど俺んとこも今日親いねぇし、晩飯作ってくれたら助かる・・・から・・・・・・って、何だその顔はっ」
「きゃー!奏都って優しーねー!! イケメン!天使!!」
さっきまで泣きそうだった私だけど、それを聞いた途端、すぐに満面の笑みに変わっちゃった。
「うんうん。やっぱこういう時、幼馴染って便利だよねっ」
———なんて調子に乗って、思わず奏都に抱きついちゃった私。
結構単純だなぁ。
って、・・・・・・あれ。
・・・・・・・・
思わず、抱きついちゃった・・・・・・?
「ご・・・ごめんッ!!」
「い・・・いや、別に・・・・・・」
咄嗟に離れたけど、まさか抱きつくなんてっ!
ほんとに私のバカー!!
「そ、それより・・・多分、ウチ今冷蔵庫ほぼ空だから、何かいい材料買いに行こーぜっ」
「そ、そだねっ」
おかげで私たちの間には、なんか微妙に気まずい空気が流れている。
とほほ・・・何やってんだ、私・・・・・・。
———でも!
「・・・・・・よぉし! 気を取り直して、お邪魔するからにはとびっきり美味しい料理作っちゃうからね!!」
こういうときは気にしちゃ負けだ!
「ああ、楽しみにしてる」
奏都も応援してくれてるわけだし、頑張るぞぉ!!
- Re: キミに捧げる5つの言葉 ( No.12 )
- 日時: 2014/09/15 16:39
- 名前: Budgerigar (ID: gEN.C.v9)
#9
お母さんが帰ってくるまで奏都の家で待たせてもらう代わりに、晩御飯を作ることになりました。
とは言っても、今までにも何度か作ったことはあるから慣れてるんだけど、それはおいといて。
まぁそんな訳で、只今学校帰りにスーパー寄ってます。
「んー、何作ろっかなぁ・・・・・・」
あれこれ考えてみてはいるのだけど、いっこうにメニューが決まらない。
「奏都は何か食べたいものとかある?」
さっきから黙ってついてきてるだけの奏都に聞いてみる。
「特にない。何でもいいよ」
はい、やっぱり出ましたよ。
「なんでもいい」が一番困るんだってばぁ。
「どうしよー・・・・・・」
取り敢えずメニューを考えながら店内を見て回っていると、じゃがいもが安売りしているのを見つけた。
「あ、じゃあ肉じゃがでいいかな」
今日の私は、なんとなく和風な気分です。
そう思って奏都に一応確認をとると、
「うん。咲良の何でも美味しいから、それでいい」
快く頷いてくれた。
「・・・・・・それはどーも」
そんな真正面から褒められたら、ちょっと照れちゃうじゃないか。
「じゃ、野菜から買おっか。
じゃがいも、は入れた。次は・・・・・・人参かな」
「えっ」
買い物の続きをしようと人参を手にとると、何故か奏都が驚いたような声を発した。
「ん? 何?」
「い、いや・・・・・・何も」
「そう?」
気のせいかな?
奏都の顔が引きつってみえるのは。
・・・・・・ま、いっか。気にせずいこう。
わざわざ相手にしてたら日が暮れちゃうよ。
そうして取り敢えず、人参を買い物かごに入れる。
「次はー、玉ねぎ!」
あ、玉ねぎ値上げしてる。
うぅ・・・・・・葱も。大根も。
んー。お味噌汁に入れようかと思ってたけど、豆腐とわかめに具を変えようかな。
「じゃあ、最後にお肉っ」
一通りの材料を買い終え、レジに並びながら買い忘れがないかチェックする。
「牛肉、玉ねぎ、じゃがいも、豆腐——あれ?」
・・・・・・人参がない。
「ちゃんとカゴに入れたはずなのに・・・・・・おかしいな」
仕方なく野菜売り場に戻り、人参をカゴに入れる。
そして、今度こそレジに行こうとしたら、向かう途中でカゴが少し軽くなった。
不思議に思い、すぐさま振り返るとそこには奏都がコッソリ人参を棚に直しに行く姿が見えた。
・・・・・・ええ、今この目でバッチリ見ましたよ。
「かーなーとぉー・・・・・・!」
「え、さ、咲良・・・・・・」
しまった、と言わんばかりに顔を歪ませる奏都。
「・・・・・・だって。人参、苦手なんだもん」
いやいや、可愛い顔して言ったってダメだからね!?
「肉じゃがに人参なしとか、それもう最早肉じゃがじゃないじゃん!」
「いや、でも新・肉じゃが、みたいな・・・・・・」
「ない。無理。ダメ。人参入れるから」
何とか人参を入れまいとする奏都の魂胆が見え見えな言い訳を完全スルーして、レジでお会計を済ませた。
すると、
「・・・・・・・・・っち」
あ、今舌打ち聞こえたよ?
しっかり聞こえたよ?
あーあ、折角お皿に盛るときによけてあげようかと思ったのに。
「奏都には特別に、いっぱい人参入れてあげるね」
私はニッコリ笑って、この世の終わりみたいな顔をしている奏都を引きずるようにスーパーを出た。
- Re: キミに捧げる5つの言葉 ( No.13 )
- 日時: 2014/09/15 16:43
- 名前: Budgerigar (ID: gEN.C.v9)
#10
その翌日。
昨日は人参を山盛り入れて少し意地悪したら、奏都はすごく嫌そうな顔をしながらも全部食べてくれた。
しかも、おかわりまでしてくれたんだよ。「人参は入れるなよ」と釘を刺されましたが。
そんな奏都に、また胸がきゅんっ、とときめいてしまった。
そして何気ない朝。
いつも通り奏都を起こしに行って、いつも通り一緒に学校に行く。
これから起こることを何も知らない私は、こんな平和で平凡な日がずっと続くものだとその時は思っていた。
「———ん?」
学校に着き、靴箱で靴を履き替えていた時、突然聞こえた奏都の声に不思議に思って振り返ると、奏都は手紙らしきものを手にしていた。
可愛い封筒。
どう見ても……差出人は女の子から。
「……誰から?」
その場で手紙を開き、私に見えないように内容を確認した奏都は直ぐ様「ごめん、ちょっと行ってくる」とだけ言って、その人のもとへと駆け出した。
「奏都……?」
奏都はモテるから、今までそういうことは何度かあった。
でもいつもは呼び出された場所に、渋々といった感じで行ってた。
なのに今日は、自分から———?
暫くその場を動けず呆然としていたが、いつの間にか隣に来ていた紅葉が「どうしたの?」と心配そうな顔を見せたので、「何でもないよ」と無理矢理笑顔を作って答えた。
教室で席に着いてボーッと窓の外を眺める。
だけど、さっきのことが気になって仕方がない。
いつものように告白……断ってくれるよね?
奏都———。
「……咲良ちゃん?顔色悪いよ、大丈夫?」
ハッと気がついたら、瀧本くんが顔を覗きこんでいた。
「あ、はは……そうだね。ちょっとしんどいかも。……悪いけど、保健室行ってくるって紅葉に伝えてくれる?」
「わかった、了解。ついて行かなくて平気?」
「うん、平気平気。ありがと」
このままじゃ、ずっとさっきのことばかり考えてしまうから、気分をかえるために少し寝ようかな。
そう思って保健室に向かおうとしたけれど……今日はいい天気だし屋上で寝るのもたまにはいいかな、と軽い気持ちで屋上にルートを変えた。
それが後に、酷く後悔することになるとは考えもしないで———。
「あれ、誰かいるな……」
普段あまり使われてない屋上だけど、こんな時に限って先客がいた。
そっと覗いてみると、そこには奏都ともう一人———学年で一番綺麗だと言われている御堂さんが楽しそうに笑い合っているのが見えた。
奏都は片手にさっきのラブレターを持ち、もう片方の手は御堂さんの頭に乗せていた。一方、御堂さんは顔を赤らめて少し恥ずかしそうにして話している。
——とても告白……断ったって雰囲気じゃない、よね……。
不意に泣き出しそうになった私は、その場から走って逃げだした。
どうして?
いつもは告白、断ってたじゃない。
なのに………。
——御堂さんが可愛いから?
——御堂さんが好きだから?
「もうっ……やだぁ……ッ」
止まることの知らない涙が、次々と頬を伝って流れ落ちる。
心の奥で、どす黒い塊のようなものが渦巻いている。
自分にこんな醜い感情があるなんて……。
既に授業は始まっている。けれど、もう教室にも保健室にも行く気になれなかった。
誰もいない廊下で、ただ私の泣き声だけが静かに響いていた————。
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