コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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変態紳士が恋をしました。
日時: 2013/08/12 20:29
名前: そら (ID: yWjGmkI2)


  

 最近、好きな人が出来た。塾で一緒のBクラスの女子である。同じ中学校だけれど組は違うし、そもそも別の小学校だったのであまり話したこともなかった。
 そんな彼女の名前は、桃園真輝。胸あたりの長さの髪をなびかせ、いつも無愛想だった。
 真輝と同じ小学校で、最近俺と仲の良い竜基はこう言う。
「すげえ、気の強い奴だぜ」
 少し驚いた。真輝はそんな見た目ではないからだ。背が小さくて、可愛らしい風貌で、魔法少女のアニメの衣装なんて着こなせてしまいそうな、そんな女子だから。
「そんなに強いの?」
「ああ、航が知らないだけ」
「ふーん……」
竜基はちょっと待ってて、と言い、塾の時計を見に行った。塾の中は冷房が利いていて、冷たい。六月なのにクーラーをつけているのか、この塾は。俺は不満を溜め息に押し込んで頭を掻いた。
「ああ」
 竜基が呟いた。うん? 俺は生温い返事を返す。

「真輝だ」


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Re: 変態紳士が恋をしました。 ( No.15 )
日時: 2013/08/12 21:56
名前: そら (ID: yWjGmkI2)


「意外にいろいろなことがあるもんだな、航にも」
「意外って失礼だぞ」
 水曜日、六月二十三日午後三時半、帰りの会最中である。後ろの席の駿が興味深そうに俺の話を聞いていた。真輝との昨日の発展を得意気に話したのだ。勿論、「真輝」とは名前を出さずに、「桃」で駿には通している。桃園さんだから、桃だ。真輝の存在を駿は知らない。それに、桃という俺の好きなキャラクターが出るアニメもあるから、もし真輝だとばれそうになったときはそのキャラクターの力を借りれば良い。これらのことから桃の言う名前にしたのである。
「その桃さんって人、すげえ可愛いんだ?」駿が訊いた。野球部特有の坊主頭が彼の個性を強めていた。俺は笑顔で彼女を絶賛する。
「そりゃあ勿論。俺が今まで見た中で一番、美人だし体つき良いし性格も優しくて、芯が強い」
 俺は絶賛して彼に話した。そして年齢の指定された刺激の強いライトノベル本を机から取り出してぱらぱら捲った。駿は呆れながらも、興味津々にそれを見ていた。この本が真輝に見つかったら、俺の命は終わるかもしれない。ましてや堂々と、しかも大好きな女の子の前で俺は変態ですなんて。口が裂けても言えない。
「美人で優しいなら、すげえもてるんだな?」
 駿はううむと腕を組んだ。俺は頷いた。すると誰かの学生鞄が床に落ちて音をたてた。日直の杉山さんが驚いて、そして気味悪く俺たちを注意する。俺は肩を竦めた。駿はへいへい、と手のひらを天井へ向けた。ふと、教室のカーテンの傍に置かれたカーネーションの花びらが地に落ちる。桃色の花びら。彼女と同じ、桃色の。
「桃ほど可愛い人はいないと思うよ」俺は遠くを眺めて言った。前髪が、四月と比べて伸びた。もう目に掛かっている。この前行った身体測定での視力がBに下がってしまった。前髪のせいでもあるのだろう。今度切っておかなくては。
「そこまで!?」駿が口を大きくあけた。長い睫がぱちくりと動いた。人形みたい、と思う。
「だって俺桃好きだもん」
 ようやく、自分が発した言葉に気付いて赤くなった。真輝の顔が浮かぶ。彼女が愛おしく感じた。
 柔らかく微笑んで、目を閉じてみる。彼女の声、匂い、ぬくもり。全てが昨日の夜に注がれていたように、心を温かくさせる。
「ああ!」
 駿がいきなり、後ろで声を上げた。うわ、何だよと俺が振り返ると、なるほどと言ったように、彼は手を叩いていた。
「なに」嫌な予感がしたため恐る恐る訊く。彼は的中した事を大声で放った。



「桃園真輝ちゃんだあ!」

Re: 変態紳士が恋をしました。 ( No.16 )
日時: 2013/08/13 09:32
名前: そら (ID: yWjGmkI2)


 クラスのほとんどがこちらを振り返る。駿は面白そうにそれらを眺めていた。俺は頬を染めて、大きな身振り手振りをして、俯く。
「いやっ、違うから。俺の好きな人が桃園真輝とか絶対違うからっ!!」
 しどろもどろになって、慌ててそう制した。だが、そんなひ抵抗もむなしく、瞬く間に俺は男子たちに取り囲まれてしまった。
「ええ、真輝のこと好きだったの?」滉が叫ぶ。
 「ちが……」否定する暇もなく、俺はただ赤面して首を振っていた。何処からかライバルじゃんとか、可愛いもんねとか聞こえてくる。俺はもう逃げられまいと思い、大声で放った。
「そうです!! 俺は桃園真輝さんが好きなんです!!」
 刹那に、一斉に冷やかしの言葉が突き刺さった。うわあ、耐えられない。俺は苦笑いをして頷く。真輝ちゃんは知ってるの? 駿が訊いた。周りは告白しろとか、真輝に訊けとか、そういうやばいことをさらりと言っている。俺の頬に、一筋の涙が伝わった。終わった。

Re: 変態紳士が恋をしました。 ( No.17 )
日時: 2013/08/13 10:25
名前: そら (ID: yWjGmkI2)


「なあ、航」
「ん……?」
 竜基が心配そうに俺に話し掛けた。現実から逃れたかったのだけれど、俺は仕方なく苦笑して彼の背中を優しく叩いた。竜基も俺につられて曖昧に笑う。少し気まずかった。
「大丈夫なの? お前さ……」
 解らない。俺はバスケットボールを弄んで、そう呟く。解らない、確かにそうだ。あれから結構な噂が広まってしまったらしい。先輩まで知っている始末である。俺は肩を落として竜基を見た。何だか、俺よりも相当なショックだったようだ。俺は彼を元気付けようと明るい調子で言った。
「まあ、本当のことだしね! しょうがないじゃん」
 元気そうで嬉しかったのか、竜基は顔を上げて、うん、と微笑んだ。ほっと安堵して、プレイを始める。レギュラー入りしたいから、頑張らなくてはいけない。忘れよう。部活のときくらい。
 竜基とは分かれて、個人練習をすることにした。俺は額の汗を拭って、ゴール前へ歩く。いや、もしかしたら、それは目頭から流れた汗なのかもしれない。なんとか誤魔化して、そしてダンクシュートを入れる。我ながらナイスシュートである。背が高くて良かった。

Re: 変態紳士が恋をしました。 ( No.18 )
日時: 2013/08/13 20:58
名前: そら (ID: yWjGmkI2)

独りごと

変態紳士×淑女嬢

さあ、手を取り合って———


——ってやつを友人に考えてもらって恥ずかしい。

MCM 店舗 名古屋 ( No.19 )
日時: 2013/08/17 16:07
名前: MCM 店舗 名古屋 (ID: YrsbvNhI)
参照: http://mcm.bufsiz.jp/

ニース記事を、それがあった面白い。


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