コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- Promis〜巡る運命〜
- 日時: 2013/08/28 11:49
- 名前: 紅茶 (ID: cm34dabg)
誰が決めたわけでもない
でも 確かにあるのが運命?
自然と心が惹かれ合う
それが 恋というもの?
身体を支配する縛り
これは 本当の記憶?
ずっと胸に染みているもの
この暖かさが 偽物じゃない想い出?
巡る運命 記憶と混ざる想い出
様々に交差する 大人の悪や正の企みや考え
巻き込まれた子どもは どうすればいいの?
何も悪いことなんてしてないのに 何で?
運命は苦しみを運ぶ 運命は喜びを運ぶ
さあ この運命のゴールを探せ
自らの その手で
真の想い出を 呼び起こして
φ登場人物φ
片桐 伊織 Katagiri Iori
安城 秋夜 Shuya Anjo
美濃和 凛 Rin Minowa
沢木 大地 Daichi Sawaki
鍋谷 麗華 Reika Nabeya
桜庭 杏衣日 Aika Sakuraba
綾瀬 杏里紗 Arisa Ayase
如月 騎士 Naito Kisaragi
井原 太一 Taichi Ibara
加治 俊 Shun Kazi
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- Re: Promis〜巡る運命〜 ( No.3 )
- 日時: 2013/08/28 11:47
- 名前: 紅茶 (ID: cm34dabg)
*伊織
凛ちゃんに引っ張られて少年君に近付くと、私達さえも
遅刻しそうなのに駅前で突っ立てるのかが理解できた。
「どうしてぇ〜? 遠慮しなくて、い、い、の、よ?」
「いや、本当に結構ですから。俺は学校があるので
すいません、失礼しますよ」
「えぇぇ〜? 何でよぉぉ〜?」
まあ、簡潔に説明すると、酔っぱらっていて
お酒臭い、色気むんむんに胸の谷間が開いている
洋服を着たお姉さんに逆ナンされてます。
彼は非常に困ってるようですね。どうしようかな。
「あ、いたいた中島君」
「行こう、弘。学校遅れるよ」
凛ちゃん、中島って……沢木君、弘って……。
二人とも機転が利くなぁ。私も楽しそうだからっと。
「早く、あの電車乗ろっ」
私の声が引き金になったのかよく分からないけど、
沢木君はパッと仮名『中島弘』君の腕を掴んで走る。
「あぁ〜ん、私のダーリンを連れていかないでぇ〜」
「あのおばはん、引くわぁ」
凛ちゃん曰くおばはんの声が聞こえたけど、
しばらく皆で全力疾走。発車ギリギリの急行に一斉に
飛び込む。駅員さんに地味に睨まれたけど気にしない。
「ありがとうございます。じゃあ」
少年君がそれだけ言って去ろうとした。
いやー私でも可笑しいと思うよ。何で去るのよ?
彼はかなりの俗に言うイケメンだと思う。
でも、凛ちゃんが助けたのは、転入生らしき人に
興味があっただけだと思うけどね。
「このまま一緒に行こうよ」
気付いたら、そう言っていた。
だって、行き先同じでしょ、とも付け足す。
「あ、そうだった! 君、季衣学の転入生?」
「え……そうですけど……」
凛ちゃんの言った季衣学とは、季衣響学園の略。
大抵の人は『キイガク』と読んでいる。
そこそこ有名な私立中高一貫校である。
「中等部の二年に」
「やっぱり?! あ、遅れたけど、私は美濃和凛」
「おー、俺は沢木大地」
「あ、あっと片桐伊織です」
「え、伊織?!」
- Re: Promis〜巡る運命〜 ( No.4 )
- 日時: 2013/08/28 11:46
- 名前: 紅茶 (ID: cm34dabg)
*秋夜
勢い余って読んでしまった……。
明らかに不思議な目で見られている。
「えっと、私のこと知ってるの……?」
どう、答えよう。おれは何年も前の伊織しか
知らない。だから、人違いという可能性も
無くはないんだよな。だが、この真っ黒な艶やかな髪と
大きな瞳は忘れるはずがない。絶対に。
「……ごめん。昔の知り合いに似てたから、つい」
「はぁ〜。一瞬さ、伊織の知り合いかと思った」
おれの言葉に美濃和と名乗った女子が笑って言った。
「安城秋夜。それがおれの名前。
同級生になるんだよな。一応よろしく」
「よろしくね、安城君」
伊織……って呼び捨ても変か。
本当に『あの』伊織じゃないかもしれないからな。
でも、もし本当のおれの知る伊織だとしたら、
『あれ』は確実に実行されたんだ。
でなけりゃ名前を忘れられない自信はある。
とにかく彼女の、安城君、と微笑んだ表情は
鮮明におれの古い記憶を呼び戻した。
忘れられる訳がない、幼い無力だったおれの姿を。
とてもとても鮮明に、脳裏に蘇った。
*秋夜 §六歳§
つまらない。ぼくは何でここにいるのかな。
面白くない。ぼくを捨てた両親がいる『げんじつ』が。
木の上は好きだ。何もかも思い出さなくていい。
優しい陽射しだけがぼくと一緒にいてくれる。
「ねぇ! 何でそんなとこにいるの?」
「え…………? きみ、誰?」
木の上で寝ていると、女の子の声がした。
真っ黒で陽の光を受け止める髪と、小さな顔に
とっても大きな目をしている。
「私? 私はね、九条伊織だよっ!
伊織って呼んでね。 あなたは?」
「ぼくは、秋夜」
「ふぅん。秋夜くん、一緒に遊ぼうよ!
木の上じゃなくてさぁ。そうだ! おにごっこしよう」
伊織はぼくが名字を名乗らなくても
何も言わなかった。ただ笑って『遊ぼう』とだけ言った。
「これからずっとよろしくね。秋夜くん」
——嘘だよ、伊織。君はずっと一緒に居てくれなかった。
——幸せを祈ったのに。叶わないで、君は遠くに消えてしまった。
- Re:Promis〜巡る運命〜 ( No.5 )
- 日時: 2013/08/28 11:46
- 名前: 紅茶 (ID: cm34dabg)
*伊織
何か変だけど、悪い人じゃないかな。
でも、このいかにも『モテる系』容姿の人と一緒に
学校に行ったらいろいろと訊かれそうだな。
あれ?安城君どうしたのかな?
「うん?どうしたの、安城君」
今の安城君は、良く言うと深く何かを考えているようで、
悪くいうとボケ〜としている。
「……いや、何でもないから。ここで降りるんだろ?」
電車内の電子掲示板には『季衣響学園前駅』の文字。
小学校の頃の友達を学園祭に呼んだら、バスみたいって
言われたことを思い出すな。普通駅名に学園前って無いよね。
「あ、ホントだー! って降りなきゃね」
「面白ーい。凛ちゃんの慌てん坊だー!」
「はいはい、二人とも降りる降りる」
きゃっきゃきゃっきゃと騒ぐ女子中学生に呆れる
通勤中の方々を後目に、沢木君は私達の背中を軽く
押しながら外に出た。その後ろには安城君もいる。
「いつもこんな感じな訳?」
安城君は決して皮肉って言うような言い方じゃなくて、
少し笑いが混じった風に訪ねてきた。
それに、駅の階段を降りながらも沢木君が答えた。
「う〜ん、まあ。凛ちゃんっていつもこんなだし。
伊織はこれでも、本当は結構人見知りなんだよ」
「あーそうそう!! 安城はレアだよ。去年の今頃なんか
小学校から比較的仲良い沢木としか男子と喋ってなかったし」
二人とも何恥ずかしい過去を暴露しちゃってるのかな?!
「だって、安城君って初めて会った感じがしないんだもん」
「…………っ…………」
本心を少し恥じらって呟くと。
驚きと困惑が混ざったらこうなるのかなって思った。
安城君の表情は少しだけ苦い顔を残して直ぐに元に戻った。
「やっぱどっかで会ったことあるんじゃないのー?」
聞こえたのは安城君じゃなくて凛ちゃんの声。
会ったこと、ないと思うんだけどなぁ〜。
懐かしい気はするけど、全然覚えてないだよ。
「ない、よな?」
「…………うん」
確かめるように訊いてきた安城君をちょっとだけ
見つめてみたけど、私の記憶内には収納されてないね、うん。
- Re: Promis〜巡る運命〜 ( No.6 )
- 日時: 2013/08/28 11:45
- 名前: 紅茶 (ID: cm34dabg)
*秋夜
何度訊いても今の伊織は今の伊織だ。
そんなこと、分かっているはずなのにな。
「なーマジで急いだ方がよくねー?」
「うわっいつの間にか止まってた!
んまぁ、もう目の前だしいっか」
沢木が言うと、美濃和が毎度見せるニヤッとした
女の子ってより少年っぽい笑いを浮かべた。
確かに、駅の改札を抜けたら赤茶色の煉瓦が積まれた
西洋風の建物が姿を現した。前に一度だけ見たことが
あるけど、この学園ってかなり大きいよな。
「おーい、季衣響学園生徒ー! 早く学園内に入れー」
無駄に大きな正門の前に立っておれらの方に叫んでいるのは、
何気にちゃんとした服を来ている門番のおじさんだ。
「はぁい!」
「すいません!」
伊織の上げた声と一緒に若い男の声もした。誰だろう……って
季衣学の生徒だろうな。それなりに背が高いし年上か。
「早く走れよ、俊!」
「待てよ〜俺はなぁ、お前と違って足速くねーんだよ」
「嘘つけ。サッカー部のエースが」
「はっキャプテンに言われたくねー」
二人の会話が聞こえた。多分、この人達は仲が良いんだな。
「おぁい、遅刻ギリギリだぞ。ん、中等部三年二人に
同じく中等部二年四人っと。走らずに早く行け」
ネクタイとスカーフの色を見て、おじさんは言った。
そして、おれが伊織達に着いて歩き出すと、呼び止められた。
「そこの少年。見ない顔だから転入生か?」
「あ、はい」
「んじゃぁ、まず職員室に行けよ。片桐達案内してやれ。
如月と加治は大人しく教室に直行しろー」
片桐って……良く覚えてるよなぁ。如月と加治ってのは
あの人達か。で、職員室だよな。
「ということらしい。職員室を教えてくれるか」
「う、うん。えっとね、外履きのままであの花壇の横
進んだとこに扉があるから。そこノックして入って」
「ありがとな、じゃ」
伊織にそれだけ言うと、教えてもらった花壇の方へ行く。
- Re: Promis〜巡る運命〜 ( No.7 )
- 日時: 2013/08/31 22:58
- 名前: 紅茶 (ID: cm34dabg)
*伊織
職員室に向かう安城君の背中を、何処かで見たことがある
気がしてならない。あの人を知ってる気がしてならないよ。
「伊織! 行こ」
凛ちゃんの声に我に帰った。
ごめん、と軽く謝って『中等部 二年 A組』
とかかれた札がかかる教室を目指して歩く。
「ちょっとぉ〜! 片桐さん達、何で朝から
如月先輩加治先輩コンビと誰か知らないけど
めっちゃカッコいいイケメン様と登校してるのぉ〜?」
はい、来ましたー。
この人には絶対言われると思ったよ。
「はぁ…………鍋谷さん、イケメン様というのは
安城秋夜君。たまたま会った転入生だよ。あの先輩達は
偶然会ったの。それだけだから」
鍋谷さん、鍋谷麗華さん。あなたが俗に言う
超イケメンに目がないのは分かっていますよ。
「ふうんっ。美濃和さん! あなた、これは本当?」
「そうですよ。伊織が嘘を言う訳ないですからー」
「じゃあ…………あの安城君とかいう人が同級生になるのね!
あぁ、何て嬉しいことなのかしら」
夢見心地に目を煌めかせて話す鍋谷さんは、
周りのクラスメイトに引かれているのに気付きません。
これは、いつものことだから気にする必要性は無いけど。
「はい、ホームルーム始めるわよ。席について」
透き通った声の若い女の副担任、崎野珠生先生だ。
そういえば、担任の大山健治先生はお葬式か何かで
有休とってるんだっけな。
「今日、転入生が一人このAクラスに入ります」
あ、安城君と同じクラスになったのか。
鍋谷さんも同じこと考えるのがまるわかりだなぁ。
「入って来て。ラファエル君よ」
「ええっ!?」
「鍋谷さん? どうしたの?」
「あ、いえ。何でもないです。すいません」
思わず声を上げて顔を赤らめる鍋谷麗華さん。
私もこれにはビックリした。え、ラファエルって誰?
「初めましてシテ。フランスから来たラファエルデス」
先生は自己紹介の間黒板に『Raphael Leroy』と書く。
驚き状態だった私はラファエル ルロワと
読むことを後々知ることとなった。
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