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- 【ファンタジー】人狼“ディーネ”と公証人“テリア”の旅
- 日時: 2014/04/30 18:43
- 名前: オオカミ (ID: EWcIN/Ij)
〜はじめに〜
この小説はファンタジー小説です。
そのくせ、剣とか魔法とかあんまりでてきません。
それでもよろしければどうぞ。
コメントは大歓迎です!
〜〜〜〜〜
<序段:公証人>
緑に囲まれたとても静かな草原。のろのろと馬を走らせる。
今日中に着けばいいか。そう考えてのことだった。
俺の名前はテリア。公証人をやっている。
遠い国では難しい仕事をする職業らしいが、俺の仕事は主に“それが事実かどうか”を調べることだ。裁判とかで活躍する。当然それ以外の仕事も引き受けるが、だいたいそんな仕事だ。
「だいぶ暖かくなってきたな・・・。」
もうすぐ春である。俺にとってあまり嬉しい季節ではなかった。
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- Re: 【ファンタジー】人狼“ディーネ”と公証人“テリア”の旅 ( No.1 )
- 日時: 2014/04/30 18:56
- 名前: オオカミ (ID: EWcIN/Ij)
春はたくさんの人が都市に出稼ぎに来る。すると様々なトラブルが起きやすいのだ。
「去年は大手商会と出稼ぎ組の争いだったなあ・・・。」
あの時は一時的に都市機能が麻痺していた。えらい騒ぎだったのを憶えている。
さすがにもう起こらないだろうが、心配でならない。
…そんなことを考えていると、小さな村が見えた。
「ちょうどいいや。あそこで一休みしよう。」
急いではいなかったので村に入ることにした。
入ってみるとやはり小さな村だったが、行商人や旅人の姿もあって賑やかだった。どうやらそこそこ人が集まる村らしい。道には露店や酒場、宿屋までもあった。
何かおいしい食べ物でもないかと道を歩いていると、少し奇妙な噂を聞いた。
「最近この辺りで悪魔の子がうろついてるらしいぜ。」
「ああ、俺の知り合いも見かけたらしいぞ。」
———悪魔の子。それは普通の人とは違い、生まれながらにして腕が無いとか、指が6本あるとかの奇形の子供のことを言う。
見つかったら教会に見せしめにされるほか、その子供と関わりを持った者までも教会に捕まってしまう。できれば関わりたくない。
- Re: 【ファンタジー】人狼“ディーネ”と公証人“テリア”の旅 ( No.2 )
- 日時: 2014/05/01 15:21
- 名前: オオカミ (ID: EWcIN/Ij)
できれば関わりたくない・・・が、そういうわけにはいかないらしい。
「それもこの先の森で、だ。」
“この先の森”とはおそらく俺の目的地に着くのに通らなければならない森のことだろう。
少し心配になったが所詮噂だ。過度に心配する必要はないだろう。近くの店で赤く美味しそうな林檎があったので2つ買って村を出た。
しばらく馬を走らせると噂の森が見えてきた。暗くてジメジメしている森だが、個人的には気に入っている。まさかそんなところで悪魔の子なんか出てこないだろう。気にせずに入った。
・・・だが、運が悪く雨が降ってきた。
「おかしいな・・・さっきまで快晴だったのに。」
どうせすぐに止むだろうと近くにあった大きな木に腰掛ける。葉が生い茂っているおかげで雨に濡れることはなさそうだ。
少し心に余裕ができたところでお腹がなった。鞄からさっき買った林檎をかじる。ほんのりと甘い香りが口に広がった。
「雨止むかな?」
今日中に着けばいいが、あんまり遅れるわけにはいかない。
ため息をつき、ふと横を見ると———
「むしゃむしゃ・・・。」
———俺が買った林檎を口に詰め込む女がいた。
「・・・!」
この状況が理解できずに口をパクパクしている俺を無視してむしゃむしゃと林檎を食べる女。
落ち着け。そう心に言い聞かせる。
・・・よし、少し落ち着いた。
そうしてる間に林檎を食べ終わった女はこちらをじぃ見つめる。そして口を開いた。
「うん、なかなか美味しい林檎だ。」
透き通ったきれいな声だった。それに・・・
「いや、さすがに人のものを勝手に食べるのはよくないと思ったけど、食欲には勝てなかったんだ。」
とてもきれいな顔をしていた。
- Re: 【ファンタジー】人狼“ディーネ”と公証人“テリア”の旅 ( No.3 )
- 日時: 2014/05/01 18:59
- 名前: オオカミ (ID: EWcIN/Ij)
とてもきれいな顔をしていたが、どうしても気になるものが頭についている。それは、獣の耳だった。
「じゃあ、私はこれで。」
そそくさと逃げようとする彼女の足をひっかけて転ばせる。
「ちょっと待て。」
強めの声で逃げるのを制止する。
「お前のその頭は・・・なんだ?」
「え?あ、ああ!!」
頭を指さすと彼女は頭の手を乗せて驚いたように声をあげた。そして“やってしまった”という顔をする。
「まさか・・・お前が噂の悪魔の子か?」
「・・・バレたらしかたないね。」
案外あっさり認めた。少し驚く。
「お願いがあるんだ。私のこと、誰にも言わないで。」
その願いはとても叶えられない。だが、その願いから俺と彼女の旅は始まることとなる。
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