コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 年増化け猫と依無し少女 【感想大歓迎】
- 日時: 2014/07/14 20:27
- 名前: 一匹羊。 (ID: 5qCSmirc)
初めましての方は、初めまして! お会いできて感動です!
こんにちはの方は、こんにちは、平素はお世話になっております!
お久しぶりの方は、お久しぶりです、元気になさってましたか??
てなわけで、一匹羊です。
某学生掲示板での挨拶を華麗に使いまわしてみました。このサイト久しぶり。
一途な愛って素敵。
一生懸命って素晴らしい。
それだけで走り出した物語です。
稚拙な文章ですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
>>3
幕間
>>4>>6>>8>>11>>13
第一章「淡い思い出と」
訪問してくださった方
(超感謝です!!!!!)
朔良様
蛟様
いろはうた様
マリアンヌ様
- Re: 年増化け猫と依無し少女 【感想大歓迎】 ( No.48 )
- 日時: 2015/04/08 18:07
- 名前: 一匹羊。 (ID: kTXrSdgM)
(確認)
今度こそ今度こそ(ドキドキ)
- Re: 年増化け猫と依無し少女 【感想大歓迎】 ( No.49 )
- 日時: 2015/05/03 15:30
- 名前: 一匹羊。 (ID: kTXrSdgM)
「もう終わりか。家具はもうないのか?」
「わっ、夕星さん」
後ろから、くせっ毛がにゅっと顔を出す。気配ないなこの人……。
「多分もうないと思うわ。寮暮らしだから荷物はあんまりないのよ。真黒も私以上に少ないでしょうね」
物怖じのしない杏奈は、初対面の時から夕星さんとばりばりタメ口で喋っていた。真黒、と呼ばれた人懐こい雄大も同じ。夕星さんに敬語を使っているのは、何故か一番たくさん触れ合っているはずの私だけ……おかしい気もするけど、何故か気軽く話しかけられる気にならないんだよなあ、夕星さんには。
ミルクティーのような色をした艶やかな細い髪、白い肌、華奢な体、整った顔立ちを持つ杏奈と夕星さんが並ぶと、まるで一枚の名画のようだ。
「おう。俺の方はもうとっくに終わってるぜ」
雄大が手を振る。見に行くと、小さめの一室が男子寮の雄大の部屋そっくりになっていた。サッカー部らしく、ポスターが大量に貼られている。
雄大は夕星さんとの相部屋を拒否した。個室は3部屋あったけど……べつに、二人でも住めないことはないよね? 雄大の部屋も、夕星さんの部屋も、私たち以上に物が少ないし。
「スミレは鈍いわよね、なんていうか。そういうところが好きだけれど」
「え、何が」
「大丈夫よ、分かってるわ」
「何を分かられてるの私」
泡を食って突っ込むと杏奈は意味ありげに微笑む。怖いって。
「ならこれで仕舞か。移動させたくなったら呼ぶといい」
小声で会話している私たちに構わず、夕星さんは部屋に入っていった。いつも通りの涼しげな声、表情。……私は思わず首をひねる。
なんだか落ち着いている……いや、落ち着きすぎているのだ。突然雄大と杏奈が同居したいと言い出したときも、全く持って驚かなかったし、嫌がらなかった。
一緒に住むってことは、触れ合う時間も増えるってことだ。夕星さんの正体がバレてしまうリスクだって高まるだろう。なのにどうして……。
雄大はどうあれ、杏奈はかなり聡い。『隠したいことがある匂い』みたいなものがもしあるとすれば、杏奈は確実にそれを嗅ぎ分けていると思う。雄大はどうあれ、杏奈には嘘は通らないのだ。雄大はどうあれ、杏奈は嘘を決して許さない。
「なんか蔑まれてる気がする」
「気のせいじゃないかな」
訂正。雄大、勘だけはよかった。その勘を方向感覚に当ててほしい。
……杏奈は、どうするんだろう。夕星さんが人間でないとわかったら。
そうだよ、こんなに狭い家で、いつだって一緒にいるんだから。
「……スミレ?」
黙りこんだ私の顔を、杏奈が覗き込んでくる。
「疲れたの?」
「ううん」
私は首を振る。疲れてないと笑いながら、くるくる回って見せたりもする。あぁ、どこかにぶつかってしまいそうだ。
「何してるのよ」
「こんなに回っても疲れてない」
杏奈がふっと笑う。苦笑半分、楽しさ半分。大人びた笑い方だ。
「わかったわよ。もう、子供なんだから」
どすん、置いたばかりの家具にぶつかる。よろけて私は尻餅をつく。かっこ悪くて、私は笑う。いくらでも笑う。杏奈も、「ばか」といいながら笑う。雄大も転ぶところを見ていたらしい。明るい笑い声が、部屋に広がる。でも、もう響きはしない。
前はいくらでも回れた。どれだけ回っても、どこにもぶつからなかった。
「誰かが家にいるっていいね」
言葉にした瞬間、胸が熱くなった。
ようやく実感がわいてきた、というか。この家に、誰かがいるのは何年ぶりだっけ? ずっとずっと寂しかった……。でも、虚勢を張っていて、ずっとずっと。
なんだか、喉の辺りが苦しくなってきた。頭がきりきりとしめつけられる。
ふと見ると、雄大と、杏奈が固まっていた。何でそんな目で見てるの?
言葉が出てこない。どうして?
こわばったような頬に、ふっと温みを感じた。暖かくて、気持ちのいい手。
「……泣くな、スミレ」
「…………ゆー、つづ……さん」
夕星さんの大きな手が、私の頬を包み込んでいた。
- Re: 年増化け猫と依無し少女 【感想大歓迎】 ( No.50 )
- 日時: 2015/05/05 20:58
- 名前: 一匹羊。 (ID: kTXrSdgM)
涙がつっと伝う感覚。あれ、なんで、わたし。
夕星さんの、低く錆びた声が、真上から降る。正面から覗き込んでくる瞳は澄んでいて、とても綺麗だ。
「今、お前は一人じゃないんだから、泣くんじゃない」
小さく呟く様な言葉が、ぽつんと落ちる。
途端、言いようもないほど苦しくなって、もっと涙が止まらなくなった。
と、強い力で体が引かれる。手が握られている。
雄大が、怒ったような顔で口を引き結び、私を睨んでいた。……が、私の顔を見ると、顎を引いてずるずると座り込んでいく。え、なんで。
「………………わりぃ、高橋」
「え、え? 何が……うっ」
思った以上の鼻声が出て、私は慄く。……ちょっと待った、これもしかして顔もひどいことになってるんじゃ!? そりゃ雄大も居た堪れない気分になるよ! ちょ、顔、拭きたい……っ。
背けようとした顔が夕星さんの手に激しくぶつかる。
……ん?
「いやあああああっ!」
「おっと」
ぐっちゃぐちゃの顔今まで至近距離で見られてたじゃん!
夕星さんを力いっぱい突き飛ばすと、私の悲鳴を涼しげに受け流しながら、ふたつの手が頬から離れていった。
「なんだ、今更恥ずかしくなったのか?」
爽やかな微笑みに、憎たらしさを覚える余裕もない。
顔から火が出そうだ。
「はーい、そこまでよ。それ以上スミレをいじるのが許されるのは私だけだわ」
と、首にぎゅっと細い腕が抱きついてくる。杏奈……!
「ほら、杏奈も何か言いなさい。汚らしい腕で触るんじゃない下賎の物がー、とか」
何その言葉のチョイス!? と私は思ったが、口から出たのは、「……! …………!!」
こんな言葉……いや、もはや音だった。
と、雄大が吹き出す。
「っはは、何だよ、それ! 木星人かよ!」
「な、なんで木星人なのさー! 宇宙人じゃないの!?」
どこかずれた答えを返してしまい、杏奈まで笑い出してしまう。私はしばらくむくれていたが、おかしくなって、最後はみんなで爆笑した。
さっきと同じように、明るい笑い声が広がる。でも、今のほうが、ずっとずっと楽しい。苦しくない。
何が苦しかったんだっけ。もう忘れてしまった。
三人同時に息切れした。
笑いの余韻が残る中、はー、はー、と楽しげに息をつき、杏奈が囁く。
「一緒にいるわよ。スミレ。……一人じゃ悲しいものね」
「……うん。ありがと」
そう返すと、杏奈は何故か悔しそうに笑った。
ふと雄大を見ると、少し難しいような顔をしている。眉間のしわが似合わない。目が合うと、ふっと逸らされた。そういえばさっき、何で謝られたんだろ。
「もう泣かないか」
心臓がはねた。
「……そんなに私、泣き虫じゃないです」
「ならいい」
……夕星さんの顔を見れない。
ずっと胸の音が、鳴り止まないままだ。
さっき、どうしてあんなことしたんですか?
聞けない。
- Re: 年増化け猫と依無し少女 【感想大歓迎】 ( No.51 )
- 日時: 2015/06/14 22:39
- 名前: 一匹羊。 (ID: kTXrSdgM)
ageagege↑
- Re: 年増化け猫と依無し少女 【感想大歓迎】 ( No.52 )
- 日時: 2015/10/09 18:23
- 名前: 一匹羊。 (ID: MlJjY9/z)
大分時間が空いてしまった…! 申し訳ありません、再開します
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