コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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SCORE【参照1000感謝】
日時: 2015/12/17 21:36
名前: 咲奏 (ID: OgnYhGeD)








初めまして、咲奏(さかな)と申します。
初めて書くのであまり上手に書けないかもですが、お時間があれば読んでいただけたらと思います。






【登場人物】

♪日下 弥生 (くさか やよい)

高校二年生、ヴォーカル担当
合唱部の部長でアルトの声が印象的な女の子


♪桐谷 皐月 (きりや さつき)

高校二年生、ギター担当
軽音部の部長で度を超オンチ&鈍感


♪霜月 遥斗 (しもつき はると)

高校二年生、ベース担当
コミュニケーション障害といわれるくらいの極度の人見知り


♪如月 めい (きさらぎ めい)

高校二年生、ドラム担当
軽音部の副部長で同級生に敬語を使ってしまうくらいのオドオド少女


♪水無月 葵 (みなづき あおい)

高校一年生、キーボード担当
ものすごくうまいが部活になかなか来ない、つまりサボり魔+毒舌家







【お約束】

・中傷、荒らし等はお控えください。
・初めてのものなので多少何かはあると思いますが、温かい目で見守ってもらえると嬉しいです。
・感想、コメント等もらえるととっても嬉しいです。





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Re: SCORE【参照200感謝】 ( No.11 )
日時: 2014/12/26 10:37
名前: 咲奏 (ID: YKgE9blb)

〈4ページ目〉

「あ、先輩じゃないですか」

聞き覚えのある声……。

「おい!水無月っっ!お前いつになったら部活来るんだ!」
「まあまあ、そう怒らないで」
「誰のせいで怒ってると思ってんだ!」

水無月葵。うちのキーボード担当の1年。
入部当初は天才的な部員が入った!と話題だったが、こいつはサボり魔だった。
本人に聞けば「何で行かなきゃいけないんですか?」と真顔で言われた。解せぬ。
あと、絶対俺の事、先輩だって思ってない!
遥斗や如月には懐くくせに!馬鹿!


「ところで桐谷先輩、合唱部に何か用でも?」

そういえば、まだ俺は合唱部の部室の前にいたな。

「誰か好きな女の子でもいるんですか?それでふられたとか?」
「そんなんじゃねえよ!これはなー、我が軽音部に関わる重要な問題なんだよ!」
「へぇ、そうなんですか」
「お前も軽音部だろ!」
「そうですけど、……僕部活行ってませんから!」

お前……、そんな笑顔で言われてもな……。
本当にこいつは、よく分かんねえ。

「で、何で僕たち軽音部と合唱部が関係あるんですか?」
「ああ、俺らさ、ボーカルいないだろ?それで合唱部からスカウトしようかと」
「そうですか。合唱部の誰を引き抜くつもりですか?」
「2年、合唱部部長、日下弥生だ」
「先輩……、それ本気で言ってます?」

なんか水無月が冷めた目で見てくるぞ、そんなに無茶なことか?

「まあ、せいぜい頑張ってください。僕はキーボード弾けたらそれでいいです。」
「お前、何の為に軽音部にいるんだよ」
「え、キーボード弾くためですけど」
「……お前ならそう言うと思った。先輩達と演奏したいです!とか言えないのかよ」
「でも、先輩達と演奏するの嫌いじゃないですよ」
「……水無月っ!お前ってやつは……!」
「先輩のリアクションって馬鹿みたいですね」
「!?」
「じゃあ先輩、また」


くっそー、水無月め。
なんて生意気なやつなんだ!


そんなこんなで水無月と無駄話をしていたら
合唱部の歌声が聞こえてきた。
……日下が軽音楽部に入ってくれれば、きっと素敵なメロディーが奏でられるはずなんだ。
でも、なかなか厳しそうだな……。

Re: SCORE【参照300感謝】 ( No.12 )
日時: 2014/12/26 12:00
名前: 咲奏 (ID: YKgE9blb)

〈5ページ目〉


アルトのその声はとても美しくて……。
いつもはソプラノの声しか聞こえないのに、俺の耳には彼女の声しか……もう聞こえなかった。


「どうしようかな」

心で思っていたことがポロリと口から漏れる。
もうあと少しで文化祭というのに、「あの曲」は演奏できない。
ヴォーカルもだが、水無月が来てくれないことには何も言えない。部長のくせに、本当情けないな、俺。


「……あのっ」


後ろから女の声が聞こえた。
俺に女の子が話しかけてくる……?いったい誰だろうか、と軽い気持ちで俺は後ろに振り返った。

「なに?……ってはぁぃ!?え、っと……、日下ぁ、さん」
「見たらわかるでしょ?さっき話しかけてきたのはそっちなんだから」
「あ、そうですけど……。えっと、何のようでしょうか……」
「敬語はやめて。ウザったるいから……。ってそれよりっ何の用って?そ、それは、……さっき、あんまりちゃんと話も聞かないまま怒っちゃったから、あれは悪かったかなぁって。まぁ、そっちが悪いんだけど!!」


……ん?
何が言いたいんだろうか。
日下は少し赤らんだ顔を見せながら、ぶつぶつと呟く。


「私は、合唱部の部長としてちゃんとしなきゃいけないし、あなたの望みをかなえてあげられるとは思わない。
 私は……歌があまり上手くないし、人との付き合い方が下手で……人には嫌われやすいからっ……。
 だからね、一応誘ってくれたことには感謝してるのよ」


「日下は歌、上手いよ」
「……え」
「俺、去年の文化祭の時のお前の声、いまだに耳に残ってる。その透き通るようなきれいなアルト……。俺がお前を誘ったのはただ何となくじゃなくて、ちゃんと理由があるんだぞ?俺はお前の声が好きだ、お前の歌声が好きだ。
 人との付き合い方が苦手っていうならうちの部の奴らも同じだよ。仲良くなれるんじゃないか」


俺がにこりと笑うと、彼女は肩を小刻みに震わせた。最初は怒ってるのか、と思ったけど違った。

「ありがとう」

小さな声で日下は俺にお礼を言ってきた。小さすぎて、あんまり聞こえなかったから、意地悪半分で「なに?」と聞き返すと、彼女は伏せていた顔をゆっくりあげて涙ながらの笑顔で

「……ありがとうって言ってんのよ。分かんないっ?」

と、上から目線でまた二度目のお礼を言ってくれた。
健気な子の少女のお嬢様っぷりを、なんだか俺は可愛いなぁと思ってしまう。


「あー、もう。明日でもいいから曲の音源聞かせなさい」
「え。どういう……」
「察しなさいよ。やってあげるって言ってんの、ヴォーカル。本当は超いやだけど、しかも合唱部のみんなからにらまれちゃうけど。でも、あんたの頼みっていうなら、聞いてやらなくもないってこと」

いーっと歯を見せながら笑う彼女。
俺は自然と笑って「あぁ」と頷いた。

「じゃぁ、また明日」
「うん。また明日ね。って、あんた名前なんて言ったっけ」

名前……、そういや言ってなかったな。
俺は日下のほうに向きなおって、

「桐谷っ、桐谷皐月。軽音部の部長」

と精一杯の声で叫んだ。届いたかな、彼女に。



***



「桐谷……皐月、かぁ。べっ別に、私は……違うもの。絶対っ!!」


文化祭まで、あと二週間とちょっと。

Re: SCORE【参照550感謝】 ( No.15 )
日時: 2015/04/07 00:20
名前: 咲奏 (ID: OtfUnLOH)



〈6ページ目〉



合唱部の部長、日下弥生。
彼女が、我らが軽音部と一緒に文化祭のステージに出てくれると約束してくれた。

「あいつら、どんな顔するかな……?」

さっきまで「無理だろ」とか言ってたからな。
きっと皆、馬鹿みたいな顔をするだろう、俺を見直すだろう。

「あぁ、楽しみ……あれ?誰か喋ってる」

軽音部の部室には、まだ明かりがついている。
そしてそこからは、楽器の音ではなく、笑い声が聞こえていた。

……気になる。
ドアの隙間から、部室を覗く、と、

「で、さっき女の子に振られたみたいな顔で音楽室の前に立ってたんですよー、桐谷先輩が」
「あはは、桐谷くんらしいね」
「全くだ」

部員3人が笑いながら話していた。

話題は……俺の笑い話。

しかも

「水無月来たのかよ!?」
「あ、先輩……ぷすっ」
「桐谷くん!?」

あれ、居たの?っていう顔を全員がした。
酷くない?
水無月に至っては、俺の顔を見た途端に吹き出した。

「あ、じゃねぇよ!!普段来ないくせに」
「いやぁ、こんな面白いこと、伝えないと勿体ないでしょう?」
「はぁ!?いいよ、もうそんなので笑えない位驚くこと言ってやるから!!」

そう言って水無月を指差す。

「どうぞ、言ってみてくださいよ」

水無月が馬鹿にするように言った。
一応、俺は先輩であり、この部の部長なんだぞ?

「指差したらダメだよ?」というめいの声が聞こえた気がする……が、俺は気にせず言った。

「実はな、日下が、日下弥生が俺たちと歌ってくれることになったんだ!!」

そして大きくVサイン、決まった。




「は? 嘘は止めろよ、桐谷」

遙斗が汚いものを見るような目で言った。
めいは、遙斗の言葉を聞いて意味がわかったのか、顔が途端に青くなった。
流石の水無月も、口を大きく開けて、何も言えない様子だ。

「嘘じゃない、本当だって」
「じゃあ、明日連れてこいよ」
遙斗が言った。

「—解った、絶対連れてくるから、信じてくれ!!」
勢いで俺も言う。

しばらく無言で俺を見ていた遙斗は、肯定の意を示すように頷いた。

「どうしよう、私、心の準備が……」
めいが呟く。

「明日かー、サボろうかな」
「駄目だ!! お前も来いよ?」
えー、と文句を垂れる水無月に念を押す。

「じゃあ、明日から、文化祭の為に練習するぞ。では今日は終了!!」

これ以上遅くまでいると、先生に怒られるから、部活は終えて帰ることになった。


明日からがとても楽しみだ。
『あの曲』を、文化祭の舞台で。
最高のメンバーで。

希望が、現実に変わろうとしている。


***


「うわぁ……女子がいっぱい……」

次の日の放課後、部活が始まる前。
俺は日下のクラスの前にいた。

昨日の約束—「日下を連れてくる」

失敗すると、俺が嘘つきみたいになるからな。
昨日の経験から、合唱部前にいるのは危ないと思った俺は、部活が始まる前、教室に呼びにくることにした。

ドアの前には、何人もの女子が。
彼女等の隙間から教室を覗いていると

「ねぇ、誰か呼びに来たの?」

その中の一人に話しかけられた。
これは、もしや、呼んでくれるチャンスでは?

「あ、はい、日下さんいますか?」
「え、日下さん!?」
「どういう関係?」
女子達が騒ぎだした。

「いや、部活の用事です」
何で騒ぐのか解らない。

「あ、そうなの? 日下さーん、桐谷くんが呼びに来てるよー!」

一番ドアに近い女子が、大きな声で日下を呼んだ。

教室の中から、「ふぇ!?」という、少し間抜けな声が聞こえる。
この声は、日下?
昨日の様子が嘘のようだ。

もう一度教室を覗くと、真っ赤な顔の日下が出てくるのが見えた。

「桐谷!?何で来たの!?」

日下が動揺しているように見える。
何でだ?

「あ、えっと昨日の軽音部の件で、今日来てもらいたいんだ」

俺がそう言うと、

「あ、そのこと? 何だ、そのことだったんだ」

少し残念そうな顔をした。
何故だ?

「で、今日時間ある? できれば早い方が」
「いい、今すぐ行く。案内しなさい」
そう言って日下が俺の前に立つ。

「案内して」
「う、うん、わかった」

あれ、元の日下だ。
さっきはどうしたんだろう?

「桐谷!!はーやーく!!」
「ご、ごめん!!」

やっぱこっちの方が似合ってるな。
そう思いながら、俺は日下に引っ張られて行くのだった。

Re: SCORE【参照700感謝】 ( No.16 )
日時: 2015/05/11 11:50
名前: 咲奏 (ID: Rk/dP/2H)






【目次】



*〈プロローグ〉 >>02
「真っ白なスコアが開かれるとき、俺たちの青春が始まる」

*〈1ページ目〉 >>04
「文化祭の話し合い、ヴォーカルが出来ない理由」

*〈2ページ目〉 >>06
「天才少女の話題、君に会いに行く勇気」

*〈3ページ目〉 >>08
「合唱部の冷酷少女、君に伝わらない俺の気持ち」

*〈4ページ目〉 >>11
「生意気な後輩、踊らされてばかりの先輩」

*〈5ページ目〉 >>12
「君の名前、ツンデレ少女と一緒に軽音」

*〈6ページ目〉 >>15
「一緒に部活をしませんか、再度スコアが開かれる」


Re: SCORE【参照800感謝】 ( No.17 )
日時: 2016/03/06 13:07
名前: 咲奏 (ID: w4lZuq26)





〈7ページ目〉



「で、結局音源はあるの?」
「あ、あぁ。元々去年演奏した曲で……。それに、アレンジ加えて今年演奏しようかと……」
「ふーん」


廊下で日下と話しているとやっぱり目立つ。合唱部を全国に導いた天才ということで彼女は一躍有名になり、うちの学校じゃ知らない人はほぼいない。そんな女の子と一緒に歩いている男。そりゃ、目立って仕方がない。
でも、俺は平々凡々のただの軽音部の部長だぞ?


「軽音部って部室どこ使ってるの?」
「あぁ、仮教室1……」
「あぁ、そんなところあったわね」


教室の前に来ると、彼女は珍しく緊張したように一息ついた。日下でも緊張することもあるんだな、驚いて俺はつい吹き出してしまった。
そんな俺に日下は怒ったのか「何よ」と、反論。そんな緊張する必要もないのに、他の奴等とはきっとすぐに仲良くなれると思うし……多分?


「よーっす、おっつかれ」



教室に入ると、そこにはドラムのスティックを取り出すめいの姿があった。
俺たちが入ってきたのに気付いためいは、俺の隣にいた日下に驚き、俺に目で訴えかけてくる。昨日ちゃんと俺言ったのに。


「あれ……遥斗と水無月は?」
「え、あぁ___いま、ちょっと飲み物買いに行くって外出てて……って、嘘!日下、さん!」


めいはそれどころじゃないでしょ!と怒ったように日下のもとに走り寄った。

「こ、こんにちは。日下さん。うちの部長が本当ごめんね、本当ごめんね。馬鹿なの、部長馬鹿なの」
「おい、めい。馬鹿を連呼するな……」

めいはどうやら日下を歓迎しているみたいだ。嬉しそうににっこりと笑って彼女の手を取る。
日下はそんなめいを見て戸惑いつつも、苦笑いで「あ、ありがとう」とお礼の言葉を紡いだ。


「あ、の。音源聞かせてもらっても?」
「あ。そうだね、桐谷くん、音源って誰が今持ってたっけ?」


めいが「そういえば……」と俺に尋ねてきた。
俺も部長ながらきちんと覚えていなくて、記憶をたどる。

「あれじゃないか、水無月がアレンジ入れておきますとか言って持って帰ってなかったっけ」
「あ……そうだ、そうだったよ」

そんな中、教室の扉が開き、二人の少年が出てくる。
二人とも飲み物を持っていて、遥斗の方はどうやらめいの飲み物まで買ってきてあげていたようだ。紳士的だな。

「おい、俺の分は?」

俺が二人にそう尋ねると、遥斗は「お前さっきいなかったから」と面倒くさそうに返答。隣にいた水無月の方は「なんで、先輩のパシリなんかしなきゃなんないんですか」とやや馬鹿にしながら言ってきた。
おい、先輩をもっといたわろうぜ。



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