コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 友達同好会
- 日時: 2014/09/01 19:38
- 名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)
こんばんは。
まだまだ不慣れなところもございますが是非とも
ご覧ください。
感想、批判、リクエスト、お気に入り登録、
なんでも待ってます。
(この作品にはパロディやメタネタが多いです、
苦手な方はご注意を)
読者の皆様(ありがとうございます)
フレンチさん >>19
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- 活動7 絶望のチョコレート工場 ( No.34 )
- 日時: 2014/08/29 02:31
- 名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)
その日の夜、一義たちはこっそりと
工場のレーンに忍び込んだ。
「あっ、あんたら……」
作業員の一人が一義たちに気づく。
「静かに、実は今日は皆さんを
助けに来たんです」
一義が作業員たちを集めた。
すると、一義はレーンの中央の
ベンチに立つと、大きな身振りとともに
演説を始めた。
「1969年の現在、この先進国と呼ばれる
日本で我々は必死に働き、
少数の人間は楽に生きられるのか?
それは我々の汗や涙があるからだ!
我々の金が不当に奪われているからだ!」
「おい、あいついつからあんな
独裁者みたいな演説できるようになった?」
元治がおっさんに尋ねる。
「さぁ、てかなんであいつ
労働者代表みたいな感じ出してんだ?」
おっさんが首をかしげる。
「なんか説得力ないよね……」
小百合が冷ややかな目で見つめる。
「さぁ我々は今こそ立ち上がるべきだ、
労働者の時代だ!」
五分ほどに及ぶ長い演説が終わった途端、
作業員達の拍手が轟いた。
「あの工場長の言いなりなんてもうごめんだ」
作業員達が叫ぶ。
一方、工場長室ではバートリが重役と思しき
男とモノポリーをしていた。
工場長室は金色の壁にイタリア製の高級ソファ、
大きなシャンデリアがぶら下がっていた。
それらは作業員達の給料から買ったものだった。
すると、重役がバートリの後ろの
監視カメラのモニターに指を向けた。
「大変です、バートリ様」
バートリがモニターに目を向けると、そこには
「出て来い、工場長」と書かれた
プラカードを掲げる一義たちがいた。
「最悪、あいつら何考えているの?」
だるそうにバートリが席を立つ。
作業レーンの二階にバートリが現れると、
一義たちが二階まで行進してきた。
「何してるの?
さっさとラインに戻りなさいよ」
バートリが一義たちを睨みつけた。
「我々はこの労働環境をよくしてもらうまで
断固として働かない、
労働環境を改善するよう命令を伝達する、
この要求を呑むか?」
一義が叫ぶ。
バートリが笑った。
「アハハハ、さしずめ
労善命伝(ロウゼンメイデン)ってとこかしら?」
「あっ、うまい」
絹恵が感心した。
バートリが続ける。
「あんたらの要求なんか呑まないわ、
ボロボロになるまで働かせてやる、
ここを絶望のチョコレート工場としてやるわ!」
バートリが高笑いをする。
すると次の瞬間、バートリの足場か崩れた。
「キャアアア」
バートリが家康とともに一階の
チョコレート原液のタンクに落ちた。
「助けて!」
バートリが叫ぶ。
タンクの底にバートリと家康が沈んでいく。
「ふん、ざまぁみろ」
作業員の一人が笑った。
作業員達は誰一人として
バートリを見捨てようとしていた。
- 活動7 絶望のチョコレート工場 ( No.35 )
- 日時: 2014/08/29 14:47
- 名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)
足場が崩れたのはバートリが
老朽化した工場を放置していたのが原因だった。
「助けて!
私、泳げないんだ!」
原液の中でバートリがもがく。
「今までの罰が当たったんだ、
お前なんて見捨ててやる」
作業員達があざ笑う。
しかし、作業員の一人がタンクに向かって走り出した。
「おいお前ら、見捨てていいのか?」
作業員が叫ぶ。
「もしここで彼女が死んだとして
この工場はどうなるんだ?
彼女だってオレたちと働いてきた仲間のはずだ、
見捨てるなんてあんまりじゃねぇか?」
作業員達に戸惑いの表情が出始めた。
すると、もう一人の作業員が原液を
放出するためにハンドルを回し始めた。
他の作業員達もタンク内を空にすべく
手伝い始めた。
「うぅ……」
チョコレートまみれになったバートリが
目を覚ました。
「ここは……」
「工場内だ、あんた運がよかったよ」
一義がバートリに話しかける。
バートリの周りには作業員達がホッとした表情で
バートリを見守っていた。
「あんたのためにみんなで協力したんだ、
あんたもここの仲間だからってな」
おっさんがバートリに話す。
すると、突然バートリが泣き出した。
いつも強気なバートリが涙を見せたのは
これが初めてだった。
「ごめんね、みんな
私が間違っていた」
バートリがこの工場を任されたのは先月だった。
「先月、私のパパが亡くなって
この工場を私が受け継いだんだけど
私は利益ばかりを求めてみんなを
タダ働きさせていたの」
バートリが泣きながら作業員達に頭を下げる。
「ここの人たちはあんたを許してくれた、
罪を憎んで人を憎まずってね」
小百合が笑顔で話す。
「ここの人たちはあんたを大切に思っていたのさ、
ボーナスぐらい出してやってもいいんじゃねぇか?」
おっさんが笑う。
「それもそうかも、私はもう間違いを
犯さない」
バートリも笑った。
翌日から、工場の様子は一変した。
向上の労働体制は一新され、作業員達の給料もアップし
労働時間も短縮された。
作業員達は全員、怯えた表情ではなく
笑顔で作業をしていた。
それまで全く作業をしていなかったバートリも
他の作業員達と笑顔で包装の仕事をしていた。
「やっぱり働くのは楽しいね、
よーし、今月は全員にボーナス出しちゃおうかな」
労働者がいなければ資本家は何も得られない、
バートリはようやくそれに気づいたようだ。
一方、相変わらずチョコレート原液のタンク内には
大きな塊が沈んでいた。
それはまぎれもなく家康だった。
「あれっ、私なにか忘れてる気がするんだよな
ま、いいや」
バートリはそう呟くと、
再び作業に戻った。
- 活動8 狂演! 夜のヴィブラート ( No.36 )
- 日時: 2014/08/30 02:45
- 名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)
その日も一義はいつものように
元治の運転するアルピーヌ・A110(フランスの
自動車メーカー、アルピーヌ社が製造していた
小型スポーツカー)の助手席に乗って
大学へ向かっていた。
大学近くの交差点で信号待ちをしていると、
アルピーヌの隣にアストンマーチン・DBS
(イギリスの自動車メーカーアストンマーチン社が
製造する高級スポーツカー)が停まった。
「随分高そうな車だな」
一義が元治に話しかける。
「あぁ、ジェームズ・ボンド(人気スパイ映画
007シリーズの主人公)でも乗ってるんだろ
ミサイルとか装備されていたりしてな」
元治が笑った。
大学に到着し、アルピーヌを駐車場に停めると、
先程のアストンマーチンが向かいに停車した。
一義と元治は運転席から出てくる運転手の姿を眺めていた。
運転席から、腰まで伸びた銀髪にブラウンの瞳、
ざっくりと胸元の開いた白衣に身を包んだ
セクシーな大人の色気漂う女性が降りた。
「すげー美人じゃん……」
一義が呟く。
「あぁ、まさにボンドガール(ジェームズ・ボンドと共に
戦うヒロイン)って感じだ」
元治も同意する。
一義はその日も大学の工学部で実習を受けていた。
この日は工作の授業があり、木材を使い
棚を作る予定だった。
「ぎゃぁぁ」
一義の叫び声が響く。
どうやら、ハンマーで指を叩いてしまったようだ。
「なぁおっさん、保健室行っていいか?」
スポーツ新聞を読んでいたおっさんに尋ねる。
「ダメだ、お前にあの保健室のいやらしさは早すぎる」
おっさんは断固として拒否した。
「なんでだよ、てかいやらしさなら
女子更衣室とかのほうがいいだろ!」
「バカかお前、あそこは女同士の愚痴ばかりで
なにも楽しくはねぇぞ」
おっさんと一義が不毛な言い争いをしているなかで、
一義の指は青くなってきていた。
「これはダメだ、もう保健室行くからな」
一義が強引に保健室へ向かう。
「ヘヘッ、これまで保険医さんはおばさんばっかり
だったからな、あんなので妄想しちゃうほど
オレも飢えてないぜ」
そう思いながら、一義が保健室のドアを開く。
「あらぁ、どうしちゃったの坊や?」
ロスマンズ(イギリスのタバコブランド)のタバコを咥えた
保険医は、先程のセクシーな銀髪の美女だった。
「うわぁ、保健室ってこんないやらしかったのか!」
一義が興奮した表情で話しかける。
「ゆ、指を痛めちゃって……」
「見せてみなさい、あらぁ
これはひどいわねぇ」
保険医が満面の笑みで青くなった指をさする。
激痛が走る。
「どうせ指を叩いたでしょ?
そういうことする間抜け面してるわよ」
冷酷な声で言い放つ。
「坊やみたいな間抜けがいるから私が食べていけるんだけどね、
放っとけば直るはずよ、さっさと
出て行きなさいこのゴキブリ君」
満面の笑みで一義を追い出した。
結局、青くなった指のまま一義は
放課後、部室に顔を出した。
「その指どうしたの?」
小百合が一義に尋ねる。
「なんでもねぇよ、オレみたいなゴキブリ君には
これがお似合いさ」
一義が薄ら笑いをする。
「あいつ、あんなことを堂々というほど
調教されていたんだね」
小百合がキャロルに尋ねる。
「きっと深い闇があるんだよ、かわいそうに」
キャロルが哀れんだ表情を見せる。
- 活動8 狂演! 夜のヴィブラート ( No.37 )
- 日時: 2014/08/31 01:49
- 名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)
「なぁ、朝見たあの女の人
新しくここにきた保険医さんだったぞ」
一義が元治に話しかけた。
すると、突然部室で絹恵が倒れこんだ。
「うぅ、助けてぇ」
絹恵が先程まで食べていたメロンパンの消費期限は
先週のものだった。
「消費期限だな、原因は」
一義が絹江をおぶる。
一義たちが保健室へ入る。
「あらぁ、また来たのかしらゴキブリ君」
あの保険医がタバコを吸っている。
「違います、彼女が腹痛を……」
すると、保険医の表情が一変する。
「それは大変、ここに寝かせて!」
先程までのサディスティックな態度から
優しい聖母のような対応を見せる。
保健室のベッドで絹恵が寝ている。
「下腹部を温めるだけで大分よくなったわ」
保険医が絹恵に優しく微笑む。
保険室内には一義と元治がいた。
「ほら、飲みなさいうじ虫君」
保険医が一義たちに紙コップのコーヒーを差し出す。
「自己紹介がまだだったわね、
私はレベッカ・フェイスフル、スコットランド出身よ」
保険医のレベッカ(CV:沢城みゆきさん)が
微笑む。
「あれっ、なんかこのコーヒーしょっぱいですね?」
元治がレベッカに尋ねる。
「あらごめんなさい、今日は教授達が検尿だったわ」
「まさか……」
一義たちの顔が青ざめる。
「アハハハ、噓に決まってるでしょ
そんなのも知らないのかしら、うじ虫君」
レベッカが笑う。
「おーい、容態はどうだ?」
おっさんと小百合、キャロルと家康が
保健室に入ってくる。
「て、てめぇ!
何しに来たんだ?」
おっさんがレベッカを指差して怒鳴りつける。
「あら、久しぶりねシンタロー」
レベッカが不敵な笑みを見せる。
「まだオレに付きまとうのか、この魔女め」
そう言い放つと、保健室を出て行った。
「魔女だって?
酷いこというよね……」
レベッカが寂しげに小百合に話しかける。
その日の晩、レベッカはおっさんの自宅の
一軒家のドアをノックした。
「夜遅くにごめんなさい、少しでいいから
私の話を聞いてほしいの」
「今度は何を企んでいるんだ?」
おっさんがレベッカを疑う。
数分後、おっさんとレベッカは居酒屋の
カウンターに座っていた。
「もつ煮とから揚げ、あとこいつに
おでんと焼き鳥おまかせで頼む」
おっさんが店主に注文する。
「久しぶりね、こうして二人で飲むなんて」
レベッカがおっさんにホッピー(ビール風の炭酸飲料)を注ぐ。
「あの時は洒落たパブだったよな」
おっさんがホッピーを一気飲みする。
「懐かしいわ、三年ぶりかしら」
レベッカが笑う。
実はこの二人の出会いは三年の1966年に開催された
ワールドカップのイングランド大会だった。
- 活動8 狂演! 夜のヴィブラート ( No.38 )
- 日時: 2014/09/01 19:37
- 名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)
イングランドのボビー・チャールトン、
西ドイツのフランツ・ベッケンバウアー、
ブラジルのペレ、
ポルトガルのエウゼビオ、
ソ連のレフ・ヤシンなどの
スター選手が集結した1966年のワールドカップ
イングランド大会をおっさんは観戦に行っていたのだ。
決勝戦前夜、会場となるウェンブリー・スタジアム
近くにあるパブ(イギリスの酒場)でおっさんは
ビールを飲んでいると、隣の席に座った
レベッカに声をかけられた。
「あなた東洋人?
このあたりでは珍しいわね」
なんでもレベッカはこのパブの女主人で、
東洋人についての研究に没頭していたという。
「今夜は私がおごるわ、
もっと日本について教えて欲しいの」
レベッカがおっさんを誘惑した。
数時間後、二人はパブ近くの
安ホテルのベッドの上にいた。
「なぁ、ひとつ聞いてもいいか?」
おっさんがロスマンズを吸うレベッカに尋ねる。
「その肩にあるタトゥーはなんだ?」
たしかに、レベッカの肩には蛇のタトゥーがあった。
「これは魔女の証よ」
そう答えると、ベッドの下からブローニングM1910
(ベルギー製の小型のピストル)を取り出すと
おっさんの頭に突きつけた。
「悪く思わないでね、これは私が死ぬために
必要なものなの」
レベッカは17世紀、魔女の娘として生まれた。
彼女の母親はレベッカが生まれてすぐ
魔女裁判にかけられ絞首刑にされたが、
彼女は死ぬ間際、娘も同じ道をたどらぬよう
レベッカの魔力を封印したのだ。
そのとき、彼女は魔力を封印される代わりに
不老不死となったのだ。
「この不老不死を終わらせるためには
東洋人の心臓、悪魔の涙、竜のうろこが必要なの
このうち二つは手に入れたけど、あとひとつが必要だった、
それが東洋人の心臓よ」
「おいおい、不老不死の何が気に入らないってんだ?」
おっさんが尋ねると、レベッカは涙をこぼした。
「不老不死の辛さをあなたは何も分かってないのよ」
レベッカは幼少時代、魔女であることを隠して
たくさんの友達を作ったが、いずれもレベッカよりも先立っていった。
また、レベッカは三度結婚したが、いずれも夫は先立っていった。
そして戦時中、レベッカは空襲で瓦礫の下に生き埋めにされた。
死んだ方がましとも思えるほどの怪我で痛みに苦しみつつ、
目の前で自らの子供はおろか、孫までも死んでいった。
さらに、不老不死の秘密を求めて様々な研究機関などから
誘拐されそうになるなど、辛い人生を400年以上続けていた。
「そうかい、じゃあ楽にしてやるよ」
おっさんは咄嗟にベッド脇の花瓶を手に取ると、
それでレベッカの頭を叩きつけた。
「うぅ……」
レベッカが倒れる。
その隙におっさんは命からがら逃げ出すことに
成功したのだった。
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