コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 白鳥の騎士
- 日時: 2014/12/24 16:46
- 名前: 龍 (ID: tWnn3O3I)
歌劇「ローエングリン」をもとにしたファンタジー小説。
本当は悲恋物で、王道お姫様エルザが主人公だけど、
ここでは違います恋愛なんて二の次です。
強くてお転婆、人一倍元気な女の子と、それをとりまくゴタゴタのお話。
結末は勿論、原作とは違ってハッピーエンドで!
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- Re: 白鳥の騎士 ( No.2 )
- 日時: 2014/12/24 17:59
- 名前: 龍 (ID: on4ShBGJ)
☆登場人物
◇エルザ・フォン・ブラバント
亡きブラバント公ウィルヘムの子。
双子で生まれ、姉でもある。
じっとすることが大嫌いで、お転婆な女の子。お姫様らしくすることを端から諦めており、いつも公国軍の少将として務めている。
亡きブラバント公公認で、直属のブラバント公国白鳥騎士団を持っている。
専らその団長。
双子の弟・ゴットフリートがいる。
◇ゴットフリート・フォン・ブラバント
エルザの双子の弟。瓜二つの容姿だが、主に公国の政務を担当している。
次期ブラバント公。姉と仲が良い。
◇ローエングリン
エルザの前に突然現れた騎士。エルザによれば、「ぶっちゃけ言って、ヘタレ。」。顔は良いのに口を開くと残念な男。剣の腕は一流。
◇フリードリッヒ・フォン・テルラムント
テルラムント伯爵であり、エルザとゴットフリートの後見人。
優しそうに見えてその裏は…?
◇オルトルート
テルラムントの妻であり魔女。
◇ドイツ国王ハインリヒ
ブラバント領を治めるブラバント公国のさらに上の存在。
このほか様々な人が出てくる予定。
- Re: 白鳥の騎士 ( No.3 )
- 日時: 2014/12/24 22:04
- 名前: 龍 (ID: 5Fq5ezeC)
☆第一幕 双子の姉弟
★第1場
お?幕が上がったみたいね。私、話していいのかしら?
‥‥良いのね。え?何?‥‥‥これもうお客さんに聞こえてるって?
何よ〜!早く言いなさいってば!!
………仕切り直して。ハイ皆さんこんにちは。前のシーンで誰か…あ、作者さん?…が人物紹介してくれたから言うまでもないんだけど、私はエルザ・フォン・ブラバント!!
名前でわかるかもしれないけど…え?なになに?今はもう貴族なんかいないって?…あーハイそうですか!!なんだって良いわよ…。
と、とにかく、ブラバント公国の公女なんだから!
今日も晴れてるし、暇だし、狩りにでも行きますかね。
へっへーん!!凄いでしょ?貴族の女子だけど、狩りが出来るのよ!!しかも結構上手いの!!‥…えぇ?自分で言うのかって?まぁいいでしょ…。
とにかく、私は狩りが大好きなんだ!!
さーて今日は何を狩ろうかな…
「エルザ様〜!」
「あ、リュック。すっかり忘れてた。」
「リュックじゃありませんエルザ様。私はリックです。」
城の外に出ようとしたら追いかけてきたのが、私の侍従のリック。今度こそは間違えなかったからね…って、さっきのは…まぁ、わざとなんだけど…。
「なんかあったの?いつも通り狩りに行くとこなんだけど。」
「あのですねぇ…父上が亡くなられたばかりで、政務がたまってるんです。ゴットフリート様を仕事で忙殺させられる気ですか?」
「あー…なんかそんなのあったわね、政務と言う名の。でも大丈夫よ。ゴットフリートならね。私は私で父上の死後にやるべきことはやったし。」
私と弟・ゴットフリートは双子だ。見た目は瓜二つだから、城の人たちは私たちを髪の長さで判別してる。勿論私の方が髪は長い。「軍の訓練に邪魔だから」と切りたかったけど、お父様が許してくれなかった。「ますますお嫁にいけなくなる」だってさ…私にそれ求めんの?って感じだけど。
まぁ、それはおいといて、私とゴットフリートは仕事…というか、役割分担をしている。
私は軍で、ゴットフリートは国政。
ゴットフリートは統率力があるし、お父様から直々に帝王学を授けられてるから国政に向いている。
でも私はジーっと椅子に座れる気がしないし、何でかゴットフリートより運動が出来る。代わりにゴットフリートはからきしダメだけど。
なんか二人で能力を分けあったみたいだ。双子だし。
「……分かりました。貴女がそうおっしゃられるのでしたら。」
「分かりゃあ良いのよ。じゃあ、ゴットフリート呼んでくるね〜!」
捕まらないうちにと走り出す。
「…?!お、お待ちください〜っ!」
いそいそとゴットフリートの執務室へ向かう。
「入っていいよね?入るよ〜。」
まさか入るなとは言わないだろ。姉だし。
と思って扉を開ける。
「姉さん。また抜け出したのかい?」
「抜け出してなんかないわよ。元々今日は暇だったの。これから狩り行こうと思ったから、ついでに気分転換にどうかなってさ。ほら、どーせ書類山積みの上に問題が煮詰まっちゃって良い考え思いつかないんでしょほ…やっぱり。」
ためしに一番上の書類を見てみるけど、その脇にあった羊皮紙にインクが飛んでいる時点で、ペンをクルクル回していたのがバレバレだ。
「……だな。行くか。」
「っしゃ!!ほらほら早くする!!リック来ちゃうでしょ?」
「姉さんまたリック置いてきたの。」
「良いでしょあいつきたらまたあんたここにカンヅメよ。」
早々と急かして準備させると、裏道を使って厩舎まで降りる。
「シアン〜狩りいくよ〜。」
私の愛馬、シアンは白馬だ。すごいだろ。
……いや、別に公女だからとか言うんじゃなくて。ただ気づいたら愛馬だった、的な。
「姉さんホントにシアンと仲良いよな。さて、どれに乗ったものか。」
「あ、もしかしてもしかしなくてもどの馬乗れば良いか分かんない?」
ゴットフリートはある程度乗馬は出来るけど、私の方が…上手いのであまり乗りたがらない。だからどの馬が良いのかは私に任せるに限る。
「決めた!この子ね。アレイって言うの。ゴットフリートみたいなヘタッピにも慣れてるから。」
「…(怒)」
「しゃあないわよ。だったらラッセルに乗ってみる?あの暴れ馬だけど。」
「遠慮しとく。」
「じゃあ良いわね。ほら!行くわよ!!」
私はシアンの腹をけって走らせ出した。
城に隣接した森。
森の手前で一度停止する。
「それじゃゴットフリート、奥の湖までいってて。私は後からおっつきやすみにいくから。」
「了解。いつも通りだな。」
いつも二人で森に来ると、私は森で狩り、ゴットフリートは先に奥の湖まで行って、休んでいる。
湖は恐らく秘境だし、そもそも森に来る人は少ない。
だから疲れたゴットフリートとか、私とかには格好の休憩所なのだ。
それから、小一時間ほど。
私は森をうろついたが、獲物は見つからない。
「おっかしいなぁ…何でかなぁ…いつもならたんまりとれてるはずなんだけど…ウサギ一匹どころかネズミさえ見当たんないなぁ…変だなぁ…。」
ホントに今日は何なんだろ。全く獲物がとれない。
こんな不調の日なんて始めてだ。
ガサガサッ
「?!」
も、もしかして!!ウサギかも!
急いで矢を構えた…けど。
出てきたのは…
えっ
人おおおおお!?
ちょっと待った!!ここ一応私たちの城の領内なんだけど!!
不審者は入れないはずなんだけど!!
誰誰誰誰〜?
しかもケッコー慌ててるし…って
まてぇ〜逃げるなコノヤロ〜!
「ちょっと!待ちなさいよそこの奴!ほら!頭巾かぶって慌てて逃げてるそこのあなた!そうよ!待ちなさーいっ!」
すると、そいつは振り向いた。
- Re: 白鳥の騎士 ( No.4 )
- 日時: 2014/12/25 06:52
- 名前: 龍 (ID: sRTtUBMM)
はぁはぁっ…
やっと追い付いた…
シアン乗ってるから大変だった。
よっこいせっと…降りてっと。
「貴方は何者か?名乗りなさい!!ここはブラバント公城内よ!」
威圧してみる。
「ひ、ひぇぇ…。」
は、はぁ?ここまで来といて、腰抜かす奴いる?
「ちょ、ちょっと、腰抜かしてないで名乗んなさいよ。」
「………俺、ローエングリン。」
「なぁんだ、話せるじゃない。で?どうやってここに入ったのよ?」
もし、こんなマヌケでさえ入れるほど警備が薄いなら大変だ。改めなくちゃならない。
「まぁ、ちょっと……魔法を」
「ま、魔法ですって!?あ、いや信じてない訳じゃなくて。そんで、なんでここに来たわけ?」
「それは………。」
「言えないのね。」
この時代は争いの時代。
むやみやたらと身分を明かすのも危険だから明かさないんだろう。
「言えないけど……気になることが」
「何?」
「この森、さっきから妖術の気配を感じる…。」
「妖しいってこと?」
「うーん…まぁ…。」
「ったく、要領を得ない返事ね!!早く言いなさいよ、弟連れ帰んなきゃなんないでしょ。妖しい森なんか長い間いられるもんですか!」
早速馬にとびのって、湖へいこうとすると…
「あー、馬は降りてくんねぇですか…?」
「何?私殺す気?降りたとたんグサッ!!てか。」
「いやぁ…そうではなくて…妖術を刺激するかも…」
「あ、そうなの?じゃあ降りるわよ。ローエングリン、あなた私を殺さないでよ。私殺したら2国間のどこじゃない戦争になるかもね。」
「分かった…。」
シアンから降りる。
「ハイ降りたわよ。さっ行きましょ」
恐らく湖のある方角へ向かう。
土地勘あるし、ここには何度も来てるし、あってんだろ!!
「ローエングリン、あなたなんの職業してたの?私の直々に鍛え上げた警備兵の目を掻い潜って入ってくるなんて容易じゃないわ。盗賊、騎士、傭兵、さあ、どれなの?」
「……案外鋭い。」
「案外って何よシツレーね!!ま、いいわ。で?なんだったの?」
「……騎士。」
3 秒 後 。
「はっああああ〜?騎士?!信じらんないけど、ほんとなんでしょ!?」
こんななのに騎士!最近の騎士ってヤワいの?!
「…本当のことでさぁ。」
「ふぅん。ま、いーんだけどね!!とにかくもう湖だ」
「ちょっと待…ぁあ、遅かったか…?!」
「はぁ何が」
「黙ってくれないか」
チッ。仕方ないな。
何が「遅かった」って?
早くゴットフリート迎えにいきたいんだけど。
「見ろ…あれが妖術。」
「ふーん…って、ち、ちょっとっ!あれ、弟なんだけど!!」
「はぁ?…お前さんがた、双子なのか。」
「まあね…さぁ助けな…ってちょいっ!!」
「やめろ、ここで飛び出てもあの魔女に妖術かけられるだけだ。見ろ…ほら。」
「ゴ、ゴットフリート!」
そして気づいたとき、私の相棒は、なんと、白鳥になっていた…!
「たぶん、もう出ても大丈夫だ…たぶん。」
さっきはちょっとは騎士っぽいとか思ったのに何この急変!!
「ゴットフリート!」
湖畔の白鳥に駆け寄る。
「何があったんです?姉さんがやったんですか?」
「はっ?」
「と、言っているように聞こえた…俺は。」
「あなた白鳥の言葉でも話せるわけ!?意外と凄いのね!!」
「ひっでぇ評価………。」
「で…ゴットフリートだけど、私じゃないわ。妖術を魔女にかけられてしまったのよ。どうしたら良いんだろ…?ローエングリン、知ってる?」
「知らねぇ。」
「即答かよ…まぁいっか。知らないのかぁ…。」
「まぁ、どうせ俺、魔法使えるし…探してきてやるよ、方法を。」
おおっ、意外なところでイケメンじゃない!!
せっかくだし頼んどこうかな。
「じゃ、よろしく。私とりあえず、城にゴットフリートいなくなったの伝えにいくから!じゃあね!!」
引いてきていたシアンに飛び乗って、城を全力で目指す。
「…………!」
ローエングリンがなんかいってたけど、聞こえない。
まぁ、心配することなかろう。
「大変、大変よ!!ゴットフリートが居なくなっちゃったわ!ど、どうしましょう…!」
ブラバント公の城は、大きく響いたその声に、ざわめいた。
- Re: 白鳥の騎士 ( No.5 )
- 日時: 2014/12/26 11:34
- 名前: 龍 (ID: HdkpWh7J)
★第2場
「点呼ー!!」
戦場に大声が響く。
そう、ここは戦場。
その最奥のテントに、ドイツ国王ハインリヒはいた。
「ブラバント公代理、テルラムント伯ただいま御到着なさいました!!」
「……代理だと?」
「は、はぁ…。」
「通せ。」
「かしこまりました。」
(うーむ…なぜ代理なのだ…?確かにこの間ブラバント公が亡くなったのは聞いてはいるが…。なぜ正嫡ゴットフリートが来なかったのだ…?あぁ、違ったな。確かゴットフリートではなく姉のエルザの筈だ…。あれは軍が苦手だからな…。)
「フリードリッヒ・フォン・テルラムント、ただいま参りました。」
「入れ。」
「なぜお前が来た?正嫡ゴットフリートか、姉エルザだと思っていたが。」
「は、それには理由がございまして…。」
「テルラムント!!あんた、私を置いていったわね!!私がいなきゃ騎士団が動かないのを知ってるくせに、何やってるのよ!騎士団がいた方が勝率は高いんだから、無理はやめてちょうだい。別に公国軍の指揮官は貴方で良いんだけどね!!あ、国王陛下、失礼いたしました。私、ブラバント公国公女、エルザ・フォン・ブラバントです。」
ったく!肝心の私を置いていきやがって!!
騎士団が動かないのにテルラムントは何やってんだか!!
そんなに褒賞が欲しいのかしら!!
「申し訳ございませんエルザ様。ですがゴットフリート様のことが…」
「ま、良いのよ。そうそう、ゴットフリートのことをお伝えしようと思ってここに来たのよね。陛下、申し訳ございませんが聞いていただけませんか。テルラムント伯爵、よろしくね。私、陣営に戻ってるから。皆黙らしとくので。」
(大した娘だな……。兵たちの信頼も得ているように見える…。)
「ところで、ゴットフリートがどうしたと言うのだ?」
「それが、……『失踪』しました。」
沈黙。
「失踪…だと?なにごとがあったのだ!?」
「最後の姿が確認されたのは、エルザ様と狩りに行かれた時だそうです。そのあと二時間せずにエルザ様が戻ってきて、『ゴットフリートが居なくなっちゃった』 と話したそうです。」
「お前、声真似が上手いな。」
「(そ、そこですか突っ込み…?)はあ。」
「狩りにいっている間消えたと言うことか。」
「まぁ、そうなりますね。私としては…その…エルザ様が怪しいかと…。」
「状況からすればそうなるが…。」
「所詮私的な恨みからでしょう。エルザ様は弟君よりお強い。殺すなり何なり、容易でしたでしょう。」
「うーむ…だが、確実に死罪とは言えまいな…。」
「彼女を呼んできたら如何でしょう。」
「そうするとしよう。」
ゴットフリートの説明をテルラムントに頼むと、私は宿営(陣営)に向かう。
「団長様!」
「何だ?リック?」
リックは勿論私の侍従だが、白鳥騎士団の副団長でもある。
専らお目付け役だけどね。
「皆がテルラムント伯爵様が公国軍の指揮官なんて納得できぬともうしてお」
「何を抜かすあいつらと来たら。行くぞ。」
全く!どいつもこいつも!!ドイツなだけに。
いくらテルラムントがヤな奴だとしても、公私混同するのは全く論外だ。
陣営につくと、
「ったく、なんで伯爵の野郎なのさ。」
「しかも肝心の我らが白鳥騎士団を置いていったからな。」
「ああ。今までのハンガリー撃退の殆どをこなしてるのはどこのどいつだっつーの!!」
「エルザ様のお陰だろーが。いい面しやがって。」
罵声しか聞こえない。よっし、出てやるか!!
「今お前たち、何を言った?!」
ビクゥゥッ
沈黙が流れる。
「確かにいつもハンガリー撃退をしてきたのは我らが白鳥騎士団だ。しかし、これとそれでは話が別だ。お前たちの不満を、この場に持ち込むなどもってのほか!公私混同するのはいい加減にしろ!!それに、指揮官のことだが、これはかねてからの私の希望だ。私より年いったテルラムント伯爵が指揮官の方が、他国からもなめられることがなくなる!!この間の時は『なるほど、ブラバント公国には女が指揮官をなされるほど優秀な兵士がいるのですな』と嫌みを言われた!!別に気にするほどのことでもないが、あんまり私がでしゃばるのも良くない。それにテルラムントだって腕の立つ人物だ!!」
「………。」
「以上だ。今後は気を付けるように。」
「「「「「「はっ」」」」」」
とにかく納得してくれて良かった…内部分裂なんかしたら敗北決定だからね……。
「エルザ公女様!」
「なに?」
王の伝令…?何があったの、テルラムント?
「ご一緒願えますか…?」
- Re: 白鳥の騎士 ( No.6 )
- 日時: 2014/12/26 11:28
- 名前: 龍 (ID: HdkpWh7J)
「エルザ・フォン・ブラバント嬢、釈明せよ。」
はぁあ〜?釈明?釈明も何も事実なんだけど!!
私が弟殺しだってぇ?目が見えてますか!?テルラムント!!私とゴットフリートの仲の良い様子は見えてましたか?
貴 方 の 目 は お 飾 り か な ん か で す か !
ちょっと時間を戻して。
で、結局私は、本陣(?)に連れてかれた。
そんで、
「ここでお待ちください。」
「はぁ?」
思わず声が出た。
待て、ってなんだよ!!
呼んだんじゃないのかよ!!
……んん?ガヤガヤしてるな…?
皆が集まってる?
いくらブラバント公正嫡が消えたからって…何でそこまでするの?
ワケわからん。
「お待たせいたしましたエルザ様。お出でください。」
やっとかいな。てか、私何されんの!?
説明してよ!!
「それでは、被告入場により、裁判を執り行う。」
はっあ?私が座った瞬間そう言うなよ!!
てか、なに?私もしかして「被告」なの?何かした?私………?
さっき兵たちを怒鳴り付けたのがまずかったりした?
「それでは原告、罪状をのべよ。」
「はっ。」
ファァァァッッッッ?!
罪状?おまけに何でお前が原告なんだテルラムント?
「エルザ・フォン・ブラバント嬢は先日〇月△日、実弟ゴットフリート・フォン・ブラバント次期公を誘いだし、計画性をもって殺害したと見られる。お、こゴットフリート・フォン・ブラバント次期公は今だ行方不明であり、当日、エルザ・フォン・ブラバント嬢と共に狩りにいったところ行方知れずとなっているところからして、エルザ・フォン・ブラバント嬢が疑わしいと思われる。義弟ならまだしも、実弟を殺害したこの罪は重い!!また、動機は、日頃からの恨みから次期公の地位を得んがため、と考えられる。以上であります。」
で、はじめの質問に戻るわけ。
「エルザ・フォン・ブラバント嬢、釈明せよ。」
まぁ、長ったらしい大変分かりやすい罪状を述べてくださりどうもありがとうございますテルラムント。って言いたいけど!!言いたいけど!!
この場で言えなさそうだし、皮肉は。
ちゃーんと言うしかないね。
「エルザ・フォン・ブラバント、この名に懸けて私はやっておりません。ええ、私がそう言うのかと思われるでしょう。どう釈明したところで皆様の疑いは解けそうにありませんが、しておくにこしたことはないでしょうね。」
しーん。
「確かに私は、ゴットフリートを狩りに誘いました。これはいつものことですし、特にこれといって咎めるようなことではありません…まあ、私が狩りをしていることは、皆様の常識の範囲内では咎めるようなことでしょうが。」
しーん。
「私とゴットフリートは、いつも別行動をしています。私は私で狩りをし、ゴットフリートは政務で疲れていますから、森の奥の湖の側で休んでいます。だから、その日も私は森の入り口で別れました。そして私は、狩りをしていて、不思議に思いました。何故なら、いつもならとれるはずの獲物が、全く見当たらないからです。薄気味悪くなって城に引き返そうと、ゴットフリートを探し回りました。けれど、居なくなっていたんです。本当に。城に帰ってから、私の騎士団と、城の中全員で、あと警備兵もですけど、探し回りました。でも……見当たらなかったんです。ゴットフリートの持ち物も、何も。」
しーん。
「これは、エルザ・フォン・ブラバント嬢の言い訳にしか過ぎぬ。死罪を逃れるためこんな法螺を吹いているのだ。殺人までした上嘘をつくとは何事ぞ!!」
「確かに…証明できるものはいないな…。」
「信用性はないだろう…。」
さざわざわ。
ほらね。「私が釈明したところで皆様の疑いは解けそうにありません」わね!!
だけどね?テルラムント?貴方殺した殺したいってるけど、そんな証拠もないのよ。
「裁決とする。神に誓いをたてた上で、決闘をせよ。」
「そんな馬鹿な!!エルザ嬢が勝つに決まっているじゃないか!!」
テルラムントよ、確かにそれは間違ってないな。
現にこれまで手合わせしてきたけどあんたに負けたことは一回もないよ。小さい頃を除けば。
私の勝ちじゃん?
「それならばエルザ・フォン・ブラバント嬢は代理をたてよ。これで閉会とする。」
うっわ、ごーいんだね。でも、誰が私の代理をやるんだろ?
こんな(一見)不利な人を誰が庇うってか。
それ、よっぽどのバカかお人好しでしょ?
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