コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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獄寺啓という男。
日時: 2015/01/06 09:52
名前: 優斗 (ID: PyqyMePO)

シリアス・ダークからの転載です。



更新不定期の駄文作品です。




目次

序章語…獄寺の家 >>1

第一語…君島葵という女。>>2>>3>>4>>5

第二語…きさらぎ駅とは。>>6>>7>>8>>9
+月の下の出来事。>>10

登場人物
名前と色んなこと


獄寺啓(ゴクデラ サトル)
実はREBORNを買ったから思いついた名前。

君島葵(キミシマ アオイ)
本当はレイが良かった。葵の御紋が由来。
澤米太郎(タクマイ タロウ)
私の小学校の都市伝説、トイレの太郎さんが由来。
入野花子(イリノ ハナコ)
おかっぱの横をパーマにした様な髪型。

六銭円(リクセン マドカ)
六文銭。お爺ちゃん(店主)の名前は文雄。
獄寺メリー(ゴクデラ メリー)
メリーかマリーかややこしい奴。

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Re: 獄寺啓という男。 ( No.6 )
日時: 2014/12/27 09:36
名前: 捨駒 (ID: 6hC8ApqV)


電車の中は揺れる人々でごった返していた。

『きさらぎ駅って知ってるか?』
『きさらぎ駅ってあの2ちゃんねるの?』

男はスマホに目を向ける。

『きさらぎ駅って所に居るんだけど…眠たい。』
『眠っちゃ駄目です!』

『名前が…あれ?分からない。』
『名前は頑張って思い出して!』

『水のみたい…あ!トンネルと…車?車の中の人が連れてってくれるって!』
『駄目です!ついていかない方が…』
『おーい!聞こえてます?』
『水は飲まない方がいいかと。』

——これで…消えた?

「貴方何を見ているの。」
「………あ…?」

顔を上に向けると、ザワつく電車内に一人、冴えるような格好をした巻髪の少女が目を細め笑いながら立っていた。

「怖がらないで。私は獄寺メリー。貴方は?」
「ぃ……黒田……ひび…き…」
「黒田?いい名前ね。」

おかしな人だと思い、すぐに下を向いた。

「助けてあげるから。」

メリーの声は聞こえないまま。

響がもう一度顔を上げた頃には誰も居なかった。



Re: 獄寺啓という男。 ( No.7 )
日時: 2014/12/27 15:55
名前: 優斗 (ID: jJ9F5GeG)

静かな次の日。

喫茶店で太郎はマスターのオリジナルブレンドを飲みつつ、何かの掲示板を観覧していた。絵になる光景と言いたいところだが、後ろから顔を出した男に素早く太郎は蹴りをいれる。

店主と仲が良い太郎は、この喫茶店のWi-Fi環境を貸してもらっている。その喫茶店の息子が頬をおさえ、涙目で顔を太郎に向けた。

「ひどいっ!母ちゃんにも殴られたことないのに!」
「母ちゃんは殴らねーよ。俺の後ろに立つんじゃねえ。」
「…エロ画像でも見てるのかと。」
「六銭…お前にはつくずく愛想がつきた。」

店内で殴り合う二人の騒音を気にもかけず、啓は静かにコーラを飲み干す。花子は耳栓をしながらパスタを啜り、葵は少々戸惑いながらマカロンを口にした。

この喫茶店は、本来なら見つけることのできない所にある。
見つけた者は死を覚悟した者か本当に何か用事があるもののみ。

以前、アポなしのロケ番組で取材に来たスタッフと芸能人が原因不明の病で亡くなっている。それ以来、この通りには芸能人は現れなくなった。

「相変わらず五月蝿いですね。」
「…あっ、はい。ですね。」

グラスに残った氷をまじまじと見つめる啓とマカロンを食べ続ける葵。葵の方は息子がこんなんでいいのかという疑問を密かに抱いていた。

名前は六銭とだけ言われているが、後に花子さんが言っていたが円というらしい。

「ここであってるのか…?」

「おい、円!客が来てるわよ。」
「げえっ!まーじ、」

よく気が付いたなと思った。

耳栓を外した花子はいつも通りのぶっきらぼうな態度で、アンティーク調の扉を睨んだ。六銭は立ち上がり扉を開けた。

「いらっしゃい!」
「っ…………」

黙り混んで入ろうとしない男はぼそぼそと呟いた。。

「…ここ、えと…有名な…えとその、あの…」
「シャキッとしなさいよ!」

痺れを切らした花子に男はビクつき、深呼吸をしてから言った。

「お願いします!姉を救ってください。」




Re: 獄寺啓という男。 ( No.8 )
日時: 2014/12/29 00:13
名前: 優斗 (ID: 1HkQUPe4)


「まず、お名前は?」
「黒田…ひ、響です。」

名前や出身をパソコンに打ち込んでいく。
強張った体勢の黒田は、渡した紅茶にてをつけようとしない。

「啓さん。」
「うむ。」

太郎に言われ、立ち上がり黒田の前で机を強く叩いた。

「カツ丼食うかオラァ!」
「それ、違います。」
「そうか、コラァ!恥かいたぜオラァ!」

つっこまれやや恥ずかしそうに咳払いをし、今度は静かに言った。

「ご、ご趣味は?」
「お見合いですか!?」

「啓っちはダメダメですね。やはり、俺がいきますよ。」

項垂れた啓をよそに、円はいい放った。太郎は顔をしかめているが、客の前では堪える。物凄く不満そうな顔だ。

「ね、響さん。」
「ひゃっ、ひゃ…ゴホッ…はい。」
「ここへ来るまでに、メリーって言う女の子に会わなかったか?」
「会いましたけど…」

不思議そうな顔の響と葵に円は説明した。

「獄寺メリー。俺の幼馴染みですね。」

獄寺のお嬢と呼ばれ、立ち振舞いはお嬢様だが、一変するとヤクザの様なアニメとかで見かける設定ありありの女である。

黒いゴシック服に銀髪の巻髪。欠かせないのが日傘型武器と黒いスマホ。

「そして何より…」
「ねねねね、姉ちゃんが?!」
「啓っちのお姉ちゃんッス。」

にっこりと、商売用スマイルを浮かべて啓を見た。

よほど怖いお姉さんなのか分からないが、ヤバイ奴には違いない事が分かった。



Re: 獄寺啓という男。 ( No.9 )
日時: 2014/12/30 23:03
名前: 優斗 (ID: MXjP8emX)



一人の少女は呟いた。

「ぶえっくしょいっ!…風邪かしらね…。」

黒い皮の手袋の中のスマホには色んな名前の電話番号への発信履歴が残されていた。これもすべて、彼女がメリーさんとして現れたからによるものである。

傘を片手に持ちながら、暗い空間へ足を踏み入れた。

禍々しいその中にメリー以外の者は無く、ただ一つ、トンネルが新たな生け贄を待つように太鼓の音と鈴の音が奥から聞こえるのだった。

「…ここも居ませんわね…」

きさらぎ駅の雰囲気としては、どこかに人が居てもおかしくは無いが、肝心の依頼人が一行に現れないのである。
依頼人が現れない限り彼女はどうすることもできない。

「……誰…か!…」
「!?」
「誰か!助けて!」

ハッキリと聞こえた。女の声。

押さえることのできない楽しさと口のニヤケを何とかし、不在着信をかけていた電話をすぐに閉まった。

「見つけましたわ…せいやッ!」

トンネルの空間を切り裂き、女を連れ出す。
泣き崩れ、顔は見れないほどになっていた。それほど安心したのだろう。

「泣いては駄目。綺麗な顔が崩れるわ。」
「はい…貴方は?」
「こういうときに便利な言葉がありますの。『話は後だ。』ゲームで知りましたわ。」

女は頷き、メリーの後ろに下がった。

「さあ円!行きますわよ!」
「ほいさっ!ド派手にヤるか?」
「ええ、好きに破壊を。」

ダイナマイトとバズーカを取りだし、全てを業火で包み込んだ。空間は消え失せ、何もなかった様に土地は普通の駅へと変わった。

「煙を出せばよかったのよ。」
「ありがとうございます。円さん…?と、」
「名乗るほどの者では。獄寺の姉とでも覚えてください。」
「はいっ!」

全てが終わりを迎えたかのように思えた。

しかし、まだ話は終わっていなかったようで。



続く。

Re: 獄寺啓という男。 ( No.10 )
日時: 2015/01/06 09:53
名前: 捨駒 (ID: PyqyMePO)




啓達の活躍が無いままに終わった戦闘。

腹を抑えながら啓はコーラを飲み続ける。余程お腹が空いているらしく、落ち込んだまま下を向いていた。

そんなことも知らず、円は涼しい顔をして同じくコーラを口にした女に話しかけた。

「月が綺麗ッスね。メリー。」
「そうね。明日の月は綺麗でしょうね。」


月が綺麗ですね…貴方を愛してます。
明日の月は綺麗でしょうね…殺す。

「あ…暖かいッスねェ!!」
「星が綺麗ね…フフフ…」


暖かいですね…貴方が側にいてくれて幸せです。
星が綺麗ですね…貴方は私の思いを知らないでしょうね。

「なんなんだよ!ふざけんなよ!」
「貴方には気がなくてよ。私は武人が好みでして。骨とは付き合えないわ。」

口元を大きく歪ませ笑ったメリーを恨ましく見た。

「魂を喰らう兄弟ねェ…」

興味深そうに円はメリーに言った。
静かに笑った彼女は月を見つめ、コーラをまた飲んだ。

白銀に光る月は幻想的であり、彼女の髪を綺羅びやかに魅せた。いいムードの中、録画しておいた年末特番の罰ゲームの音が後ろで鳴る。
そんな事すらどうでもよくしてくれた。

「さっきの、ガチだから。」

返ってきた答えは数日間落ち込んでいた円を見れば一目でわかる。


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