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- 桃乃吹雪〜キャッスル〜【名のない姫君とわがまま騎士】
- 日時: 2015/02/16 06:48
- 名前: 伊吹吹雪 ◆u2YjtUz8MU (ID: nZYVVNWR)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=38820
「桃乃吹雪〜キャッスル〜」
目次
第1部 名のない姫君とわがまま騎士
【「紫乃吹雪〜恋乃手紙〜」同時更新!】
1.名のない姫君
>>1
2.世界は美しく、酷かった。
>>2 >>3 >>4 >>5 >>8 >>9 >>10 >>11
・コメント
医祈音マグ様 >>6
- Re: 桃乃吹雪〜キャッスル〜 ( No.8 )
- 日時: 2015/02/09 06:49
- 名前: 伊吹吹雪 ◆u2YjtUz8MU (ID: nZYVVNWR)
【作戦2 城を出る】
「ソウク、どこから出るの?」
「ここらへんに、抜け穴があるハズです…。ちょっとお待ちください。」
とソウクは言って、芝生で少し、膨らんでいるところに、スコップを差し込んだ。
スコップを上に上げると、芝生の板が持ち上がり、下には小さな階段が続いていた…
「ここから、入りましょう。」
姫君と騎士は抜け穴に入ると、蓋を閉めた。
2人は、足を進めていく。
抜け穴の階段は暗く、狭かった。
2人とも、抜け穴は怖くはなかった。
けれど、姫君は外へ初めて出るという嬉しさと不安に包まれていた。
ギュッと力強く、しかし、そっと優しく、薄暗い中、姫君の手を握る者がいた。
「ソウク…。」
「俺がそばにいますから。」
「外ってどんなんだろうね…。楽しみだけどさぁ…」
「怖い?」
「…」
「俺もですよ、白様。あ、でも…。」
ソウクは、抜け穴の壁に姫君を、押しつけた。
「ソウクっ。」
「少し動かないで。でも、いやだったら逃げてください、よ?」
「…嫌じゃない。」
ソウクは、姫君の小さな唇を手でなぞった。
そのまま唇を奪う。
深く、甘いキスだった。
「白様、プレゼントしていいですか?」
「もう、大きなプレゼントもらったのに。」
「名前。」
姫君は、ソウクに抱きついた。
「名前、何で無いんだろう、ってずっと思ってた。でも、一番好きでそばにいてくれる人につけてもられるなら、嬉しいな。」
「サラ。髪がさらさら流れてきれいだから。」
ソウクは、姫君の頭をなでた。
「ありがとう。大切にするよ。」
☆
- Re: 桃乃吹雪〜キャッスル〜 ( No.9 )
- 日時: 2015/02/11 11:31
- 名前: 伊吹吹雪 ◆u2YjtUz8MU (ID: nZYVVNWR)
「サラ様、外に…」
「ソウク、私のこと、もう『様』付けしないで。ちゃんと名前だけで呼ばれたい。」
「分かりました。でも外に出たので、マントを羽織ってくださいね。フードも被って。」
2人は町を歩いていく。
風が吹いて、姫君の黒髪とソウクの青い髪が揺れた。
町は人でごった返していた。
「ここが市場、なのかな?」
「そうだと思います。」
「とっても楽しそうね。」
「どこに魔術師はいるの、ソウク。」
「えっとですね、噂によると、森の中にスゴイ魔女がいるそうです。」
2人がそんなことを話していると…
バァーン!
何者かが姫君にぶつかった。
姫君は転んでしまった。
フードがはだける。
「サラ!大丈夫?ちょっと、そこの人、待ってくださいよ!」
ぶつかった人が振り向いた。
「…」
ソウクは固まっていた。
「ソウク、どうしたの?」
起き上がった姫君が聞く。
「お、お父さん…。」
「?」
☆
- Re: 桃乃吹雪〜キャッスル〜 ( No.10 )
- 日時: 2015/02/15 07:24
- 名前: 伊吹吹雪 ◆u2YjtUz8MU (ID: nZYVVNWR)
「何で今さら…。」
『父』は、走っていった。
それを追いかけていくソウク。
姫君も追いかけようとするが、騎士のソウクに姫君は追いつけない。
「クソ!」
『父』は人ごみの中に消えてしまった。
ソウクは小石を蹴った。
姫君はやっとソウクに追いつく。
「ソウクのお父さんって……」
「俺が城に行く前に、父は俺と母を捨てたんです。何で今さら、現れたのかと思ったんですよ。でも、もういいんです。」
ソウクは首を振る。
そんな彼を見て、姫君は何かしてあげたかった。
だが、何をすればいいか分からない。
けど、これならできる。
あの時みたいに。
姫君はフードを取った。
そして、少し背伸びをして、キスをする。
ソウクも姫君のキスに応えた。
人の目など気にしなかった。
ソウクは泣いていた。
姫君の前で泣くのは初めてだった。
何で泣いているかは、彼も分からなかった…
『そばにいる人を、大切にしたい』
☆
- Re: 桃乃吹雪〜キャッスル〜 ( No.11 )
- 日時: 2015/02/15 07:42
- 名前: 伊吹吹雪 ◆u2YjtUz8MU (ID: nZYVVNWR)
「早く行きましょう、魔女のとこ。」
「?」
「行けば、すべて…いや少しでもサラのことや、父のことが分かるかもしれない…だから早く行きましょう。」
「じゃあ、まず魔女の場所を聞こ?」
「サラ。」
「…フードを被ってください。」
「う、うん。ソウクも一応帽子被ってね。」
☆
「すみません。あの…」
姫君が呼び止めても、人々は2人を見ない。
「すみません。助けてください!」
突然大きな声をソウクが出した。
「サラ、すみません、ちょっと使わせてもらいます」
ソウクは小声で姫君に言った。
「隣にいる俺の妹が、ひどい湿疹を負ってしまって…、森の魔女がいい方だと聞きました。ですが、俺たち引っ越してきたばっかりで魔女様の居場所を知りません。誰か、魔女様の居場所を教えて頂けませんか?」
「魔女様は、森の入口の方の泉のそばに住んでいるよ。」
親切そうなおじさんが2人に教えた。
「妹さん、お大事に。」
「ソウク、すごいじゃない!」
「でも、湿疹が出てるなんて言ってしまってごめんなさい。」
「それくらい、いいじゃない?」
☆
- Re: 桃乃吹雪〜キャッスル〜 ( No.12 )
- 日時: 2015/02/15 15:20
- 名前: 伊吹吹雪 ◆u2YjtUz8MU (ID: nZYVVNWR)
2人が町外れにある森に向かうとともに、人通りも少なくなっていた。
「ソウク、見て、あの看板。笑いたいのか泣きたいのか分からなくなってくる。」
姫君が指差した看板にはこう書かれていた。
「WANTED!
女王陛下を冒涜した罪人2名を指名手配中。
青い髪の少年と、黒髪の少女。
見つけたものには近々褒美が!」
ご丁寧に似顔絵まで、描かれていた。
「早く行かないと、目的が達成できずに帰ることになりますね。」
ソウクは言った。
2人は足早に歩いていく。
☆
鬱蒼と木々が生い茂り、薄暗い森の中は迷わなかった。
何人もの人が魔女の家に行くせいか、足跡で小道ができていた。
森で唯一明るいとも言える泉のそばに、魔女の家はあった。
「一体どんな人なんだろう」
姫君が呟く。
白い石でできた家に魔女は住んでいるようだ。
トントン。
ソウクがドアをノックする。
すると、ドアが喋った。
「名前と用件を告げよ」
「王女の…えっと通称『白の姫君』です、髪は黒いですけど。それと騎士のソウクです。用件は王女の過去について。」
ソウクがペラペラと喋った。
ギィーとドアが開いた。
「どうぞお入りください。」
☆
2人は家へと入った。
「こ、こんにちは!」
「あら、指名手配の方達じゃない。」
「え、でも…」
「大丈夫よ、あなたたちが悪くないのは分かってるから。」
家の中にいたのは、グラマーな美しい女性。
豊かな金髪をなびかせている。
かなり露出度の高い服を着ていて(彼女の胸を「思わず」見てしまったソウクを、姫君が肘でこづいた)、とても魔女には見えない。
「ほら立ってないで、椅子に座って。」
2人が椅子に行こうとする間もなく、椅子がひとりでに飛んできて、2人を座らせた。
2人を乗せた椅子は、中央のテーブルに滑っていった。
テーブルには、不思議な匂いの液体が入ったカップが載っている。
2人が「席に着いた」のを確認すると、魔女は2人の向かいに座った。
周りで不思議なものが、不思議な煙をあげていた。
「いつかここに来ると思ってたわ。」
魔女は微笑んで言った。
☆
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