コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 哀昧喪糊。−あいまいもこ−
- 日時: 2015/04/02 18:38
- 名前: めろんそーだ (ID: hDs6F9Z9)
俺は何ができるのだろう____。
これは、辛い過去を持った少女の話。
悲しい、哀しい、少年と少女の小さな愛の話。
__________________________________
こんにちは、めろんそーだです。
今回書かせていただくのは、一応「別れ」をテーマにしたお話です。
この話のシリーズ的なものも、近日スレ立てしたいと思います。4個くらい家で作ってました←
でも何個もあると更新大変なので、多分完結してからです。
更新頑張らせて頂きます。
『はじめて』の日。>>1
俺の友達。>>2
彼女と、お友達に。>>3
来栖さんって、誰?>>4
何処にいるんですか。>>7
知らない彼女。>>12
彼女と彼女。>>13
その『手』は。>>14
聞きたいのなら。>>19
じゃんけんの行方。>>20
悲しい過去。>>21
大好きと、さよなら。>>22
待ってて。>>23
俺達、友達じゃん。>>24
彼女のこと。>>25
- Re: 哀昧喪糊。−あいまいもこ− ( No.21 )
- 日時: 2015/03/28 21:29
- 名前: めろんそーだ (ID: JFBEfYhr)
「これからの話は、決して楽しい話ではないわ。
勿論さっきから私が話していたような、法螺話でもない。
真面目に聞いてほしいの」
「_____おう」
そして、悲しい過去が告げられた。
***
彼女とはね、幼稚園のときからの幼馴染みだった。
いつも優しくて、笑顔だった萌湖の周りには、いつも人がいたわ。
でもそれは中学校までの作られた幸せだった。
私は中学校になって、ある感情が生まれたの。
それはね____『嫉妬』。
ずるいって思ったわ。
中学校のときまでの私は、人と話すことが苦手で、そんな萌湖が羨ましかった。
それでつい、私は取り返しのつかないことをしてしまったの。
いじめを、ね。
最初は『私なんかに権限はない、どうせ何もない』と思って萌湖の机に落書きをしただけだった。
それだけでも今は悪いと思ってる。
「調子乗んな」……これだけ書いてしまって。
次の日、学校に行って、私は凄く後悔をした。
彼女の机には、夥しい数の暴言が書かれていたの。
きっと、あの子をよく思わない子もいたのでしょうね。
そりゃ優しい子が皆に人気とは限らないもの。今考えたらよくわかる話だった。
萌湖はそんな有様になった机を見て、呆然としてた。
そんな時、私は何も言えなかった。
彼女に「ごめんね、私が悪いの」って言っていればよかったのに。
_____ざまぁみろ、って思った。
これで私だけに頼ってくれる、っていう下心。
それからは萌湖は、私だけを頼りにしていた。
クラスのアイドル的存在だった彼女に頼られるって、凄い優越感だったわ。
でもある日、黒板に書かれた。
私が仲良くしていた子が、裏切ったの。ううん、私が萌湖を裏切ったのだから、これは相応の罰とも言えるわね。
「来栖萌湖を裏切ったのは篠田燐火だ」
黒板には真っ白いチョークで、荒っぽく書かれてた。
「嘘、でしょ………?」
私が違うよ、そんなことないって言おうとしたら、皆冷めた目でこっちを見てた。
だから嘘なんて、吐けなかったの。
「______ごめんね、萌湖」
- Re: 哀昧喪糊。−あいまいもこ− ( No.22 )
- 日時: 2015/03/29 16:42
- 名前: めろんそーだ (ID: faSasGNm)
その日から、彼女は一人になった。
そして私は沢山の人に囲まれた。
それはすごく嬉しかったけど、いつも心にぽっかり穴が開いたような感覚だった。
彼女は蹴られて、殴られて、罵倒されて。
そんな萌湖を見ても、私は救いの手すら差し伸べられなかった。
そして、いじめが始まって、2年。
中学最後の年になった。
その年から、彼女は学校に来なくなったわ。
皆は声を上げて「ざまぁみろ」「馬鹿じゃねぇの」って笑ってた。
何でなのか、理由を知ったのは卒業間近の寒い冬のときね。
先生が、ぽっかりと開いたままの彼女の席に、真っ赤な花を置いていたの。
泣きながら、その机を撫でていた。
それで、やっと気づいた。
もう彼女に会えないってこと。
萌湖はもう______死んだ ってことを。
原因は飛び降り自殺だった。
私は幼い頃からの仲だったからか、家の机に入っていた手紙を見ることが出来た。
………それにはこう書いてあったわ。今、あるから読むわね。
大好きな皆へ
ごめんなさい。
私は馬鹿だから、耐えられずに自殺をしてしまいました。
この手紙を読んでいる皆は、私のことをきっと憎く思っていることでしょう。
それは私だって同じ。ここまで酷いことをされて許せるほど、私は優しい子じゃないから。
でも、一番伝えたいことは、たった一人の子に対してだけだから。
篠田燐火さんへ
これまでありがとう。いつも優しい燐火のことは、今でも大好きだよ。
だから、裏切られていたって知ったときは、とてもショックでした。
でも、今思えばわかる話で。
優しい燐火が、人を裏切るはずないもんね。
燐火のことは絶対に忘れない。
信じてる。
死んじゃってごめんね、本当はもっと一緒に遊びたかった。
またいつか、会えるといいな。
その日を楽しみに、私は燐火との想い出を大切にしてるね。
さよなら。
来栖萌湖より
私はこの手紙を読んで、何度も嘆いた。
裏切ったのは私なのに、どうして信じてくれるのって。
なんでそんなに優しいのって。
今だってこれを読むと、涙が出てくる。
だから私は、罪を償うつもりで。
萌湖に会って「ごめんね」って言うために。
_____________________飛び降りて、死んだの。
- Re: 哀昧喪糊。−あいまいもこ− ( No.23 )
- 日時: 2015/03/30 20:57
- 名前: めろんそーだ (ID: GXbeschk)
「死んだ____って」
くすくすと笑っている彼女を見ても、やっぱり実感は湧かなかった。
「萌湖に誰も、気が付かなかったでしょう?」
嘘だと言って欲しかった。
そんなのは俺の我儘で、苦しかったのは二人だって知っていたけど。
それでも、嘘だって思っていたかった。
「何でだか、分かったわよね。これで」
「じゃ、じゃあ!
何で俺に見えるんだよ!!」
彼女はそこで、口を噤む。
「それは……分からないけど…」
でも、彼女は死んでいる。
私も死んでいる。
それを言おうとしているのが、わかった。
「……もういいよ」
「……え?」
俺は椅子から体を浮かせると、彼女に笑いかける。
多分ぎこちない笑みになっていただろう。
「俺、来栖さん探してくるから。
話してくれて、ありがとう」
早く行かなきゃいけない。
何故だか、そんな気がしたんだ。
彼女はまた、くすりと笑って言う。
「……えぇ。
何かあったら言ってね、相談くらいは乗るつもりよ」
「うん、ありがとう。行ってくるよ」
俺は図書室のドアを開けると、大きく息を吸った。
そして、叫ぶ。
「来栖さん!!!!!」
待ってていて欲しかった。
すぐに会いに行くから_______。
- Re: 哀昧喪糊。−あいまいもこ− ( No.24 )
- 日時: 2015/03/31 20:10
- 名前: めろんそーだ (ID: DjVjPc1U)
どさり。
地面に膝をついた。
はぁ、はぁと息を整える。
来栖さんは何処にいるんだろう。
「来、栖さん……」
下を向いているだけで、ぼろぼろと涙が零れた。
一番辛いのは彼女で、俺なんかが泣いてる場合じゃないのに。
涙は溢れて止まらなかった。
「………リュウ?」
いつもの優しい声が聞こえて、顔を上げる。
そこに立っていたのは、汐。
俺の大事な友達だった。
彼は俺の顔を見ると一瞬驚いて、にかっと笑う。
「……何だよっ…」
しゃがみ込んで視線を合わせようとする彼。
何だか嫌になって、目を逸らした。
「……ほら、笑えって!」
「___え」
ぱしんっ。
汐は俺の顔をこっちへ無理矢理向かせると、満面の笑み。
「お前がそんな顔してたらこっちだって暗くなるよ?
何かあったんでしょ、言ってみ?」
俺達友達じゃん、と笑う汐。
____こいつなら、分かってくれるんじゃないか。
「………な、俺の話信じてくれるか?」
俺は汐に向かって、問いかけた。
- Re: 哀昧喪糊。−あいまいもこ− ( No.25 )
- 日時: 2015/04/02 18:37
- 名前: めろんそーだ (ID: hDs6F9Z9)
「勿論。友達なめんなよ」
にかっ、と歯を見せて笑う汐に、安心した。
こいつと友達で良かった、と改めて思う。
「来栖さん、知らないんだよな」
俺のその問いに、彼は小さく「うん」と頷く。
無駄なことは言わずに、相手の話をよく聞く。
これが、汐の良い所だと思っている。
「俺、リュウが行ってから皆にもう一度聞いたんだ。
来栖萌湖さんを、知っている人を探してさ。
何人かは知ってたけど、その人たちが言うに…………」
「……解ってるよ」
俺はその言葉を遮った。
もう、あの事実は思い出したくないから。
汐は一言、「ごめんな」とだけ言って、静かになった。
「……来栖さんを、探してるんだ」
そっか。
小さく微笑んで頷く汐。
「きっと、見つかるって。
そう思ってたんだ。
なのに……、なのにっ…………!!」
感情が高ぶって、また涙がぼろぼろ零れる。
汐は黙って俺の話を聞いてくれていた。
それだけで十分だった。
「……俺、来栖さんのこと、何も……わかってなかった…………っ」
「そんなこと、ないと思うよ」
突然口を開いた汐に、顔を上げた。
彼は俺のほうを見てにこ、と笑っている。
「今まで独りぼっちだった来栖さんを見つけてあげたのは、お前だろ?
友達になれたのはお前だろ?
だったら、それまでのことが無駄だったみたいに言うなよ……」
「………それは」
「今までの来栖さん、どんな表情だった?」
「……あんまり、笑わない人だった」
それならさ、と問いを重ねる。
「リュウといるとき、どんな表情だった?」
言われて思い出してみる。
いつも優しくて、あったかくて。
何より彼女は…………
「笑顔、だった……」
そうだ。
俺はあの優しい笑顔に見惚れて、友達になっていったんだ。
「それってさ。
リュウといたから、笑顔になれたってことだよ」
「俺と、いたから……?」
「______リュウといたことで、少なからず来栖さんの気持ちは変わったんだよ」
そう言った汐は、太陽みたいに眩しく笑うのだった。
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