コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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神聖なるカルテの中の腐った住人【4/27更新 参照100ove感謝】
日時: 2015/04/27 21:36
名前: 占部 流句 (ID: h5.UUysM)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=38225

 初めまして。又はどうも♪ 占部 流句と書いて、〝せんぶ るく〟と読みます。決してせんべではございません。

 こちらは、わたくしの第4作目の小説になります。3作目がまだ終わってないのですがね……。そこらへんは大丈夫です。
 しかーし。こちらはサブとして進めていきますので、更新は月&金(予定)とさせていただきます。

 さて、今回作品は医療系ですよ。ただし、占部節が入ります(笑)


□ご注意□

※筆者はまだまだ未熟です。まだ文として成り立っていない部分がありますが、大目に見てください。

※しかし、ご感想等を頂けるととても嬉しいです。是非率直な感想をお願いします。ただし、明らかにこちらを侮辱する内容の物は無視します。

※誤字脱字、出来るだけ気を付けいますが、あると思います。見つけたら教えて下さい。すぐにお直しいたします。同様にわからないところがあればご質問下さい。


上記URLは、現在同時執筆中の〝愛しのキャットダーリング〟です



□目次□

筆者紹介>>01
登場人物紹介(随時更新!)>>13 〈最終更新4/24〉

◆第一話
 いち>>04 に>>05 さん>>08 よん>>09 ご>>10 ろく>>11 なな>>12

◇第二話
 いち>>14


□お知らせ□

15.4/8 参照100 Thank you.


□お客様□

♪佐渡 林檎 さん
♪はるた さん

……ありがとうございます!

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第一話 ご ( No.10 )
日時: 2015/04/13 20:57
名前: 占部 流句 ◆PCElJfhlwQ (ID: h5.UUysM)
参照: 愛キャはお待ちを!忙しくて全然書けていません^_^;


「──すごい家だな」
「そうですね」
 二人とも、今自分がいる状況をイマイチ理解しきれていなかった。あの宮口からは想像もつかない家だった。もう、笑うしかない。
 二人がやっと手元に置いてあるお茶とお菓子に気付いた頃、また障子が開き、次は女性と一緒に、Tシャツ姿の宮口老人の姿があった。
「いやあ、どうもどうも。本当に来てくれたね」
「当然ですよ。今日は私の助手も連れてきました」
 籠本寺が大森を軽く紹介してから、大森が挨拶をした。
「大森です。いつもはカウンターをしています」
「では、私は失礼します」
 大森の挨拶が終わると、女性が立ち上がり、部屋を後にした。
「さあ、崩して崩して。楽な座り方で」
「ありがとうございます」
「それで、本題の方だが……」
 宮口はいきなり本題を切り出した。
「ええ。今、お孫さんはいませんよね」
「ああ。今は……十時半か。孫は十一時には帰ってくるが」
「時間は大丈夫ですね。では、始めましょう」
 早速、籠本寺得意の話術で孫の事を色々と聞き出すと、はやくもはじめの結論を出した。
「要するに、お孫さんは中学受験に失敗されてから暴力を……」
「ああ」
「単純に考えると、心理的なショックが加わった事によりますね。でも、中学受験のせいだけではない」
 籠本寺が言うと、大森も続ける。
「お孫さんが暴力を振るわれるようになったのは、もしかして入学してからでは?」
 すると、宮口は目を閉じ少し考えて、地動説を発見した時のガリレオのようにはっと目を開いた。
「そ、そうだ」
 その一言を聞いた瞬間、二人の目は確信を得た。
 二人が同時に腕時計を見ると、時刻は十一時七分。もう孫が帰って来てもいい時間だ。
「そろそろですね」と、大森が言うと、宮口の身が少し締まった気がした。
 二分も待たないうちに、遠くからガタッとドアの開く音が聞こえた。そして、その後に「はる、ただいまくらい言いなさい」という声と、「うっせーよ」と怒鳴る声が続けて聞こえた。
「じゃあ、呼んでくるからよ……」
 宮口が言った言葉には恐怖が感じられた。これは安心させなければという考えが働いた籠本寺は、
「僕が行きますよ」と一言言って、立ち上がった。
 障子を開けて部屋から出ると、そこには宮口の子供であろうさっきの女性が立っていた。
「本当に申し訳ありません。こちらです」
 女性のエスコートで向かったのは、階段を上って二階の一室だった。きっと女性がいなければ迷ってしまうような長い道のりに籠本寺は感じられた。

第一話 ろく ( No.11 )
日時: 2015/04/17 18:04
名前: 占部 流句 ◆PCElJfhlwQ (ID: h5.UUysM)


 女性は所々壊れていて、ガムテープで補修してある引き戸をノックする。そして、強い口調で「はる。入るわよ」と言った。部屋のなかからはロックだろうか、音楽がかなりの音量で流れていた。
 籠本寺は一度深呼吸をし、トントンとノックをした。中からの反応はやはり無い、というか聞こえないのかもと籠本寺は思った。もうこうなったら、籠本寺はドアを開けて、部屋の中へと入っていった……瞬間。
「うわぁっ!」
 中にいた中一、十二歳の宮口の孫がいきなりこちらに殴りかかってきた。
「お、おっと」
 間一髪のところでパンチをかわすと、体制を立て直した。これからの少年の行動。まずもう一発殴りかかってくる。そこで籠本寺がひらりと避けると、ついに誰かがわかって一瞬怯む。今回は危害は与えない様に、左腕を奪い、軽く関節技をかければ大人しくなる。はい、実践。
「うわぁっ……! うっ」
 おしまい。少年はあっさり降参の意を示して「うう」と呟いた。
「こら、はる。本当に申し訳ないです」
「いえ。君がはる君だね」
「お前はどうせ、カウンセラーとかだろ」
 少年は、自分の名前について否定も、肯定もしなかった。
「いや、違うよ。僕は医者だ」
「一緒だよ」と、少年が投げ捨てるように言った。まだ声変わりのしていない、高らかな声だった。
 少年の母親である女性音楽を止めると、ドンドンと階段を上ってくる音が聞こえた。
「籠本寺先生。何がありました?」
 駆け付けたのは大森と宮口老人だった。籠本寺はなんでもないと言い、少年の腕を自由にした。
 そして、大森が「お母さんはこちらへ」と女性と宮口老人を部屋から連れ出した。
「──お母さんはいない」と、籠本寺が言うが、少年は無反応。お母さんはもういないのだ。それを伝えたかった。
 籠本寺は部屋の隅に置いてある、黒と青のボーダー柄布団の一人用ベッドに腰をかると、話を始めた。
「はるくん。あなたの名前、違います?」
 少年は、変わらず何も答えなかった。その代わり、少し俯いた。
「先にあなたの診断結果を言いましょう。あなたは、全治不能です」

第一話 なな ( No.12 )
日時: 2015/04/20 21:33
名前: 占部 流句 ◆PCElJfhlwQ (ID: h5.UUysM)


 そう言った瞬間、少年がパッと顔を上げた。
「なぜかって?」と、籠本寺は続ける。
「お前はさあ、いいよなぁ。顔もいいし。この賞状、学級委員だろ? 頭もいいようだし。なんせ家に金がある」
 すると、少年が「やめろ」と小さな声で言った。
「でもよ、ぐちぐちぐちぐち縮こまって、なんだ? さっきの音楽だって。悪趣味だしな。どうせ学級委員としても特に何もしてないんだろ?」
「やめろよ……」少年は少し口を濁した。
「だから、お前のそこ。心は、全治不能。わかった?」
「やだ、そんなのやだよ」
 その時、籠本寺の足元に不意に何かが当たった。何かと思い、ベッドの下へと手を伸ばすと、少し厚めの雑誌のような本が手に当たった。
「あっ」少年が気付いて凍り付いた。
「ん、なんだこれ? ほう。いい本持ってるじゃないか」
 その雑誌の表紙には、大胆な水色の水着をまとった女性が、セクシーなポーズでうつっていた。
 少年の顔が熟したリンゴのように、真っ赤になっていくのが手に取るようにわかった。
「照れるなよ。俺もお前くらいの時には持ってた。でも、もっといい隠し場所は無いのか?」
「お、お前っ! 絶対ババアには言うなよ」
 と、言うなり少年は籠本寺の手にある本を取り上げた。
「お母さん、だろ」
 カッコつけて籠本寺がそう言うと、少年は微笑して「カッコつけんなよ」と言った。お見通しのようだ。
「いいか、おっさん。俺は全治不能じゃない。バレたらなんかスカッとした。あと三冊あるよ」
 と、いって少年はころっと表情を変える。少年はベッドの下に手を入れると、言った通り雑誌を三冊取り出した。
「……それだけ?」
「それだけ。あーあ、何にも言わないでやり過ごそうと思ったのに」
 意外だった。全く予知していない展開だった。籠本寺(と大森)はてっきり少年がいじめられでもしているかと思っていたのだ。理由は、うちがお金持ちだから。
(しまったー)
 青春はやはり理解に時間がかかる。診断ミスは医師として許されない事だ。しかし、理由がわかったからには、帰らなければいけない。残業扱いになってしまう。
「じゃあ、もう帰るよ。もう殴るなよ」
「はーい」
 さっきまでのやりとりが嘘のように少年は笑顔を見せ、「じゃあね」と籠本寺を見送った。
「先生? あれ。もう済んだのですか」
 案の定、大森も、宮口老人も、女性も困惑していた。

 帰り道、事実を大森に話すと、あははと笑い出した。
「とんだミスでしたね。まあ、良かったじゃないですか」
 そんなこんなで本日の仕事は終了した。空はいつの間にか日が傾き、二人の笑顔を明るく照らしていた。

 

登場人物紹介 ( No.13 )
日時: 2015/04/24 20:43
名前: 占部 流句 ◆PCElJfhlwQ (ID: h5.UUysM)
参照: 随時更新します!


   ──キャラクター紹介──





〜メイン〜


  ○ 籠本寺 一 <ロウホンジ ハジメ> 男

 〝こもれびクリニック〟でたった一人の医師。手術はあまり好きではないが、腕はなかなかのもの。大学では天才と言われていたか、なぜかエリート街道を突っ走る大学病院ではなく、一人町医者を始めた。
 時々毒舌なところはあるが、患者には優しく、老人にモテる……らしい。
 好きな物は肉と魚。でも、魚は生では食べられないので寿司はNG。



  ● 大森 明彦<オオモリ アキヒコ> 男

 〝こもれびクリニック〟の経理とその他諸々の担当。医師免許は持っているものの、診断はしない。訳あって籠本寺を慕う一人。
 頭は良くて、なんでも完璧にこなさないと気が済まない完璧主義者。
 趣味はドライブ。車は軽自動車だが、そのうち大型に乗りたいと思っている。最近は彼女とのデートでドライブに行く事も多い。






  〜脇役〜


  ○ 宮口老人<ミヤグチ> 男

 調子が悪いと〝こもれびクリニック〟を訪ねてきた患者。寒い日でもTシャツ一枚。



  ● 宮口婦人<ミヤグチ> 女

 大きな家に住む宮口老人の子供、はるの母親。家の中では綺麗に着物を着て、家事もこなす。



  ○ 宮口 はる<ミヤグチ ハル> 男

 宮口老人の孫で、中学一年生。最近は両親と祖父に反抗、部屋に閉じこもるようになってしまったようだ。





第二 いち ( No.14 )
日時: 2015/04/27 21:34
名前: 占部 流句 ◆PCElJfhlwQ (ID: h5.UUysM)


 第二話 ー風邪と自分とー


 休日の患者訪問は呆気ない最後で終わった。その後、大森は籠本寺なアイスを買い、ちょっとした出費をしたことは言うまでもない。
 翌日からは、またゆったりとした日々が戻り、診療をする籠本寺は終始笑顔で対応した。
「そういえば、うまくいってるみたいですよ。はる君」
 時は夜の10時。清掃と明日の準備を終わらせた大森が、ロビーのソファーでくつろいでいる(と、いうか寝そうな)籠本寺にそう伝えた。
「そうか、良かった……」
 籠本寺はふわぁと大きな欠伸〈あくび〉をしてから、後ろにもたれた顔をサッと上げた。
「ん? いつ会ったんだ?」
「お母さんに、メールで」
 いつの間にか、と思う籠本寺を笑うかのように
「完璧主義なもんで。後の事が気になるんですよ」
 と、わざとらしく言う。
「お前は……」
「だから、患者さんとしてです。子持ちですよ?」
「ふふ。俺はそんなこと聞いてない」
 つい不本意な事を口走ってしまった大森は「うっ」と慌てて口を押さえて、
「先生、趣味悪いです」
 と、少し開いた指と指の間から指摘をした。


 翌日は日曜日であり、午前の診察で終了デーだ。籠本寺も大森も、数少ない午後からの休みを大切に過ごす日である。
「次の方。田中さんどうぞ」
 先程確認した時刻は午後1時少し過ぎ。この患者で最後だろうか。
 呼ばれたのは田中という子連れの母親。診察室に入ると、十歳くらいの子供の方が籠本寺の前に置かれている椅子に座った。
「お母様はこちらの椅子にどうぞ」
 立ったままの母親に、ベッドの横にある緑色の丸椅子を勧める。母親が座ったのを確認すると、籠本寺はカルテに目を通した。
「ええと、今日は予防接種ですね」
「はい」
 カルテには少し時期の早いインフルエンザの予防接種と記されていた。
 籠本寺が振り向くと、いつの間にか大森が立っており、またも細くなった注射用針を用意している。
「はい」
 素早く用意を終わらせると、籠本寺に針を手渡す。そして自分は止血用の小さいコットンと、誰でも知っている超有名アニメのキャラクターが描かれている絆創膏〈ばんそうこう〉を手にした。
「右腕めくって、力抜いてね」
 籠本寺は少年の腕の血管を探し、痛くないようゆっくりと、それでもって確実に針を刺す。
 注射をし終わると、すぐに針を抜き、大森がコットンで押さえる連携プレー。アニメのキャラクターの絆創膏を見た少年は半泣きで笑顔を見せた。
「はぁい。よく頑張ったね」
 大森は少年の頭を手でポンポンとし、絆創膏を腕に貼った。


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