コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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白い絵具と白い紙の絵
日時: 2015/05/24 19:05
名前: 古時計 (ID: bHw0a2RH)

先輩はいつだって、白いキャンパスを見つめている
その横顔は、どこか切なく儚くとても綺麗だった。

「柴田先輩、なにを描いているのですか?」
私が質問をすると、絵に夢中になって聞こえないのか
ただ、ただ白いキャンパスを見つめていた。
すると、綺麗な長い指で筆を持つとすらすらと絵を描き始めた。
「昨日見た、綺麗な空を描こうと思ったんだ」
ねぇ、先輩どうして空を描こうと思ったのですか?
理由が分かっていても質問してみたい、だけどその勇気が私には
ないんだった。空を描こうとする先輩を止める勇気も代わりに
私を描いてという勇気も、ないんだった。

————————
————
——
ちょっと切ない恋愛青春書こうと思いました!
温かい目でご覧ください

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Re: 白い絵具と白い紙の絵 ( No.4 )
日時: 2015/06/20 21:45
名前: 古時計 (ID: UIQja7kt)

三話 あの日の(朔夜)

あの日は、夏が来る数日前の梅雨だった。
外は鬱陶しいぐらいに、湿っていて雨が降って蒸し暑い…。

今日は応募していた美術受賞の日、電話を待つ家の中。
作り置きの冷たくなった肉じゃがをレンジで温めなおそうと
していた。両親は仕事のため結果を直接聞けない。

‾‾いつもそうだ、親に褒められたくてしてきたのに
いつの間にか、親はすっかり作り置きの肉じゃがのように
味に慣れて冷めて褒めてくれもしなかった。
「…おいしい…」
でも、今は違う。親以外に俺が頑張るパワーを与えてくれる
人がいる。今日の結果が良かったら彼女の好きな苺ケーキを
買いに行き彼女の病院に行こう、そうしょう。

プルルルルプルルルル

電話が家に鳴り響く、ついに結果が来たか。
深呼吸をして椅子から立ち上がる。

大丈夫、大丈夫。結果がどうであれ彼女が俺を応援してくれてる。だから、落ち込むこともないはず…。

そう、受話器を手で持った、心の準備はできている。

『も、もしもし!あの、柴田朔夜くんですか?空の母です。その、入院している夢が…』

‾‾‾‾‾‾‾
‾‾‾‾
‾‾

あの日の空は、太陽が見えないくらいの大粒の雨で
鬱陶しいくらいの蒸し暑さの外だった…

必死に、必死に駆け出して行った、服が濡れようが
周囲の目がこっちをみようが…そんなの知るか。
彼女のためなら、俺はなんでもできる…。

頼む、間に合ってくれ。結果を言えなくたっていい
だから、最後の生きている彼女の姿だけでも…声だけでも



俺に見せてくれ

‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
‾‾‾‾‾‾‾‾
‾‾‾


時を取り戻せるなら、取り戻したい。
濡れた髪が頬に伝う…固まった身体が動かない。

「…そ…ら…」

雨の粒と涙の粒が混ざり合う…。
息のない、彼女がそこに寝ていた…医者が険しい顔をして
首を横に振った。嗚呼、神様は俺を恨んだのか…?
大切な彼女も、見失ってなにを望んでいるんだ。

「くっ…うっ…うぅっ…」

やりきれない気持ちをぶつけるように心の奥から
泣き崩れる。ポケットに入れていたケータイがブルブル鳴る。

『この桜が、もっともっと大きくなって花を咲かせたら…私はもういないね…』

あの日の彼女と出会った桜の前で、そう彼女は寂しげに言った
それを言い返せなかったことが…とても、悔しい。

窓の外では雨が上がって、青い空が見えてきた。

Re: 白い絵具と白い紙の絵 ( No.5 )
日時: 2015/07/15 22:09
名前: 古時計 (ID: Oh9/3OA.)

四話 生徒会のお仕事ですよ!前半

「か、かか、会長!どこに行くつもりですか!」
そう、授業が終わってすぐの廊下で怒鳴るのは
この学校のショタ代表、書記の彩美先輩なのです。

嗚呼、また萌香サボろうとしていたんだ…彼女の悪い癖。
書記と萌香の会話を掃除しながら聞くだけしかない
なるべく関わりたくないんだよね、書記先輩はなんだか
面倒だ…。でも、そんな彩美先輩(わたしは書記先輩と呼んでいる)に対して萌香はへっちゃらな顔で面白そうに眺める顔をしている。

「どこ行くって?サボりの旅。一緒に行く?」

面白そうに言うものだから、書記先輩は怒りを堪えている。
きっと、書記先輩も大変だろう。きっと胃に穴が空くくらい
ストレスの塊があるはずなのに、サボり癖の会長を今も止める。そういうところは、尊敬しますよ…。

「そんな、堂々と言って罪悪感はないんですか!なんなんですか軽くコンビニ行く的なノリは!」

今にも泣きそうな書記先輩は、やっぱり学校を代表するショタだなと改めて実感したな。

「はぁー、めんどくせえな。なんでもいいじゃんか、彩美くん」

あ、やってしまった。萌香が最終手段の地雷を踏んだ。

「よ、ばないでください、僕の…み、苗字っ」
ついに、怒りは涙として出てきた書記先輩。嗚呼、周りの廊下を通る女子たちは子猫を見る目で通り過ぎる。

「よーし、よしよし。可哀想にねぇー彩美ちゃーん」

書記先輩をまるで捨て猫のように撫でて抱き寄せる
学校を代表するイケメン(女)は強い。今度は彩美×萌香で
通り過ぎる女子たちは夢の世界へ旅立つように次々と倒れ始める。はぁ、やっぱり止めに行こう犠牲者がもっと増える前に

私は掃除の途中で抜け出して、箒を投げた。

「も、萌香、やめてあげて、書記先輩以外にも被害を与えてるから勘弁してあげて」

抱き合っているところを無理矢理でも引きさいた。
こうするしか方法はないんです。
「おー、助人が来てくれた。んじゃ、夢ありがとね」
最後にハートをつけるように愛想よく私に言ってきては
割と早い足でさっさと逃げるように、1階の廊下の窓から脱出。
もちろん、窓の外からはきゃーと黄色い声が煩いくらいに聞こえてきた。

「あ、の…りがとう…相川さん」

無駄に女子力の高いハンカチをポケットから出して
涙を拭き始める書記先輩。

「それと、いつも…書記先輩って言ってくれてありがとう」
書記先輩は自分の名前が無駄に可愛いことを気にしているから
嬉しそうに可愛い笑みを浮かべた。こんな笑顔、女の私でも作れる自信がありません。そもそも、女子力からして敵わない。

「い、いえ、その…いつも萌香は暴走しすぎるので」

私は頷いて言った、書記先輩は眩しい。

「それじゃあ、行きますか」

そう言って私の手首を掴む先輩。当然だが驚く。

「え、ど、どこに?」

「決まってるじゃないですか、生徒会のお仕事ですよ!」



Re: 白い絵具と白い紙の絵 ( No.6 )
日時: 2015/07/16 01:03
名前: 古時計 (ID: jhXfiZTU)

五話 生徒会のお仕事ですよ!後半

まだ掃除中なのに抜け出して生徒会の仕事へ
連れられてしまう。ど、どうしょう、先輩に言いたいけど
張り切ってる先輩を見て言うのはなんだか気が引く。

「あの、先輩…」

森のような道を歩いていたが先輩は歩みを止める
先輩はキラキラとした目で私を見つめた、まるで小動物…。
言いかけてた言葉は喉で止まり出ない。

「その…お仕事とは?」

この言葉しか私は言う事しかできなかった…。
もし、仕事にいけないや嫌だと言ったら泣かされる
学校のショタを泣かせたら学校中の女の子を敵にしてしまう。
萌香はモテるから別として、地味な私は許されない。

「畑仕事ですよ、農業研究部のお手伝いです。今日も野菜を分けてくれるついでに野菜の研究を手伝ってくれって、顧問の黒沢先生に頼まれたんです」

あの、女タラシのどうしょうもない黒沢先生が顧問というのも驚きだが、頼んできたのも驚きの私。
でも、そういうことか…だから、萌香は今日は生徒会を休んだのか…納得のいく結論。

萌香は入学してすぐ黒沢先生を避けていると聞いてた。
それは、黒沢先生が嫌いだからと聞いてるけど黒沢先生と話してる時の萌花はどことなく輝いているのは気の所為なのだろうか…?

「あ、早速居ましたね!おーい、黒沢先生ー!」
手首を掴んで引っ張った先輩は手首を離して、黒沢先生に駆け寄った…本当に女子みたいな走り方。

「あ、可愛い娘ちゃん。生徒会みんなで来てくれたかい?」
と、泥だらけの白衣を着ていつものようにビジネススマイルという仮面を付けて挨拶するのは黒沢瑠香先生。
相変わらずな、スタイルと美貌…女子達が夢中になるのもわかるが…私には性格の悪い先生にしか思えない。

「可愛い娘ちゃんじゃないって言ってるじゃないですか!…生徒会はまだ来ます、とりあえず僕と相川さんだけです」
むすっとした顔をするので、黒沢先生は書記先輩の頬をつねってしまう。
「貴方と言う人は、本当に真面目ですね」
まるで生徒と先生の禁断の恋を見ている…

待って、その前に二人共男の子でした…。

Re: 白い絵具と白い紙の絵 ( No.7 )
日時: 2015/07/16 00:14
名前: 古時計 (ID: jhXfiZTU)

六話 面白いよ、そういうのも

「ジャージ…いやなんでもない」
黒沢先生は書記先輩になにかを言いかけていた、私は言いたいことをわかっている、なぜなら私もそう思っているから…。
先輩の貸出用ジャージだけ彼ジャーのようにダボダボで女の子のように可愛らしいから他のジャージを着ればいいのに、と。

「一向に来ませんね、生徒会」
ポカポカとした春の太陽がベンチに座る私達三人を照らす。
待てども待てども、生徒会らしき人間、いや農業部らしき人間すら来ないんですが…ちゃんと先輩伝えた筈なのに、みんなサボり魔なんですね。

「仕方無い、三人で作業をしよう」

ベンチから立ち上がる黒沢先生…なんだか今だけだが申し訳ない。今だけ。
「相川さんは俺と苺を収穫する仕事で、可愛子ちゃんはナスの収穫」
どうやらプランは立て済みのような黒沢先生、もしかするが本当の女の子の私と一緒にいたいから苺収穫なんて…ありえないよね?

「可愛子ちゃん言うなっ、もういい僕さっさと収穫してくる」

むっと拗ねた顔をしてナスのビニールハウスに入っていった書記先輩だが、その途端に私は黒沢先生と2人…さっきとは違う空気になったのは気の所為だろうか…?
「夢ちゃん、早く苺収穫行こうっか」
やっぱりこの人は企みがある…私が女性という分類だけで十分な捕獲対象なのだろう…。彼の微笑みだけでも怖い気がする。

そんなこと(失礼なこと)を思いながら苺のビニールハウスに入っていく
そこには苺の甘い香りが漂っていて、実を大きくした苺がビニールハウスの奥まであった。そんな光景を唖然としてつったって見ていた
「ほら、そんなことしても作業は進まないだろ?」
と、私の肩を叩きはじめる黒沢先生。
「えっと、どこから採っていけば…」
「欲張っちゃ駄目だ、端からこの輪に入る苺を採って」
案外普通の接し方なので、自分の思い込みだと恥ずかしくなってきた…。
測るようの輪を手に渡され私は早速苺を測り始めた。案外でかく見えて基準を満たさない苺が結構多かったりする、こういうところが素人の証拠なのだろうと渋々考える。だって、黒沢先生なんか輪を使わずしてどんどん採っていってしまうから逆に私が重荷のように感じてしまう。

だが、負けてたまるか。
こんな時にだけ真面目ぶっている黒沢先生を見ると熱が湧いてくる…私なら大丈夫だ素人の壁を乗り越えるんだ。

「あちゃちゃちゃちゃー!!」
ハイスピードで輪で測って収穫測って収穫の繰り返しをしがじめる
一秒間で20個を採っているだろうと予想できる。
当然だが、黒沢先生の手は私を見るのに必死で止まってしまっていた。

「君、女の子は上品にいちご狩りをするもんだよ?」
苦笑い気味で言われたものですから、急に恥ずかしくなっていく…なにやってるんだ、自分…。熱が湧いてくるとは言え変な人だったな…。
「先生には関係ないです…作業してください…」
俯きながら苺を測って採っていく…嗚呼、恥ずかしくて冷や汗が…。

「まあ、面白いよそういうの…」
笑われながら言うものだからむっとしてしまう…笑わなくても…。
そんな甘酸っぱいシュチュエーションの中

ビニールハウスの外から見える萌香…なにしているんだ、あの子…?

Re: 白い絵具と白い紙の絵 ( No.8 )
日時: 2015/07/16 00:52
名前: 古時計 (ID: jhXfiZTU)

七話 いい加減に成長しろ

ずっと、こちらを睨みつけていた怪しい人影。
それは見慣れた人影であって、なんだか哀れになってきた。
「こっちに来たらどうですか、錦さん」
慣れた手つきで苺を採りながら、萌香を呼びかけたのは黒沢先生。
どうしてサボりの旅に行った萌香がここにいるのも疑問だが
避けていた黒沢先生を見ていたのかが一番の疑問である。

ビニールハウスから差し込む光がこんなにも眩しく苛立たしいと感じたことはない気がする。光さえなければなにかをわかるなんてことはないのに苛立たしいと感じてしまう。

やっと萌香が口を開いたと思ったら
「誰が行くっての、この女遊びマシーン第一号野郎」
と、子供のように先生に野次を飛ばし始めたのであった。
さっきまでの微妙な空気がピリピリしはじめた…まるで小さな炎がいきなり大きくなっていく火事のように…。
「言葉を謹んだらどうでしょうか、女子力なしの女子高生さん」
先生も挑発に乗り始めてしまう。嗚呼、私はこの間に入って止めるべきなのでしょうか…
「お二人共、1回落ち着いた方が…」
オロオロしはじめる。

「女なら誰でもいいんでしょう、天狗野郎」
挑発しながらビニールハウスの中に入っていく錦さん。なんだかんだで最初から喧嘩を売りに来たようです。
「そんな訳ないですよ、君は胸がデカくても対象外ですから」
対面し睨み合う二人は爆弾発言連発で誰も止められない気がする。

そんな二人の間に水が上からズバッと降ってきた
何事と思い驚いていた私は目を見開いた。

「いい加減に成長しろ、この幼児共」

それは生徒会の会計、横山彰子でる。
長い綺麗な脚に黒髪の輝く肩につかない髪をハーフアップをにしていてまるで白雪姫のような肌をした美少女である。

だが、問題は彼女の性格。

「うわっ、びっしょびしょじゃないか彰子!」
そう騒ぎ始める萌香を睨みつけ
「アンタは1回びしょびしょにならないと黙らないでしょう?」
睨みつけられた萌香は肩を小さくしはじめた。まるで、飼い主に冷たくされた子犬のように見えてきたような…。
「しょうちゃん、いくらなんでもこれはやり過ぎじゃない?」
口説くような口調で馴れ馴れしく彰子さんの頬をつねるのは調子者の黒沢先生…余計なことをしたものだなと眺める。

彰子はイラッと来たようで片手に持っていたじょうろを花に水を与えるように黒沢先生に掛けてあげる。

「あ、夢ちゃんこんにちわ。調子に乗るとこうなるから注意して」
満面の笑顔で言われたものだから鳥肌が立った。
やはり、彰子さんの性格は嘗めない方がいいのかもしれない…。


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