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【参照1000越え】ワールドエンド【感謝】
日時: 2016/01/16 22:38
名前: 凜太郎 (ID: 6kBwDVDs)

 初めましてか何度目まして。
 凜太郎といいます。

 今回から書いていく物語は、とある引き籠り少年がゲームに閉じ込められる話です。
 超人気オンラインゲームに閉じ込められた多くの人々。
 彼らの運命やいかに!

 他にも、同ジャンルに音の無い恋という作品を出しています。
 もしよければ、そちらも読んでください。

 では、よろしくお願いします。

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Re: 【参照1000越え】ワールドエンド【感謝】 ( No.112 )
日時: 2016/01/26 18:54
名前: 凜太郎 (ID: 6kBwDVDs)

22:逆転

「これでまた下僕できちゃった〜」

 茶髪男はそう言ってソラの頭をポンポンと撫でる。
 少年は、もちろん無反応だ。
 目は虚ろになり、焦点すらままならない。

「普通に労働力にすんのもいいけど、そこのお友達とヤらせんのも楽しそうだよな〜。う〜ん夢が広がる!」

 そう言いながら膝に乗せたラルナの頭を撫でる。

「相変わらず変態だな」

 白いフードを身につけた男は、そう言うと別の部屋の奥に入って行った。

「うるせぇよ」

 茶髪男はそう言ってラルナの唇を奪う。
 多分、フードの男は勘付いていたんだろう。
 少年がタダ者じゃないことに。
 彼が、一番の不穏分子だということに。

「ち・・・が・・・」

 掠れた声で、少年は言う。
 茶髪男は目を見開く。

「ち・・・がう・・・僕は・・・」

 少年は、立ち上がった。

「僕は・・・下僕じゃないッ!」

 首輪が、粉々に砕け散る。

−−−

「なッ!?」

 茶髪男が目を見開き、僕を見る。
 僕は気にせずに、隣にいたケインの腕輪を剣で割る。

「なんで・・・首輪を付けたのに・・・」
「僕は・・・負けない・・・」

 剣を持ち直し、僕は男に近づく。
 さっきので結構体力を使い果たしちゃったからな。
 全力で戦えないかもしれない。

「うああ・・・」

 ラルナさんの首輪を割る。
 彼女はその場に倒れ込んだ。

「あ・・・あ・・・」

 一旦男は無視して、影丸さんの首輪も割る。
 そして男に向き直り、剣を先を向ける。

「セツトさんと・・・ダイキさんを・・・どこにやった・・・」
「ぅぁ・・・ぁ・・・あっちです・・・」

 僕は男が指差したドアを開けた。
 そこは、上に上がる階段があった。
 そこを上がると、ドアがある。
 僕はそれを開ける。
 そこでは、セツトさんとダイキさんが見ているこっとが吐きそうになるような濃厚で深い接吻を交わしていた。
 僕はできるだけ見ないようにして二人の腕輪を割った。
 2人は唇を離し、その場に倒れる。

「ハァ・・・これでいいかな・・・」

 僕は刀を肩に担ぎ、辺りを見渡す。
 その後で、逃げようとしていた茶髪男を縄で縛り、他の皆の覚醒を待った。

Re: 【参照1000越え】ワールドエンド【感謝】 ( No.113 )
日時: 2016/01/26 21:29
名前: 凜太郎 (ID: 6kBwDVDs)

23:黒幕

 ズーンと音がしそうなほどに落ち込む『オーバーワールド』の皆さん。
 どうやら、操られていた時の記憶はあるらしく、自分達がしていた醜態を思い出しもう数時間ほどずっとこの調子だ。
 僕は暇なので適当にジュースを飲みながらそれを見ている。

「うぅぅ・・・よりによって男とキスなんて・・・しかもディープ・・・」
「なんであんなのに頭撫でられて喜んでんのよ・・・」
「初めてのキス奪われた・・・」
「セツトとキス・・・」

 皆、とにかく落ち込んでいる。
 女性陣に至っては涙流しちゃってるよ。
 ダイキさんも羞恥心からか、顔を真っ赤にしている。

「ま、まぁ・・・全てはこの人のせいですから」

 僕は4人の気を紛らすために、茶髪男を差し出す。
 ちなみに、彼の顔は4人に殴られ蹴られしたせいで痣だらけで腫れていた。

「たとえそいつを殺してもあの過去はやり直せないんだよ。それに、今はソイツを人質にしないといけないから殺せないしな」

 セツトさんはそう言って男の青くなった痣を指でグリッと押した。
 男は「いだだだだだッ!」と声を漏らす。

「こ、殺すならいっそのこと楽に死なせてくれよッ!どうせしろっぺも俺のことなんて助けようとは思わないだろうし」

 男はそう言うと目を逸らした。
 え、今なんて?

「しろっぺって、あの白いフードの人?貴方はあの人の仲間なんだよね?」
「仲間っつーか、友達っつーか。リア友だよ。と言っても、アイツは俺のこと便利な駒としか思ってないだろうけどな」

 そう言ってため息を吐く。
 急に饒舌になったのか、彼はさらに続ける。

「リアルでも、アイツはいつもトップだった。俺はアイツに気に入られたらやりたい放題できると思って、いわゆる腰巾着みたいな役割だったよ。でも結局はただの駒。俺に笑顔を見せたことなんて一度もなかった」

 僕たちは顔を見合わせた。
 つまり彼は利用されただけってこと?

「とはいえ、僕たちにあんなことさせたのは事実だし、アイツが動かないのなら殺すしかないだろ」

 セツトさんはそう言うと、剣を抜く。
 僕は間に入ろうと思ったけど、やめた。
 だって、自業自得だもの。

「へへ・・・やっぱ、死ぬのってこええな。自業自得だってことは分かってるけどさ」

 彼はそう言って、腫れた顔で歪な笑みを浮かべる。
 僕は目を伏せた。
 何かがザシュッと音を立てて斬られる音が響き渡った。

Re: 【参照1000越え】ワールドエンド【感謝】 ( No.114 )
日時: 2016/01/27 17:12
名前: 凜太郎 (ID: 6kBwDVDs)

24:一つ減った

 新たに地下に基地を作った俺は、椅子に座って下僕に煽がせていた。
 やはり、下僕はこうして自分の駒として役立てるのが一番だ。
 『あいつ』みたいに、自分の欲求を発散させるだけの存在にするなんて、馬鹿らしい。

「あの、シロ様・・・」

 部屋に入っていた下僕は、俺に用事があるらしい。
 なんだ?と俺は尋ねる。

「貴方のご友人の方が、お亡くなりになったそうです」

 ご友人、というと、『あいつ』のことか。

「それで?」
「えっと・・・」
「それで一体なんなんだ?」
「いえ・・・それだけです」

 彼はそう言うと部屋から出て行った。
 全く、もっと大事な連絡だと思っていたが。
 俺は紅茶を口に含む。
 しかし、好みの味ではない。
 もっと『教育』しないとダメだな。
 足の台にしている下僕の頭に紅茶をかけながら、そう思う。
 あーあ・・・。

「駒が一つ、減ったな」

Re: 【参照1000越え】ワールドエンド【感謝】 ( No.115 )
日時: 2016/01/31 21:23
名前: hiro (ID: Gd7LnyXy)

す、すげーwww
お疲れ様です、おめでとうございます
がんばってー

Re: 【参照1000越え】ワールドエンド【感謝】 ( No.116 )
日時: 2016/02/25 20:43
名前: 凜太郎 (ID: 6kBwDVDs)

25:すごい人

 さて、とセツトさんは剣をしまい、椅子に座る。
 まるで何事も無かったかのように。
 僕は先ほどまで男がいた場所を見て、また前を見る。

「さて、本題に戻ろうか。あの腕輪や首輪を使って僕たちを操ったのは、多分あの白フードの男で間違いない」
「くっそ、潰してやるッ!」

 顔を歪めるダイキさんを、無言で制するセツトさん。

「落ち着け。あの首輪やらの事件の首謀者が彼だというのなら、大量に持っているか、製造する手段を持っている可能性が高い。つまり、部下だってそれなりの数はいるだろう」
「あくまでそれも仮定の話、本質は私達にも分からないわ」

 ラルナさんはそう言って書類のようなものを出した。
 少しペラペラと見てみると、様々な情報が載っていた。
 この世界の細かい地図に全プレイヤーの情報。

「流石、仕事が早いね」
「知ってる」

 そんな短いやりとりをしながらセツトさんは凄まじいスピードでページを捲って行く。
 こんなすごい人なのになんで操られちゃったんだろう・・・?

「あの、影丸さん、ですよね?」
「えぇ。影丸よ」
「あの・・・セツトさんって、本当にすごい人なんですか?」
「えぇ。すごいわ」

 即答。
 まるで、当然のことのように、彼女は言い放った。

「でも、あの人・・・結構よく捕まったりしてるし、本当にすごいのかよくわからなくて・・・」
「そりゃしょうがないわよ。彼、復帰したばっかだもん」

 ん?復帰?
 復帰って、何?

「復帰・・・?」
「あ、もしかして知らない?彼、前の『ワールドエンド』を救った英雄なんだよ」
「それは知ってますけど・・・・・・」
「暴走したバグが人々を次々に殺していってさ〜。大変だったんだよ。でもね、彼が身を挺してそのバグを殺すことに成功。被害はヤバかったらしいけど、彼がいなかったらもっとひどかったと思うよ」

 そこまで言って、クスッと笑い、セツトさんを見る。
 当の本人は、書類を見て眉を潜めている。

「それで、結局復帰って、いうのは・・・?」
「彼、バグを殺した時に、脳に障害を負ったのよ」

 障害と聞いて、僕は目を見開く。

「心が全部抜かれた感じ、みたいな。正直言って、ああやって普通に話したりするのも不可能とか言われてたっけ」

 僕は、目の前で書類とにらめっこしているセツトさんを見て、それが信じられなかった。
 しかし、なるほど・・・そんなヤバい状態だったのなら、むしろ今の状態は良すぎるくらいなのか。

「だから、疑わないであげてね。彼は充分すごい人だから」

 僕は頷いた。


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