コメディ・ライト小説(新)

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不帰の僕と
日時: 2016/03/24 04:22
名前: 北風 (ID: baOn2Ld/)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

クリックありがとうございます。

北風です^^
この小説は2作目になります。
まだまだ初心者ですが、飽きられないように頑張っていきます!
コメントやアドバイス、リクエスト等は随時受け付け中です。
読者様の期待に応えられるような作品にしていきたいです!!

Re: 不帰の僕と ( No.4 )
日時: 2016/03/24 11:09
名前: 北風 (ID: baOn2Ld/)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

≪不帰村の物語 弐≫


不帰村にはずっと昔から不思議な力を持つ一族が住んでいました。

どんな怪我でもたちまち治ってしまい、常人ではあり得ない程の怪力を持つ。

人によっては超能力まで持つ『神鬼族しんきぞく』と呼ばれる一族です

この一族は村の住人に神のように崇められていました。

神鬼族には決まり事がありました。

一族で女の子が生まれると、その子を『神鬼姫しんきひめ』と呼び、生き神として
3歳から城に幽閉するのです。

神鬼姫になった子供は、結婚して女の子を産むまで城から出る事ができません。

城から一歩でも外に出れば、神鬼姫の体内に眠る強大な力が暴走すると言われていました。

女の子を産めば、その子に力が受け継がれるという事です。

神鬼族はずっとその決まりを守っていました。

僕が生まれる時までは。


Re: 不帰の僕と ( No.5 )
日時: 2016/04/08 15:05
名前: 北風 (ID: baOn2Ld/)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

≪少女の日常≫

きーぃんこーぉんかーぁんこーぉん………

「んぁ…」

不快なチャイム音。
視界に広がる机の天板。

3,4秒して、やっとウチは自分が授業中に眠っていたことを理解した。
ぼーっとしながらも視線を上に上げると、ウチ以外のクラス全員が起立して教壇に頭を下げていた。

―――やべっ!

ガタンッ
と音を立てて立ち上がり、寝起きでふらつきつつも慌てて礼をした。
ちらりと教壇に目を向けると、社会科の大倉が怪訝そうにこちらを見ていた。
怒られるのではと思い、全身から冷や汗が吹き出す。
だが大倉はすぐにウチから目を逸らすと教室から出て行った。

「ふぃ~~~」

何とか事なきを得たようだ。
ウチは思わず止めていた息を吐き出した。
と、肩が後ろからぽんぽんと叩かれた。
遠音おんねちゃん-また寝てましたでしょー」
「スズ………」
怪しい敬語で話しかけてきた彼は、ウチの友達の円井つむらい珠洲すずだ。
見た目は完全に外人ロリだが、一応男子中学生らしい。
「あー………てか今日お前来てたっけ?」
ウチの記憶が正しければこいつは今朝教室に居なかった。
そう指摘するとスズは気まずそうな表情になった。
「…来てましたよ…………………遠音ちゃんが起きる15分も前に………」
「遅刻じゃねぇーーか!!」
「遅刻ですごめんなさい!!」
ウチがツッコみながらスズの頭を叩くと、彼はほぼ反射で情けなく謝った。
まったくもう……何が「寝てましたでしょー」だ。
こいつの遅刻癖は治る気配もない。
スズは机に突っ伏して「何なんですか……二人そろって人の頭をばしばし……」とよく分からない事を呟いている。
「ふぅー……また寝坊?」
ウチがそう尋ねるとスズは無言で頷いた。
「なーにやってんだか。中学生にもなって……」
ウチが呆れて溜め息を吐くと、スズ少しは少しムッとしたように言い返してきた。
「遠音ちゃんだって寝てたじゃないですか……そもそも寝坊したのは目覚ましが狂ってたからで………そうですよ、そもそも目覚ましが狂ったのは俺が昨日の晩ご飯に鮭を食べてるときですねぇ…………」
「ちょっと待ってその話長い?」
ウチは尋ねたが、スズはもう聞いていないようで、寝坊した件についての責任転嫁に夢中だった。
          ※

ウチの名前は留夜別るよべつ遠音おんね
ただのしがない中学一年生だ。
女子力は皆無。
「高い」「低い」の問題じゃない。
皆無。
ローマ字で書くと K・A・Ⅰ・M・U♡
最近は女子力低い女子も多いが、ウチほどの猛者もそういないだろう。
髪はめんどくさいので結んでいないが、かといって短く切り揃えるのもめんどくさいので、微妙な長さになっている。しかもかさないからボサボサ頭だ。
毎日朝4時くらいまでネットに興じているため、いつも眠気と戦っている。
その所為か、目つきも悪い。
女の子ポイントゼロだ。
でもまあそんなウチにも「幼馴染」という少女漫画みたいな相手が居るわけで…。
ウチはスズにちらりと目を向けた。
彼はまだ寝坊したことの言い訳を熱弁している。
そう。スズはウチの幼馴染だ。
幼稚園の年中の時友達になった。
最初は女の子だと思ってたんだよなぁ……。
園庭の隅で可愛いが泣いてるなと思って声をかけたのだ。
すると「変わった見た目のせいで友達ができない」と言う。
で、見た目とか気にしないタイプのウチが友達になってあげたと。
そのまま長いこと一緒に遊んできたのに、スズが男だと知ったのは小学2年生の時だった。
ちなみにスズもウチのことを男だと思ってたらしい。
お互いに同性だと勘違いしあったまま3年間も過ごしてきたのだ。
その後も恋愛に発展する筈が無かった。

「はぁ~ぁぁ…」
ウチは思わず溜め息を吐いた。
「ちょっと遠音ちゃん!きーてるんですか!?」
そんなウチの態度を見て、スズは不満そうに頬を膨らませる。
「あー全ッッ然聞いてない」
正直にそう答える。
「…………何考えてたんですか」
スズは半ば諦めた様に尋ねてきた。
「………いや、素敵な恋がしたいなぁ、と」
要約するとそういう事だ。
ウチの答えを聞いたスズは、一瞬ポカンとした表情を浮かべたが、プッと吹き出した。
「ふ……くく……」
「…………何笑ってるんだよ」
「だ…だって……遠音ちゃんにとって恋愛の存在意義なんて子孫を残す為だけのものかと思ってたので…………い……意外とそーゆー事も考えてるんだなって思ったら、…くくふっ……………しゅ、シュールで………」
「シュールってどうゆう事だコラァウチには恋愛が似合わないってかキサマァ」
「似合わないだなんて可愛い表現してませんよぉ。不自然過ぎて狙ってるとしか思えないって言ってるんですよ………ぉ?おおおぉぅ……遠音ちゃん?ちょっ…やめっ……俺の首を掴んでどうする気ですかぁぁがががちょっ曲げないでくださそれ死ぬヤツですよぁぁあゃあああああああああ!!」


1年B組の教室に、人の気持ちを異常なまでに読めない少年の叫び声が悲しく響いていった。


Re: 不帰の僕と ( No.6 )
日時: 2017/01/01 15:57
名前: 北風 (ID: 82QqnAtN)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

≪不帰村の物語 参≫



ある年、不帰村でとても可愛い神鬼姫が生まれました。

名前はこだま

純白の髪にぱっちりした緑の目。

妙な見た目でしたが、可愛い顔立ちと人懐っこい性格のお陰で彼女は村の人気者でした。

毎日沢山の人に可愛がられ、「あと数年で城に幽閉するなんて可哀そう」と言う人まで出てくる始末です。

ですが、この神鬼姫には重大な秘密がありました。

双子の弟がいたのです。

名前はこと

不帰村では、今まで「双子」という概念がありませんでした。

『同じ者が二人など……不気味だ!邪悪だ!』

『どちらかはきっと悪い鬼が化けた偽物だな』

『じゃあ、こだまは神鬼姫にはなれないのか?』

『だが先代は出産の際命を落としておられる。もう神鬼姫が務まるのはあの子だけだ』

『ならば如何すれば良いのだ』

『なあに、鬼が化けた方を特定すれば良い』

『如何やって………」

『如何やっても何も、どちらが鬼かなんてもう分かっているだろう』

『明るく無邪気な姉に、何を考えているか分からない不気味な弟……』

『鬼が化けているのは……………』


『『『弟の方だ』』』


神鬼族の大人達は、弟の方を邪悪な存在と断定し、殺すことにしたのです。

Re: 不帰の僕と ( No.7 )
日時: 2017/01/01 16:25
名前: 北風 (ID: 82QqnAtN)

≪少年の日常≫


「ふぃ~……今日は疲れましたあ~」

放課後の教室で、俺は机に突っ伏して呟きました。

何故だか今日の遠音ちゃんはいつもに輪をかけて機嫌が悪く、俺は今日だけで24回暴力を振るわれました。
一日に休み時間は4回しか無いのに……。
凄いペースですね、むしろ尊敬に値します。
「あぁ……もう帰宅する事すらしんどいです」
「オラァ!」
「がふっ!」
掛け声と共に首筋に衝撃が走りました。
咳き込みながら振り返ると、案の定背後には遠音ちゃんが立っていました。
今のでトータル25回です。
「なんですか遠音ちゃん~」
「いや……もう今の台詞に無性に腹が立って」
人の独り言を勝手に聞いておいてそれは無いですよ……。
俺は溜め息を吐くと机に伏せ直しました。
「酷いです…………誰のせいで疲れてると思ってるんですかぁ……」
「つか、疲れてんなら帰れよ。スズ今日部活無いだろ?」
「いやそうですけど……」
俺は文芸部所属で、活動は週に一回あるかないかくらいです。
その為、基本は学校が終わり次第即帰宅なんですが……。
「あ、そっか。稽古があるんだっけな」
そうです。
俺は中学生になってから、道場の跡取りのために週に三回みっちりお父さんにしごかれる事になったのです。
さらに冬休みが終わってからは全く上達しないからという悲しい理由で、日曜以外毎日稽古をさせられるようになったのです。
やりたくなさすぎます。

Re: 不帰の僕と ( No.8 )
日時: 2017/03/21 20:07
名前: 北風 (ID: rk41/cF2)

Message body

竹刀の尖端を相手の面の中心に合わせます。
乱れる息を調える暇も無く、俺は声を張り上げながらその面に打ち込んでいきました。

が、相手に易々といなされ、力の行き場を失った俺の体は床に叩きつけられます。

アドレナリンがどばどば出ているからか痛みは感じませんが、一気に体力が削られました。

下から相手を見上げると、面金の隙間から鬼の形相の父さんが俺を睨み付けていました。
本当に俺はこの人の遺伝子を受け継いでいるのでしょうか、余りに違いが大きすぎます。
いやそもそも父さんは人間なのでしょうか。

そこからして不明です。
だって人間が実の息子に対して見せる表情じゃありませんよ、これ。

「なにぼさっとしてんだ! オラ珠洲! 立てェ!!」

父さんはそう叫ぶと、倒れ込んだ俺の顔の真横にぴしゃりと竹刀を叩き付けます。

ひぇっ。

俺が縮こまっていると、父さんは「次はお前だ」とでも言うように俺の喉元に竹刀を突き付けました。

殺られる。
そう本能的に感じた俺は、制止の意味を込めて掌を前に突き出しました。

「と──」

そして息も絶え絶えに告げます。

「トイレに、行かせて、くだ……さい」


    @


逃げてきました。

ええ、逃げましたよ。
今日はもうとんずらします。
このままだと多分死ぬので。

俺は道場裏でせっせと防具を外していました。
剣道は激弱ですが、防具を外す速さに関しては人より長けています。

1秒でも早く稽古から解放されたいという一心で大分上達しました。

そもそも何ですかこの拘束具。
自分一人の身を守るためだけに、こんなにも大掛かりな器具を身に付けなくてはならない意味が解りません。
現代日本の技術を持ってすれば、より軽く防御力の高い防具を作る事も可能な筈です。
それをしないから剣道人口も減っていってるんですよ。

と、一通り文句を言いましたが、俺一人がこんな主張しても言い訳にしか聞こえないでしょう。
実際言い訳ですし。

無意味な足掻きは止めて、俺は溜め息を吐きました。

空を見上げると、もう暗くなり始めています。

火照っていた身体も外気に曝されて徐々に冷えていきました。
って言うか、寒いです。

「うう……室内に入りたいです……」

俺は首を竦めてそう呟きました。

「でも稽古には戻りません……」

確固たる意思。

それはもう絶対に揺るぎません。

「……そーだ、山にでも行きますか」

そう譫言のように呟き、俺はのろのろと立ち上がりました。


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