コメディ・ライト小説(新)

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星の海
日時: 2016/12/10 22:13
名前: 鈴燕 ◆yLI4tJCjaQ (ID: KwETyrai)

 


*星を数える度、君の言葉を思い出す。
__透き通るように青い、煌めく言葉を。



■ ご挨拶 ■
こちらの掲示板でははじめまして。 鈴燕すずつばめという者です。
ルビなしの方から移転?してきました。名前にルビを振りたいな、と思ったためです。

まだほとんどなにも書いていませんが、こちらの掲示板に新たにスレッドを立てました。
頑張ります(笑)



■ 読まれる前に ■
☆星座と恋の物語です。
☆荒らしはUターン願います。
☆誤字や脱字はすぐに指摘していただけると助かります。
☆コメント募集中です。





■ 目次 ■

☆第1章【煌めく星座】
『気弱なオリオン』>>01
『惑う乙女』>>02




■ 訪問者 ■
*美月*様











『気弱なオリオン』 ( No.1 )
日時: 2016/08/12 20:15
名前: 鈴燕 ◆yLI4tJCjaQ (ID: T7mhaKN7)

**************

 星を見た。
 深い青みを帯びた空に浮かぶ、美しい光。
 どんなに手を伸ばしても、その光は私に届くことはない。

 あなたと出会ったあの頃は、こんな痛みや哀しみがあるだなんて知らなかった。
 幸福な日々、穏やかな時間、煌めく言葉。

 ねぇ。朗らかなあの声で、もう1度語ってよ____

**************



「やーい、オリオン。お前は女の癖に身体が大きくて変だなァ」

 私が教室のドアを開けると同時に、そんな声が投げかけられる。
 声のした方を見れば、小学校が同じの男子だった。同じ小学校出身の男子たちと身を寄せ合って、にやにやとしている。
 そんな男子の前を通り過ぎ、はあ、とため息を吐きながら自分の席に座った。
 今日から念願の中学生だと言うのに、相変わらず子供っぽいな。野郎どもめ。

 私は昔から、周りより身長が高かった。
 男子は女子に比べて成長がおそいと言うけれど、男子はそれが気に食わなかったらしい。
 気づけば、私は「オリオン」というあだ名を付けられ、笑いものにされていた。力持ちで、性格の悪い大男。
 しかし、彼らは、私を守る女子たちの眼光に負けて、そのうちそこまでキツくは言ってこなくなった。
 それでも、私がなにも言わないことを良いことに、調子にのるとすぐこれだ。今この教室に、私を知る女子はほとんどいない。私がもっと口下手じゃなかったから……あの出来事が無ければ、やめさせられるのに。

 私は、オリオンはオリオンでも、屈強なやつじゃない。気弱で自己主張の少ない、ただの背の高いやつだ。
 だから、このあだ名も、嫌だと言えずにいるのだ。
 
「あれ、オリオン? 中学生になって1段とゴツくなっちゃったんじゃねぇか? もう負け無しだなー。また体育で俺達を投げ飛ばすなよー」

 俯く私に、男子共はさらに冷やかしの言葉を投げかける(今思えば、彼らは私のことが好きだったのだと思う)。

 やめて。その一言がいつまでたっても言えない。だって、それは、戒めの言葉だから。
 誰かを縛る、呪いの言葉。

 ぎゅっと大きな身体を滑稽に縮こまらせて、私は静かに耐えていた。

 そのとき、教室のドアが開き、声が響いた。

「オリオンはそこまで強くないよ」

 ふわり、と風が声の主の髪を揺らす。こつこつと教室の中に入ってきた彼の髪は、綺麗な栗色をしていた。

「オリオンはとても力持ちだったけれど、女神さまの怒りに触れて、サソリの毒で死んでしまうんだ。ほら、オリオンはサソリより弱いってことでしょ? そんなオリオンに、君たちを倒せるはずないじゃないか」

 朗らかな声が耳に心地よく響いて、教室がしん、と静まり返る。
 彼は天使の笑みを浮かべて、

「だから、女の子にいじわるしちゃいけないよ、クソ野郎ども」

 と続けた。
 神聖な神話にのせて、彼は毒を吐く。男子たちは意味がよくわからないのかあんぐりと口を開け、静止していた。

 これが、彼との出会い。
 そして、澄み切った星の海を、はじめて見た日だった。

『惑う乙女』 ( No.2 )
日時: 2016/08/17 23:23
名前: 鈴燕 ◆yLI4tJCjaQ (ID: hBEV.0Z4)

 見覚えが無いと思っていたけど、やはり彼は転校生だった。入学式後、先生によって軽く紹介され、彼の名が判明した。

 星川ほしかわ つばさ
 彼は名前の通り、まるで夜空に浮かぶ星のような、そして天使のような少年だった。
 ふわふわとした栗色の髪は見ていて翼のようで、色素の薄い肌、頬に浮かぶそばかす、そして綺麗な顔に浮かぶ邪気の無い笑み。
 あの後に教室に登校した女子たちはその笑顔にやられてしまったようだが、あの場にいた者は、みんな彼をびくびくしながら見つめている。
 変人に関わるべからず。
 みんな、平和に過ごしたいのだ。

「えー、それでは、今日はこれで終わりです。皆さん、気をつけてお帰りくださいね」

 眼鏡をかけた、温厚そうな女性の担任が、穏やかにそう促した。
 後ろの方にいた親達がわらわらと子供に駆け寄り、にこにこと笑って教室を出ていく。
 私もしばらく待ってみるも、なぜか親が来ない。
 どうやら入学式が終わると同時に帰ってしまったらしい(まじかよ)。

 仕方無く1人で教室を出て、とぼとぼと階段を下りていく。
 途中、私に突っかかっていた男子共とすれ違うと、彼らは「ああ、う」「え、わ」と、慌ててその場を去っていった。彼の発言にやられたのだろうか。まあ確かに、あれを真顔で言えるのはすごいと思う。恥ずかしいし、決してやろうとは思わないけど。
 そんな事を考えながら下駄箱までたどり着いたところで、ふと、私は爽やかな花の匂いを嗅ぎとった。
 その匂いを辿っていくと、私は広い中庭に出た。(中学に中庭があるなんて贅沢だね爆)

 チューリップやスミレをはじめとする、メジャーな花がたくさん植えられている。
 もちろん桜も満開で。
 私はなぜか、天国みたいだな、と感じた。
 その中でも一際美しい花を見つけて、私はしゃがんで、手を伸ばそうとした。しかし____

「ベルセフォネーは、美しい花を摘もうとしたばかりに、冥界の王に連れ去られてしまうんだよ」

 聞き覚えのある朗らかな声に引き止められて、私は手を引っ込めた。

「……なに、それ」

 あ、やばい。むすっ、と、私が初対面の人と話すとき特有の、ぶっきらぼうな声が出る。口下手で人見知りの、私の悪い癖。
 反省しつつ、立ち上がり、後ろを振り返ると、私の顎あたりに彼の頭が見えた。……意外と身長低いのか。

「乙女座の哀しい神話さ。母親は彼女を必死に探すけど、哀しみと怒りで、地上の神殿に閉じこもってしまうんだ。そのあいだ、草木は育たず、人々は困り果てた。だから、君は両親を困らせてはいけないよ。さあ。はやくお帰り」

 そう言って、彼は微笑んだ。

「……あなたって、変な人」
「それは褒め言葉かな?」

 くすくすと、おかしそうに彼は笑う。

「いや……朝はありがとう」

 突然朝の出来事が降って湧いてきて、私は思わずお礼を言ってしまった。

「どういたしまして。君、名前は?」

 透き通るような瞳で、彼はまっすぐに私を見つめる。なんだろう。彼の瞳の奥に、星の海が見えた。

 私もまた彼を見つめながら、唇を震わせる。

朝倉あさくら 明星あきら 。あきらは、明星、と書くの」
「明星、かぁ」

 彼は自分に刻みこむように深く頷くと、ふいに手を伸ばした。

「1年間よろしくね、朝倉さん」

 今朝から浮かべていた天使の笑みではなく、歯をにぃとさせながら、彼は呟いた。

「よ、よろしく……」

 私も手を伸ばしてそのまま握手するも、結局名前で呼ばないのかよ、と心の中でツッコミを入れた。

Re: 星の海 ( No.3 )
日時: 2016/08/17 00:27
名前: *美月* ◆4JIramcI2o (ID: Gd7LnyXy)

はじめまして。美月と言うものです。(ちなみに小説はかいていません)
タイトルが綺麗だなぁ、と思って読ませていただいたのですが、凄くおもしろいです!
私は神話とか星座が大好きなので、知っている神話がでてくるととても嬉しくなります。
鈴燕さんも、神話とかお好きですか?

Re: 星の海 ( No.4 )
日時: 2016/08/17 20:21
名前: 鈴燕 ◆yLI4tJCjaQ (ID: jo2UR50i)

>>03
*美月*様、コメントありがとうございます(。_。*)
コメントをもらうのは初めてなので、とても嬉しいです。これからも読んでいただけると幸いです。
タイトルはけっこう悩んで付けたので、そう言われると飛び跳ねてしまいそうです(笑)頑張って面白くしていきたいです。
神話は小さい頃に図書館に行って調べていたので、好きだったのかな、と思います。
星座に限らず、花に纏わる神話などの方が好きでしたね。あの頃は、夢見がちでしたから(笑)

ありがとうございました┏○ペコ


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