コメディ・ライト小説(新)

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

キャンディードール
日時: 2017/04/16 16:51
名前: 胡桃バター (ID: FsLlRaQk)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=11403

「キャンディーちゃん今日も可愛いね」

「人形は黙って歩きな」

    *

「そういやドロシー、なんて女みたいねアンタ」

「キャンディーちゃんの方が女の子らしくて可愛いよ」

「黙れ」

    *

42歳の男性奴隷と18歳のお嬢様の結婚までのお話。

Re: キャンディードール ( No.1 )
日時: 2017/04/16 16:19
名前: 胡桃バター (ID: FsLlRaQk)

何となく気になって屋敷を脱け出して、
奴隷商売をしているという広場へ来た。

檻に鎖で繋がれている私とおんなじくらいの女の子やら
六歳程の傷だらけの少年やら地獄みたいな光景が
嫌でも目に飛び込んでくる。


「.........」


特に何かを買う訳じゃないし、好奇心で来てみた場所だし、
折角お父様を振り切って脱け出したんだからもう少し
ここで遊んでもいいかも、と思った。

ここにいる奴隷の彼等がどんな奴に買われていくのかも気になる。

私は群がる人達の間を通り抜けて、奴隷達が納められている
檻やサーカスのガラクタ入れみたいなトラックを覗いて回る。

......悪趣味だな、って自分でも思うけど、なかなか楽しい。


「どんな経路で奴隷になったんだか知らないけど
 ...いい主人に貰われるといいね」


私は物語で主人公が殺されそうになっている場面を見るみたいに
そこにぶちこまれている彼等へ憐れみの目を向けて。




.........ふと、私は目を止めた。


目に止めたソレは、他の奴隷達とは違って笑っていた。

デカイ図体とぼさぼさに伸びた黒髪、
所々に短く生えた髭が目立つ男。

俯いていて目の色は確認出来ないが、ピアスを上瞼うわまぶた
二つ開けていることは分かる。


.........ぱっと見、四十のおっさん。

でも何故か私はコイツを欲しいと思った。

























「ねぇ、私の人形になりなよ」





Re: キャンディードール ( No.2 )
日時: 2017/04/16 16:53
名前: 胡桃バター (ID: FsLlRaQk)

.........買ってしまった。

この図体のデカイおっさん奴隷を。

お父様になんて言えばいいんだろう。そんな簡単に
「奴隷買っちゃったー☆」なんて言える訳がない。

一応、奴隷でも人だからウン百万円した。
しかもコイツは奴隷の中でも聞き分けが良いらしい。

その為なのか他の奴等より値段が強気だった。

        *

お父様に送る言い訳を探しながら私は奴隷を連れて
屋敷に向かっていた。


「あの......」


奴隷が口を開いた。

......思っていたより明るめだけどなかなか渋い声。


「......何で僕の鍵、外してくれたんでしょうか.......?」

「あ?」


今更かいな。外したときに言えよ。

私は奴隷の手錠の鍵をくるくる指で回す。

そして気付いた。

プレートに何か書いてある。


「......D、or、thy.........?」

「あっ」


奴隷が声色を更に明るくする。


「それ、僕の名前、です。ドロシーって言います」

「へー、アンタ奴隷の癖に名前あんの」


奴隷に名前、という事は前の主が気に入っていて
そのまんま継続させた、みたいな感じかな? 知らんけど。


「......僕、子供の頃からあんまり売れなくて...
 あの檻の中に居るのも今日で10年目だったんですよ」

「へぇ」

「それで、僕、口下手で喋らなくて...動くと体力消耗するから
 動かないでいたら"人形ドール"って呼ばれるようになって...」


成る程。そこからドール、短縮元のドロシーか。

要するにIDみたいな感覚でつけられたんだろう。


「......ドロシーって可愛いから、私もそのまま呼ぶことにするわ」

「そう、ですか...?」


ドロシーは照れ臭そうに微笑んで小さくお辞儀をした。

......図体デカイおっさんだけど可愛いなコイツ。


「私はちなみにキャンディスって言うの」


髪をかきあげて、耳につけているキャンディーのピアスを見せる。


「キャンディス、様......」

「キャンディーで良いわよ、ドール」


堅苦しい雰囲気を壊す為にドールに向けてウィンクをしてみた。






Re: キャンディードール ( No.3 )
日時: 2017/04/16 17:17
名前: 胡桃バター (ID: FsLlRaQk)

*キャラクター紹介*

キャンディス 愛称:キャンディー

18歳の少女。164cm。55kg。

【詳細】
お金持ちのお嬢様だが、屋敷を許可なく脱け出したり
奴隷を見て心を痛めない、など女の子らしい一面は皆無。

“キャンディー„と呼ばれることが好き。尚、左耳にキャンディーの
ピアスをつけている。

つり目で赤色の瞳、腰まである長い黒髪が特徴。

赤い生地に黒いレースをあしらった洋服を好んで着る。
それに黒と白の縞模様のニーハイと赤のパンプスを
合わせるのがお気に入り。


ドロシー 愛称:ドール

42歳の男性。195cm。85kg。

 【詳細】
小さい頃から奴隷として生きてきた男性。

奴隷のわりには身長が高く、そして感情が豊か。

ドロシーと呼ばれるのが好き(キャンディー限定)。

両目の上瞼うわまぶたには前の主がつけたピアスが
二つ開けられている。本人は少し気にしている。

タレ目で緑色の瞳、えりあしが長い癖っ毛の黒髪と
顎髭が特徴。やや褐色肌。

キャンディーいわく「何着ても似合うイケメン人形」。


Re: キャンディードール ( No.4 )
日時: 2017/04/16 22:57
名前: 胡桃バター (ID: FsLlRaQk)

......みたいな感じで出会った私とドールだけど
お父様は寛大で、すんなり許してくれたし受け入れてくれた。

勿論、私のウン百万の出費も。

私には友達なんていた試しがないから、ドールはその代役みたい。

こういうとこ、とことん親バカだなぁって思う。


           *


「......てか、アンタいっぺん昔のアンタに戻ってくんない?」

「だってキャンディーちゃんが敬語やめろって言ったんじゃん」

「そりゃそうだけど......って然り気無く抱きつくな離れろ」


......今の私達はこんな感じ。

ま、数ヶ月も経てばこんなものかしら。人は変わるってこと。

私とドールはお父様からプレゼントしてもらった
こじんまりした家で同居中です。

なんでも、私の自立心を育てるとかどうとかで
二十歳になるまでの二年間をドールと共に過ごすみたい。

男と女二人っきりで良いのかって思ったけど、
ドールは私の純潔を汚したら首が飛ぶことになってるし
大丈夫かなって。


「......はぁ、アンタいつから私のこと好き好きだったの?」


ドールをひっぺがして、ソファーベッドに寝転がり直す。
でも目はドールを見たまんまでクッションを抱き締めた。


「んー、出会った頃から?」

「何で疑問形なのよ」

「だって気付いたら好きだったから。
 キャンディーちゃんお嫁さんにしたいってぐらい僕は本気だよ」


急に真剣な答えを返してくるから、顔が林檎みたいに赤くなる。

......いつから天然タラシになったんだか。


「キャンディーちゃん」

「な」


何、って言おうとしたら髪に軽いキスを落とされた。

ドールはみるみる顔が赤くなっていく私を
ニコニコしながら見ている。

もう一回キスを落とすと、私の手を両手で
包みこむみたいに握ってきた。


「......髪へのキスの意味知ってる?」

「............知らないわよ」


顔を背けようとすると、今度は私の額に。


「...何すんの、人形のくせに」

「キスの意味を答えられたらやめてあげる」


ソファーベッドから起きようとするけど、ドールに
抱き締められて逃げられなくなってしまう。

......はぁ、心臓に悪い。

そうこうしてる内に、ドールは次々とキスを落としていく。

髪、額、頬、瞼、頬っぺ、手の甲......

そして首筋。


「......っ」

「これなら意味分かるでしょ?」


何がしたいんだ、今日のドールは。

私に言わせて何が楽しいのだろう。

......最近、ドールのすることが分からなくなってきてしまった。










手の甲のキスは、「敬愛」。














首筋へのキスは、「欲情」。


Page:1



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。