コメディ・ライト小説(新)

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彼女+僕=珈琲牛乳。 ~bitter&sweet~
日時: 2017/05/22 18:14
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o
参照: http://From iPad@

■:プロローグの中のプロローグ。



──きっと相手が君じゃない、君に似た他の誰かだったら今みたいな感情は生まれなかったと思う。

いつも僕の横にいて、笑う姿も泣く姿も怒る姿も、珈琲牛乳を飲む姿も……。
全部の君の部分をひっくるめて。


……僕は君が大好きだった。

今ならあの時素直になれずに言えなかった気持ちを伝えることが出来る気がするんだ。

だからもう一度……僕の前に姿を表してくれないか──?



*

「彼女+僕=珈琲牛乳。~bitter&sweet~」
>>1

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Re: 彼女+僕=珈琲牛乳。 ~bitter&sweet~ ( No.34 )
日時: 2018/01/14 21:46
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o
参照: http://From iPad@

■:第7話「心にまで及ぼす影響」

「……ちょっと、環このテストの結果何なのよ?」
お母さんが私のテスト結果を見て、かなり怒っている。
まさか中学に入学早々、こんなことになるとは……。 私だって、びっくりだ。

「別に。 そのままじゃん」
携帯をいじりながら、私はお母さんにそう言った。

「ちょっと何よそれ。私は環を思って……」
「もうそういうのうんざりなの! そうやって、何でもかんでも自分勝手な思いを私とかお父さんに押しつけるから……耐えられなくなって、お父さんはうちを出ていったんじゃないの?」
「お父さんはよ寝ろお母さんの考えを分かってくれなかったから……。私は環のために──」
「私のためとか、嘘ばっか言わないでよ!」

むしゃくしゃしていた私は、ソファにあったリモコンを思いきり叩きつけて家をでた。


お母さんが何かわめいていたように聞こえたけど、そんなの無視した。
我慢はもうこりごりだ──。


どうやら、むしゃくしゃしていたり普段以上に感情的になっていると周りが全く見えなくなるというのは本当の話らしく、普段なら必ず左右確認をしてから渡る場所をそのまま通ってしまった。

そうしたらもう……横から来ているトラックに気づけず、私はそのまま轢かれた。
……気がついたら、見慣れない妙に白い天井が目に入って、右側に顔をぐちゃぐちゃにしたお母さんがいた。


交通事故で命は大丈夫だったものの、怪我をした私はしばらく学校を休むことになった。
行きづらい、と感じていた私にとっては好都合でもあり、ただ身の回りのことをやってくれているお母さんがどうしようもなく目障りで、邪魔だった。


それでも尚、偶然というのは度重なる。
──たった1つの偶然が複数の偶然を呼び寄せて、偶然ではなくなってしまうこと。


気まぐれで、松葉杖をつきながら病院内を歩いていたら、自動販売機を見つけた。
フルーツ牛乳はイチゴオレもあった中で私は珈琲牛乳をチョイスした。

そこから完全に虜だ。
もしあの時事故にあってなかったら、珈琲牛乳に出会うことってなかったかもしれない。


**

Re: 彼女+僕=珈琲牛乳。 ~bitter&sweet~ ( No.35 )
日時: 2018/01/26 18:58
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o
参照: http://From iPad@

■:第8話 「私にとっての珈琲牛乳」

珈琲牛乳との出会いは事故があってから、私への唯一の幸せだったかもしれない。
じんわり広がるうっとうしくない甘さの中に潜むかのようにほろ苦さがあとを追う。

口の中で起こる、そのかけ合いが面白いのだ。

退院してから、私はしばらく学校へは行かなくなった──所謂いわゆる不登校だ。
中3になってから久しぶりに行った学校は、クラスも変わっていていつの間にか1年生の頃に担任だった先生は移動で別の学校になっていた。

響姫とはまた別のクラスだった。……けれど今の私にとっては都合がよかった。
友達は響姫だけかもしれないけれど、顔も合わせたくなかったから。


学校から家への帰り道。
私はコンビニで珈琲牛乳を買うようになった。
自分だけが知っている、珈琲牛乳の美味しさ──誰かと、響姫と一緒だったらもっと美味しく感じるのかもしれない。でも現状で満足している。だから、試す必要はない。



その夜、 私はお母さんに「最後のわがまま」と言って新しく別の場所の高校を受験すると言った。
全部自力で。

──誰も知り合いのいない環境で、新しく学校生活を送ろうと決意した。



新しく通う高校が決まった時、お母さんも仕事が忙しくなり家に帰ってくる日数が減った。
代わりに、おじいちゃんとおばあちゃんが私の面倒を見てくれることになった。


……中3の春休み、私は関節の痛みに耐えられずおばあちゃんと一緒に病院へ行ったところ、言いづらいという表情を浮かべながら医師が私に「入院の手続きを」と言った。

私は何もその時の記憶がない。
ただ横に座ってたおばあちゃんが、慌ててお母さんに電話をしていたということだけ覚えている。


私が入院し始めてから、1週間くらい経ったある日お母さんは来た。

「またすぐ、別のところに行かなくちゃいけないから」
とお母さんは軽く私に笑ってから、病室を出ていった。

この頃からお母さんは完全に私へ目を向けなくなった。
こんな面倒くさい娘なんて、いらないと思ったのか……それとも実はどこかで悩んでいたのか。


この先、いつ会えるだろう。
もし会った時は退院した時だろうか……──そんな私の気持ちを読みとったのか、それ以降私とお母さんが顔を合わせることはなくなった。



誰もいない病室で、電気も消えて真っ暗の中私は1人で泣いた。
……泣いたって一言で言うとすごく軽く聞こえる。

自分の泣き顔、私は嫌いだ。
だから見なくて済むように暗いところで……誰も来ないこの時間に、私はほぼ日課状態で泣いた。



──結局描いていた高校生活は、一歩出遅れたことで全てが狂った。
教室に行くことさえ、もう嫌になった。


気がつけば、自然と誰もいない屋上で珈琲牛乳を飲む毎日を送っていた。


1人だった私のところに、君が来たときは驚きすぎて心臓を吐きそうになった。
……もちろん、そんなのが伝わらないように平然を装っていたけれど。


**

Re: 彼女+僕=珈琲牛乳。 ~bitter&sweet~ ( No.36 )
日時: 2018/02/21 19:37
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o
参照: http://From iPad@

~3~

■:第1話 「復活」

「城本環、今日から完全復活」
そう言いながら、片方の手は腰に当ててもう片方の手で自信満々に珈琲牛乳を突き出してくる環は、僕のよく知っている環だったけどしばらくここで会わなかったせいか、随分と別人のように感じた。

「良かった」
「……寂しかった?」

後ろからグイっと僕の顔を覗き込む環の表情はこれでもかというくらい、嬉しそうで「あぁ、遊ばれてんな」と感じるような──そんな表情だった。

「別に」
「そっかー。 私はずっと退屈だったし、寂しかったけどな」
ズコーっと音を立てながら、環は珈琲牛乳を飲んでいる。

「……ねぇ、やっぱり寂しかった?」
「ん。 まぁ寂しかったかな」
つっぱってそう言うと、素直じゃないなぁと笑われた。
──今のは完全に言わされたと思う。


「また授業受けにきなよ」
沈黙が続くと、気まずいので僕は何とかして言葉をかけた。
妙に間が空いて変な感じだなと思い、環の方へ視線をうつすと若干困ったような顔をして考え込んでいた。
困ったり、笑ったり……ほんの少しだけ目を伏せて悲しそうにしたり、コロコロと変わる環の表情に追いつかない。

「まぁ……君の頼み事ならば聞いてあげないことも、ないかな」
「珈琲牛乳おごるから……」
「よし決まり」
やっぱり環にとって、珈琲牛乳に勝るものはないらしい。
簡単だ。──だんだん環のことが分かってきたような気がする。


*


学校が終わり、帰宅後。
僕は特に見たい番組があるわけでもないが、テレビ画面をボーッと見ていた。

とあるドラマの3話が流れていた。
クラスで結構話題になっているが僕はもともと見ていなかったので、展開についていけない。

仕方なく電源を切って、ソファに勢いよく座った。


──喉乾いた。
冷蔵庫を開けると、自分でも買ってみた珈琲牛乳があり、明日学校に持っていこうか迷いつつ手に取った。

ふわっと口に広がる甘さとほろ苦さ。
何だかんだ、環に珈琲牛乳の良さを教えてもらってから自分でも買うようになり、今ではお気に入りの珈琲牛乳まで見つかった。


たかが珈琲牛乳──されど珈琲牛乳。
自分にとってこんなにも大切なものになるとは思いもしなかった。

Re: 彼女+僕=珈琲牛乳。 ~bitter&sweet~ ( No.37 )
日時: 2018/03/13 23:07
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o
参照: http://From iPad@

■:第2話 「仲間」

「じゃあまた城本さんに授業受けに来て、って新羅くんから伝えておいてよ」
「うん、わかった」
教室。学級委員の佐久間と、日向に僕は環がしばらく屋上にいなかったがまた復活したという話をした。

「いやー、でも本当にここまで環と壮馬が仲良くなっちゃうなんてなぁ」
日向は感慨深そうに腕を組みながら、うんうんと頷いているが内心はやっぱりからかっていると思う。
佐久間が日向に僕をからかうな、と注意している。

何かと学校では屋上で過ごしている割合が高いけれど、席が近い今だけの付き合いだろうと僕は佐久間や日向を勝手にそう決めつけていたが席替えを行って離れた今もこうして、ほぼ1日に1回はこうして言葉を交わす仲になった。


「あ、そうだ。 今度さみんなでどっか行かね?」
誘いは唐突で日向の何気ない一言で、僕も佐久間もほぼ同時に「え」と言って、パッと日向の方へ顔を向けた。

「まぁ3人でも俺は良いけど、蒼はきっと気にするだろうから環でも誘って4人でどっか行かねー?」
さっきよりも具体的になった。

「僕は別に良いけど、環来るかな」
多分佐久間もそこが1番引っかかっているんじゃないかと思い、そう言いながらちらっと佐久間へ目をやったが考えは的中だったようで不安そうに頷いた。

「そっかー。 じゃあここは誰かしら他の女子を誘ってみるか!」
ここで「じゃあ今回は一旦お預けで」とならないところが僕と日向の差だと思う。

教室にいる女子に声をかけに行く日向の背中を見ながら、僕は横にいる佐久間に話しかける。

「行くことになったとして、都合とかは大丈夫なの?」
「まぁ。 土日は基本図書館や塾で勉強だから」
……さすがは委員長。学校以外でも規則正しい真面目な生活を送っているらしい。

「あと少しでテストだけど、範囲内の勉強は結構順調だからここらで1つどこか遊びに行ってもいいかなって思って」
そう言っているものの、表情を見るとかなり楽しみにしているように見える。



月出ひだちさん、良いって言ってくれたー!」
バカでかい声だ、と思ったら日向がそう言っていて横に月出さんがいた。
──ちなみにあまり話したことはないけれど、月出さんは俺と隣の席だ。

「よろしくー」
不思議な感じで、ふわふわした感じの人だがよくこんな誘いを引き受けてくれたなと思った。

……こんないきなりの展開に戸惑ってはいるが、どうやら行くと決まった今は楽しくしたいという気持ちが大きくなっている。

Re: 彼女+僕=珈琲牛乳。 ~bitter&sweet~ ( No.38 )
日時: 2018/03/29 02:33
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o
参照: http://From iPad@

■:第3話 「不意打ち」

昼休み、僕は屋上へ行った。──珈琲牛乳を2つ持って。

「環ー」
いつもの定位置で環は柵に頬杖をついて、景色を眺めていた。
名前を呼んでもなかなか気づかないので、仕方なくすぐそばまで行って肩を叩いた。

「ん……来たなら言ってよ。不意打ちは心臓に悪い」
「呼んだよ」
そう言って、2つの珈琲牛乳のうちの1つを環に渡した。

「気が利くー! 君もだんだん分かってきたね」
嬉しそうな環を見ていると、なぜだかこっちも嬉しくなるのだから本当に不思議だなと思う。

「そりゃどうも」
横に立って、僕も珈琲牛乳にストローを挿して少しずつほろ苦い牛乳を吸っていく。

「……なんか今日、いいことでもあった?」
「いや?……特には」
いいことなのかは分からないけど、今度遊びに行くことになった。──言おうと思ったのに、喉に言葉が突っかかった。
「そっかー。 なんかいつもより幸せそうに見えたんだけどなー」
そういえば、なんであの時……「環来るかな」のあとに「あとで確認してみる」と言わなかったんだろう。

月出さんが悪いんじゃない。
遊びに行こうって言った日向も悪くない。

もちろん環も悪くない。

──でもこれじゃあ何か悪いことをして、隠しているのと同じじゃないか。

こういう時にも「ごめん。実は……」って切り出す勇気もない。
心のどこかで「でも本当は何か隠してる?」って踏み込んで来てくれるのを待ってる。

でも環はきっとこの件に関して、踏み込んで来ないだろうと思う。


「もしかしたら、逆だった? 辛いことでもあったなら、変なこと聞いちゃったよね」
──やっぱり表情だけで相手の気持ちは理解できないね。

小声でそう言って、環は屋上を出ていった。


取り残されたのは僕だけ。
やみくもにストローから珈琲牛乳を吸っていると、空になったらしい軽い気の抜けるような音がした。

手でパックを軽く握り潰す。



──空は青くなかった。 分厚いどんよりとした雲が全体を覆い隠していた。
まるで今の僕の心が映し出されたようで、いい気分ではなかったけれど。


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