コメディ・ライト小説(新)

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ナニイロセカイ(半実話)
日時: 2017/11/14 15:01
名前: 雪姫
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel4/index.cgi?mode=view&no=16943

あれはいつのことだったかな_?





夏が終わり




秋が来た




少し肌寒い日のこと_




トントン。




誰かが階段を上がっている



トントン。



女の子が静かに一歩一歩ゆっくりと階段を上がって行きます



トント



到着。目の前に続く道は立入禁止と書かれた黄色いテープで塞がれていました




彼女はテープを引きちぎり




キィ





ドアを開けて中へ入いります




ビュゥゥゥウウ




冷たい風が彼女の頬を撫で 彼女は





世界を区切る壊れたフェンスの方へ





上を見上げれば 雲一つない青色の世界




下を見下げれば 部活動中なのでしょう



運動部員たちがグラウンドで走り回っている 茶色い世界




ポタ… ポタ…





晴天の空




でも 彼女の心はどんより曇り空




ポタ… ポタ… 




大粒の雨が彼女の頬を濡らします






フェンスを乗り越えて世界の外側へ





世界の内側からは楽しそうな笑い声





ぽんっと誰かが背中を押します





ふわりと浮き上がった体は そのまま__




















地面のアスファルトに飛び散った赤い液体





救急車のサイレンの音






彼女は死んだのかな、とただ純粋にそう思った





肌寒い秋の日の出来事_。










****
ナニイロセカイ[>>107]





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一人の世界 ( No.114 )
日時: 2017/11/28 09:42
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro

ここは絶海の孤島かな?

元から孤立していたわたしは、諸刃の剣とゆうなの武器であり楯であった、かつての親友である旧友を失いました。
裏切れるという形で。

賑やかな教室。でもわたしの世界はいつも静か。

いつも独り。
休み時間も移動時間も授業中も、どんな時間だってわたしは独り。
独りで黙々と与えられた作業をこなす。でもだいじょうぶ。
だって集中して外の世界の雑音を消せばもうなにも心配はいらない、もう寂しくなんてないから。

ぼっち確定申告されてしまってもわたしはタダで転ぶつもりなんてないから。

初めて本当に独りになってから発見したことがあります。
いつもはなんやかんやでいてくれた武器と楯を失って初めて気が付いたことがあります。

それは――ぼっちはぼっちを見つけるのが上手い。

同じ匂い? 同じ空気?
どう言えば、説明すればいいのか分かりません。でもそんな不思議な電波のような物がビビッとくるのです。
運命の出会いってやつなのかな?
電撃結婚? 教会の鐘がなった? 稲妻に打たれたような衝撃が身体を貫いた? よくわからないけど、多分そんな感じだと思います。

新しい中学生活が始まってから早一ヶ月が経ったある日のことでした。あの子と出会ったのは。

「お、おはよう」

ぎこちのないあいさつ。
三つ編みのおさげで眼鏡をかけてわたしよりも背が低くて大事そうに抱えた分厚い本が良く似合う女の子。
やっと見つけた魂で繋がる友人ソウルメイト白うさぎ。

小学校は違ったので初めましての子。
あの子もわたしと同じで大人し系の口数が少なくて自己主張が苦手で賑やかな教室の隅っこにいる陰の存在。

あ……この子ならイケル。そう直感的に判断しました。
別に白うさぎの事を下に見ているとかそうゆうわけではないです。背がわたしより低いから、彼女を見る時の視線が見下ろす形になってしまうけど。

そうではなくて、勇者が最初に出会うスライムに「あ……こいつにならいけそう」と思うそんな感じです。

白うさぎもまだクラスの人たちの中で友達を作れていないみないです。
これはチャンスです。絶好のチャンス到来なのです。

女の子という生き物はどうしてかいつも群れ(グループ)を作りたがります。
どこでもいい、とにかくどこかのグループに所属していないとはぶられます。
でも運よくどこかのグループに入れたとしても、今度はそのグループ内での虐めやはぶられたりします。

入らなくても地獄、入っても地獄、だなんて女の子とはなんて大変な生き物なんでしょうね。

「じゃあ……」

白うさぎとの会話はいつもぎこちのないものです。
だってお互いにお喋りな方でもないし、自己主張が強いわけでも、誰かを引っ張って導くリーダータイプの人間ひとでもないから。

言葉のキャッチボール? なんですそれ、美味しいんですか? ってな感じです。

でも何事もアタックあるのみです。移動教室の時、グループ分けの時、休み時間の時、隙さえあればとにかくアタックあるのみなのです。
最初はこんな会話なにが楽しいの……と逆に聞きたくなるようなつまらないものでした。
でしたが、今では三言も続くようになりました。すごくないですか。

やっと。やっと――蒔いた種から芽が出ようとしようとしてたんです。
芋虫がさなぎになろうとしていたんです。

なのにどうしていつもタイミングよく邪魔してくるの? ねぇ――じゅっちゃん。




ある日の授業。
今日の授業は四人一組のグループを作らないといけませんでした。
わたしは当然白うさぎを誘いに行きました。あと二人いる事とか考えず、とにかく彼女を他の人に取られてしまう前に確保しなければっ、という気持ちだけで。

こんなわたしにも優しくしてくれる白うさぎは当然、他のみんなからも少しだけ人気が高いです。
人当たりが良くていい人だから。
だからと言われても白うさぎがいなければもうわたしには手札、コンクリートジャングルのモンスター達と戦うカードは残さていません。
もうみんなどこかしらのグループに所属してしまっているから。

だから白うさぎだけは――

「白うさぎちゃん。こっちおいでよ」

じゅっちゃんは白うさぎに話かけました。

「え……でも」

すぐ傍にまでやって来ていたわたしを困った表情で見る白うさぎ。

「いいからねっ」

そんな彼女をことなんてお構いなしとじゅっちゃんは白うさぎを連れ去って行きました。
わたしの目の前で白うさぎを連れ去って行きました。
すごく申し訳なさそうな顔をして軽く頭を下げる白うさぎにわたしはまた、ぎこちのない作り笑顔で手を振ります。
いいよ気にしないで、と口パクで伝えて。


じゅっちゃんがリーダーのグループは、彼女を入れて三人。三人じゃだめ、一人足りない。
なにかいい子は……ああ、いるじゃないか、捨てた駒の近くにもっといい駒が。
悪魔のような猟人ハンターは小さな白いうさぎを見つけ生きたまま捕まえ食べてしまいました。
可哀想な白うさぎ。この日以来彼女とは話していません。話せていません。
猟人がそれを許さないから。人の獲物は奪う癖に自分の獲物が奪われるのは絶対に許せないの。

わずかに見えたような希望の光はまやかしでした。それは闇の中にうごめく悪魔の笑みでした。
さようなら白うさぎ。短い期間だったけど楽しかったです――ありがとう。


*空想の世界 ( No.115 )
日時: 2017/12/12 14:01
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro

 コンクリートジャングルという名の教室ダンジョンでやっと見つけた、魂で繋がる友人ソウルメイトと呼べそうな白兎スライム
でも白うさぎは狩人ハンターの手によって生け捕りにされてしまいました。

――さようなら白うさぎ。こんにちは絶望の教室。

 武器も楯も戦う気力すらも、何もかもを失ってしまったわたしにはもう、この教室に居続ける勇気はありませんでした。

 瞼を閉じても

 耳を塞いでも

 机の上に俯せになっても

 みんなはわたしの目の前から消えてはくれません。みんなのひそひそ話が聞こえなくなることがありません。
見ないように、聞こえないように、ってアイマスクしたり耳栓したり、色々試してみたけど頑張れば頑張る程、耳障りな雑音が増えて行くような気がするのはどうして?

 冷たい異物を見る目がわたしの身体を汚します。

 クスクスと笑う声がわたしの心をえぐり傷つけます。

 隠しているつもりなのか、隠すつもりなんてなくて聞こえるようにわざと大きな声で言っているのか、もうわたしには分からない。
感覚が麻痺してしまって分かりません。どうしてみんな畏敬いけいの目でわたしをみるの?

 どうしてみんな――

 それを訊ねてみても答えてくれる人はいませんでした。誰も彼も見て見ぬふり。
もう疲れたよ。心の中で抱えている闇を吐き出すようにそう言うと、わたしはこれ見よがしに机の上をバンッと強く叩きました。

「それで……ハッ?」

 当然そんな目立つことをしたら、楽しそうに雑談を楽しんでいたクラスメイトたちの視線を一身に集めることになります。
実際獣モンスターたちがわたしを不審そうな目で見ています。でもそれも数分の我慢、だって……。

「……でさあ、龍馬がねー」

 誰もわたしの事なんて興味ないんだから。

 みんなすぐに友達との雑談に戻り満開の色とりどりのお花を咲かせています。
向日葵ひまわり百合ゆり鈴蘭すずらん紫陽花あじさい金木犀きんもくせい、色とりどりの色々な花が教室ダンジョン咲いて綺麗……? 知っていますか? 綺麗な薔薇ばらにはとげがあるんですよ。
すっごく痛い棘はもしかしたら、毒があるかもしれませんね。致死量を軽く超えしまう程の猛毒があるのかもしれませんね。

 楽しそうに話すお花さんたちの声に溶け消えるようにわたしは教室かだんの中からそっと出て行きました。
ここはわたしの居場所ではないような気がしたから。マンドラゴラのわたしが綺麗なお花さんたちと一緒に居てはいけないような気がしたから。


 でも教室の外だって同じ。似たようなもの。
休み時間だからみんな他の教室か廊下に集まって通行止め。ああ……邪魔だな。どけてくれないかな? そう思いながら楽しそうに喋る彼らのわずかな隙間すきまをくぐり抜けて窮屈な校舎から脱出!

 ……と、思ったけど。
やっぱり校舎も校内もそう変わらなかった。邪魔なモンスターが同級生から上級生に変わっただけでした。

 ……なんだつまらない。
不意ふいこぼれた呟き。

 どこかに行きたい。でも自分の教室以外良く知らない。
勝手に動いているわたしの足はどこへ向かって歩いているの? わたしはどこへ行きたいの? わたしの行きたい場所? それは――


 ――ここではないどこか遠くへ。







 ミーンミーン。
元気に鳴いているせみさんたちの声が頭上高くから聞こえて来ます。

 ここはどこだろう?
意味もなく、あてもなく、彷徨さまよい歩き続けていると古びた校舎に辿り着きました。
古い木の香りがする木造校舎。窓ガラスはひび割れていて、所々ガタがきてそうで緑色のこけもあちらこちらに生えています。

 校舎脇に置かれている鉢植えには、多分紫陽花が植えてあったんだと思われる鉢植えが置いてあって、その傍に茶色いカピカピになっているつたが絡み憑いた棒と、網がかけられていました。
緑のカーテンじゃなくて、茶色いカーテン? ……ぷっ、と笑いがこみ上げてきました。

 ぐるっと校舎の周りを一周して見てみたけどここはもう使われていない、旧校舎と呼ばれているみたいです。
耳をましてみても聞こえてくるのは、遠くの方で楽しそうに笑っている獣たちの声、蝉時雨せみしぐれ只それだけ。
手入れがされていなくて、放置されている感があって、立入禁止と書かれた看板が落ちている、ボロボロの旧校舎。

 やっと見つけたかもしれません。わたしの居場所。

 躊躇ちゅうちょすることなく引き戸の出入り口を開けて中へと入ります。本当は運動靴から上履きに履き替えないといけないんだろうけど……床の木が腐り穴凹あなぼこだらけで、割れたガラスが散乱している廊下を素足とか、底が薄い上履きで歩くのは危険だと思います。
足の裏が真っ赤になるだけじゃおさまらないかも。

 一歩踏み出すとキィと面白い音を鳴らす床。もう一歩足を踏み出せば、グダンッ。床が抜けます。思いっきり抜けて、転げてお尻を打ってすっごく痛いです。
これは……思っていた以上に慎重に歩かないといけないかもです。全身落ちてここでオワリを迎えて、さよならするのは嫌ですから。

 奥へ行きすぎるのは危険と判断し、手短にすぐ傍にあった空き教室に入りました。
やっぱり窓ガラスは割れているし床は穴だらけだったけど、黒板には相合傘とか、文化祭楽しみとか、昔この教室を使っていた人達の楽しかった思い出の落書きが残してあって、机は教室の奥の方にきちんと積み重ねられていて頑丈そうな金具で縛られているから、落ちてくる心配はなさそうです。

 机はきちんとしまわれているのになぜかセットの椅子が教室に無造作に放置されているのか、少し不思議だったけど今はそんなのどうでもいいです。
入口近くにあった椅子を手前に引き寄せて、よいしょっと座り一休憩です。

 こんな誰からも忘れ去られてしまったような旧校舎の教室、やっとわたしだけの世界が創れました。一人の世界でぽつんと一人でいるのが一番楽でいい、ここならじゅっちゃんのような諸刃の剣に会わなくていい、まさかこんな寂れた場所なら誰かが来てこの世界を邪魔するなんてありえな……。

「先客ですか~。珍しいですね~」

 ……い。と、思っていたのに誰かが入って来ました。知らない男の子がわたしだけの世界に不法侵入してきました。

不思議な夢世界 ( No.116 )
日時: 2017/12/12 13:55
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro

 不法侵入者さんは背の小さな男の子でした。女子のわたしよりも小さな背の男の子。同級生なのか先輩なのか、見た目だけじゃよく分からないです。
オレンジジュースを水で薄めたような薄い茶色髪にまだ幼さが残る童顔どうがんの顔に不釣り合いの猫さんみたいなつり上がった目。
彼に猫耳と猫尻尾を生やしたら、擬人化猫さんの完成かも。

 変な想像をしてしまってくすりと笑いがこぼれてしまいました。

「何がおかしいんですか~?」

 別に。何も。と、お答えしておきます。
それよりもどうして平然と、さも当然の事のように、わたしの前に椅子を持ってきて座わろうとしているんですか?
椅子の背は背もたれをするためにあるもので? 肘を置くものじゃないですよ。座り方が逆です。いえ。別に貴方と見つめ合いたいわけじゃないです。勘違いしないでください。

 視線だけでこんな会話をしたような気がする二秒間の出来事でした。

「で、こんな何にも無いところで何を~?
 女の子が一人で寂しく過ごすところと言ったらトイレじゃないんですか~?」

 わたしはトイレの花子さんじゃありません。

「そっちじゃないですよ~。やだな~、便所飯の方ですよ~」

 あはは。楽しそうに笑う、彼に苛立ちを感じます。初めて人を殴ってやりたいと言う気持ちになりました。
でも本当に殴る勇気なんてわたしにはないので、ぐっとこぶしを握りしめて我慢するだけです。そう、いつだってわたしは耐えて我慢する側なんです。

「そう言えば自己紹介がまだでしたね~」

 こっちの気なんて知りもしなくて、ううん、たぶん気にもしてないんでしょうね。男の子は自分のペースで話を進めていきます。

「僕の事は……まあ、チェシャ猫とでも呼んでくださいな~」

 チェシャ猫? あのルイス・キャロルが書いた『不思議の国のアリス』に出て来た嫌味な猫?

「ルイス・キャロルはペンネームで、本名はチャールズ・ラトウィッジ・ドジソンですけどね~。
 そのチェシャ猫であってますよ~。一般生徒達が暮らす世界とは別の、不思議な世界で出会った不思議な存在ですからね」

 それを自分で言うの? と、思いましたけど、でも。こんなみんなから忘れ去られた旧校舎で出会った変な子。迷い込んだアリスを惑わす変な猫に似ているかもしれないですね。見た目も猫そっくりですし。

「よく言われます~」

 それからわたしたちは沢山話しました。いえ違いますね。チェシャ猫が一方的に話続けていました。わたしはいつものように相槌あいづちを打つだけ。
なのにどうしてでしょう。いつもと変わらない、一方的に話を聞いて、定期的に相槌を打つだけだけの簡単作業なのに、いつもと同じの筈なのに、嫌な気持ちに一切なりませんでした。

 それどころか饒舌じょうぜつなチェシャ猫が語る話はどれもこれもおもしろくって先の展開が気になって彼から視線が離せません。
時間なんて止まってしまって、このまま永遠に彼の話を聞いていたいと思うようになっていって。

 おかしいですよね。わたしはみんなと群れるのが嫌で、独りになりたくてここまで逃げてきたはずなのに……。
チェシャ猫の話を聞いていると、嫌なこと全部忘れられるような気がして……。
まるで夢の世界にいるような気持ちなって……。

 キーンコーンカーンコーン。

 ですがわたしは知っています。現実はそう甘くないってことを。

「もう~終わりですか~。ここから面白くなるところでしたのに~残念ですね~」

 そうですね。本当に残念です。またあのモンスターだらけの教室ダンジョンに戻らないといけないなんて……。

 チェシャ猫は「このままサボってしまいましょうか」なんて冗談を言っていたけど、生真面目しか取り柄のないわたしが授業をサボるなんて……そんなことしてしまったら、わたしがこの世界に存在するための価値がなくなってしまいます……。
チェシャ猫からの誘いは嬉しかったですが、丁重にお断りさせてもらいました。

「それでは~。また明日」

 明日なんてこなければいいのに……ぼそりと呟いた独り言。
笑顔で手を振るチェシャ猫と別れ、わたしは自分の教室へと重たい足を向けて歩き出します。

 愉しかった夢の時間は終わりました。夢から覚めた勇者(わたし)はまた魔王クラスメイトたちと地獄クラスで戦わないといけません。
嫌だと言ってもそれは変えられません。もう決定事項ですから。





オレンジ色の世界 ( No.117 )
日時: 2017/12/25 10:00
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro

 昔々、まだ幼かったあの頃。わたしを虐める嫌な男の子がいました。毎日、毎日、泣かされる毎日。泣き虫の称号を得ました。……こんな称号いりません。
お母さんは言いました。その男の子はわたしの事が好きでつい意地悪しちゃうのよって、そうゆうものなんです? 意地悪な事なんてしたら逆に嫌われてしまうのに、そう、大嫌いになって憎むようになってしまうのに。

「よお"アリスちゃん"」

 ああ……今日もですか。

「何々ー? 無視? あっれ、俺っ無視されてる系?」

 ゲラゲラと下品な笑い声がとても耳障りです。うるさくて、うるさくて、耳を塞いでしまいたい。身体の内底からこみ上げてくるものを我慢せずそのまま吐き出してしまいたい。ああ……気持ちが悪い。

「なあ、なあー、俺アリスちゃんに無視されてんだけどー」

 ゲラゲラと下品に笑ってい目の前に立ちふさがるのは同級生の男の子達。全員小学生の頃からの見知った顔。見飽きた嫌な顔。
男の子達のリーダー。目の前に立っている、元は金髪だった髪を黒色に染めてごちゃ混ぜになったトゲトゲのヘアスタイルのハーフ。お父さんが日本人でお母さんがフィリピンの人らしいです。
宗教的なもので耳にはピアスの穴をあけています。身体に穴をあけるなんてわたしには理解できません。痛そうです。赤ちゃんの時にあけた穴と聞いたら、背筋がぞわぞわとして震えあがります。

 青い猫型ロボットの漫画アニメに出て来るガキ大将のような体格の良い彼は、現実リアルでもガキ大将です。いつも数名の男の子達を後ろに連れて、悠々と廊下のど真ん中を歩くのです。……日陰族のわたしはいつも廊下の端を歩いているのに、何故かいつも日向へ引っ張り出され、公開処刑が始まります。

「キングー、アリスちゃん今日も黙って震えてるぜー」

 うねったくせ毛の男の子がにやけ、言いました。彼はキツネさんのようなシュッとしたずる賢い顔をしています。まるで漫画アニメに出て来る、お金持ちのナルシストの男の子みたいに。

 キングと言うのは当然ガキ大将のあだ名です。彼らが呼ぶようにわたしが不思議の国(世界)に迷い込んでしまった"アリス"だと言うのなら、気持ち悪いにやけ顔をしているあなた達は"トランプ兵"なんですね。そして彼らを率いるあの人は"ダイヤのキング"となるんですね。

「くすくす……」

 廊下のど真ん中で捕まってみんなの前でからかわれる公開処刑。みんなわらっています。声を殺して嗤っています。教室にいる先生は母のような温かい微笑みで見守っています。

 次の授業は音楽。音楽室で行われる授業なので早く行って待機しておきたいのに……目の前に居る邪魔者は全然どけてくれそうにありません。

 皮肉な事にダイヤのキングは先生達からの評価も良く、頼れる兄貴分で人の嫌な事を進んでやる彼は、男子女子関係なく人気が高いです。日本人にはハーフと呼ばれる種類の人は美男(美女)に見えるらしいです。美形なダイヤのキングは熱烈なファンが沢山います。ファンの子達からの熱い視線が痛いです。刃のように突き刺さりわたしのレッドゾーンになったHP(ヒットポイント)を減らしてゆきます。羨ましいと思うのなら、いつでも変わってさしあげるのに……。

「そうそう! 俺この前、〇〇に告白されてさー」

 こちらはずっと無視し続けているのに、ダイヤのキングは勝手に話続けます。うざい自慢話を、大きな声で話続けています。正直言って、誰が誰に告白して、そして玉砕した話なんて興味がありません。わたしは早く音楽室へ行きたいだけなんです。

 どうでもいい話を永遠とするダイヤのキング。今日の話は、わたしのクラスにいる女の子。通称ぶりっ子に告白された話みたいです。あの人か……って言う感想しか出て来ません。

 栗色のふんわりとした髪と大きなくりっとした目くらいしか印象のない女の子。噂好きの子から仕入れた情報によると、後ろに手下を従えたいリーダータイプだけど、ぶりっ子なので男子人気を得ようとするばかりに女子人気が無いと、手下の女の子達は陰で悪口三昧だと、そうゆうどこにでもある女子のグループあるあるの噂の女の子。

 ……だから何? その子がわたしと何の関係があると言うんですか? 同じクラスの子くらいしか関係性を感じないのですが。

「マジかよ。アリスちゃんもそう思うよねー?」

 ゲラゲラと下品に笑う男の子達。……いつの日か天罰が堕ちればいいのに。とふと思ったのは秘密です。はあと大きな溜息を吐けば、それもまたいい話のタネになるようで、一段と大きな声で楽しそうに笑いだしました。わたしには何が楽しいのか全く理解できませんでした……むしろ泣き出したいくらいです。

 目立つのは嫌いなのに。キーンコーンカーンコーンと校舎一帯に鳴り響いたのは次の授業が開始する合図。あーあ……また遅刻確定です。毎回毎回、邪魔してくるこの人達。移動教室のたんびに現れるお邪魔虫。毎回遅刻するわたしは当然先生からの評価も悪いです。

 大人しい事で得をしたことはありません。損する事ばかりだと分かっているのにこの性格を治せそうにありません。どうあがいても最終的にこの性格に戻ってしまいます。自分でも嫌気がする。大嫌いな性格。大嫌いな自分。大嫌いな学校。大嫌いな世界。

 世界は変わらない。わたしも変わらない。じゃあ――どうすればこの喜劇は終わってくれるの?

紙一重の世界 ( No.118 )
日時: 2018/01/08 10:49
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro

 キーンコーンカーンコーンとまた一つ退屈な授業が終わりました。今日は理科の実験。教室から遠く離れた理科室に移動して、アルコールランプに火を付けて色々実験する男の子に大人気の授業でした。わたしも理科はいち好きな方でした。大好きな動物たちの生態を学べたり、興味はあるけどあまり詳しくはなかった植物の事を学べるのは凄く楽しかったですし、化学なんて未知の世界だったので不思議発見! と言った感じで毎回わくわくで楽しかったです。小学生の頃の夢は科学者だったりしました。……数学が苦手だったので一時期の夢でしたけどね。
 今日は久々に有意義な一日でした。もしこの場に誰もいなかったらスキップでもしたいくらいです。もし誰もいないかったのなら……。

「アリスちゃん発見!」
「ねぇねぇー授業終わり?」
「アリスちゃんってばー!!」
「お~い、聞こえてますか~?」

 廊下を歩いていただけなのに、突然目の前に現れた男の子達に贈る感想それはまたかの三文字です。
今日はガキ大将のダイヤのキングはいないようです。いるのは知らないトランプ兵ばかり。あ……いえ一人だけ見知った顔が居ました。
きしし……と笑っている狐顔はキングの側近の一人である男の子です。なるほど。キングはお休みの時はあなたがリーダーに格上げになるんですね……ならなくていいのに。そのままお休みしていればいいのに……どうしてわざわざ、三百六十五日飽きずにわたしの前に現れるんですか? わたしなんかを相手にして何が楽しんですか? 訳が分からない。

「無視? わーアリスちゃんに無視されたー」

 嬉しそうに被害妄想が声をあげました。どちらが被害者だと思っているの? と聞き返してもみたかったですが、わたしにそんな勇気はないので今日も下を向いて俯せて、早歩きで自分の教室を目指します。見えるのは廊下の緑だけ。塞げない耳は周りの雑音でいっぱいいっぱい。もうたくさん、お腹いっぱいです。だからもうやめて……。

 バタンッ! 教室に着いたら逃げ込むように勢いよく入り込み引き戸を閉めました。勢いをつけすぎてかなり大きな音が出てしまいました。背後からクラスメイトたちの視線を感じます……恥ずかしい。引き戸の反対側からはまだ彼らの笑い声が聞こえます。早く諦めて自分の教室に帰って!! それが心からの願いです。でもそれを叶えてくれる神様も仏様もいないのです。

「アリスちゃん好きだぁぁぁあああ!!」

 外の地獄にいた嫌な男の子たちから逃げるために逃げ込んで来た、天国と思われた教室はただの地獄の延長線でしかありませんでした。

「ヒューヒュー」

 あおるクラスメイトたち。そして教室の中心で愛を叫ぶ、坊主頭の男の子。その見た目通り、あだ名は坊主。野球部のエースの子です。運動部に所属しているのに背はあまり高くなくてわたしと同じくらい。みんなが嫌がることを進んでやって引っ張っていくリーダータイプの男の子。あれ? どこかで同じ紹介をしたことがあるような……ああ、そっか。ダイヤのキングと同じタイプの子なんです。わたしが嫌いとするタイプの男の子です。空気を読まない発言、悪ふざけで言っているのは一目瞭然、それを引いてもわたしは自分より背の高い人が好きですし、坊主頭の人は極道をイメージさせるので怖いです。サッカー部の人に昔虐められたことがあるので、ついでに野球部も大嫌いです。

――だからごめんなさい。わたしなりに頑張って丁重にお断りしたはずでした。なのに……。




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