コメディ・ライト小説(新)
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- 姫と魔法使い
- 日時: 2017/09/18 18:32
- 名前: 雨宮 おと (ID: Ait4UdaY)
前に、もこもこ という名前で小説を書いておりました、雨宮 おと と申します。
楽しんでいただけるように、つくります。
- Re: 姫と魔法使い ( No.1 )
- 日時: 2017/09/23 18:26
- 名前: 雨宮 おと (ID: Ait4UdaY)
× × ×
「お嬢ちゃん、リンゴ、買うのかい?」
じっと、リンゴを見つめていたからか、店主に尋ねられ、少女は、視線を上げた。
「悩むわ…リンゴか、青リンゴか」
「そこなのか!?」
味はそこまで変わらないだろうと、店主は言うものの、少女にとっては大問題だった。
「赤色にきめた!」
「まいどあり!銀貨二枚だよ!」
「ありがとう!」
店主からリンゴを受け取って、少女は心底嬉しそうに笑う。
アストレア国、首都アストレア。
少女____ペトラ=フェノール。
この国の、姫。
「エリア、探してるかな…」
エリアはペトラ付きの召使い。
どうやらペトラのはしゃぎすぎのせいで、はぐれてしまったようだった。
「どうしよう」
呟いた、そのとき_____
「こいつッ…魔女だ!!!!」
ざわざわ、と辺りが騒がしくなった。
ペトラは人に揉まれながら、好奇心に押されて、喧騒のなかにとびこんだ。
人々に囲まれた、1人の青年。
ペトラと変わらないくらいの歳に見える。
「俺は見たんだ!こいつが魔法で食い物を奪おうとしたのを!!」
中年の髭の生えた男はそういって、赤髪の青年を指さした。
青年は動かない。
ここで動いたとしても、騒ぎを大きくするだけだと考えたのだろうか。
それをいいことに、中年男は続ける。
「魔女の上に、盗人か。やるなあお前」
周りが、くすくす、と笑い出す。
「しだいに、騒ぎに気づいた騎士様が来るだろうよ、そこでお前が魔女だとバレたら…お前は」
「終わりだなぁ」
ガンッと、醜い音で青年が蹴飛ばされた。
「ぐぁっ」
宙に放り出され、地面に叩きつけられる衝撃に、青年が声を上げた。
そして、男がまた、身体を蹴りあげる。
ペトラは目を見開いた。
“まーじょっ!まーじょっ!まーじょっ!まーじょっ!”
手を叩いて、歌い出す。
みんなが、彼を見て、笑って。
「なに、これ」
目を、覆いたくなる光景だった。
ペトラの目に涙が溜まっていく。
青年はうずくまり、顔をあげない。
男は、さらに蹴って。蹴って蹴って。
「ぐぁっ」
「もっと苦しんだつら見せろ、ああ?」
“まーじょっ!まーじょっ!”
そこに、さっきの店主さんをみつけた。
口を覆う。
_____吐きそうだ。
零れそうなのを必死に我慢する。
_____青年は堪えているようだった。
血が吹き出しても、もう声を発しない。
「なんとか言えよ! あ!?」
中年男はさらに語尾を強める。
「許して…ください」
「は?」
「すみません、でした。許してくだ…さい」
やっとのことで、言ったそのことば。
泣きそうになるのを堪えて、必死に言っているそのことば。
そのことばを、
「許す?」
周りを見渡して、中年男は。
「わけねーだろ魔女野郎」
歓声が大きくなる。
いちだんと。
王国の紋章が見える。
______くる。
「やめて…」
小さく呟いた。
王国の騎士は、すぐそこに。
ペトラは____
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