コメディ・ライト小説(新)

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恋の病〜体心痛〜
日時: 2020/02/01 13:55
名前: 夜桜 (ID: 6k7YX5tj)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12060

「異性の誰かを好きになるってことは恋という名の病気なんだよ」

どこかで聞いたことあるようなセリフ。

じゃあこの世界には恋の病にかかった人が何人もいるんでしょ?

私はそんな人達とは違うと思う。

普通痛むのは心だけ。

心以外にも痛むところがあるとしたら…?






恋なんてしなければ良かったと、私を思い込ませる…



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-登場人物-

笠神かさかみ 波姫なみき
·色素が薄くハーフのような容姿を持つ
·海の幼馴染み
·しっかり者

成塚なりづか かい
·整った容姿を持ち、異性同性問わず人気者
·波姫の幼馴染み

さくらのみや 優杏ゆず
·転校生
·天使のような容姿を持つ為、異性からの人気は校内一

大原おおはら 雷樹らいき
·美しい瞳を持ち、異性からの人気がある
·誰にでもフレンドリー

宇佐うさ 優太ゆうた
·学年一の秀才
·穏やかな性格で周囲から慕われている

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-大切なお客様-

一葉千羽 様
てるてる522 様
藍 様

他のお客様もいつも閲覧頂き本当に有難う御座います!

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この作品は閲覧者の皆様に「読みやすい」の声を、
沢山頂けるように意識したものになっていますので
このような作品が苦手な方は申し訳ありません。

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不定期更新ですが見てくれる皆様の為に
日々精進していきますので、
これからも「恋の病〜たいしんつう~」
を宜しくお願い致します<(_ _)>

恋の病〜体心痛〜 ( No.32 )
日時: 2020/02/01 14:31
名前: 夜桜 (ID: 6k7YX5tj)




「……なみき」

風は私と海の間を流れるように吹いた。
そして、海の髪を靡かせた。
ずっとずっと、近くにいたのに遠くて。
海が大好きなのに伝えられなくて。
近くにいたいのにどこか辛くて。




「_____俺も、すげぇ好き」

海は私を優しく抱き締めた。
体温が伝わる。
あったかいな………

前、海に抱き締められた時とは全然違う。
お互いとっても心地よくて………

海はゆっくり私から離れた。
そして、口を開いた。


「バレンタインの時、ゆずがチョコを作ってくれたんだ。それが超美味しくて、なんか懐かしくて。それと、俺が具合が悪くて入院中にゆずがお見舞いに来てくれて、俺の手を握ってくれたらしいんだけどそれがすげぇ心地よかったんだよな。」

海はぺらぺらと桜ノ宮さんの話を始めた。
とっても楽しそうに。いきなり、何?

「_____その思い出の全部、ゆずじゃなくてなみきだった。
チョコはお前が作った物をゆずが俺に渡して、入院中もゆずは俺の見舞いなんか来てなくて手を握ってくれたのはなみき、お前だった。」

そうだ。バレンタインのあの日、私は海にチョコだけでも渡そうって張り切って作ったんだったっけ。でも、放課後気付いたらなくて暗くなるまで探したけど見つからなかった。
海が入院中も心配でお見舞いに行ったら気付いたら手握ってて、海が起きそうになったから急いで逃げたんだったな。

「それは……」

海は私を覗き込む。

「ごめん、ずっと気付かなくて。すっかりゆずが俺の運命の相手だと思って、告白されて付き合うことになって。」

私は手を顔の前に出す。

「そんなの気づけなくて当たり前だよ…私もそんなことになってたなんて初めて知った…」

海は泣きそうな私を見て手を握ってくれた。

「こんな俺でよければ、付き合ってください。」

涙が止まらない。ずっとこんなことないと思ってた。海に告白されるなんて、こんな幸せな事ないよ…………。

「勿論だよ。」

私はニコッと笑って返した。

「泣きすぎだから(笑)なみき可愛い。」

海は私の頭をクシャクシャっとした。
んんん。キュンキュンとまらない。

「やめてよ///そりゃ泣いちゃうでしょ。」

海は私の手を引いた。

「そろそろ学校戻ろっか。」

私は頷き、海と2人で学校に戻った。

______何故かおさまらない全身の痛みと共に。

恋の病〜体心痛〜 ( No.33 )
日時: 2020/03/09 00:54
名前: 夜桜 (ID: 6k7YX5tj)


私は海と共に学校へ戻った。
怒られるとか怒られないとか、どうでもいい。

とにかく今は人生で1番幸せなこの瞬間を味わっていたかった。なんて幸せな日なんだろう。

私はぽけーっとしながら海と分かれた。

海ともっと一緒にいたかったけど、
教室戻らなくちゃ。

海とクラスが違うことを今更になって心底恨んだ。

廊下を歩ているとチャイムが鳴った。
ぞろぞろと教室から生徒が出てくる。
ということは、終わりのチャイム…

変なタイミングに戻ってしまった。
目立たないように教室に入ろうとした。

が、もう既に私の姿を見て皆が何かヒソヒソと話している。


「桜ノ宮さんが可哀想…」

「笠神さん、なんで戻ってきたのかな?」

「ゆずちゃん、笠神さんに成塚くん奪われたらしいよ」

…ヒソヒソ……

私への陰口はもはや陰口ではなかった。

…聞こえてるよ………
こんな根も葉もない噂一体どこから…

「あっ!笠神さぁーん!!」
この雰囲気の中私を甘ったるい声で呼ぶのは、

「さ、桜ノ宮さん…?」
今朝まで泣きじゃくっていた桜ノ宮さんだった。
私と話していた時とは一変、
元気いっぱいの様子だった。

「おはよう?遅かったんだね?何してたのぉ?」
分かりきっている質問を敢えてしてくる桜ノ宮さんに大きな違和感を覚えた。

「桜ノ宮さん、今朝はごめんなさい。
クラス、戻るね。」

私は足早にこの場を去ろうとした。

すると桜ノ宮さんは私の手首をその可愛らしい容姿からは想像もできないような力で引っ張った。

「…っい…ちょっと…離し…」

すると、桜ノ宮さんは私の耳元で囁いた。

「…この噂、ぜーんぶゆずが広めたんだよ?今までの涙とか全部ウソ。女の子って簡単に涙出せちゃうんだよー?気をつけてね。」

彼女はニコッと不敵な笑みを浮かべた。

「私の大好きな海をとったらこうなるの。分かった?」

そう誰にも聞こえないような声で言うと、彼女は静かに教室へ戻った。

「___本当に全部、嘘だったの…?」

私はその場で暫く動けずにいた。

恋の病〜体心痛〜 ( No.34 )
日時: 2020/03/09 00:55
名前: 夜桜 (ID: 6k7YX5tj)


そのまま何も考えられずに授業を受ける。私は、桜ノ宮さんに嘘をつかれていた。それにまんまと引っかかった私はなんて馬鹿なんだろう。一瞬でも桜ノ宮さんの涙に同情してしまったのだ。

………自分に呆れる。

こんな私がこれから先誰かを信じる事が出来るのだろうか。私は人間不信になりかけていた。


そんなことを考えていると既に授業は終わってしまっていた。

「礼。」

日直の号令と共に皆は動き出す。
私から離れるように皆は散らばった。

もう、私には仲間もいない。

幸せもつかの間、私は桜ノ宮さんにどん底に落とされてしまった。




「ねぇ、笠神さん?」

そう、クラス中に聞こえるような声の先には、

「…桜ノ宮さん…」

桜ノ宮さんがいた。
わざわざ隣のクラスからやってきてまで私に何を言おうとしているのだろうか。

静かに私へ近づく。クラス中にざわめきが走る。



「……急にごめんね?
でもどうしても、私に謝って欲しくて。」

彼女はそう言ってニコッと笑った。

「あ、謝るって…」
「分からないの?私の彼氏奪ったの、あなたでしょう?ねぇ?違うの?早く、謝ってよ…」

桜ノ宮さんはその場で泣き始めた。
え、ちょっと待ってよ。なんで泣いてるの?意味が分からないよ…。私は海を奪った訳ではない。海が桜ノ宮さんを振ったのだ。

もしかしてまた…演技なの?

ここで私が何を言おうと誰にも信じてもらえるはずもない。どうしたら、どうしたらいいの…

「…早く謝りなさいよ…もしかして海にでも助けて貰えると思ってるの…?」

彼女は私にしか聞こえないくらいの小さな声で言った。

「もしそう思っているのなら大間違いよ…海はあなたに嘘をついてる…海が病気じゃないってこと海の口から聞いてないんでしょう?……海があなたのこと本気で好きな訳ないでしょ?…」

泣きながらも笑みを交えて私を睨みつける。
寒気がした。この子、尋常じゃない。

でも、海が私に嘘をついているのは事実だ。
海は病気のようにはとても見えない。

私の大好きな海に好きだと言ってもらえただけで幸せなはずなのに、なんでこんなにも息苦しいの?

誰を信じたらいいのか分からない。
不覚にも、私は涙を流してしまった。

「…ちょっと、笠神さん泣いてない?」

「悪いのは笠神さんなのに意味わかんないんだけど」

「…早く謝れよ」

周りからそんな声が聞こえる。もうやだ。頭がクラクラとしてきた。

その時、

ガラッ



「____おいっ!!お前ら何やってんだよ!?!?」



恋の病〜体心痛〜 ( No.35 )
日時: 2020/03/04 15:06
名前: 夜桜 (ID: jx1peQyr)



前に向くとそこにいたのは、

「隣のクラスまで聞こえんだよ…何してるかと思えば人を集団でいじめてるってさぁ?クソほどカッコわりぃと思わねぇ?」

雷樹だった。


「…ねぇ、あの人…大原くんだよね?」

「…あんな人だった?」

「もういいや、行こ…」

周りからはすぐ人が消えた。

「大原くん、どうしたの?集団でいじめなんてしてないよぉ?あのね、笠神さんがぁ…」

桜ノ宮さんは雷樹に歩み寄り、またあの甘ったるい声で話し始めた。

すると雷樹は桜ノ宮さんを無視して私の元へ駆け寄った。


「なみきちゃん、こっち」

雷樹は私の腕を引っ張り教室の外へ出た。

「ちょ…話聞きなさいよ!?」
桜ノ宮さんは大きな目を更に見開いて私達を止めようとした。

「…触んじゃねぇ」

雷樹が、怒ってる。
こんな顔初めて見たよ。

雷樹はズンズン歩いていく。
そして、急に立ち止まった。

「なみきちゃん、全部。話して。今。」
雷樹はすっかり静まり返った廊下でそう言う。

「へ?」
訳もわからず口を開ける私。


「成塚と上手くいったこと、桜ノ宮からのいじめ、その他にも俺に言ってないこと沢山あるよね?」
雷樹は悲しそうな顔をして言った。

「俺、なみきちゃんの彼氏になれなくてもなみきちゃんの特別ではあるんじゃないかって、勝手に思ってた。」
拳に力が入っている。ちょっと雷樹の手が震えても見えた。

「誰にも相談しないまま、傷付いて、思い込むなみきちゃんが俺、嫌いだよ……」

「だから…もっと…頼ってくれよ…1人じゃないから」


雷樹は優しく私を抱き締めた。
涙がぶわぁっと溢れ出す。


「ごめんね…っ…ごめんね…っ…雷樹は私の特別な人だよ……っ…」

不思議な包容力に涙がとまらなかった。


「俺、なみきちゃんを困らせたくないからなみきちゃんの恋が叶えばいいって思ってたけど」

「?」


「___もう諦めない。」

そう言って雷樹は私にキスをした。

恋の病〜体心痛〜 ( No.36 )
日時: 2020/04/01 22:54
名前: 夜桜 (ID: 8/zIX84z)



「っん…!?ら、雷樹…?ちょ、やめて…!」

私は驚きで雷樹を突き飛ばしてしまった。
だけど、不思議と嫌な感じがしなかった。
そう思う自分に嫌気がさす。

「…ごめん、急すぎた…?嫌だった?」

雷樹の悲しげな表情に、
悪いことをした、と思い謝った。

「ごめん急に突き飛ばしたりして…
ちょっとびっくりして。」

雷樹はじゃあ嫌ではないんだね!とニコッと笑った。反論する間もなく、雷樹は話し始めた。

「最近のなみきちゃん、幸せそうに見えないから。成塚と上手くいったのに、いつもどんよりしてる。」

言い返せない。
確かに、海と付き合うことは出来たものの幸せを感じたのはほんの一瞬だった。

「…心配してくれてるの?」

雷樹はコクコクと大きく頷いた。

「当たり前じゃん?
なみきちゃんが幸せじゃないなら俺と付き合おう?」

雷樹のことは好きだ。
だけど、恋愛感情じゃない、きっと。
私にはずっと大好きだった海がいる。

私が黙り込んでいると、予鈴が鳴る。

「…ごめん、授業始まるから行くね!」

「っやべ…またね!!!なみきちゃん!!」

そう言ってお互いクラスへ戻る。

話し込んじゃった…早く戻らないと…。

すると、
同じく教室に戻ろうとする海とすれ違う。

「…海!あっ、また放課後…!」
急いでいる為、一言で済ませた。

が、海は私から目を逸らしてそそくさと教室に向かった。


「…え?ちょっと海…」

呼び止めようとしたその時、
「あっれえ…?笠神さん、どこ行ってたのかなぁ?早く行かないと始まっちゃうよお?」

桜ノ宮さんだった。
もしかして、海に何か言ったの…?

「…うん。すぐ戻る……。」


今の私にやましいことがあるとするならば…


_____雷樹とのキス……!


私はすぐ海を追いかけた。





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