コメディ・ライト小説(新)

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孫が現れたんだけど。
日時: 2017/12/24 21:04
名前: m (ID: dZI9QaVT)

えっ、私の孫!?
バイトに明け暮れる恋する女子高生の前に現れた1人の孫。
彼は何のために現代にやって来たのか?
そこには愛しくて切ない理由があったのです。

Re: in1999 ( No.15 )
日時: 2017/12/22 19:36
名前: m (ID: dZI9QaVT)


秋山君は学年1のイケメンと言われている。
背が高く、肌は程よくやけていて二重瞼に長い睫毛。
吸い込まれそうな黒い瞳。
鼻筋が通っていて整った顔立ちをしている。
性格はクールでふざけた事もあまりしない。笑った顔もあまり見たことがない。
部活はサッカーをしていてエースだった。
成績も学年で常に上位。
そんな秋山君は女子からは当然モテモテ。ファンクラブまであるらしい。
そして超面食いの私は1年の時からずっと密かに想い続けて3年の時にやっと同じクラスになる事が出来た。
だが、話した事はほとんどない。
同じクラスなのに話す機会がほとんど無かったのだ。

「香織は元は良いから、これを機に積極的にアタックすれば?」

私はいやいやいやと全力で否定する。
アタックとかそんなの私怖くて自分から行けないよ......。

「どっちにしろ高校卒業前の最後のチャンスか。席が隣なんてクラスの女子はさぞかし羨ましがっているだろうなーっ。」

「うん、ずるいっていっぱい言われた。」

「さすが、人気者ね。彼女はいないみたいだけど。」

秋山君の彼女。
なれたら最高に良いけれど、実際はそんなに上手くいくはずないしなあ。

私はため息をついた。

Re: 1999 ( No.16 )
日時: 2017/12/24 19:36
名前: m (ID: dZI9QaVT)

学校に着いて教室に入った私は窓側の後ろの席に座り、隣で勉強をしている秋山君をちらっと見た。

うわあ、今日もかっこいいな。

真剣に参考書の問題を解いている姿に思わず見惚れた。
勉強姿が絵になる。

「おはよー香織ちゃん!」

三橋 茉莉(みつはし まつり)が私の机に来て元気に挨拶する。
茉莉ちゃんと私は仲が良くていつも一緒にいるの。
彼女はクラス1の美少女でとにかく可愛い。
少し茶色がかったサラサラの髪からいつもいい匂いがして、ボブが似合う。
目はぱっちり二重で笑うと垂れて、いつも口角が上がっている。
性格も明るくて優しくて癒し系だけど、芯がしっかりしていている。

「おはよー、茉莉ちゃん!今日も可愛いね。」

そんな彼女に女の私でもメロメロなってしまう。

「そんな事ないよ。ありがとう。」

嬉しそうにはにかむ。
可愛い。

「そういえばもうすぐクリスマスだよね。茉莉ちゃん予定あるの?」

「うーん、特にないかな。」

そう、もうすぐクリスマス。
彼女のいない私にはちょっぴり寂しい。
茉莉ちゃんの予定が空いているなら遊びたいなあ。

「私も!良かったら......」

「ガタッ」

その時、隣の席の秋山君がシャーペンと参考書を床に落として慌てたような仕草をした。

Re: 1999 ( No.17 )
日時: 2017/12/23 19:52
名前: m (ID: dZI9QaVT)


いきなりどうしたんだろう......?
様子がおかしい気がする。

秋山君はすぐに床に落ちた物を拾う。
落ち方が悪かったのか、参考書の端が折れていた。
そして何事も無かったように勉強を再開する。

「びっくりしたね。」

「うん。」

茉莉ちゃんがちらっと秋山君見る。
すると彼女は一瞬顔を曇らせて、小さな声で何かを呟いた。

「どうかしたの?」

私は尋ねる。

「ううん、何でもない!」

茉莉ちゃんは首を横に振って笑顔で答える。
でも、その笑顔は貼り付けられた様などこか不自然さがあることに気付くことが出来なかった。
その偽りの笑みが何を示すかもこの時はまだ知らない______________

Re: 1999 ( No.18 )
日時: 2017/12/24 19:40
名前: m (ID: dZI9QaVT)

授業中、時々隣の秋山君が気になって仕方がない。
だって1年の時からずっと片想いしていたのに今まで話したことも無かった彼と卒業3ヶ月前にして席の隣。
どこかであわよくばと思う所があった。
奈緒に言われた最後のチャンスという言葉が頭の中で回る。

いけないいけない。
授業に集中しないと。
ああ、でも

私はちらっと隣の席を見る。
ばれないようにそっと。
すると秋山君は私の方を向いて机の上で寝ていた。
顔が丸見えで、なんとも無防備な寝顔。
思わず見つめてしまう。

睫毛ながっ。
子供みたいだなあ。
ああ、これが隣の席の特権か。

授業もうわの空で幸せな気持ちになる。
この時間が続けばいいのに。
自然に笑みがこぼれてしまう。

「なに笑ってんの?」

「え?」

秋山君がぱちりと目を開けて不思議そうな顔で私を見た。
低くて少し気だるそうな声。

「あっ、え、いやっ。」

どうしよう。
絶対変な奴って思われた。
キモイって思われた。
よりによって好きな人に!

私は言葉に詰まる。
握っていたシャープペンシルに力が入る。

Re: 孫が現れたんだけど。 ( No.19 )
日時: 2017/12/24 21:57
名前: m (ID: dZI9QaVT)


何か答えなくちゃ。
そういえば昨日、あれ見て笑っただよね。

「えっと昨日のスマイルチャンネルに出てたお笑い芸人のネタを思い出したの!」

思い出し笑いも中々気持ち悪くない?
言った瞬間からそう思うがもう遅い。
無理矢理ひねり出した嘘。
頑張って笑顔で答える。
寝顔見てにやけてましたとか口が裂けても言えません。

秋山君は怪訝な顔をして首をひねった。

「え?昨日はサッカーの延長戦でなかったけど。」

しまったああああああああああ。

私は心の中で叫ぶ。
平常心を装いながら。

昨日観てたのは録画してたやつか!
叔母さん、先週夜勤だったから見れなかったんだよね。
紛らわしい。

「変なの。」

秋山君はぷっと吹き出した。
授業中だから手に口を当てて、小さく笑う。


変なの
変なの
変なの
変なの

頭の中で彼の一言がリピートされる。

秋山君が、笑いかけた。
この私に。
やばい。


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