コメディ・ライト小説(新)

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

下書きだらけ
日時: 2020/01/09 23:09
名前: モズ (ID: MHTXF2/b)


 タイトル通り。
端から見たら下書きのような、まだまだ物足りない文章が
SSとしてレスに表示されていく予定です。

 長編は無理だと気付いた。だから、短編。色んなことを書いていたい、それがモズ。
久し振りな投稿もこれから続けられたら良いな、と。
みんなが帰ってくると良いな、と思いながら、珠に書きに来る。

 

夏 ( No.14 )
日時: 2019/09/14 22:56
名前: モズ ◆hI.72Tk6FQ (ID: v2BiiJyf)



 虫かごの中でよく動いていたクワガタが死んだ。昨日は忙しなく動いていたのに、朝になったらピクリとも動きやしない。
昨日までは虫かごに捕らえられた仲間を鋏で捕まえては振り回していた暴君だったのに。
 呑気にある家族は話している。冬になったら、彼らは寒いのが駄目だからカイロを貼ってやらんと、と。
そこまで生け捕りを続けるつもりか、彼らは満足しているのか、人には誰にも分からない。彼らにしか分からない。
 道端に蝉の抜け殻と蝉の死体が横たわっていた。道の端に横たわっていた。
もう彼がミンミンやらツクツクホーシとかと夏を良い意味でも悪い意味でも彩ることは無い。死んだのだから。
そんな彼の佇む日陰を作り出した木には一匹の蝉が余生を楽しむかのように鳴き続けている。
 夏の教室は、とても暑い。夏休みが終わって来てみれば、人ばかりの教室には暑さがまとわりついていた。教室から熱が溢れないのだろうか。
未だに鳴いている蝉たちもいずれ、もうすぐ死ぬ。この夏を謳歌して、叫んで、死ぬ。




ーーーー





 今年が此処で過ごす最後の夏、高三の夏だ。来年からはこのど田舎から出て、少し都会に近い場所に引っ越して、新生活を迎えることになる。
此処で過ごす夏はもしかしたら今年が最後かもしれない、少なくとも子供のうちに此処で過ごすのは今年が最後、だと思う。
今まで過ごしてきたこの場所、緑ばっかで自然ばかりで都会に憧れていても、いざ場所を変えてみればこの景色が恋しくなるのだろう。
都会の人は休日を使って田舎に来たりする、田舎の人は都会に行く、今ないものだけを求めて。
今は鬱陶しく感じる蝉の煩さも、虫の飛ぶ音も恋しくなるのだろうか。
 そんな夏、早朝のこと。デジタルの目覚まし時計は04:00を示していた。
空は少しずつ明るくなっている、雲が疎らにある綺麗な青い空だ。
空気は渇いていて、太陽もそれほど昇ってないからか、そこまで暑くは感じない。
むしろ、心地よいくらい。シンプルな水色のベッドから起き上がって窓を開けると、そんな空気を吸い込んだ。
 どうせ早起きしたんだ、散歩したいな。この欲に駆られ、身に付けていた寝巻きをさっさと脱いでしまうと、どんな服を着ていこうかクローゼットの中をじっと見ていく。
靴は歩きやすいスニーカーにしようか、ラフなサンダルでも良いな。
と、迷っていたが、スポーツカジュアルなフード付きのビッグシルエットのトップスを手に取る。
これにデニムのショートパンツ、田舎ならこれで十分だ、と自らに問いかけてうん、と頷くとそそくさとそれに着替えていく。
日焼け止めを取り出して、入念に足とか手とか顔、首とかに塗っていく。日焼け止めは浸透するまでに時間が掛かるから20~30分前には塗っとけ、全国ネットのテレビで誰かが話してた。
 着替えて、日焼け止めも塗って。女の子として、やることはやった。さて、何をしよう。
夏休みの課題は今年は多くない、三年生だからと進学か就職に向けた勉強をしなさい、とのこと。
進学、それもAO入試で既に受験を終えた私にとっては関係ないことだ。面接も落ち着いて答えられたと思うし、試験でもある程度の手応えは感じている。つまり、課題という課題は無いのだ。
スマホでTwitterでも見ていようか、とも思ったが、私はSNSをそこまで頻繁に利用していないのだ。
誰かと会話することも無く、人の情報を仕入れているだけだ。時間潰しにはなるが、そこまで面白くはない。
 時間とは、あっさり過ぎてしまうことがある。たとえそれがどうにもつまらなくとも、考えているから時間があぁっと過ぎてしまうのだ。
つまり、日焼け止めが浸透するまで暇をどうするか考えていたら、暇が無くなってしまったのだ。

 家族が起きる前に帰ってくれば良いや、と玄関先で帽子を被って靴をとんとん、と履いてしまうとドアをガチャリと開けて、外に出た。
スマホはちゃんと持っている。お金も多少は持ってきている。













ーーーー

 昨年より暑いと感じた夏、蝉が鬱陶しい夏、残暑はまだ続くのか、夏は好きではないです。
結局、纏まった文章にはなりませんでした。スレ上げついでに載っけておきます。
 今は、1つだけ書いている。それも上げられるとしたら、冬になりそう。
 平凡な僕を、宜しく。


Re: 下書きだらけ ( No.15 )
日時: 2020/04/17 12:23
名前: モズ ◆OQLTxBfb7A (ID: 9yNBfouf)



 半年以上ぶり、また書こうとおもうので取り敢えず、あげときます、
トリップ合ってるのか、自信ない。たぶん、ここも書き換えます。

Re: 下書きだらけ ( No.16 )
日時: 2021/03/20 14:09
名前: モズ ◆OQLTxBfb7A (ID: XWWipvtL)


『恋とは何なのか辞典で見てもどうせわからない』

 高校生にもなって未だに恋愛に興味がないのはおかしい、と友達に真顔で言われて苛ついたので、幼馴染に休日に愚痴させてもらうことにした。
 幼馴染こと「浅野雄大」は私と違って、というか私が極端すぎるのだが、ちゃんと恋愛をしてきているから愚痴を話してもまともなことを返してくれそうだ。
というか、そもそも浅野は小さい頃からそういう男だったと思う。今は彼女募集中らしく暇しているらしいし、ゲームついでに話していこう。
 休日、朝から部屋に閉じこもってゲームする。やっているゲームはろくでもないが。
朝からの通話に現在彼女募集中の浅野は付き合ってくれた。てか、このご時世だと簡単に誰かと遊びに行けるような状況ではないだろうが。
電話を掛けてそれを受け取った浅野はどう考えても寝起きだった。定期的に欠伸はするし、通話する相手がいくら長年の幼馴染でもそれは……どうなのだろうか。

「浅野……昨日、何時に寝たんだ?」

 そう言うと、浅野は間抜けな声で

「たーぶん……あれ、何時……だったっけ、あれ?」

 これはひどい。寝起き声のままで浅野はこう切り出した。

「んぁ、そういえば……お前っていつからか俺んこと、名字で呼び始めた、きぃするんけど、きのせい?」

 もうちょっとちゃんと話してくれないだろうか、とは思ったが、質問に答えることにした。

「学生になってから、だと思うな。浅野が他の子と付き合い始めてからだと思う。
その、付き合っている子に誤解させると申し訳ないな、と思って」

 それに対して、やっぱりまだ意識はふわふわしているのだろうか、しばらく考えていたのか、それとも単にまだ眠いのか、たまに何とも言えない声が聞こえてくる。
少し経って浅野は返答してくれた。

「なんか、そういうのお前らしいな。人に気づかれないようにお節介してるっていうのか、何だろ、うーん。うん、らしいわ」

 人に気づかれないようにお節介、か。空気読みがうまい、ということだろうか。
そんな中、私はゲームをやめて起動していたPCでとあるショップの通販のページで服を閲覧していた。

「らしいんだ。よくわかんないけど、誉め言葉として受け取っておくよ。で、昨日は何してたら今、こんな調子になるんだ?」

「えぇー、まだ聞くの?」

 徐々に浅野が調子を取り戻し始めたのか、ごそごそと恐らく体制を変えている音でも聞こえてきた。
はぁ、とため息をついたあとに

「女子と寝落ち通話してた。あ、まだ付き合ってはいないからな!」

 誰もそこまでは聞いてはいないのだが。まぁ、何となくそんな気はしていた。
浅野は誰とでも仲良くなれる野郎で男女に関わらず友達が多い。通話する相手が一人や二人いてもおかしくはない。昔からそんな姿を見てきたからそんなのわかりきっている。

「そこまでは聞いていないんだが。で、相手は予想するに西園さくら、とかか?」

「っ、何でわかんだよお前は……他の奴らにはばれてないのに、じゃなくて!」

 おぉーと、これはまさかまさか、これは今、恋しているとみていいのだろうか?
どうやら、この興奮の声が漏れていたのか、浅野が

「いやいや、違う違う! 確かに最近は結構、連絡とか……まぁ、取っているけど」

 尻すぼみになっていく声にどうやらこれはビンゴだったらしい。
西園さくら、というのは私の友人の一人であり、というか私経由で浅野は彼女のことを知ったはずだが、こんなすぐにでも惚れるとは思っていなかった。まぁ、あの子はいい子だ。
私が認める。
 そうなると、私が西園にふわーっと尋ねてでも見ようか、とも思ったが、そういうのを浅野は嫌う。人の嫌なことを進んでやるようなクズではないと思っている。
ここは遠くから浅野の動向を見守ることにしよう。
 恋とは何なのか、私から見た汚れていない二人のする恋模様を私は知りたい。

 休日が明けて、浅野は朝から頑張っていた。西園は私の友人で同じクラスだが浅野とは同じクラスではない。故にわざわざ他のクラスに行かないと浅野は彼女に話しかけることすらできない。
でも、いつの間にか通話するまでの仲だったのか。そんな今日の放課後。
 浅野が教室を覗いていた。その時、私は浅野のことなんか気づかずによりによって西園と話をしていた、と後ほど浅野が本人に直接愚痴ってきた。
が、前々から今日はカラオケに行く、と決めていたのだからそんなことを言われても困る。
そんな今日は西園とカラオケを楽しんでいたのだが、西園がこう切り出してきた。
二人きりのカラオケルームなのに西園さんの声だけが小さく聞こえてくる。

「理佐ちゃんって浅野くんと幼馴染、なんだっけ?」

 聞きたいのはそれではない、きっと浅野について聞きたいんだな、と西園の表情を見てすぐにわかった。こういう表情のわかりやすさが浅野と似てて西園のことが私は大好きだ。
っと、質問には答えないと。順を追ってだな。

「そうだよ、それがどうかした? もしかして、浅野について何か聞きたいことがあるとか?」

 そう言うと、西園はうん、とこくりと頷いてみせるとその動作に続けて、

「浅野くんって理佐ちゃんから見てどんな子なのかなって……こ、こんなこと聞いたら、へ、変かな?」 

 そんな態度を取ったら流石に誰でも変だよ、と言いたくなるが、そんなことを言うと彼女に申し訳ないのでそれは言わずに浅野に対して素直に話すことにした。
こんなまっすぐな彼女を前に嘘をつきたくはないし、そんなことしても私は、ついでに言うと浅野も得しない。ならば、素直に浅野について言ってみることにした。

「浅野は……ある意味西園と似てるような気がするかな。思っていることが表情に出やすかったりするのは本当に似ているなぁ、って思っているよ。
あとは真っ直ぐで汚れてない、と思う。こんな年頃の男子なんて大体はろくでもないもんじゃん。未来ちゃんの彼氏も二股してるって噂だったり、他にもあった気がするけど。
でも、浅野はそういうのはできないし、愛した人は最後までしっかりと愛すタイプだったよ。あいつ、今まで彼女は居たんだけど、全部振られて終わってるんだよね。
それで理由を聞いたらもうちょっと刺激が欲しい、とか言われたらしいし。
まぁ、私が思うにあいつは良いやつ、ってことかな?」

 と、いつの間にか早口になっていたことに気づいて私は慌てて頼んでいたドリンクに逃げるように口をつけた。
その間西園はどうしてそんな慌ててドリンクに口をつけたのか、とでも言いたいのか、
私の方をぼうっと見ていてが、それにこっちが気づくと、
慌てて見てないよアピールをし始めたが、もう遅い。そして、可愛い。

「で、幼馴染である私の話を聞いてみて西園は浅野にどんな印象を抱いたの?
というか、今の回答で西園は満足してくれてる?」

 そう言うと、西園はうんうん、と首をぶんぶん縦に振り、

「理佐ちゃんは私が一番信頼してる友達だから、理佐ちゃんが言ってくれた浅野くんはきっといい人、なんだよね」

 と、そうだよね、と同意を求めるように小首を傾げるポーズを取ったように見えたから、
私はそれに対してうん、と大きく頷いた。
その日の夜、カラオケから帰宅して浅野からのメッセージを確認すると、お前がそどうして西園さんと、という放課後に送られたもの、そしてつい先ほど送られた、「お前、西園さんになんか言ったりしたか?」という文面。
それに対して、私は聞かれたことを答えただけだから何もしてないよ、と返してあげた。
浅野はその文面の含みに気づくことなく、あぁそうか、とどうでもいい相槌だけ送信してきた。バカだ。
 翌日、私が登校するなり西園が私のもとへと駆け寄ってきた。その表情はどこか重い気持ちを抱えたようにも見えた。何か、あったのだろうか?
私が鞄を置くことを待つこともなく、西園はこう切り出した。

「浅野くんについて聞きたいことがあるんだけど、いいか……な?」

 あー、なるほど。これはいい方向になってきたんじゃないかぁ?
とはいえ、そういう話を教室内でやるようなアホではないから、昼休みに誰もいなさそうな場所に行こう、とだけ伝えて退屈な授業がさっさと終わるのをひたすらに願っていた。
 午前中の授業が終わると、西園は一目散にこちらにやってきたが、私は考えてなかった。昼食を食べてもよくて誰もいない、あわよくば人通りも少ない方がいい、そんな場所ってこの学校にあったっけ、と。恐らく、私の表情がよくなかったのか、西園はどうしたの、とこちらに聞いてきたが、大丈夫とだけ答えて、あてもなくそれじゃあ行こうか、と西園を連れてった。
昼食を持って校内を歩いていたが、あそこなら人がいないんじゃないか、と根拠ない自信だけ抱いて足を上へと進めた。
たどり着いたのは美術室、ここは何故鍵がなくいつもあけっぱなのにどの学年の教室からも遠いから、しかも美術室のある四階は基本的に実習科目だから人通りはどうしても少ないはずだからと向かってみた。いざ、中を覗いてみると、誰もそこにはいなく、あてのない陽光だけが教室を照らし、暖めていた。
 西園は美術室に入ったや否や、浅野くんてさ、といきなり本題へ移ろうとしていた。
流石に座ってからで、とも思ったが、こちらが西園の勝手に話すチャンスを奪ってしまったのも事実だから、そのまま話を聞くことにした。
 西園が聞きたかったこと、というのはもしかしたら私は浅野くんを好きになってしまったのかもしれない、という話だった。聞きたかった、よりも聞いてほしかったことだと思うが、浅野の恋もいい方向に向かってくれていくことになるから、西園のこの話には私は内心、よっしゃ! と拳を上に振り上げたくなった。まぁ、無理だが。
そして、相談もされた。どうしたら、浅野くんはもっと関わってくれるようになるのかと。
幼馴染だから浅野に詳しいからどうかなって、そんな理由で聞いてきたそうだ。
 さて、これをどうしようか。確かに私は浅野の幼馴染ではあるが、友人ではなく、恋人だったわけでもなく、ただの幼馴染なのだ。
浅野の色恋沙汰は知っていても、浅野のもっと詳しい好みなんて知る由もないし、興味もない。第一、いきなりそんなことを聞くような仲かと言うと、それもまた微妙だし。
なんて答えるのが正解なのか、迷った。アドバイスはしてあげたいが、アドバイスすることが正直分からない。
 迷った末に私は本人に直接聞いてくれば? という一番よくない回答をしたと自負していたのだが、西園はそれにやけにいい反応をしており、私は戸惑った。
そして、それいいね! と私が全く予想していなかった反応をしてみせた。わからん。
西園って、こんな感じだったっけ? でも、本人がそんな意欲的ならこちらも協力するしかない、ということで昼食を摂った後に二人で浅野のクラスを覗こう、いや覗いていたのは西園だけで、私は某無料メッセージアプリにて浅野に西園さんが浅野のクラスに来て話があるんだけどさっさと来てくれないか? という文面を送ると、すぐに既読がついて、教室の中の浅野がこちらに向かって動き出した。
私はあくまで西園に着いていった、それだけだったので二人が話し始めてもそこに入ることはなく、それじゃあ、とさっさと教室に戻ることにした。
 西園が戻ってくるのは随分と遅く、午後の授業の予鈴が鳴ってから戻ってきていた。
午後の一発目は数学だというのにいい表情をしやがって、どうやらこちらが思ったよりも話が弾んでいたらしい。

 それから遠くで二人の動向を眺めていたが、二人はいつの間にか付き合っていたらしい。
西園はそれから、ついでに浅野も惚気話をこちらにするようになってきた。
 そういえば、前から聞こうとして忘れていたことがあったから、いつの間にカップルに聞いてみることにした。休日、わざわざ二人を呼び出して、勉強会と称して。

「二人にとっての恋って、愛って、何だ?」

 浅野はその質問を心で抱え込むように、西園ははっとした表情を見せて、口をぽかんと。
そもそも、幼馴染と友人のカップルに何を聞いているんだ、という。
そんなツッコミを自身でした頃合いに浅野がこう言った。

「それ、自分で見つけてみたらどうだ? 人と会って恋しないこともあるだろうけど、
それならそれで恋を知る必要がないってなるんじゃないか?
気付いたら知ってた、人生なんて案外そんなもんじゃ……って俺が言うことじゃないけど」

 まだ人生十数年しか生きていない、未熟者。誰だって、人生の初心者だ。
確かにそうかもしれない。人なんて何かしら欠損があっても仕方ないかもしれない。
恋とは何なのか。
 私にはまだわからない。






※ボツだったので、自分のスレッドに上げました。
5000文字、書いてはいたけどなんか違うとなって。
書いてはいたので、久しぶりに上げようかと思いました。




Re: 下書きだらけ ( No.17 )
日時: 2021/04/17 21:26
名前: モズ ◆OQLTxBfb7A (ID: XWWipvtL)


※この話はフィクションです。ですが、これがきっかけでVにも興味を持ってもらえれば。
機材とかには詳しくないのでそこらへんは想像です。




『住処』

 家が私の住処。私は家が住処だ。小さい頃からネットとかそういうのには詳しい方だったし、小学生にして通販で買い物もしていたし、家族は淡白な態度ではあったけど、そういうのは「今後も生きてて役立つことだから」って、ゲームもそうだけど、そういう文化に対しては結構緩くて。
それが幸いして、私は今、配信者として。ただし、顔出しはせず、バーチャルの肉体を利用して配信活動をしているVtuber、またはVライバー、というやつだ。
最初は一人暮らしでバイトはしてたけど、趣味はゲームくらいしかなくて、でもVの配信自体は見ていて、そこでオーディションがやってて応募したら、受かって。
そう、つまりは企業勢、というやつである。専門学生としてデザイン系の学校に通っていて、それもあってきっと合格したのだろうか。真実は分からないが。
 始めたころは慣れていないこともあって、配信をやりとげることに精一杯になっていたが、最近はようやく慣れてコメントをちゃんと読んで、配信ペースも安定してきていると思う。
 通っている専門学校もいつも通り通学して学んで帰宅して配信してって。。
 さて、今日も配信するか。今日はあのゲームをやりたいと思っていたんだ。

「はい、プリンププロダクション所属―、V(バーチャル)ライバーとして活動させてもらっている天原です」

 プリンププロダクション、というのは私が所属している企業であり、そこに所属しているライバーはアイドル系だけでなく、私のような普通の子もいる。
どっちかと言えば、上はアイドル系を推していきたい方針らしいけど。
最近なんて、オリジナル曲はアイドル系のライバーに提供していたり、3D実装もそっちを優先しているような気がするが、これは気のせいだろうか。
 そんなことをぼんやり考えながら、目の前の画面に表示されたゲームを眺めてはこめんとをしていく。誰かと話すことは苦手なのに誰もいない空間でこうして話すことが得意なんてどうかしてるであろうか。
チャット懶には誰かもわからない誰かがコメントしていた。本来ならスパチャという投げ銭もここでは投げることができるのだが、そういうのが問題ないゲームなのか調べるのが面倒な私はスパチャをオフにして配信を始めている。
それで何だかんだその設定のまま他の配信をすることもしばしばでいつだか配信のアーカイブのコメントにスパチャさせろ、って書かれてたこともあった気がする。
アイドル系の子たちはこういうのもやるが、歌枠や雑談枠も多いからよくスパチャされてんな、と思っている。メンバーシップもやってるし、相当大変だろうに。
 目の前で映し出されたゲームをぽつぽつと話しながら進めていく。今回やっているのはホラーゲーム。私の配信の中でもゲーム、その中でもホラーゲームがメインとなっている。
というか、そもそも私はFPSに苦手意識があり、配信自体はするが、なかなかやらないという状況である。Vの中でも流行っているから上を目指すとかならやるべきなのだろうが。
ホラーゲームは敵と遭遇、対策が取れれば本人の努力でクリアできるゲームだと思っているから、FPSと違って私にとっては手が出しやすいのだ。
なんて、考えながら配信はして、ゲームは終わって、配信を切って。すると、一件の連絡が来ていることに気づいた。
同じ事務所の俗にいうアイドル系でやっている「天野唯香」からの連絡だった。前にもコラボしたことがあり、そのときには二人とも名前にあま、とつくから「あまあまコンビ」なんてハッシュタグをつけられていたそう。この天野さんは私より少しだけ先輩だが、ゲームは正直上手いとは言えない人だ。

天野唯香:あまちゃん、今度コラボで何かゲームしない?

 あまりにも漠然としたメッセージだった。でも、この人、前々からそうだったのだ。
もうそれが彼女なのだろう、とこの漠然さに諦めをつけていた私は返信として
「今、よさそうなゲームを探してみます。サシでのコラボを希望してますか、大人数でも大丈夫ですか?」
 と、天野さんに丁寧な文面を送った。この人から友達感覚で連絡されている気がする。
先輩なので、それ以前に私は誰かにズバっと意見を言うことがそんなに得意ではないので本人が苛つかないように、そうさせないようにこちらが丁寧に接することを心掛けているのだが、現実の社会ってこんなものなのだろうか。
 そして、気づいたらもう一件。これは私から連絡した別の事務所で活動されている「アザミ」さんからの返信だった。
アザミさんは20代後半の女性であり、あっちの箱ではチャンネル登録者もかなり多い方でよくやるゲームは恋愛もの。基本的にストーリー性のあるゲームが好きで本人は怖いものは得意ではないのにフリーホラーにも手を出していて、その時のリアクションが可愛いとよく切り抜かれているのを見掛けていた。
「それ、やってみたいかも。ちょっとスケジュールの確認をする……」
 しかし途中まで文面を確認していたところで天野さんから再び連絡。「最近入ってきた子たちも先輩も誘えたらいいなっておもってるんだけど、あまちゃんって後輩ちゃんに詳しかったりする?」
 自分でまず調べてくれ、と言い出しそうになったが、何とか喉元に留めた。プリンププロダクションは少し前にキャラ有りも含めたオーディションを行っていた。
こういう界では前世なんてものは当たり前という世界なのだが、そうなると私はイレギュラーになるのだが、今回は常設のように経験者のみ、ではなく、誰でも条件に当てはまれば応募可能、ということで倍率が結構だったと噂には聞いている。
結局、キャラ有りで合格したのが当初の予定通り3人、それ以外で4人が合格したそう。一気にこんなにデビューさせるのか、と思ったが、キャラ有りの三人はその見た目のままアイドル路線で売り出して、残りはまだ調整中らしい、という噂もある。
実際、たった一か月前にキャラ有りで合格した子たちは初配信を終えており、既にそれぞれらしい活動を始めている。天野さんが誘えと言ったのはその子たちのことだろう。
 まず、清楚でキュートなビジュアルが特徴の「姫野るる」。初回配信では、名前とその見た目通りのおっとり、ふんわりとした声だったのを覚えている。
その後は英語も堪能らしくゲーム実況する際には日本語と英語を交えながらやっていて、切り抜きによると外国人にもウケがいいらしい、という。
この子に関しては、キャラでああいう雰囲気というよりガチでああいう子なんじゃないか、と思うくらいにおっとりで言葉遣いは丁寧でやるゲームも対象が女児向けのものが多い。
本当にああいう子だとしたら、どうやって絡めばいいのか迷う……ぞ?
 同じ日、姫野に続いて初配信を行ったのはクール系でアイドル、というよりモデルさんのほうが似合いそうな黒髪ロングの美人、「小野沙耶」。初配信では、姫野と打って変わりやや低い声で落ち着いて話していたし、自分のことについて話すのは私と同じように苦手なようだった。
初配信こそクールに決めていたが、そんな彼女が気になってこっそり配信を何度か覗いていたのだが、彼女、想像以上にゲームが苦手で唯一できるのはオリマカートだけだった(それも人並み程度で決して上手いとは言えない)。
今回、誘うのはなんか怖いかもしれない。
 最後に公開されたビジュアルがまさかの無表情で小脇にペンギンを抱えた「スズザメ」。こちらは姫野と違って韓国語と中国語が話せると初配信では言っており、流暢な挨拶をかましてみせた彼女だが、彼女はよくわからない。
彼女たち、揃いも揃って見た目通りのムーブをしている。スズザメはゲームに夢中になるとねこ、とかにゃー、とかやたら猫になりたがっていた。小脇のペンギンも一部の視聴者によると時に表情を変えているというし、彼女のやっているゲームは毎回よくわからない。
たぶん、変人というやつだ。ちなみにこれについて本人に聞いてみると、
「不思議ちゃんではなく、変人。そう言ってくれたのは海女さんが初めてです」
と、一見律儀な返信が来たかと思ったが、人の名前をちゃんと間違えていたし、この件以来妙に気にいられたのか、よく謎の報告をされるようになった。
例えば、朝ご飯はこれを食べました、とか今日の気分を文章に送ってきたり。
切り抜きでスズザメを見つけたかと思えば、まだコラボすらしていないのにあまさんと仲良くなったとふんふんしている彼女がいた。あまさんってそういえば呼んでたし。


Re: 下書きだらけ ( No.18 )
日時: 2021/04/17 21:35
名前: モズ ◆OQLTxBfb7A (ID: XWWipvtL)



 誰を進めても正直わからない。それに先輩なら誰を誘うのか考えなければならないけど、たぶん天野さんはそういうのは考えてなさそうだし、後輩である自分が色々考えて交渉した方がよさそうだ。
そんな頃にまたスズザメから連絡がきた。「あまさん。今度、人、殺しませんか?」
いや、怖いわ。
だが、マルチプレイできて初心者にも優しくできて、私がよくやっているゲームがあったことを思い出し、天野さんにこのゲームやりませんか? とひとまず文面を送ることに成功した。スズザメもいい機会だから誘おう、と悩みの種になりそうなことが少し楽になり、まずはアザミさんに返信をして、天野さんの返信を待つことにした。
休日、部屋に閉じこもって何をしているんだろう。スズザメも休日に何を送ってきているんだ、と感謝しつつも二度ツッコまずにはいられなかった。
 アザミさんの文面を確認し、コラボ日はこの日にしよう、そしてこれをこんな風にやるという打ち合わせをこの日に、という段取りを相談させていただいた。
スズザメはこの間にパブリックドメインのコアラの画像を送ってきてたし、返信が返ってきた天野さんはちょうど配信をしているとYooTubeで確認した。
 ゲームを調べてやりたいことをまとめていたら、もう夕暮れ。橙の空が徐々に黒く染まっていくのをぼんやり見ながら、最近の流行りとやらを聞いていた。
この活動をしてからぼうっとすることが増えたような気がする。気のせいか。
 夕ご飯は自宅で簡単に済ませ、お風呂にも入った。歯も磨いたら、先輩の配信を見ながら、誰を誘おうか考えていた。
ゲームセンスだけで言うと「日野森雫」さんはどんなゲームでもやるとなれば平均、あるいはそれ以上になってコラボに参戦してくる先輩だから、頼もしい(そもそものプレイも上手いのだが)。
ただ、天野さん、スズザメというアイドル路線ではないので彼女たちとの絡みもなく、黙々とゲームをするタイプなので天野さんとの波長が合うのか正直不安な面はある。
スズザメは……まぁ、何とかなりそうだろ。
次に考えたのは天野さんが仲のいいアイドル路線の「スズカ」さん。
ゲームの実力は人並みだが、天野さんとは間違いなくうっきうきで話してくれるだろう。
ただ、絡みのない私、スズザメが介入できるのかが心配だ。スズザメはあんなんだからいけるだろうが、私はうーむ。
 天野さんはまだ配信中にも関わらず、更にこんな風に言う。
「あの人と絡んでみたいなぁ、悠月(ゆうづき)まろ先輩と」
 悠月さんは自他ともに認めるお色気お姉さんである。しかも、配信してる時の大半は寝起きだったり、眠たかったりとまともなコンディションでやっていないのだが、それが逆に受けている、というかエロに魅かれただけだろう。
ゲーム配信もしてなくはないが、してたのは恋愛系ばっか。ゲームできる環境なのかもわからない。そもそも、配信中にBANされそうで怖いんだが。
 そんな天野さんの言葉をもう無視し、先輩方の個人的な印象と今回はスズザメを後輩枠として呼びたい旨、つまりは諸々を伝えさせてもらった。
もう疲れた。天野さんの返信を待つことなく、私は眠りに入った。
 今日も休日。朝6時。配信者なのに健康的な時間に起きた。欠伸をして、うがいと洗顔をすると今日は昼か夜に天野さんとやる予定のゲームを配信するツイートをして、朝ご飯を作って食べることにした。生きている、ただそれだけで今日もスズザメのメッセージが届く日々。やっぱり、スズザメは変。
 昼頃、天野さんの返信にようやく気付くと、天野さんはスズザメを参加させたい、ということ、誘うなら強そうな雫先輩と敢えてのまろ先輩でどう? とのこと。
今回は天野さんがきっちりと決めてくれたこともあり、先輩方とスズザメへの交渉は私がやります、とついつい名乗り出てしまった。流れる桃にどんぶらこ、やってきた船頭に身を任せる。天野さんはその私の勢いづいた返信にそれじゃあ反応あったらよろしく! と、
にっこり顔文字を文末につけてきた。なんか、苛つく。
 それはともかく、コラボ経験のある雫さん、なんか気に入られたスズザメ、コラボ以前に話したこともろくにないまろ先輩にそれぞれメッセージを送信すると、スズザメから秒で返信が返ってきた。尚、スズザメ、現在配信中。やっているのは今回はテトリッス。
あ、開幕TSDしてる。
 あと、まろ先輩。「あ、初めまして。悠月まろでs。たまたmおきてたからはあやくへんしんできた。にうs、でhでkl;sいいよkd、いつにすr。」うん、読めないです。
 雫先輩は「まろさん早めに起こさないとコラボちゃんとできないってまろさんが前に話してた時に言ってた。あと、スズザメって子、変なゲームばっかしてるから配信を見てることがあるんけど、毎回「あまさんがぁ~」って話してるんだけど、そんなに絡んでたの?
それはともかくコラボしたいってのはわかった。やってたことはあるけど、久しぶりだから少し腕慣らしてから参戦したい」おい、スズザメ。
 まろさんには再度読めるような返信を、と送信したら、通話を掛けられた。何でそうなる。
そして、話してるのも正直よく聞き取れない始末。ちゃんと起きてから返信、通話をしてください、と伝え、通話を切った。
 休日、穏やかな朝食を9時に迎えた日曜日、スズザメがコラボしたいです、と送ってきた昼。私は配信は夜、とツイートし、趣味であるお絵かきを楽しむことにした。スズザメのメッセージは無視したまま。
 夜。

「はい、プリンププロダクション所属―、V(バーチャル)ライバーとして活動させてもらっている天原です。
今回はいつもと違ったゲームをやります。まぁサムネ見て気づいた人もいるんじゃないのかなって思うんですけど……」

 と話していると、チャットがなんか騒がしいと思ったら、やせいのすずざめがチャットにいた。返信して、あまさん! と。おい、スズザメ。

「スズザメ、私欲をチャットに流すな」

 そう言うとスズザメは、あとスパチャをいい加減させてくれ! と視聴者みたいなことを言い始めた。

「それはスズザメじゃなくて視聴者が言うことなんだよ、ってともかく学校ダンディーの無印、プレイしていくのでよろしくーと」

 スズザメは最後に無視なんてひどい、ぴえん。と言い残してどこかに行ってしまった。
コラボもしていないのにこんなに仲良い(とこの人たちは思っているらしい)二人を見たチャットはしばらくして落ち着いたが、ふとファンアートタグを検索してみると、
私とスズザメのものが大量に出てきた。なんでや。
 配信終了後、スズザメがコメントもしていたらしいという切り抜き動画があった。切り抜くのが早すぎるし、スズザメは本当に何をしているんだ。

 それから1か月。私がデビューして半年が経過しようとしていた。まだ半年なのに随分と色濃い日々だったように思える。
こういうとき、基本的にライバーというのは記念配信をするらしい。のだが、どうしてもか? と思い、投票機能を用いて皆の意見を求めることにした。
結果、やれが半数以上を占めたため、「やれ(大多数)→やります」とツイートして、
半年の日、夜に枠を取ることになった。そのツイートに対して、スズザメが「配信決定感謝」と6文字で引用リツイートしていたという。さては厄介オタか?
 
「……配信、始まったね。えー、こんばんは。プリンププロダクション所属―、V(バーチャル)ライバーとして活動させてもらっている天原です。
今回、活動を始めてから半年が経ったらしいです。ということで記念配信をやります。今回はついでにチャンネル登録人数が24万人を突破したらしいです。まぁ、こういうことで記念配信をすると。珍しくスパチャオンにしてます。読むかは分からないけど、まぁ投げたければどうぞ、ってことで」
 と、こんな風に。スズザメは最初からチャット懶にいたらしくスパチャも投げていた。今回の配信内容はいつも通りただ話すだけだったが、それがまたらしさというものだろう。
普段配信委は現れないような先輩もいたらしく、早すぎる切り抜き動画を見ながら、またいつもが始まるのか、となった。そんな今日、25万人も迎えた。
 Vライバーでよくあるコンテンツというのが、「ボイス」である。例えば、こういう行事に合わせたボイスを販売しよう、今回はこのライバーに焦点を当ててこういうシチュエーションで販売しよう、とか。他にもこの人たちのボイスを購入すると限定の壁紙等が付属しますよ、とか。何でもである。
プリンププロダクションでもボイス販売を実施しており、ライバー本人への収益率としてはスパチャよりこっちのほうが断然いいため、ボイスをブーストする、つまりライバーに金が届くように一つで十分なボイスを複数購入すること、する人もいるらしい。
だから、まぁやる人はやる。というか、ここに入ってきた人の中には元々声を使うことを夢見てた人、歌い人、実況をしていた人がいるのだから、こういうのを前世と呼ぶらしく悲しいことに中が割れている、またはこの人ではないか、と予測されている人がいるのも事実である。うちの事務所ではないが、他の事務所のとある男性ライバーさんは同じ界隈の人が買っていたり、売り上げが毎回上がっていると話していたし、普段の配信発動と打って変わった距離感でやる人、今まで通りの距離感でらしさを出す人など分かれていて、自分は人のをあまり購入するわけではないのでわからないが、ツイターでフォローしている人たちがRTするボイスに関する感想を読んだりすると、凄い人もいるもんだな、とバカみたいな言葉しか出せない。
 デビューして半年ほどが経過して、私もようやくボイスに手を出すことに決めた。買う方ではなく、出す側である。
ということで一切関わりもない他の箱のボイスが凄い人にいろいろ教えてほしい、と打診することにした。
結果、その人は見た目に合わずノリのいい人でこの話にすぐ乗ってくれたし、どうせなら他の人も呼ぶ? と持ち掛け、この人ならこうだからと呼んでくれることになった。
 数日後。コラボ配信の枠は持ち掛けてくれたからと私の枠で行うことになり、他事務所とのこういうコラボだったこともあり、やたら人が多かったらしい。(同接が多かったらしい)
ボイス、むっず。と思いながらも、いろいろと学ばせてもらった。
配信中に今度録ったの聞いてください、と言うと、聞いてくださいなんて珍しい人だね、と言われた。本当に送ってみたら、本気だったんだ、と言われた。何も悪いことしてないけど、やらかした気分になったが、その人はちゃんとアドバイスをくれた。
 ボイスを販売した。シチュエーションボイスでジャンルは「花火大会」。他のみんなも販売していたが、自分が出すのは初めてで視聴者に言われてボイス専用のハッシュタグも作った。
 雑談配信時にこのボイスについて詳細を聞きたい、と視聴者が言ってきた。

「天原のボイスってどんな感じ?」
「天原がボイス出すなんて思っても見なかった」
「天原ってそもそも外でなさそうだけど、このボイスだと行ったの?」

 中には人のことをそんな風にいじってくる奴もいたが。

「恋愛要素はなくて、暗い話とかそんなに得意じゃないからそういうのは取り入れていないから、まだ聞きやすいんじゃないかな。今後もボイス出すってなったら、恋愛要素は苦手だからやらない。今回は花火大会ってことだけど、自宅で視聴者一人一人と話しながらって感じ。外、嫌いだからね」

 そんな風に言うと、やっぱり、とか言うコメント。殴りてぇ。
でも、中には

「天原のボイス買って聞いたけど、初めてであんなクオリティーとは思わなかった。
前のあの人たちとのボイスの配信のおかげ?」
「俺んとこの花火大会の時にまた聞いてみる、って感想送っとく」

 なんて、意見もあった。ありがてぇ。
 そんな雑談のボイス一色の中、誰かがそれを切り裂いた。

「天原の視聴者の男女比ってやっぱ男多い?」

 Vライバーにはキャピキャピいた女、イケメンで売っている人、おじさんなど色々いるが、Vだからかどうしても男女比では男が多いというのが普通である。
ちなみに自分はそんなことに興味もなく、確認すらしていなかったのだが。
なんか、むかついたのでこうすることにした。そのコメントを読み上げた後、

「ライザップならぬジョシザップするか、女性視聴者増やすか。そういう企画、建ててこよう。その前に今どんな状況か後で報告するけど」

 てか、ジョシザップって何やねん。




ーー読み切り、短編ーー












※学園ダンディー
学園ハンサムをイメージ
※チャンネル登録者について
このプリズムプロダクションはV企業の中でも1,2を争う企業という設定にしています。
企業勢、箱が元から人気からある、という前提で見てもらえると助かります。
※ボイス
ホロは知らないが、にじではやっている。BOOTHで購入し、自分がよく見ている人はボイス売上が右肩上がりらしい。


 これのちゃんと書いたのはカクヨムさんでもあげるつもり。

アットマーク「だんだんだだんだん」でたぶん出てくると思う。
また気力あったらこっちでも書きます、よろ。




Page:1 2 3



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。