コメディ・ライト小説(新)

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暁のカトレア 《完結!》
日時: 2018/09/17 17:40
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

初めまして。あるいは、おはこんにちばんは。四季と申します。
今作もゆっくりまったり書いていく予定ですので、お付き合いいただければ幸いです。


《あらすじ》
レヴィアス帝国に謎の生物 "化け物" が出現するようになり約十年。
平凡な毎日を送っていた齢十八の少女 マレイ・チャーム・カトレアは、一人の青年と出会う。
それは、彼女の人生を大きく変える出会いだった。

※シリアス多めかもしれません。
※「小説家になろう」にも投稿しています。


《目次》
prologue >>01
episode >>04-08 >>11-76 >>79-152
epilogue >>153


《コメント・感想、ありがとうございました!》
夕月あいむさん
てるてる522さん
雪うさぎさん

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Re: 暁のカトレア ( No.151 )
日時: 2018/09/16 15:31
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

episode.144 いつしか雨は止んで

 その心は、土砂降りだった。
 家を、人を、大地を、ずぶ濡れにしてしまうほどの大雨が、彼の心の中では降り続けていた。
 ——トリスタンの心の中でのことだ。
 彼は今、中庭を一望できるテラスにいる。三人ほど並んで座れるであろう木製のベンチに、一人で腰を掛け、明るい日差しによって華やいだ中庭を眺めていた。
 基地内にある中庭は、中庭と聞いてぱっと思い浮かべるような、美しく素敵な場所ではない。無数に生える雑草は刈り取られこそしているものの、一応ある花壇は古ぼけてほったらかしにされ、一本の花さえ植わっていないのである。
 眺めるには、あまりに殺風景な中庭。
 だが、彼の青い双眸は、そんな風景をじっと見つめていた。
 時折吹き抜ける柔らかな風が、トリスタンの長い金髪とふわりと揺らす。そんな中で、風に揺られて髪が乱れても、彼は直そうとすらしない。ただ、殺風景な中庭を見つめ続けるだけだ。
「はぁ」
 何もない場所を眺めながら、トリスタンは小さな溜め息を漏らす。
 その時だった。
「トリスタン!ここにいたんだねっ」
 テラスを包み込む静寂を破ったのは、明るく晴れやかな女声。
 フランシスカが姿を現したのだった。
「……どうしてここに」
「トリスタンいなかったから、探してたの。そしたら、ここに着いたんだよっ」
 向日葵のように明るい笑みを浮かべるフランシスカを目にしてもなお、トリスタンの表情が晴れることはなかった。ほんの少し面倒臭そうな顔になっただけだ。
「どうしてそんなに暗い顔してるのっ?」
 そんなことを言いながら、フランシスカはトリスタンの方へと歩み寄っていく。その足取りに、躊躇いなんてものは微塵も感じられない。
「もしかしてー」
 そして彼女は、ついに、トリスタンの隣に座った。
「マレイちゃんのことで悩んでるっ?」
 フランシスカは、躊躇なく接近し、トリスタンの暗い顔を覗き込む。
 トリスタンはというと、突然近寄ってこられたことに戸惑っているようだった。だが、冷たい言葉を発する気力もないのか、何も言わず黙っている。
「フランでいいなら、お話聞くよっ」
「……要らない」
 トリスタンがようやく発した言葉は、それだけだった。
「えー、何それー。さすがに強がりすぎじゃない?」
「君には関係ないことだから」
「関係ないことないよ!フラン、トリスタンが弱ってると心配だもんっ!」
「心配しなくていいよ。関係ないから」
「だーかーらー!フランは関係なくなんてないのっ!」
 頬を膨らませ、口調を強めるフランシスカ。
 だがトリスタンの表情は変わらない。彼は、眉一つ動かすことをしなかった。
「いい加減、意地張るのは止めてよっ!」
「君に何が分かる!!」
 突如トリスタンが叫んだ。
 これには、さすがのフランシスカも驚いたらしく、言葉を失ってしまう。
「君には分からない!僕の気持ちなんて!」
 彼は怒っているように見える。だが本当は泣いていたのかもしれない。他人にはそれを見せないけれど、心の中では嗚咽を漏らしていたのかもしれない。
「……もう放っておいてよ」
 彼の心には、今も雨が降り続けている。
 その雨は止むことを知らない。
「……ごめん。ごめんね、トリスタン」
 今度はフランシスカまで暗い顔になってしまった。彼女はすっかり落ち込んでいるようで、肩を落としている。
 テラスに再び静寂が戻った。

 それから数分時間が経って、フランシスカが再び口を開く。
「トリスタン、あのね」
 彼女らしからぬしっとりとした声に、トリスタンは戸惑いの色を浮かべつつ、フランシスカへ視線を向ける。
「フラン分かるよ。好きだったけど、もう叶わない気持ち」
「……分かるわけがない」
「ううん。分かるの。フランも昔、そういう経験したから」
 フランシスカは控えめな声で言いながら、ミルクティー色の髪を指で触っている。
「だからこそ、トリスタンに寄り添えるよっ」
 優しく語りかけるような調子で声をかけるフランシスカ。そんな彼女に対し、トリスタンは、またしても冷たい態度をとる。
「……君がいても何の意味もない」
 だが、少し冷たくあしらわれたくらいでめげるフランシスカではない。
 彼女は黙って、そっと、トリスタンの手を握った。
「嫌になるよね、何もかも。分かる。でもね、トリスタン。一つ辛いことがあったからって、全部を諦めていたら何の意味もないんだよっ」
 テラスを吹き抜ける風は優しく、それでいて冷たい。
「辛いことはフランに話して?きっと楽になるから。一人で抱え込むのは一番良くないよっ」
「言いたくないよ、君なんかに」
「そっか……そうだよね。今じゃなくてもいいよ」
 トリスタンは冷たい態度をとり続けているが、その一方で、手を握るフランシスカの手を払うことはしなかった。口では拒むようなことを言っているが、本当は、嫌がってはいなかったのかもしれない。
「話せるようになった時でいいからねっ」
 そう言って微笑むフランシスカの顔は、天使のようだった。
 柔らかく、優しげで、穏やかな笑み。向けられたのがトリスタンでなかったならば、きっと、すぐに恋に落ちていたことだろう。
「……言っておくけど、僕は話す気はないから」
 トリスタンはやはり冷たい態度をとっている。だがしかし、真夜中のように暗かった彼の顔に、少し光が戻ってきていた。フランシスカが、冷淡に接されても挫けずに、頑張って声をかけ続けたからからだろうか。
「もー、どうしてそんなことばっかり言うの?まったく、素直じゃないなぁ!」
 少し強い風が吹き抜ける。
 そのせいで心なしか乱れた髪を、フランシスカは手で整えていた。
「騒がしい人は嫌いなんだ」
「何それ!励ましてあげてるのにっ」
 まったく感謝の色が見えないトリスタンに少々苛立ったのか、フランシスカは頬を膨らます。元々丸みを帯びている顔が、ますます丸くなる。例えるなら、風船みたいだ。
「そういう上から目線なところが好きじゃないんだよ」
「う。……ま、まぁ、ちょっと上から言いすぎたかもだけどっ……」
「僕は上から物を言われるのが嫌いなんだ」
「それはごめん……」
 上から目線に聞こえる発言について厳しく突っ込まれると、さすがのフランシスカも言い返せなかったらしく、素直に謝った。
「まぁ分かればいいよ」
「ありがとうっ!トリスタン、優しいっ!」
 謝罪に対し、許す発言をしたトリスタンに、フランシスカは抱きつく。体と体が密着するほどに、ぎゅっと抱きついている。
「ちょっと!いきなり何をするのかな!」
 突然抱き締められたことに驚いたトリスタンは、鋭く言い放った。そして、フランシスカの体を振り払おうと試みる。だが、思いの外強く抱きつかれていたらしく、振り払えなかった。フランシスカの腕の力は、案外、強いのかもしれない。
「優しいトリスタン、好きっ!!」
「いきなり何!?離してよ!」
「フラン、もう離さないもんっ!!」
 状況についていけていないトリスタンは、目を大きく見開いている。
「止めてくれないかな!」
「止めないもん!絶対離さないからっ!!」
 いくら言葉を発しても、抱き締めることを止めてはもらえない。トリスタンは、苦虫を噛み潰したような顔になっている。とにかく不快感に満ちたような表情だ。

 だが——彼の心に降る雨は、その時既に、止んでいた。

Re: 暁のカトレア ( No.152 )
日時: 2018/09/17 03:40
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

episode.145 暁を行く

 数日後。私はゼーレと共に、ダリアへと向かった。
 そして、アニタと三人で会い、話をした。
 他人と接することがあまり得意ではないらしいゼーレは、最初のうちは気まずそうにしていたが、時間が経つにつれ話すようになっていく。アニタとは意外に気が合うようだった。
 それもあってか、アニタは、案外あっさりとゼーレを雇うことに決めてくれ、話はまとまった。
 ゼーレの雇用開始は三日後。
 予想外に順調で不気味な気さえする。だが、話が上手く進んで何よりだ。

 そして一旦基地へと戻る。
 基地へ戻る列車の中で、ゼーレは言った。
「……私が今生きているのは、カトレア……貴女のおかげです」
 ゼーレは妙に素直だった。
 二人ずつの座席に座っているため、他の人に見られることはない。それゆえ、恥ずかしいということはないのだが、素直なゼーレには違和感を覚えてしまう。
 いや、実際には、ここのところゼーレは素直なことが多い。だが、前の、嫌みばかり言うイメージが強すぎるのだ。
「どうしたの?今さらそんなことを言って」
「いえ……こうして生きていられているのも貴女のおかげだと、そう思ったもので」
 ゼーレの口調は静かな空気をまとっていた。
「そう?でもべつに、私のおかげなんかじゃないと思うわよ。ゼーレが私たちにつくことを選んでくれたからじゃない」
「それを選ばせてくれてたのは……貴女です」
 窓の方へ顔を向けながら、妙に真剣な雰囲気でそんなことを言うゼーレを見ていると、何だか笑えてきてしまう。
 もちろん最初は、失礼だろうと思って笑うのを我慢していた。真剣な人の発言に対して笑うなんて、申し訳ない気がするから。だが、しばらくするとついに耐えきれなくなって、「ぷぷぷ」と息を漏らしてしまった。
「……なぜ笑うのです」
「ごめんなさい。でも、何だかおかしくって」
 するとゼーレは、はぁ、と呆れたように溜め息を漏らす。
 多分、彼には私が笑ってしまった理由が分からないのだろうと思う。
「……おかしいですか、私は」
「いいえ。でも、何だかとっても素直だから、不思議な感じがしたのよ」
 ゼーレだって人間だ。時には素直になる日もあるだろう。何も特別なことではない、いたって普通のことである。
 ただ、今までのゼーレの性格を知っているだけに、彼が素直な発言をしている光景を見ると面白く感じてしまうのだ。
「まったく……失礼ですねぇ」
「そうよね、分かっているわ。ごめんなさい」
「……まぁいいでしょう」
 そんなたわいない会話をしながら、列車内での時間を過ごした。
 ダリアから帝都までは結構な距離があり、かなり時間がかかるのだが、彼といると時間は気にならない。これといった重要なことを話していたわけではないのだけれど、案外退屈しなかった。

 それからの二日は、あっという間に過ぎ去った。
 そして、約束の日が来る。
 帝都にある帝国軍基地から出る直前、私はグレイブに挨拶をした。今までお世話になった感謝を込めて。
「これまで、ありがとうございました」
 化け物がいなくなった今、私が帝国軍にいる意味はない。
 必要とされる場所に生きるのが、私には合っている。
「あぁ、そうか。今日出発だったのだな」
「はい。本当に、ありがとうございました。お世話になりました」
 グレイブは落ち着いていた。
「少しばかり……寂しくなるな」
「私もです」
 トリスタンに連れられて初めて帝都に来た日のことを、私は今でも、鮮明に思い出せる。人の多さに戸惑ったり、最先端技術がたくさん使われていることに驚いたり。始めはそんな慣れないことばかりで。でも、いつしかここでの暮らしに慣れていた。
「マレイさぁぁぁーんっ!行ってしまわれるのですかぁぁぁーっ!?」
 ……と、突然シンが現れた。
 ついさっきまで近くにはいなかったはずなのに、どのようにして急に現れたのか。謎としか言いようがない。
「シンさん。ありがとうございました」
 私が彼に礼を述べるや否や、後ろにいたゼーレが口を開く。
「嫌ですねぇ……騒がしい男は」
「えぇぇ!?その言い方は酷くないですかぁぁぁ!?」
「……なぜ黙れないのです」
「別れしなまで冷たいことを言わないで下さいよぉぉぉーっ!!」
 相変わらず尋常でないテンションの高さを誇るシン。やや暴走気味の彼を、グレイブは「おい、落ち着け」と制止する。だがシンは、注意されてもなお、「感動のシーンなんですよぉぉぉ!?」などと騒いでいた。そのせいで、ついにグレイブに頭をはたかれてしまう。少々気の毒な気もするが、自業自得かもしれない。
「とにかくマレイ。今まで、本当にご苦労だった」
「いえ。平和になって良かったです」
「そうだな。……マレイのおかげだ」
「その通りですよぉぉぉーっ!!」
「黙れ、シン」
「は、はいぃぃぃー……」
 それからグレイブは、ゼーレへも視線を向ける。
「捕虜時代には傷つけてすまなかったな。謝らせてくれ」
「……もはやどうでもいいことです」
 グレイブは謝ろうとしていたのだが、ゼーレはどうでもいいといったような顔つきをしていた。過去のことへの関心など、ありはしないのだろう。
 ——その時。
「いたいたっ!マレイちゃんたち、発見っ!」
 突如として耳に飛び込んできたのは、フランシスカの高い声。軽やかで、跳ねるような、明るい声だ。
 声がした方へ視線を向ける。
 すると、フランシスカと、彼女に手を引かれているトリスタンの姿が見えた。
「マレイちゃん!」
「あ。フランさん」
「もうそろそろ行くのっ?」
「えぇ。そのつもり」
 フランシスカの表情は、今日も、向日葵のように明るい。
「間に合って良かったー!」
 言いながら、彼女は、私の体をぎゅっと抱き締めてきた。
 腕の力が思いの外強くて、驚く。
「トリスタンもいるよっ」
「一緒に来てくれたのね。ありがとう」
 十秒ほどして、フランシスカが私から離れると、彼女の背後に立っていたトリスタンが発する。
「向こうに行っても元気でね。マレイちゃん」
 ゼーレはトリスタンをじとっと睨む。
「その目、何かな」
「……べつに。意味などありません」
 二人はやはり仲良くはなれないのか——そう思っていると。
「安心して下さい……カトレアを不幸にはしませんから」
 それまでトリスタンを睨んでいたゼーレが、急に、少し柔らかい口調でそんなことを言った。それに対しトリスタンは、「不幸にしない、じゃ駄目だね。幸せにする、でないと」と言い返す。するとゼーレは、「では、幸せにする、と言っておきます」と言い直した。
「マレイちゃん。幸せに暮らしてね」
「何それ、変なの。死に別れるみたいなことを言うのね」
「そう?おかしかったかな」
「……いいえ。トリスタンも、今まで本当にありがとう」
 彼には、数えきれないほどの恩がある。
「戦いを教えてくれて、嬉しかったわ」
 今彼に伝えるべきことは、もっと色々あったのだと思う。しかし、ぱっと口から出せたのは、それだけだった。

 かくして、私はゼーレと共に、再びダリアへと向かった。
 新しい一歩を踏み出すために。

Re: 暁のカトレア ( No.153 )
日時: 2018/09/17 17:38
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

epilogue

 ——五年後。

「お帰りなさい、ゼーレ。今日、手紙が来ていたわ」
「……帝国軍からの、ですか?」
「そうよ」
 レヴィアス帝国に平穏が戻った、あれから五年。
 私は今、ゼーレと共に、ダリアの一角に住んでいる。
 ゼーレはアニタの宿屋に勤めているため、朝から夕方までは家にいない。だが、夜になればちゃんと帰ってきてくれる。それに、「自分の留守中に何かあったら」と、ゼーレは一メートル級の蜘蛛型化け物を二匹置いていってくれる。だから寂しくはない。
「フランさんね、ネイルサロンに勤め始めたらしいわ」
「ほう……そうですか」
「いつか行きたいわね」
「……私はネイルなどしませんよ」
 ゼーレは仕事中は仮面を外しているようだ。恐らく、客に怪しまれるから、という理由なのだろう。
 だが、帰宅するとすぐに仮面をつける。
 かつて植え付けられた、顔全体を見られるのは嫌、という部分が、まだ残っているのだろう。
「トリスタンとグレイブさんは帝国軍に残って働いているって」
「ほう……そうですか」
 ちなみに、現在ゼーレが愛用している目もとを隠すタイプの仮面は、近所のアクセサリー屋で購入している。アクセサリー屋の主人が善い人で、特別に作ってくれることになったのだ。
「シンさんは、グレイブさんの家来になったらしいわ。ま、元々そんな感じだったけどね」
「……相変わらずですねぇ」
「みんな元気そうで何よりだわ」
「やはりお人好しですねぇ……カトレア、貴女は」
「そう?」
 一ヶ月に一度くらいは、こうして現状報告の手紙が送られてくる。だから、今は帝国軍から離れて暮らしている私たちだが、みんなの様子が分かるのだ。
 みんなが元気にしていると知ることができるので、とてもありがたい。
「えぇ。辞めてなお、皆のことを考えている……それをお人好しと言わずして、何と言うのです」
「確かに、お人好しかもしれないわね」
「……でしょう?」
「ふふっ。そうかも」
 ゼーレと同じ家で暮らすことに、最初は不思議な感じがした。けれど、今ではすっかり慣れてしまって、もう違和感は感じない。この生活が当たり前になっている。
「カトレア。今夜は何を食べますか」
「また作ってくれるの?昨日も作ってくれたのに」
「えぇ。……べつに、貴女のために作っているわけではありません」
「ゼーレったら、素直じゃないのね」
 彼が夕食を作ってくれると、なぜか大体カレーになる。
 だが、不思議なくらい、いつも違う味だ。酸味があったり、濃厚だったり、彼は、本当にいろんな味のカレーを作る。ただ、そのすべてが美味しいことは、ありがたいことだ。
「……で、何を食べたいのです?」
「ゼーレが作るのは、ほぼカレーしかないじゃない」
「……失礼な!他のものも作れます!カレーパスタ、カレーパン、カレーソテー!」
 結局、全部カレーではないか。
 そんな風に突っ込みたくなるのをこらえつつ、答える。
「じゃあカレーパスタがいいわ」
「承知しました」
 私の意見にそう返した後、彼はゆっくりと寄ってきた。
 そして、私の耳元で囁く。
「……今夜はとびきり甘くしておきます」

 長い夜は終わった。悲劇の幕は下りた。それゆえ、もう誰も傷つかないし、悲しみが広がり続けることもないだろう。
 だからきっと、穏やかに暮らしてゆける。
 私は、そう信じて疑わない。

Re: 暁のカトレア 《完結!》 ( No.154 )
日時: 2018/09/20 22:44
名前: 御笠

完結おめでとうございます!お疲れ様でしたー!!
あぁ...また楽しみが減ってしまう...w
あっという間でした...。

いつも素敵な小説をありがとうございます!
これからも頑張ってください~!!

Re: 暁のカトレア 《完結!》 ( No.155 )
日時: 2018/09/21 21:34
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

御笠さん

返信が遅くなってすみません。
コメントありがとうございますー!\(^o^)/

これからもマイペースに頑張ります。

お付き合い下さり、ありがとうございました。本当に感謝です!


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