コメディ・ライト小説(新)
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- この1本の花に祝福を〜リナリア〜
- 日時: 2018/05/19 17:00
- 名前: 伊琉 ◆GB23wn84Is (ID: XpdUVwMT)
【プロローグ】
綺麗な花が咲いていた。
色とりどりの花の中でも綺麗に。
「ゆーず、ほら行くよ」
僕は声かけてきた男性を見上げ、金魚のように綺麗風邪に泳ぐ花から手を離し、その人に微笑んだ。
「うん、行こうか、、、蒼汰」
もう一度、その花の方をちらっと見てあの花の名を心の中でつぶやいた。
『リナリア』
花言葉はこの恋に気づいて。
- Re: 巡恋〜めぐる時の中で〜 ( No.1 )
- 日時: 2018/05/17 07:22
- 名前: 伊琉 ◆GB23wn84Is (ID: ZVrdWBTO)
【キャラクター】
高橋ゆず/たかはしゆず
- Re: 巡恋〜めぐる時の中で〜 ( No.2 )
- 日時: 2018/05/17 07:43
- 名前: 伊琉 ◆GB23wn84Is (ID: ZVrdWBTO)
【第1話】
チュンチュンと小鳥の声が聞こえた。
しかし、教室内はざわついている。
そんな小さな声が聞こえたのは僕が緊張していたから。
少年は少女のような瞳をゆっくりと開き、その結果をおそるおそるみる。
目に入ってきた結果は78点、まあまあな結果でほっと息をつくと、隣にいる蒼汰を見ると、がっくりと肩を落としていた。
「……蒼汰、次もあるよ」
苦笑いで声をかけると、
「そうだな、次もあるか」
元気を取り戻して笑って言った。
__可愛い__
ほかの人から考えてみたら男に男がこう思うのって変と思われるかもしれない。
けれど、僕は、、、
女だ。
制服も男子用、声もショタっぽい、体の身長は普通だけど、髪型はショートカットで、名前も男子に取れる、、、だから採寸の人が男と思っても仕方がない。
担任さえは分かってくれるだろうと思っていたが、なぜか男だと思っているらしい。多分、お母さんがまた、いたずらで担任に提出する性別のところだけを変えたのだろう。
だから僕を女と知っているのはこの学校では蒼汰と校長だけだ。
はあっと大きくため息をつきながら返ってきたテストを丁寧に折りたたみ、うつ伏せる。
私とか使えば、女の子に思われたかもしれないと思いながらも、いまさら一人称をなおすのも大変だし、男と思われてるのに今更女だったと知ったらクラスのみんなはどう思うだろうとかいろいろなことがまた吹き出してきて涙目になってしまうのを感じながら
- Re: 巡恋〜めぐる時の中で〜 ( No.3 )
- 日時: 2018/05/19 16:53
- 名前: 伊琉 ◆GB23wn84Is (ID: XpdUVwMT)
気がつくと、寝てしまっていた。
呼吸を規則正しくしながら僕は夢を見ていた。
それは、蒼汰と僕が仲良くつつましく暮らしている夢。その夢の中でこのままずっとここにいたいと思っていた。
僕が目を覚ましたのは、だいぶ時間が経った放課後の事だった。
「ゆーず」
ほっぺにつんつんと当たる手の感触とその優しい声音が聞こえてゆっくりと瞼を開けた。
「そうた」
姿がはっきりすると、僕は思わず微笑んだ。
「あのままぐっすり寝やがって、このやろ」
軽くデコピンをされると、僕はいたずらっぽく笑う。
「っ……てへ」
「てへじゃねえよ、ったく……ふ、帰ろうか」
わしゃわしゃと僕の頭をなでて席から立ち上がった。
「起こしてくれてもよかったんですよーだ」
うんっと言いながらでもと続けて口を尖らせて言う。
「気持ちよくよだれたらしながら寝てるやつを起こすものか」
ばーかと苦笑いしながら扉を開けて学校への出口へと向かっていく。
「ふーん」
別に僕はそんなのどうってことないのにと思いながらぶらんぶらんかばんを上下に振りながら歩く。
ただ僕の寝顔が見たかったとかそういう少女漫画にあるようなきゅんとするようなことがあったらいいのになとふと一瞬考えてしまったが、僕と蒼汰じゃあ無理かと考え直してその考えはすぐに捨てていく。
__ 期待は禁物、、、だよね ___
- Re: この1本の花に祝福を〜リナリア〜 ( No.4 )
- 日時: 2018/05/30 21:26
- 名前: 伊琉 ◆NCG4FZ2FI. (ID: FCVTIPcN)
蒼汰の家はいわゆるお金持ちの家庭で、両親二人とも教師で共働きである。
そんな蒼汰の家の真向かいに立っているのが僕の家。僕らは同じ道を通って同じタイミングで家の中に入る。
慣れてしまっているけれど、好きな人が近くにいない人からしたらぎりぎりまで一緒にいられるってとても幸せなのかなとふと思いながら別れを告げて自分の部屋にもどった。
「勇気がもっとあればいいのにな」
ぽふっと顔を枕にうずめながらつぶやいた__
少女漫画みたいに、
恋愛ドラマみたいに。
男の子から女の子に、
好きな人から恋している人へ
伝わらないのかな、どうしてうまくいかないんだろう。
――どうして近くにいるのに届かないのだろう
どうして気付いてくれないのだろう。
胸が苦しい。
僕が蒼汰に初めて出会ったのは五歳の時、この町に引っ越してきたとき。
蒼汰は誰よりもキラキラして、だれよりもしっかりしていて、だれよりも頼れて僕は蒼汰と遊ぶうちにいつの間にか気が付かないうちに恋をしていた。
こんな気持ちになるなら好きになんて、好きになっていることに気付かなきゃよかった。
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