コメディ・ライト小説(新)

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不良君は餌付けしたい
日時: 2020/05/22 02:33
名前: Thim

 辛くて、苦しくて。どうしようもなくて。でもそんなとき君が助けてくれた。
 いつの間にこんなに君を大切に思っていたんだろうね。だって、初めて会った時はこんなふうになるなんて思っていなかった。
 ―――二人出会えたのは偶然でも運命でもなくて、必然なんだって信じたいんだ。

「んんっ。これも美味しい~っ」
「ん……」

 そうやって、一等幸せそうに笑う顔が見たくって
 今日も不良君は餌付けをする。



◇◆◇◆



 おはこんばんは。Thim(ティム)です
 行き当たりばったりで始まった、まったく料理をしない作者によるお料理サイト便りの、作者が楽しければ良しという友情恋愛(時々)グルメ小説がぁ………………

 はっじまっるよー!(白目)


 すみませんでした。という事で初めての小説投稿……緊張します(^ω^)ドキドキ
 どうか、初めてのおつかいではりきっている子供を見るような優しい目で見守っていただけると嬉しいです!

 ※更新は不定期かつ、いつ挫折しやめるか分かりません
 ※よく編集します。気になる所は徹底的に治したくなっちゃう主義なんです。この話好きです!って言われたところは残します……。




〈目次〉
◇第一章 はじまりのオムライス◇
>>1>>4-15

Page:1 2 3



Re: 不良君は餌付けしたい ( No.11 )
日時: 2020/05/22 23:59
名前: Thim

どれくらい筆が進んでいるかとかの報告とかもしたいので、雑談の方にスレッドを立てようかなと思っています。
また立てられたらご報告します。

追伸、つくりました→ご飯はおかずだよ【報告&雑談】

◇◆◇◆◇◆


 鬼山くんが料理を開始して物の数分で、私の中での彼の印象が変わった。
 料理が出来ないんじゃないか? とんでもない!

「す、すごい……!」

 無意識に言葉が口から飛び出た私を見て、郁美さんは少し可笑しそうに、でも自慢げに笑っていた。
 鬼山くんは素早く、そして無駄が一切ない手さばきでどんどん料理を進めていった。わかんないけど、プロの人にも負けないくらいだと思う。あっ、卵を片手で二個同時に割た! すごい! 卵をかき混ぜる手が残像に見えるくらいに速い! すごい!!
 まるで魔法でも見ているかのように、彼の手に夢中になった。すごい、すごいなぁ。私じゃあ絶対にこんなふうに作れない。
 ジュージューと卵が焼ける音と、バターの良い香りが辺りを立ち込める。いいにおい……。

「樹ちゃん、もうそろそろできるわよ」

 そういう郁恵さんの手にはいつのまにかおしぼりがあった。一つ私の手元に置いて、郁恵さんは鬼山君の方へと向かっていく。
 鬼山くんは二つほどある炊飯器の内一つから、赤いご飯を取り出しお皿に盛り付けていく。ぽむぽむと、山のように盛り付ける鬼山くんに、郁恵さんが「多すぎじゃない?」と苦笑いして、それに鬼山くんが「うっせーよ……」と言う。。
 ……あれ?

「(鬼山くん、なんだかうれしそう……?)」

 彼の表情の変化なんて、私にはわからないけど。
 でも何となく、さっきより表情が柔らかくなって……効果音を付けるとしたら“ゴゴゴゴッ”って感じの怖い雰囲気じゃなくって、優しくって、暖かい感じの雰囲気になっている気がする。
 その時、ふとこちらを向いた鬼山くんと目が合った。

「(ひょぇっ)」

 彼は私と目が合った瞬間にその瞳をギュンッと鋭くなって、私を睨みつけた。
 その修羅のような姿に恐怖のあまり一瞬息が止まるも、鬼山くんはすぐに視線を逸らしたおかげで、ほっと一息つき、胸を撫で下ろす。
 やっぱり、気のせいだよなぁ。

Re: 不良君は餌付けしたい ( No.12 )
日時: 2020/05/23 00:04
名前: Thim


 でも目が合った瞬間に睨まれるという事は、もしかして私、鬼山くんに嫌われているのでは?
 そんな事を一瞬考えるも、そんな思考は目の前の光景にすぐに吹っ飛ばされていった。

「(あ、あれってもしかして!)」

 鬼山くんがフライパンを持ち、赤いお米の山の上に、卵を置いた。
 鬼山君がそーっとナイフの切り込みを入れると、トロォとした卵がご飯を包み込む。見覚えのあるフォルム。やっぱり!

「オムライスだ!」

 興奮のままに思わず叫んでしまって、二人の視線がこちらに来る。慌てて口を閉じるけど、恥ずかしくて赤くなった肌は誤魔化すことが出来ない。
 なんで、何で叫んじゃったの私ー! でもでもだって、とっても久しぶりにみたんだもん、オムライスなんて……!
 心の中で誰に言うでもなく言い訳を重ねる。あぁ、くすくす笑う郁恵さんの声が痛い。恥ずかしくって鬼山くんの事なんて見れないよ!

「ふふ。はい、オムライスですよ。そのスープとサラダ……というか、そのブロッコリーはおまけ。こないだいっぱい貰ったのよ」

 笑う郁恵さんが運んできてくれたお膳には、卵のオムライスだけじゃなくって、具沢山のスープとかサラダ―――山盛りのブロッコリーにドレッシングかけたもの―――まで付いていた。本当に美味しそう……って、そうじゃなくってっ。
 そうだ、そうじゃない。私は言わなきゃいけないことがある。

「あ、あの!」
「? なあに?」

 お膳にスプーンを置く郁恵さんに思い切って声をかける。首を傾げる彼女に、奥でこの料理を作ってくれた鬼山くんに、罪悪感を感じながら、告げる。

「ごめんなさい。私、食べられません……」

 スカートをぎゅっと握りしめる。しわになろうが関係ない。申し訳なくって、二人を見ていられなくなって下を向いた。

Re: 不良君は餌付けしたい ( No.13 )
日時: 2020/05/24 21:17
名前: Thim

 暫く店内が無音に包まれた。

「金の事なら心配ねえ。俺が払う」

 いつの間にかエプロンを脱いでいた鬼山くんが私の席から数歩離れた所に立っていた。
 眉間にしわを寄せ、変わらず私を睨んでいる彼だったけど、この時はなぜか恐怖は感じなかった。あぁ、この感じ、学校でもあった気がするなぁ。

「もともと俺が無理やり連れてきたんだ。責任は取る」
「! そ、そんな、そんなことしなくていいよ! ほ、ほら、私もう見てるだけでお腹いっぱいに……」

 ―――グゥルルルルルル……

 本日二度目の、時が止まる。
 彼の提案を断るためについた嘘も、極限の状態に加えかおるバターやスープのいいにおいに触発されたお腹は、体は、あまりにも正直すぎて木っ端みじんだ。恥ずかしいを通り越して情けない。
 そんな自分に幻滅して遠くを見るような目をしているだろう私の元へ、鬼山くんは近寄ってくる。手には……ケチャップ?
 彼はそのケチャップを巧みに操り、オムライスの上に何かを描き始めた! そうして描きあがった絵を見て私は……

「わぁ」

 なにこれ。
 馬…いや、にしては……じゃあカバ?

「猫。お前の鞄についてたやつ」
「(あ、猫なんだ。カバとか言わなくってよかった)」

 私のカバンについているキーホルダーには似ても似つかない……いや、でもこのぶちゃって感じの顔つきは似てる……かも。

「これは、お前の為に作った」

 鬼山くんの言葉に、視線を鬼山くんへと向ける。

「だから、残しても良いから、一口でもいいから食え。お前が食わねぇんだったら、これは捨てる」
「なっ! なんでそんな! 勿体ないよっ」
「じゃあ食え。捨てられんのが嫌だったら食え」
「……っ」

 彼の言葉に、一瞬揺れる。捨てられちゃうくらいなら。ほ、本当に食べていいの? いや、でも……。
 オムライスを目の前に、ぐらぐらと揺れること数十秒。その時、静かな低い声が思考に割り込んできた。

「やっぱ……」

 オムライスに奪われていた視線を上げ、彼を見て驚いた。
 眉間にしわを寄せているのは変わらない。でも、目を伏せて、ぐっと唇をかみしめている姿は怒っているというよりもむしろ、泣くのを我慢しているような悲痛さを感じさせた。
 ―――どうして、そんなに悲しそうな顔をしているの。

「俺みたいなのが作ったやつ食うのは、嫌か」
「そうじゃない!」

 彼が全て言ってしまうか、しまわないかの時にかぶせるように否定した。そんなことはない。彼が作ったから食べたくないなんて、そんな事を考えていたわけではない!
 どうしてそんな勘違いを、いやそれよりもその誤解を解かなくちゃ。私をきょとんとした様子の鬼山くんとなんでか微笑ましそうにこちらを見る郁恵さんを横目に、必死になって言葉を紡ぐ。

「そ、そうじゃなくって、やっぱりおごってもらうとか悪いし。こんなに沢山作って貰ったのに……それに、あのっ」
「気にしなくていい」
「そうよ。それにどうしても悪いって思うなら、また後日払いに来るといいわ」

 郁恵さんが微笑みながら鬼山くんの援護をする。鬼山くんはさっきとは打って変わって、なんだか晴れやかな、うきうきしているような表情をしながら私にスプーンを進めてくる。私が日ごろ使っているスプーンよりも一回り二回りほど大きなスプーンだ。

「いやじゃないなら、食ってくれ」

 そんな、そんなこと、そんな顔で言われちゃったら……。
 少し震える手で、鬼山くんからスプーンを受け取る。スプーンを両手ではさみ

「い、いただきます」

 そう言って少しだけオムライスをすくい、二人の視線を感じながらそれを口に含んだ。

Re: 不良君は餌付けしたい ( No.14 )
日時: 2020/05/23 00:43
名前: Thim


 大きなスプーンを咥えたま、私は衝動のまま叫ぶ。

「~~~~~っ!」

 ―――美味しい。
 もう、それしか考えられなかった。
 口に食べ物を含んでいたから、叫ぶと言ってもふがふがしか言えなかったけど、この私の様子を見ただけで二人は何となく察しがついたらしい。さっきまで心配そうに見ていたのに、一気に上機嫌になった。

 とろとろの卵と、少し硬めに炊かれたケチャップライスが絶妙で。所々にある小さく切られたチキンも良い触感のアクセントになっている。
 気づけばもう一口、もう一口と口に含んでいた。もっともっとと口が欲しがるものだから、頬がパンパンになるまで詰め込んでいく。
 暫くして、脇に置かれていた琥珀色のスープを見る。湯気が立っていて、明らかに熱いのがわかる。お椀を持つとやっぱり熱かったから数回ふーふーと息を吹きかけて、恐る恐る口に含む。あ、コンソメスープだ。ほぅ、と息をつく。ゆでて柔らかくなったトマトの酸っぱさ。シャキシャキとした触感が残るキャベツ。ジャガイモはほろほろだし、ベーコンも良い。具沢山のスープは飲んでいると心が解きほぐされたような気がした。
 次に山盛りのブロッコリーサラダ。ブロッコリーオンリーじゃなくて、少しだけ上にスライスした玉ねぎが乗っている。食べてみるとブロッコリーと玉ねぎのシャキシャキとした触感。そしてこれは……和風ドレッシング? 時折鼻がツンッとする感覚は、おそらくわさびが入っているんだと思う。メインとスープが洋食だから、サラダだけが和風だと一見おかしく感じるかもしれないけど、全然そんな事は無くて、むしろ一度口がサッパリとすることで一層食欲を掻き立てられ……ハッ!

 オムライスにまた伸びていた手を止める。私……なにを。一口食べたら終わろうと思っていたのに、こんなに食べちゃった!
 慌てて持っていたスプーンを置く。もっともっとと欲しがる口と胃を理性で押さえつける。なんとなく二人を見る事も出来ず、暫く固まっていたけど、覚悟を決めてそろ~っと視線を上げてみる。目の前に座り、頬杖を突きながらこちらを見ていた鬼山くんの視線とばっちりあった。
 彼の表情は今までと変わらず、怒ったように目じりを吊り上げ、眉間にしわを寄せ、口をへの字に曲げていたけど、私を見る視線はどことなく優しさを含んでいるような、そんな気がした。

「おい、もうくわねぇのかよ」

 その声は、言葉の荒らさとは反対に、私を気遣っているような声色をしていた。
 恐らく、私がここで食べるのをやめても、彼は怒ったりしない。彼の事は何も知らないのに、その事だけは確信をもてた。
 ここで食べるのをやめたほうが良い。もうたくさん食べたし、十分でしょ。早く学校へ戻って、鞄を取って家に帰らないと。
 そう思うのに、なのに―――

「…………」

 私の指は、置いたスプーンへと延びていた。
 私が食べるのを再開すると、鬼山くんはとっても驚いていた。でもしばらくするとフッと笑う声が聞こえて、チラッと見てみて、今度は私の方が驚いた。だって鬼山くんってば少しだけ、ほんの少しだけだけど口角をあげて、頬もうっすら染めて、本当にうれしそうに微笑むんだもん。
 ずるいなぁ。そんな顔されたら食べるほかないじゃん。
 結局私はあの大きなオムライスも、ブロッコリーのサラダも、熱々のスープもコメの一粒、スープの一滴残すことなく平らげてしまった。

Re: 不良君は餌付けしたい ( No.15 )
日時: 2020/05/24 18:13
名前: Thim

 私が完食し終わると、鬼山くんは洗ってくるって言って食器を持って台所へ行ってしまった。
 私はぎゅうぎゅうだよーと満員を訴えるお腹をさする。こんなにお腹いっぱいになるまで食べたのは、久しぶりだなぁ。

「樹ちゃんって、思ってたよりいっぱい食べるのね」


 そこへ入れ替わるように郁恵さんがやってきて、さっきの言葉を言った。
 郁恵さんは目の前に座り、にこにこ微笑んでいる。

「樹ちゃんすっごく細いから、あの量食べられるか心配だったの。でも全然大丈夫だったわね」
「ご、ごめんなさい。遠慮せずにあんなに食べちゃって……」
「あぁ、いいのいいの! さっき龍勝も言っていたでしょう? あれは樹ちゃんの為にあの子が作ったものなんだから」

 そういう郁恵さんの表情はなんだか、嬉しそう。
 なんでこの二人はこんなにうれしそうなのか、私にはわからない。そもそも、なんでこんな事態になったの? いまさらになって疑問が浮かぶ。恐らく空腹が満たされて余裕が出たんだと思う。

「あ、あの……なんで鬼山くんは私なんかにご飯を食べさせてくれたんでしょう……」

 だって、こんな事をしたって意味がない。お金は絶対に払うつもりだけど、彼は私に自分が払うからと言ってまでご飯を食べさせてくれた。なんで初めて会った人にそんなことができるの? こんな事をしたってメリットも何もない。むしろ彼にとってはデメリットの方が大きいだろう。
 そう言うと、一瞬郁恵さんは考え、すこし自慢するように言った。

「あのね。ここのお店の名前、“apaiser la faim”って言うの」
「あぺぜ、らふぇん?」
「そう。フランスの言葉でね、飢餓を和らげるって意味なのよ」

 へぇ……と相槌を打つ。英語ではなかったし、あぱでもなかった。
 そんな意味を持っていたのか、と思いつつも郁恵さんがどうしてこれを教えてくれたのか、いまいち意図が分からなかった。

「この店名は龍勝が付けてくれたんだ。お腹をすかせた子にお腹いっぱい食べさせてあげたいんだって」
「!」

 思わず郁恵さんを見る。郁恵さんは私ではなく、別の所を見ていた。郁恵さんの視線の先には洗剤を泡々させて、食器を洗っている鬼山くんがいた。

「昔からそればっかりでね。私が店を作った時も、お金はいらないから、料理だけさせてくれって、しつこいくらい言うから料理だけ任せてるんだけどねぇ。人に食べさせるのが好きだから、ついつい大盛りで提供しちゃうの。困ったものよねぇ」

 郁恵さんが鬼山くんを見る目はとっても優しくって。怒っているように言っているけど、怒っていはいないのがすぐにわかる。
 彼女の鬼山君を見る視線には、母親のような、姉のような、そんな親しみのようなものが見えた。そしてさっきまでのお淑やかなお嬢様のような雰囲気ではなく、荒っぽい言葉遣いでも温かく何でも包んでしまう風呂敷のような雰囲気は、どことなく鬼山くんに似ていた。

「ほら、ああやって皿洗いしてるだけで楽しそうでしょ? アイツ、貴女がご飯食べている時、あれよりももっと楽しそうだったのよ」

 言われて鬼山くんをみて見ると、確かに鼻歌でも歌いだしそうなほど上機嫌なのがここからでもよく分かる。

「あそこまで上機嫌になることもめったにないけどねぇ。……きっと、貴女だったからよ」

 驚いて郁恵さんを見ると、悪戯な笑みを浮かべていた。「あんなに美味しそうに食べる人もめったにいないしねぇ」と言う言葉に、少しだけ恥ずかしくなるけど、すっと腑に落ちたような、そんな気がした。

「(そっか、そっか。鬼山くんって、そういう人なんだ)」

 私があの時、すっごいお腹の音を鳴らしちゃったから。それでほっとけなくなって……。そっか、そっか、そうなんだ。ご飯食べさせるのが好きって、なんだか少し可笑しくって、自然と口元に笑みが浮かぶ。
 あんまり怖い人じゃないのかなぁ。

「長い間引き留めちゃってごめんなさいね。あら、もう三時?」

 郁恵さんが扉の近くにある時計を見た。その時、私は偶然ソレをみた。みてしまった。
 ジリジリと焼ける炎のような、砂糖を沢山とかしたような、でもそれでいてこの世の一等大切なキラキラしたものを見るような、そんな視線。
 私に? そんな筈がない。だって彼が私にそんな視線を向ける筈がない。なら誰に?

「鞄、学校に置き忘れちゃったのよね? 大変。早く戻らないとねぇ。龍勝! 貴方一緒について行ってあげなさい! 貴方が無理やり連れてきたんでしょう?」
「あぁ?」

 彼女が振り返った瞬間、ソレは消えた。元からなかったように消えてしまったものだから、みてしまった私は余計に違和感が膨らんでいく。
 あ、あれ? あれれ?

「もとからそーいうつもりだったっつの……」
「あ、あの! 大丈夫です、私一人で帰れます!」

 鬼山くんの言葉をかぶせてしまったけど、驚いている二人に今だとドアのほうへと駆けだす。
 ドアノブに手を付けた瞬間、ハッと思い出して、慌てて振り返りいまだ呆けた顔をしている彼を見る。

「鬼山くん、今日は本当にありがとう! オムライス、とってもおいしかった!」

 失礼しましたー! そう言ってお店を勢いよく出ていく。

「(どうしようどうしようどうしよう!)」

 今までにないくらいの全速力で走っている。久しぶりにお腹いっぱいになって、普段よりも走れている気がした。
 でも暫くして、やっぱり久しぶりの運動に加え食後すぐの運動のせいでお腹と足が痛くなった私は立ち止まり、しゃがみこんだ。
 ぶわっと汗が吹き出し、顔が赤くなるのを感じる。運動しているからだけではない。全く別のものが原因だってことは明白だった。両手を熱い頬に持っていく。

「すっごいものみちゃったぁ……っ!」


第一章 はじまりのオムライス 完


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