コメディ・ライト小説(新)

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この世界のクロニクル
日時: 2018/08/14 18:17
名前: リム
参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=1118

    月光暦3698年 十二の月。
    寒い寒い冬のある日の出逢いから、世界は動き出す────


*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*

     はじめまして。リムと言うものです。以後、お見知りおきを。

*URLよりオリキャラ募集と設定集があるスレに行けます。

<注意書き>

☾ 基本的にスクールライフ中心ですが、たまにエグい表現が出てきます。ご注意ください。
☾ 荒らし、パクリなどはやめてください。
☾ 初投稿なので、至らぬ点が多いと思いますがよろしくお願いします。
☾ §=Section
☾ いつの間にか設定が増えていたり減っていたりする。
☾ 気ままなスクールファンタジー×シリアル作品です。
☾ アドバイス・感想等あればここに書き残して下さると嬉しいです。
☾ 唐突なる視点・場所転換&唐突に始まるイベントあり。
☾ 更新不定期・話の長さバラバラ・失踪可能性あり。

<☪︎Contents>

*キャラクター紹介>>001

*さいしょから>>001-

*Prolog『開幕』>>002

☾一章『学院生活の始まり』

§まとめ>>003-

☾SectionⅠ『記憶喪失』>>003
☾SectionⅡ『学院内散策』>>004
☾SectionⅢ『アリスドール』>>005
☾SectionIV『初魔法-初魔法!イオステエイル!イオステエイル!』>>006
☾SectionⅤ『落ちこぼれ同盟』>>007

<お客様>

<掲示板>

*2018 8.6 執筆開始
*8.10 キャラ紹介を改訂版へと変更

Page:1 2



Re: SectionⅠ ( No.3 )
日時: 2018/08/07 18:05
名前: リム ◆MU0v.caVZU


トリップを付けてみました。
それは置いといて、本編どうぞ。


☾ SectionⅠ『記憶喪失』






     ──舞台は変わって、「この世界」ここでは魔法界、と呼ばれる場所へと移る。
     現在の魔法界の季節は冬。純白の雪が大地、植物、建物を彩っていた。

     ここはユースティア地方、フィアネル大陸内最大の国トランテル共和国の王都ジョーカーズの郊外にある『ビアンカ魔法学院』。


    今の時間帯は授業中だが───この少年、チャイ=ラインスタイはそんなことを気にもとめずに呑気に散歩をしていた。

「はぁー! やっぱり朝の散歩はいいねぇ! 授業は中等部の最初までは受けてたけど、テストとかめんどくさいしこっちの方がオイラにはあってるや」


    オイラは俗に言う『落ちこぼれ』で、初等部で中級魔道生フォールミストのテストに不合格であったその日から色々やってみたはいいものの、全く成果が出なかったし授業めんどっちいから中等部のこの時期から授業をサボることを始めたんだよなぁ。
    そのせいでオイラは下級魔道生フォールメントから昇格出来ずにいるんだけど、まぁどうせ来年にはなんとかなるだろ。


「ふわぁぁぁ……それにしても冬は嫌な季節だなぁ。寒いし。かと言って学生寮や本校舎に戻るわけにも行かないんだよなぁ、警備員いるし」


     ビアンカ魔法学院は全寮制・長期休暇以外の許可無しで校外に出ることは禁止されている。その為警備員は本職である警備の他に『不審な動きを見せる生徒を取り締まる』という仕事も受け持っている。
    特にオイラは脱走する気はないけど、サボっているところを警備員に捕まってしまえば非常に厄介だ。それだけは避けたいもんだ。


「どこか外で風に当たらないところを探すか……」


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


    場所は変わって、グラウンド付近。この近くには『魔結界の森』という場所があり、中上級魔道生ヴィリランス以上ではないと立ち入れないが、入口付近までなら誰でも立ち入っていいことになっている。

     入口付近にも草木は生い茂っているため、寒さを防ぐことは可能だ。




「はぁ……。校舎の中を通らずにここまで来るのは大変だったぜ。どんだけ広いんだよ、この学院は」

    ビアンカ魔法学院は王都に建ってはいるものの、郊外に位置するため敷地は広大である。
    ───まぁ、オイラにとっては警備員のわんさかいる本校舎を通るよりも、大回りをしてここに来る方がマシなんだけどさ。


「この辺なら隠れて寒さを防ぐことが出来そうだな────って、誰かいるのか? でも警備員っぽい格好もしてないし先客? ちょっと話しかけてみるか」


     どうやらオイラの他に先客がいたようだ。茂みから覗く靴はショートブーツ────警備員は全身ガッチガチの鉄装備な為、別人であることは確かだろう。


「って、あれ、寝てるのか? こんな場所で寝るとか阿保かよ……。おい、起きろ、起きろって。あまり大きな声を出したら何事かと警備員が寄ってくるからな……揺さぶってみるか。」

    オイラが見つけた金髪の男の子はどうやらこの寒い中眠っているらしい。このままほっとけば彼は間違いなく凍死だろうなぁ。仕方ない、たたき起こすか。

「うっへぇっ、つ、冷たっ! こ、こいつ生きてるのか……? と、取り敢えず医療室に運ばないと!」

    取り敢えずオイラはこの生死をさまよってるいるであろうこの金髪少年を担ぎあげ、医療室へと急いだ。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


   ガタンっ! と大きな音を立てて医務室の扉を開ける。今は緊急事態だ。静かにとか言ってられない。


「先生! ラクリナ先生! 大変なんです!」


「ど、どうしたのデスか、チャイ君!? ……その子は? ちょっと見せなさい」


「は、はい。……えっと、こいつはなんか魔結界の森の入口付近に倒れてて……声掛けても揺さぶっても起きないし、体がかなり冷たいし……。先生、助けてあげてください!」


「分かったわ。あと、院長先生を呼んできて。それと────あなたがサボっていたことは黙っておくわ」


「あ、ありがとうございます!」


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈







「……………………ん、ふぁぁ……」


     なんだか長い間眠っていた気がする。というか、ここは何処だろう……?
    そう思っていると、薄紫色の髪をした人が話しかけてきた。


「あら、起きましたか。調子はどうデスか?」


「調子…………多分、普通……だと思います……」


「そうデスか……。まぁ、運ばれてきた時よりははるかに顔色がいいデスね。あなたは二日間も眠っていたんデスよ」


「二日も…………」

     僕は丸二日も眠っていたのか……。確かに沢山寝ていたとは思うけど、そこまで寝ていたとは。


    僕が考え事をしていると、奥の引き戸が開く音がした。


「ラクリナ先生、その子は起きましたか?」


「あ、院長先生。丁度この子も目覚めたところデスよ」


「そうかい。……やぁ金髪君。はじめまして。私はドラウド=ドーミル。ここ、ビアンカ魔法学院の院長を務めているんだ。で、金髪君、君の名前は?」


「僕の……名前? うーん……」

    名前。聞かれたら普通はすぐに誰でも答えられるはずだが───何故か思い出せない。というか、何故倒れていたのか、そもそも自分が誰なのかさえ思い出せない……。


「名前……名前…………分からないです……。すいません……」


「ふむ……記憶が無いのか……それなら、名前の一文字目とか、なにか自分の名前に思い当たることは無いかい?」


「一文字目……ですか……」

    一文字目……かぁ。うーん……一文字目……一文字目……。


☽ ⋆゜


「ねぇ、リ……! リ……! そんな所で寝ていたら風邪引いちゃいますよ!」

☽ ⋆゜

    今のは……? もしかして、僕の記憶……? リ……かぁ、きっと最初の僕の名前の最初の一文字目は「リ」なんだろうな……。


「えっと……「リ」です。多分、きっと……」


「そうか。「リ」だね。後で私の秘書に調べてもらおう。だが名前が無いのはアレだし、君の記憶にあった「リ」が先頭文字に来る「リーベ」と言うのを仮名にしたらどうだろうか? 別地方の言葉で、向こうでは「愛」という意味があるんだよ」


    リーベ、か……。まぁまだ名前は思い出せてないし、折角付けてもらったんだ。これでいいや。


「あ、大丈夫です……」


「なら良かった。それと────君は今、身寄りの思い出せない、またはない状態だろう?」


「はい……そうですが……」


「もし、君が良ければ────「転校生」として君をこの学院へ向かい入れようと思うのだが。どうかな?」


    確かに僕には身寄りの心当たりは無い。ここは有難く院長先生の提案を受け入れておこう。


「いいんですか? なら、そうしてもらえると嬉しいです…………」


「ふふっ、なら良かった。じゃあ君の入学手続きと学生寮の部屋の用意をしておくよ。それと────君はまだ病み上がりだろう? もう二日三日は休んでいるといい」


「ありがとうございます……」


    こうして────成り行きで名前と学籍を貰い、僕の学院生活が始まったのであった。

*リーベ=Liebe
・ドイツ語で「愛」を意味する言葉。

Re: この世界のクロニクル ( No.4 )
日時: 2018/08/10 21:58
名前: リム ◆MU0v.caVZU

☾ SectionⅡ『学院内散策』









     ───それから二日間の間、僕はずっと医療室という所にいた。

    医療室は怪我や病気をした人を運んで治療をする所らしい。……怪我や病気って、どういうことを指すんだろう? よく分からないけど……良いことではないことは確かだ。


    院長先生に「あと二日か三日は休んでおきなさい」と言われた時は、特にすることも思いつかなくてどうしようかと考えていたところ、医療室の先生────ラクリナ先生が魔法に関する本を持ってきてくれた。だからこの三日間は特にすることがないということは無かったし、ラクリナ先生も話しかけてくれたので無言で一日が終わることも無かった。


     そして────今日も僕は魔法に関することやこの世界のことを知る為に本を読む。もしかしたらここに載っていることを見れば少しくらいは記憶に掠る情報が得られるのかもしれないのだから。

    暫く本を読んでいると、医療室の入口付近から扉の開く音が聞こえた。

    先生と誰かの声が聞こえる────あれは多分……ラクリナ先生の声と……院長先生の声かな?

   そう考えていると、二人が僕の方へとやって来た。ビンゴ。さっきの声は院長先生だ。


「やぁ、リーベ君。調子はどうかい?」

    今日もまた調子を聞かれる。取り敢えず調子については「良い」か「普通」と答えれば会話が滑稽に進むということをこの二日間で学んだ。「悪い」と答えた日にはラクリナ先生が顔色を変えて色々し出したから大変だった。特に何も無ければ「悪い」とは答えないようにしようと決意した日でもあった。


「えっと……良いです…………多分」


「多分、と言われちゃうと信憑性が落ちるけど、まぁいいや。ここには優秀な治療士が居るからね。それと、今日は君に渡すものがあって来たんだよ」

    院長先生はそう言うと僕に小さい薄っぺらい本みたいな何かと、先端が変な形になっている棒と、これまた薄っぺらい丸いものを渡した。


    ……この変な道具たちはなんなんだろう。ちっとも役に立たなそうだ。

「そっちの小さい本みたいなものは君の「生徒手帳」だよ。君がこのビアンカ魔法学院の生徒であるという証さ。くれぐれも無くさないように。そして、そっちの棒のようなものは「杖」だよ。魔道士や魔道生はその杖に魔力を込めることによって魔法を繰り出すことが出来るんだよ。詳しくは授業担当の先生に聞くといい。で、その丸い薄っぺらいものは「コンパクトミラー」だよ。魔法によってはそれを使用することもある。まぁ鏡を使う魔法を習うまでは身だしなみを整えるのにでも使ってくれたまえ」


「ありがとうございます……」


    生徒手帳は大事なものらしいから、この僕の着ていたコートみたいなものの裏ポケットにでも入れておこう。ついでにこの鏡も入れておくか。このへんな棒……杖は────邪魔だけど持ち歩くしかない。


「さて、君はもう体調もだいぶ良さそうだし、夕食まで校内を歩いて回るといい。そうすれば大体の教室の場所も分かるだろうし、友達も出来るかもしれないからね」


「はい……そうしておきます」


「疲れたら北の方の連絡通路から行ける「学生寮」に行きなさい。部屋はもう用意をしてあるからね。部屋の場所は近くの鉄装備をした警備員に聞くといい」


「……ありがとうございます」


    本も全部読み終えて特にすることも無いし、言われた通り学院内を回ってみることにしようかな……。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


   取り敢えずラクリナ先生から地図をもらい、医療室を出たものの────学院内は人も多いし、とにかく広いので全ての教室を回るのは骨が折れそうだ。まぁ、疲れたらとにかく北の方へ行けばベッドが待っていてくれていることは分かる。


    それにしても地図というのは読みにくい。でかいしすぐにしわくちゃになるし……。


    僕が大きな紙一枚に悪戦苦闘していると、誰かが僕に話しかけてきた。誰だと思い、振り向いてみると────そこにはポッチャりとした金髪に眼鏡をかけた少年が立っていた。


「やぁ、お前元気になったんだな。オイラがお前が倒れている所を見つけて医療室に運んでやったんだぜ」


「あ……えっと…………ありがとう」


「どういたしまして! ……ところでお前、名前は? オイラは下級魔道生フォールメントのチャイ=ラインスタイ! よろしくな!」


「……僕はリーベ。こちらこそ宜しくね、チャイ=ラインスタイ君」


「オイラの事は普通にチャイって呼んでいいよ、リーベ。ところで話変わるけどさ、お前まだここ来たばっかりで友達いないんだろ? オイラがなってやるよ! というか、自己紹介しあった時点で友達になったも同然だと思うけどな!」


「ともだち……? なんかよくわからないけど……なってくれたら嬉しいな」


「よっしゃ! じゃあ今日からオイラとリーベは友達な! ……おっと。今から大事な大事なラクリナ先生ファンクラブの会合があるんだった。じゃあな! リーベ!」


「あっ……じゃあね、チャイ君」


    ともだち……友達、かぁ…………なにかの契約みたいなものの名称かな? 本には載っていなかったけど……響きがいいし、まぁいいか。


   取り敢えず……僕の来週から使う教室でも行ってみようかな


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「みどるくらす……えーのさんぶんのいち……あっ、これかな?」


    僕はMiddle classroom A-1/3 と書かれた教室へとやって来た。1/3と言うのは、○○等部が何年目なのかを表しているらしい。そう院長先生が言っていた。今は1/3ということは、一年目なのだろうか。


    ガチャリ、と教室のドアを開ける。院長先生はこの時間帯はもう全ての授業が終わって、特に居残って居なければ誰も居ないと言っていた。まぁ、ちょっと見て回るだけだし、誰か大丈夫だろう……多分。でも出来れば誰もいて欲しくないな。何となく気まづいし。



「………………あ」




    ────高速フラグ回収、と言うのを本で読んだが、こういうことを言うのだろう。僕の真正面には三人のクラスメイトとなる人達が。しかも案の定こちらを見ている、というか目が合っている───どうしよう……逃げるか。うん。取り敢えず逃げておこう。


    僕は目にも止まらぬ速さでドアを閉め、走り出す。後ろから「……おい、ちょっと待てよ!」なんて言っているのが聞こえた気がするが、気のせいだろう。逃げるが勝ちだ、うん。

    取り敢えず僕は、地図を広げて次の行き先を考える。どこか隠れられそうな場所────としょしつ? 辺りにでも隠れよう。


    そして僕は追っ手から逃げる為────全力で走った。ここまで走る必要はきっとないのだろうけれど、一度走り出したら止まれない。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


    あれから追っ手に捕まることなく「としょしつ」と呼ばれる場所にやって来れた。ここには僕の好きな本が沢山ありそうだ……が、さっき全身全霊をかけて全力で走った為、もう体力が残っていない。好きな本を探す事など明日でも出来ることだ。

   僕は北の方にある学生寮へと行くことにした。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈







   ────どうしよう。非常にまずい。さっき僕が全力で逃げた三人組が警備員がいる近くのプレイルームのようなところでくつろいでいる。他人のフリをすれば何とかやり過ごせるだろうか?


    取り敢えず他人のフリをして、出来るだけ顔を見ないようにしよう。そう思いながら僕は三人組の前を通り過ぎ……



「あっ……………おい、そこのお前」


「………………げっ」


    …………れなかった。
    どうしようか。今度はこの三人組から逃げ切れそうになさそうだ。他人のフリを続けてみるか……。


「……キョロキョロして他人のフリするんじゃないよ。お前だお前。他に誰がこの辺歩いてるんだよ」

   ダメだ、この紫の髪をした背の高い人の威圧感に押されて目を見開いて見つめることしか出来ない。きっと僕は今ガタガタと震えているんだろう……冬の寒さではなく、恐怖心で。

    ────というか、この図を見たらいじめられっ子といじめっ子に見えるのではないだろうか……いや、そんなことを考えている暇があったらなにか答えないと、魔法とやらでネズミとかに変えられてしまいそうだ。


「ひぇっ…………な、なんでしょうカ?」

    あああああ!!! 第一声目からビビり声出してどうする! これに悪ノリされて本当にネズミとかにされたらどうしよう!!!


「………そんなにビビるなよ。これじゃあ僕が君をいじめているように見えるじゃないか。それに心配しなくてもネズミになんかに変えたりはしないさ」


「確かにその感じだとまるでマナがいじめっ子みたいに見えるね」


「マナは元々そういうヤツ」


「君たちなぁ……。人が何も言わないからって好き放題いいやがって……。んで、本題戻るけどお前、転校生だろ?」


「はい…………そうですけど……」


「やっぱりそうか。僕は上級魔道生ヴィーテッドのマナ=ヴァイオレット。さっきは驚かしてすまなかった。その気はなかったんだが……まぁ、これからは同じクラスメイトとして仲良くしてくれ」


「あ、ぼくは中上級魔道生ヴィリランスのクル=ピースレッド。マナの幼馴染なんだ。仲良くしてくれると嬉しいな」


「……わたしは中上級魔道生ヴィリランスのリヴル。リヴル=アイシクル。この変人マナと一般人のクルとは幼馴染。よろしく」


「誰が変人だ、バカ」


「だって変人じゃん。小さい時から勉強ばっかりしてさ。遊ぶのかと思ったら……」


「まぁまぁ二人とも、落ち着いて! この子も困ってるよ」


「あぁ、すまない。ほら、リヴルも謝って」


「……ごめん」


「いいよ、特に気にしてないから。逆に仲良さげに見えたよ。あ……僕の名前はリーベ。マナ君、クル君、リヴルさん、こちらこそ宜しくね」


「仲良さげってなぁ……! あ、今のは気にしないでくれ。あと、顔に疲れが出てるよ。まぁ殆ど僕らのせいなんだけどさ。今日は部屋に戻って休んだ方がいいと思うよ。さ、僕らも別のところ行こうか。じゃあね、リーベ」


「仲良くなんてない。それにマナは人に罪を擦り付けないで。じゃあね、リーベ」


「二人とも落ち着いてってばあ! それじゃあね、リーベ。夕食の時に会おうね」


「………………うん!」


   この後警備員さんに無事に自分の部屋に案内してもらったが────今日はあまりにも出会いが多すぎた。夕食まで残り三時間、少しくらい寝ても大丈夫だろう。それにしても、さっき心の声がバリバリ漏れていたのは恥ずかしかった。だが、それもベッドを見た途端に睡魔に変わってしまった。



   僕は部屋を見る暇もなく────ベッドへと飛び込み────すぐに眠りに落ちのだった。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
















    リーベがマナたちから逃げ回っていたその頃────院長室ではこんな会話が飛び交っていた。





「院長先生、例の子の件についてですが────魔法界中の「リ」のなのつく子のデータを調べたのですが、どれとも合致しませんでした。それどころか────────魔法界中の子どもの写真から合致するものを検索しましたが────出てきませんでした。こんなこと、捨て子でも隠し子でも孤児でもありえない事なのですが……」


「ほう……。なかなか興味深い話だねぇ。データ上に存在しない記憶喪失の少年…………。これからどうしていくのか────とても気になるものだ」


「そうですね……暫く様子を見てみましょうか……」


    勿論その当の本人であるリーベは、そのことを知るよしもないのであった……。

Re: この世界のクロニクル ( No.5 )
日時: 2018/08/10 17:36
名前: リム


☾ SectionⅢ『アリスドール』








「…………起きて…………起きて!………………起きろって言ってるだろ!!」


「いっだぁ!! な、なんだよ……」

     せっかく気持ちよく眠っていたというのに。誰かに叩き起されたようだ────が、人影が見当たらない。透明になる薬でも飲んでいるのだろうか?



「やーっと起きたね。こっちだよ、こっち」


    僕が声をするほうを向くと────さっき院長先生から貰ったコンパクトミラーが喋っていた……え? 「喋っていた」? 鏡が喋っているように見えるなんてついに僕も末期か……


「鏡の中を見ろ、リーベ。僕は君に話しかけているんだぞ」


    鏡がそう言うので僕は鏡の中をまじまじと見つめた。鏡の中には────なんと、僕とは違った姿をした少年が写っていた、と言うよりは佇んでいた。と言った方が近いが。


「わぁ。鏡の中に人がいる……というかなんで僕の名前を知ってるの? そもそも君は誰?」


    そう鏡の中の少年に問いかける。少年の方は「待ってました」とばかりに口を開く


「僕の名前はアリスドール。色々な人に鏡の中から助言をする助言者。────まぁこの他にも仕事をしているんだけどね。そのお陰で誰か一人が見たものや聞いたものは僕の知識の中に含まれてしまうから実質なんでも知ってるんだけどさ。だから助言者も務まるんだけど」


    この鏡の中にいる少年────もといアリスドールはほぼなんでも知っているらしい。僕の正体も知っているのだろうか?


「じゃあさ、アリスドール。僕の記憶がなくなる前のことも知っているの?」


「それはどうだろうね。僕はただ助言をするのみ……それに知ってるとか知ってないとか最初に言ったらつまらないじゃないか」


「えええ……。じゃあ何で鏡の中にいるの?」


「それは暇だからさ。まぁ普通にで入り自由だけど、僕が簡単に鏡から出てきてあれこれしてもつまらないじゃん? だから鏡の中で観察とか観戦してるってわけ」


「ふぅん。じゃあ何で僕を叩き起したのさ……明日の朝でもいいじゃないか……」


「それはあとじゅっ……おおっと、こう話しているうちにあと五分で夕食の時間だからさ。早く行かないと食堂の調理師さんに怖い目で見られるぞ」


「えっ……それ、最初に言ってよ! わぁぁ、食堂は何処だ何処だ……!」


    僕は慌てて地図を広げ、食堂を探す。そんな僕を横目に、アリスドールは話し続ける。


「そんなに慌てなくても大丈夫さ。僕がナビゲートしてあげるからね。あとそのコンパクト開いてくれたらいつでもとは言わないけど話は聞いてあげるよ」


「ありがとう……。じゃあ早速食堂までの道を教えてくれる?」


「おっけー。じゃあ学生寮を出て右に曲がって……」





┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



    ここは食堂。初等部の魔道生から先生達までがみんな集まって食事をする場所。なにかきちんとした理由が無ければ先生だろうと遅れて来て調理師の人達の怒りを買えば、食事をする権利すらなくなるというなかなかに厄介なルールが存在する。ただし雇い主である院長には無効。まぁ一応購買部にも食べ物は売っているので飢え死にする心配は無いが。






「とーちゃーく!」


    鏡の中にいるアリスドールは元気満タン。走ってきた僕は元気どころかローテーション気味になっていた。


     僕が食堂入口でへばっていると、チャイが僕に話しかけてきた。


「よぉ、リーベ。ギリギリセーフだったな! あと少しでメシ抜きの刑に処されるところだったぜ。ここの調理師たち、妙に時間に厳しいんだよなぁ……」


「……へぇ、そうなんだ………」


「ところでお前誰とも食べる約束してないだろ? オイラと食べない? ここのこととかも教えたいしさ」


「いいの? じゃあお願いしたいな」


「よっしゃ! んじゃあメシ取りに行こうぜ。今日はハンバーグだ!」


「あ……チャイ君、待ってよ……」


    はんばーぐ、というものはなんなのかよく分からないが、取り敢えずご飯抜きにならなくてよかったと思った。それにしても、チャイ君ってあんなに速く走れるのか……。




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「うっめぇ! やっぱりハンバーグは最高だ!……んで、お前明後日から授業参加するんだろ? 明日は休校日で自由に行動出来るんだけど、リーベは何するのか?」


「うーん……まだ全部の教室見れてないから明日も探索かな……」


「そっかー。まぁこの学院は広いし、頑張れよ。俺は明日もラクリナ先生の……ブツブツ」


    チャイ君はどうやら自分の世界に入ってしまったようだ。それにしても、この「はんばーぐ」とやらは意外といける。僕はここに来る前もこういうものを食べていたのだろうか…………いや、考え事してたらご飯も冷めちゃうし、やめておこう。


    僕達は取り留めもない会話をしながら食事を終えた。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



「ねぇ、アリスドール」


「なぁに、リーベ」


「時間割とやらに「おふろ」って書かれてるけど、どこにあるの?」


「あぁ、それなら────」


    アリスドールが口を開いた途端、誰かがコンコン、と僕の部屋のドアをノックする音が聞こえた。


「あ、ごめん、アリスドール。ちょっと待ってて」


   誰が来たのだろう、とドアを開けて見ると、マナ君とクル君が立っていた。


「よぉ、リーベ。君のことだから大浴場の場所とか分からなそうだから今から一緒に行って教えようと思うんだけど、どう?」

   どうやら大浴場、という場所まで案内してくれるらしい。ついて行けば彼らのことも少しは知ることが出来そうだし、ついて行ってみよう

「あ……いいの? じゃあちょっと準備してくる」


「じゃあクルと外で待ってるから」


 「ねぇ、アリスドール。マナ君たちが道を教えてくれる───「行ってらっしゃい」え……あ、うん」


「行ってらっしゃい、って言ってるんだよ。折角お友達に誘われたんだろ?」


「ま、まぁそうだけど……」


「僕に聞くより友達に聞いた方が交流もできていいだろう? ……ほら、外で待ってくれてるんだから早く支度する」


「あ……う、うん。でも荷物って言っても……」


「浴場で使える手持ちかごはそこ。下着とパジャマはあの院長が用意してくれてたみたいだね。そこに入ってるよ。ほらテキパキ準備する!」


「うん……それと」


「ん、なんだい?」


「ありがとう、アリスドール。僕に色々なことを教えてくれて」


「……それが一つの仕事だからね。準備出来たんだろ? ほら行った行った」


「……じゃあ、行ってきます」


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈






     ────ガチャり、と扉の閉まる音がした。これで彼がしばらく帰ってくることも無いだろう。


「……リーベ、ねぇ。なかなかいい名前を貰ったようだね。あの子も────ここで何も知らないまま生活をしていたら、少しはあの元の彼よりも……。彼は結構観察のしがいがありそうだ…………さて。僕はそろそろもうひとつの仕事に戻るとしますかな」


    彼が行ったあと、鏡の中の少年はポツリ、とそう嘆くのであった。


Re: SectionIV ( No.6 )
日時: 2018/08/12 00:11
名前: リム ◆MU0v.caVZU

☾ SectionIV『初魔法-初魔法!イオステエイル!イオステエイル!』









    ──授業が始まる前日。僕は学院内でまだ見ていないところを探るため、地図代わりのアリスドールを連れて本校舎へとやって来ていた。


「君が探索を諦めた図書室の隣にあるのは購買部。色々買えるところだよ」


「へぇー……」


    ものを調達出来る場所があるのは有難い。この先ここを覚えておけば色々と役立つことだろう。


「それでここは中庭。四方向どこからでも入れるよ。ちょっと入ってみよっか」


「……うん」


    扉を開けてみると、中にあるとは思えないほどの広大な中庭が存在していた。中庭、と言うよりかは公園に近い気がする。


「………………広い」


「そうだねー。ところで色々なところ回って疲れただろう? ここのベンチで少し休むといいさ」


「うん。そうする」


    アリスドールに言われた通りに近くに噴水のあるベンチに座った。……それにしても、この杖とやらはいつでも持ち歩いていなきゃいけないらしいが、邪魔で邪魔で仕方がない。おまけに持っていると腕が疲れる。


    僕が中庭を見渡していると、金髪の女の子と茶髪の女の子に話しかけられた。


「あら? あなた新入り?」


「噂の転校生君じゃないかしら?」


「えっ……あ、うん。そうだけど……」


「じゃあ私たちと同じクラスね! 私はアリシア=ヒーリング。明日からよろしくね」


「私はレイチェル。みんなにはレイと呼ばれているわ。まぁ、よろしく」


「僕はリーベ……よろしくね、アリシアさん、レイさん」


「リーベ、と言ったわね。──あの落ちこぼれみたいにならないように精々頑張る事ね」


「もう、レイはまたそんなこと言って。大丈夫よ、普通に授業を受けてさえいれば落ちこぼれになることは無いわ」


「落ちこぼれがこれ以上増えたら困るわ。さ、アリシア。そろそろ行きましょう。じゃあね、リーベ」


「あ、レイ! 待ってよー……じゃあね、リーベ君」


「あ、バイバイ……」


    行ってしまった。二人の言う落ちこぼれとは誰のことなのだろうか……? 今は校舎の位置関係を覚えることが優先だ。落ちこぼれさんは多分きっと後々分かるのだろう。



「ちょっと歩き回って見ようかな……」


    それにしても綺麗な中庭だなぁ……。休憩時間に来るのもいいかもしれない。そう思っていると、中庭の中心が騒がしくなっていることに気が付いた。何をやっているのだろうか? ちょっと覗いてみるか。


「おい! テメェ初等部の癖に俺らにぶつかって謝らないとか何様だよォ!」


「そーだぞ! 俺様達高等部様に歯向かうとか一億万年はえぇんだよ!」


「ボンクラの癖に威張ってんじゃねーよ!」


「ふぇ、すいません! すいません!」


    どうやら上級生が弱いものいじめをしているらしい。ここは止めておいたほうが良さそうだ。


「あ、あの……弱いものいじめはよくないと思うんだよね……」


「あ゙ぁ? てめぇ歯向かうのか?」


「リーダー、どうしちゃいまひょ?」


「まぁ、俺様達に歯向かう勇気を認めててめぇから排除してやるよ!」


「え……えええ!!!」

   注意しただけなのに逆に相手に火に油を注ぐことをしてしまったようだ。どうしよう……相手は殺る気満々だし……。かと言って僕に対応策は無い。相手は作戦会議をしているようだし……。


「リーベ! リーベ!」

    僕が対応策を考えていると、アリスドールが話しかけてきた。なんなんだ。今は学院案内は必要ないぞ。


「なんだい、人が救いの手を差し伸べようとしているのにその嫌そうな顔は!」


「え……そうなの? てっきり学院内の説明かと…………」


「アホか。こんな時に役立たない助言をしてどうする。まぁいい、リーベ。今から僕の言った通りにするんだ」


「……わかった」


「いいかい、その君が今まで散々役立たずと言ってきたその杖を上に上げて────下げると同時に、呪文を唱えるんだ。そうだな……今回は「イオステエイル」と言ってみな。面白いことが起きるからさ!」


「……う、うん」


    面白いこととは何なのだろう。まぁ、アリスの言う通りにすれば何かしら起こるのだろう。僕は杖を上まで上げ、下ろすとともにさっき教えて貰った呪文────イオステエイルを唱える。


「い、イオステエイル!!!」


   ────その刹那、目の前でニヤニヤしていた高等部の人達は爆風に包まれる。そして、煙が晴れると──黒焦げになった三人組がいた。


「ゲホッゴホッ……き、今日のところは許してやるー!」


「ひぃ、り、リーダー! 待ってくれぇ!!!」


「お、覚えておけよ!!!」


    そう言うと三人組は逃げ帰っていった。


「────おやおや、転入生君はどうやら素晴らしい素質を持っているようだね」


「院長先生……それはどういうことでしょうか? それと、いつからそこにいたんですか」


「私は院長だからね。何時だってこの学校のことを見守っているのだよ。それと、素質の話に戻るが────君が今は放った「イオステエイル」は全体の爆撃魔法さ。爆破系は無属性に分類される。無属性魔道士及び魔道生はこの魔法界にはほんのひと握りも居ないくらいの数だからね」


「そうなんですか……」


「まぁ、初魔法だしまだ実感は湧かないだろうが────いつかその自覚も芽生えることだろう。それと、これは忠告だが、あまり無属性の魔法は乱用しないように。分かったね」


「は、はい……」


「それじゃあね、リーベ君」


   そう言うと院長先生は中庭から出ていった。すると、そのタイミングを見計らっていたかのように初等部の子らしい少年が話しかけてきた。


「あの、さっきはありがとうございます」


「あ、いいよ。僕はそんな大したことはしていないからね」


「そんなことないですよ……あ、もうすぐ講座が始まる……本当にありがとうございました! それでは!」


   そう言うと少年は走り去っていった。────一件が終わってようやく気がついたが、周りでどうやら僕はかなり注目を浴びたらしい。僕は一件を見ていた生徒達に囲まれてしまった。僕はアリスドールに助けを求めたが「頑張れよ」的な視線を送られたあと姿を消してしまった。今日も疲れる一日になりそうだ……。




   彼が生徒達に囲まれている場所の少し奥で、こんな会話が交わされていた。


「────無属性魔法。魔法界でもほんのわずかしか扱うことが出来ない属性。あの転入生、意外とやるじゃない」


「はぁ……レイはもう少し人を見る目を変えられないのかしら。強そうな人を見つけたらすぐライバルに認定しちゃうし……」


「いいじゃない。強い人を超えたその時の快感が私は好きなのよ」


「はぁ……まぁ、それがレイらしいんだけど」


「ふふっ。分かってくれればいいのよ────リーベ、これから注目すべき人材ね……いつか私の前に立ちはだかった時の対策を考えておかないと」


    そんなことはつゆ知らず。リーベは生徒達に囲まれその日を過ごしたの
であった。

Re: この世界のクロニクル ( No.7 )
日時: 2018/08/14 18:16
名前: リム ◆MU0v.caVZU


☾ SectionⅤ『落ちこぼれ同盟』










    ────次の日。今日から僕は授業に参加することになっている。授業道具の準備をしていると、誰かがコンコン、と僕の部屋のドアをノックしたので扉を開けてみると、そこにはチャイ君が立っていた。


「……おはよう、チャイ君」


「おはよう! リーベ! やっぱり転入生は優秀だなぁ。何も言われなくてもきちんと起床してやがる。まぁ、オイラは授業なんて受ける気はこれっぽっちも無いからカンケーないんだけどさ!」


「……授業受けないの? じゃないと落ちこぼれになっちゃうよ?」


「もうオイラは落ちこぼれだからいいんだよ。オイラ以外皆もう中級魔道生フォールミストになっちまってるんだからな!」


「……僕も下級魔道生フォールメントなんだけどなぁ……一緒に頑張ろうよー。一人だけ下級魔道生フォールメントなの寂しいし」


「あ、そっかー……うぬぬぬぬぬぬ…………うん。いいだろう!リーベの友達一号として一緒に授業を受けよう! ただし」


「ただし?」


「オイラと一緒にランクアップしていくと約束してくれ! それが条件だ!」


「ランクアップ出来るかは努力次第だろうけど……いいよ。僕ら落ちこぼれの同盟だ」


「お前はまだ落ちこぼれと決まった訳じゃないだろ……まぁ、いいか。そんじゃあ授業受けに行くか」



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


     場所は変わって、中等部教室へと僕らはやって来た。初めてここに来た時は大いなる高速フラグ回収をしてしまい間取りもよく見ずに逃げ出してしまったが、よく見てみると意外と日当たりがいい感じだ。


「チャイ、今日の午前中は何をするの?」


「知らん! だって最近まで思いっきしサボってたしな!」

    チャイは僕の問いかけに対して笑いながら答えるが、サボってたというのは笑い事ではないような気が……。


「授業内容知りたかったらお前の後ろの期待の優等生君に聞けばいいんじゃね?」


「優等生君?」

     僕の後ろ、といえば確かマナ君だったか。期待の優等生なのかぁ。なんか凄そう……いや、凄いのか。


「なんだいチャイ。落ちこぼれの君が珍しく授業を受けにきている上授業内容まで聞いてくるとは。明日は快晴の空から自然発生の雹が降ってくるかもね」


「いや、授業内容聞いてきたのこいつだから。それと雲なきゃ雹は降らないだろ」


「なんだよ。ちょっとは改心したと思った僕がバカだったか。まぁ、落ちこぼれ君でも雹が雲がないと降らないことくらいは分かるんだね。それと、今日の授業は少しの説明の後にグラウンドに移ってほうきで空を飛ぶことをするらしいよ、リーベ」


「へぇ……ありがとう、マナ君」


「うるせぇこの地味好き野郎。黙っていれば人の悪口を言いまくりやがって!」


「黙れ永遠の落ちこぼれ。それに言ったことは大体あってるだろ?」


「ぐぬぬ……。今度この前ダンジョンで拾ったキラキラの杖を部屋に置いといてやる」


「そんなことしてみろ。焼豚にしてやるから」


「まぁまぁ……二人とも落ち着いて落ち着いて。じゃないとみんなまとめてイオステエイルで黒焦げにしちゃうよ」


「うっ……分かったよ、リーベ。無属性の防ぎようのほぼ無い爆撃魔法をこんなところで打たれたら一溜りもないよ」


「……お前、意外と攻撃的なんだな……。まぁ、黒焦げになるのも焼豚になるのもゴメンだ」


    そんな会話をしていると、授業開始のチャイムが教室に鳴り響く。そして、扉が開く音が聞こえ、その方向を見ると生活魔法の授業をする先生が入ってきた。何気にラクリナ先生と院長先生以外の先生を見るのは初めてだった。


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