コメディ・ライト小説(新)

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レキシブ!
日時: 2019/04/17 17:02
名前: N

ーあの日、誰も使っていない社会準備室を開けると、そこは、歴史部でした。ー
 これは、僕の、ちょっと愉快な普通の話・・・

第1話 ハロー歴史部

 勉強はそこそこ、どちらかというと理系。運動もそれなりにできる。そんな僕、大森ハヤテはどうしてもできない、苦手なものがあった。それは、歴史だ。
 南の里中学校1年、帰宅部。今は5月。中学校生活にもそこそこ馴れた。
 暗記が苦手だって訳じゃない。僕はそんなに勉強ができない訳でもない。でも、歴史が苦手だ。いったい何を言おうとしているかがわかんない。体が拒否反応を起こしている。
 あの日の放課後。僕は担任の先生に頼まれて社会準備室にある歴史年表を取りに行った。どうやら、明日の音楽の観賞の授業で使うらしい。今はほとんど立ち入る人もいない社会準備室。電気がついている。ガラガラガラ。
「ん?誰だ?」
そこには、女子4名、男子1名。皆、思い思いに本や教科書を広げた状態で、ポカンとこちらを見ている。社会準備室の扉を開けると、そこは、歴史部でした。

 「お、もしかして、もしかすると、入部希望者か!」
一番背の高い、女子が元気よく立ち上がった。
「いやぁ、歓迎するよ。君、1年生だね!・・・よし、早速歓迎会だ!」
そして、僕の手を握ると、ブンブンと強く振った。強い握手だった。
「ちょっ、待ってください!僕、先生に頼まれて、年表取りにきただけなんですけど・・・」
「さぁさぁ、遠慮しないで、ここに座って。みんな、自己紹介しよう。」
この人、僕の言葉を全然聞いてくれない。
「ようこそ歴史部へ!」
歴史部?だから入るつもりなんて無いって。おねがいだから話を聞いて・・・
「私は、歴史部部長、2年、中川カンナ。よろしく。」
強引に席に連れてった背の高い女子だ。
「私は2年、坂田ナノハ。ナノ先輩ってよんでね。」
今度は、少しフワフワとした、いかにも癒し系って感じの細い目をした女子。
「うちは高佐ちより、2年よ。よろしく。」
眼鏡をかけた小柄の女子。少しキツそうな性格っぽい。
「私は、白石みいな。1年。よろしくね。」
綺麗で真っ直ぐな髪を1本結いにした、可愛らしい女子。
「俺は、1年、真部イオリ。えっと、大森ハヤテ君だよね。」
「えっ?」
この中で唯一の男子が言う。背は僕と同じくらいかな。どうして僕の名前を知っているんだろう。
「ほら、わかんない?同じクラスの真部イオリだよ。」
あっ。思い出した。真部君だ。クラスじゃあまり目立たないからわかんなかった。
「よし、ハヤテ君だね。歓迎しよう!ようこそ歴史部・・・」
「待ってください!」
この上なく強引な中川先輩にそろそろ腹をたてた僕は、思い切り話を遮った。
「だから僕は、歴史部に入るつもりはないです。歴史なんて、勉強して何の得があるんですか。」
 「・・・」
沈黙。しまった、と思った。この言葉は確かに本音だ。ただ、真っ向否定してしまった。この人達は、好きで歴史部をやっているハズなのに・・・
「・・・あの、」
沈黙に耐えられなくなって、僕は声を出した。その時。

 「天正10年。」
中川先輩が、ポツリと呟く。と、その瞬間、目の前の情景が変わった。燃え盛る炎。僕は炎に囲まれている。場所は変わってないはずなのに。ここは、どこだ?
「敵は、本能寺にあり!」
高佐先輩が声を張り上げる。服装まで、立派な鎧姿に見える。少し離れた所で、真部君と白石さんが背中合わせになった。高佐先輩とたった2、3メートルしか離れてないのに、ずうっと離れて見えた。
「御館様!御無事で⁉」
「案ずるな欄丸。返り討ちにしてくれる!」
御館様?欄丸?白石さん、御館様って誰?真部君、欄丸って誰?
「くっ、是非に及ばず・・・」
真部君が、崩れるように座り込む。と同時に場面が変わった。水辺?いや、お城が、水没しそうになっている。
「信長様が、討たれた・・・だと⁉」
今度は坂田先輩?信長様?流石に信長は分かるけど・・・と、その時、中川先輩が坂田先輩に膝を着いて控えた。
「殿、これは好機ですぞ。」
「ば、馬鹿者!好機とはなんだ!殿が、殿が!」
「殿、御気持ちはわかります。草履とりであった殿を武将にまで取り立てた御館様の御恩も承知の内です。」
中川先輩は、スッと立ち上がると、手を前に突き出した。
「これを毛利に知られる前に、和睦し、京へ引き返し、光秀を討つのです!」
よくわかんない。よくわかんないけど、凄かった。特に、中川先輩は、言葉にならないほど、凄かった。と、情景が、社会準備室に戻った所ではっと我に帰った。
「くぅー!やっぱりカンナの勘兵衛は熱いわねぇ。」
「はい!ゾクゾクしますよね。」
中川先輩は大きく深呼吸をすると、元気よく、僕の肩を叩いた。
「どうだ、入る気になったか!?」
「えっと、凄かったです。全くわかんなかったけど、凄かったです。でも、ごめんなさい。僕には、歴史はわかりません。」
中川先輩は、ため息をつくと、ゆっくりと言った。
「歴史は、ドラマなんだよ。その人物が生きた証。いいこと、悪いことの情景も、全部ひっくるめて生きた証。歴史を学ぶことは、その人物が生きたことを讃えることなんだよ。」
そして、ビシッと僕に指差した。
「大森ハヤテ君!君を、新歴史部員に任命する!」
えぇぇぇ。こうして、僕は、(強引に)歴史部員にさせられてしまった。

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Re: レキシブ! ( No.2 )
日時: 2019/04/14 19:55
名前: N

社会準備室の扉を開けると、そこは・・・ってこれいつまでやるの?はい、『レキシブ!』スタート。

第3話 とにかく、マンガからだ!

 「全く、石器時代から平成まで完璧に言えんとは・・・」
「すみませんねぇ。こんなこと、一切してこなかったんで。」
はいはい、すみません。あぁ、カンナ先輩うるさいです。僕が歴史部に入部して(させられて)数日がたった。オシ人物を決めたはいいものの、今はまだ、時代の名前を覚えるので精一杯で・・・
「よし、もう1回始めから!」
「えっと、旧石器、新石器、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、」
「奈良が抜けたー!」
はい、すみません。
「これはあくまで日本史の基礎中の基礎だぞ!」
はい、すみません。
「しょうがない、あの方法を使うとしよう。」
おおう、何だ何だ。カンナ先輩があの方法って言うと超絶怪しいんすけど。カンナ先輩はわざとらしく手を叩いた。
「ナノ、ちぃ、あれを。」
ナノ先輩とちぃ先輩は、どっさりと何冊もの本を持ってきた。ざっと、15冊以上はある。(数えたら、22冊あった。)一体、ここには何冊本があるんだろう。
「ハヤテ、」
なんすか。カンナ先輩は、いつの間にか、僕のこと呼び捨てで呼んでいる。別にイヤじゃないけど。
「君には1週間で、この本達を全部読破してもらう。」
い、1週間!?
「んな無茶な。」
「大丈夫だ。これは、マンガだ。」
はぁ?マンガ?マンガなんて読んだって。
「マンガなんてと思っただろう。歴史はまずはマンガからだ。とにかくマンガを読めば、全てが上手くいく。まずは歴史の流れを把握せねばならないぞ。」
さすがに騒がしくなったから、全員、僕の周りに集合した。
「ハヤテ君。そうは言わずに、読んでみなよ、マンガ。」
「マンガから入るのはいいことだぞ。なんと言っても分かりやすい。流れを掴むにはぴったしだ。」
ナノ先輩、ちぃ先輩。
「俺達も読んだな、歴史マンガ。」
「うん。小4の夏休み、私といーちゃんで図書館の歴史マンガ、3日で読み荒らしたこともあったよね。」
イオリ、みぃちゃん。ちょー怖いっす。小学生が図書館で歴史マンガ読みあさってたら怖いだろ、絶対。
「あーはいはい、とにかく読んでみますよ。」

 4日目。現在、18冊目。意外とサクサク読み進んでいる。この調子なら、1週間で全部読めそうだ。
「どうた。思っていたより、読みやすいだろう。」
カンナ先輩だ。悔しいけど・・・
「はい。」
カンナ先輩は、フンと嬉しそうに鼻を鳴らす。
「歴史が難しいって感じる人の多くは、流れが理解できてないだけだ。歴史は、割と字面がうざったらしくて、拒否反応を起こす人も少なくない。」
あぁ、僕だ。
「マンガは流れを掴むのにはもってこいだ。」
「そうみたいですね。」
「人物別のマンガもあるから、ぜひ読んでみたまえ!おすすめは黒田官兵衛。黒田官兵衛だ。」
「はぁ。カンナ先輩のオシってその、黒田官兵衛ですか。」
「当たり前だ。」
「そういや、皆さんのオシ、僕まだ知らない・・・」
はい、皆さん集まってきましたねぇ。速っ。
「私のオシは、ヤマトタケルかな。最も、古事記や日本書紀の話になっちゃうけど。」
 Byナノ先輩
「うちは、マリー・アントワネットだな。ギロチンの露に消えた誤解多き王妃。凄い悲しくなる。」
 Byちぃ先輩
「僕は、三国志が好きだな。孔明とか好きだな。」
 Byイオリ
「私は、新撰組の土方歳三!鬼の副長、最後まで戦ったラストサムライ。」
 Byみぃちゃん
は、はぁ。なんか、凄いなぁ。よく(全く)わかんないけど。
「よくわかんないって顔しているな。大丈夫だ。少しずつ、楽しみながら知っていこう。」
カンナ先輩がビシッと指を向ける。みぃちゃんはニコニコと笑いながら言った。
「これで、再来週の定期テストはバッチリだね。」
あ、そだった。定期テストのこと、忘れてた。ナノ先輩は、のほほんと言った。
「来週は諸活動停止期間だから部活はないよ。」

 来週。定期テストの結果は、いままで考えられない位いい結果だった。(勿論、社会科)あんなに、歴史が苦手だった僕だけど、だんだん、歴史部を楽しんでる。気がする。

Re: レキシブ! ( No.3 )
日時: 2018/10/11 17:55
名前: N

あの日、社会準備室の扉を・・・ってごめんね、口説いね。次からはもうやりません。

第4話 生徒会の襲来

 定期テストも終わって、もう6月になった。気がつけば、ここ、歴史部に来てから1ヶ月位たった。今日は・・・

 「戦国時代、オシ対決。最強は誰だー!」
おおう、何だ何だ。カンナ先輩の掛け声で、何かが始まった。僕は、観客だ。ついでいけない気がする。
「先陣はうち、高佐ちよりがつかまつる。うちが推すのは、徳川軍を震撼させた三成の右腕、島左近ぞ!」
ちぃ先輩力入っているなー。
「次は私ね!私が推すのは、徳川四天王が1人、井伊直政よ!井伊の赤備えを率いた、まさに、井伊の赤鬼!」
ナノ先輩、のほほんとしているのに、凄い迫力。
「俺が推すのは、家康を追い詰めた真田幸村!真田丸で多くの徳川兵を討ち取った猛者!」
おうおう、イオリも凄いなぁ。
「私は、伊達政宗の参謀、片倉小十郎!政宗の命を守り続けた武士の鏡!」
みぃちゃんも力入っているなー、こりゃ。
 ドン。カンナ先輩が椅子に片足を音を立てて乗せた。部室内が静まる。
「私が推すは、戦国最強の軍師、黒田官兵衛なりー!」
皆、ごくりと息をのむ。
「秀吉の天下の道をつくり、信長に気に入られ、秀吉に信用され、家康には恐れられた男。最強はこの、黒田官兵衛なり!」
一瞬の沈黙。すぐさまわっと歓声が上がった。
「カンナちゃんの勘兵衛讃歌は凄いわねぇ。」
「腹の底からウズウズするな。」
確かに、なんでだろう。カンナ先輩の語りは、まるで、タイムスリップしたかのように引き込まれる。
 その時だった。ガラガラと扉を開ける音。
「失礼する。」

 ガラガラと音を立て、男子2人組が入ってきた。どこかで、見たことあるような・・・僕の記憶が遡る。・・・あっ!思い出した!この人達・・・
「生徒会・・・」
確か、生徒会会長と副会長だ。会長は、会長という立場に誇りを持っている様子で、副会長は、ただただニコニコして、ちょっぴり気味悪かった。
「何の用だ、梓兄者。」
「昴お兄ちゃんも!」
兄者?お兄ちゃん?え?ちぃ先輩?みぃちゃん?
「知らない?ちぃ先輩のお兄さんは、生徒会会長で、みぃのお兄さんは副会長だよ。」
イオリが小声で教えてくれる。ええー!?マジすか。そういえば、髪の色とかそれぞれ似てるような。
「それで、お高い生徒会が我ら歴史部に何の用です。」
カンナ先輩は、少し苛立ちながら言う。
「たった5人の部活がまだ続いていたとは・・・」
「6人です!」
カンナ先輩と会長の間に火花が散る。
「6人?」
副会長が聞き返す。カンナ先輩は、僕の肩を掴んで生徒会の前に出した。
「新部員の大森ハヤテ君だ。」
「は?そんなの知らん。」
「なにーぃ!」
会長が書類をパラパラとめくる。副会長が僕の目線に合わせて言った。
「君、入部届け出した?」
  ・・・
「あぁぁぁぁぁ!」
僕を含め全員忘れてた。会長は、ふっと軽く笑うように言った。
「もうそんなことはどうでもいい。もはや、入部届けを出しても意味はない。」
ど、どうでもいいって。会長は続ける。
生徒会われわれは、歴史部を部活と認めない。」

 「な、んだど。」
全員に戦慄が走る。
「放課後、ただ集まって駄弁っているだけのお前達を部活動と認める訳にはいかない。」
「梓の言う通りだよ。活動内容をハッキリ報告できるようなことをしてもらわないと、僕らも認める訳にはいかないんだ。」
会長の言い方は置いといて、生徒会の言い分は最もだった。僕らは、黙ることしか出来なかった。
「そこでだ、お前達に猶予をやる。今月末までに、1つ、何かしらの成果を出さなければ、即刻、歴史部は廃部だ。いいな。失礼するぞ。」
ガラガラ。僕ら、歴史部に与えられた猶予は、1ヶ月・・・

 「どうするんですか!僕ら廃部になっちゃうかもしれないんですよ!」
僕はカンナ先輩に噛みつくように言った。
「いや、君はまず、入部届けを出してこい。社会科の橋本先生に出せばいい。一応、歴史部顧問だからな、名前だけの。」

 「これから、第1回歴史部廃部回避会議を始める。これは、歴史部存続が懸かっている。心して会議に望んでくれ。」
全員着席。皆、いつになく真剣だ。
「まず、色々意見を出してくれ。」
「はい。」
みぃちゃんが手を挙げた。
「図書室の、歴史に関係する本を紹介するのはどうでしょう。」
「うーん、それは、図書委員会の仕事になっちゃうかも。」
僕は反論した。
「はい!」
ナノ先輩だ。
「歴史マンガを描く。」
「いや、そんな時間ありませんよ。」
「これはどうだ?」
今度はちぃ先輩が手を挙げる。
「歴史コスプレ大会!」
「いや、校則に引っかかりますよ、さすがに。」
「これは?」
今度はイオリ。
「歴史クイズ大会。」
「参加者が見込めない気がする。」
「ふっふっふっ、やはりここは私しかいないらしいな。」
カンナ先輩が不敵な笑顔を見せる。
「色々考えてみた。私の案は、歴史部のイメージキャラクターを作る!」
「却下です。」
僕は思いっきり却下した。
「生徒会がそれで納得するとは思えません。」
「おいハヤテ。さっきから否定ばっかしじゃないか。君も何か案を出したらどうだ。」
うーん、そうだな。僕らに出来て、かつ歴史部をアピールできそうな案・・・
「多分ですけど、たった1ヶ月で、生徒に歴史部をアピールするのは、少々無理があります。おまけに、スポーツ部と違って、大会などで功績を残すことは出来ません。そこでです。」
僕は、キッと顔を上げた。
「アピールの対象を、生徒ではなく、先生にしてはどうでしょうか。」
「どういうことだ?」
カンナ先輩が聞き返す。他の皆もポカンとしている。
「そうですね。例えば、歴史に関する掲示物を作る。それも歴史が苦手な人でも分かりやすいものにする。そうすれば、勉強に関することをしているということを先生にアピールできる。」
部室が、シンと静まる。しかし、少し遅れてわっと声が上がった。
「ハヤテ、凄いじゃないか!よし、それでいこう!皆、異論はないな。」
全員がうなずく。
「で、ハヤテ。どういう形式にする?」
「そうですね。新聞形式でもいいと思うんですが・・・ここは、歴史部っぽく、巻物風の年表はどうですか?」
「よし、これでいこう!皆、歴史部アピール大作戦、決行じゃー!」

「この出来事は大切だよね。」
「そうだな。ついでに、覚え方も載せてみようか。」

「これ、小学生用の本なんですけど、使えますかね?」
「うん。凄く簡単に説明されてるね。」

「どうだ、歴史部のイメージキャラクター、ヒスト君だ。」
「却下です。」

「硬い言葉より、柔らかい言葉の方が分かりやすいか?」
「若者風の言葉にしてみるのもいいかもしれないですね。」

「大体書くことは決まったね。」
「タイピングは任せてください。これでもタイピングは得意なんです。」
「デザインはカンナ先輩、できますか?」
「パソコン借りて来ますね。」

 ここ数日。机にはたくさんの資料が広げられ、皆、必死に、でもどこか楽しそうに作業を進めてきた。僕は、歴史が苦手な分、何がよくわかんないかを考えた。そして、約束の1ヶ月が近づく・・・

 「で、できたぁ!」
僕らは一斉に声を上げた。ついに、サンプルが完成した。
「よし、これを各クラス分印刷するのだ!先生に交渉して、今日中に掲示するぞ!もうひと頑張りだ!」
「おー!」

 僕の作った、『歴史、これだけでOK年表』は、想像以上の反響があった。先生には勿論、生徒にも感嘆の声が上がった。僕は、年表に書いてある、『歴史部』という文字が、とても誇らしかった。

 「今回の年表の件、かなりの評判だった。仕方ない、お前達歴史部を認めてやろう。」
「何が認めてやろうだ。偉そうだそ、兄者。」
会長の言葉に、ちぃ先輩がふてぶてしく言った。
「お疲れ様、頑張ったね。」
相変わらず、副会長は優しい。会長とちぃ先輩はまだ、何か言いたそうだったけど、副会長がガラガラと扉を閉めた。
「これからも、頑張ってね。」
と、言い残して。
 「よし、やったぞー!」
全員、わっと声を上げた。カンナ先輩は、椅子に足を乗せる。そして、拳を上に突き上げる。
「勝どきじゃー!」
「えいえいおー!えいえいおー!」
僕らは拳を一斉に挙げた。よかった、歴史部が無くならなくて!

Re: レキシブ! ( No.4 )
日時: 2019/04/17 20:45
名前: N

私の世界は狭い。今までずっと、好きなことを語り合える人、友達なんていなかった。・・・あの、私の世界は広がった。

第5話 私の歴史部〜ナノ編〜

「失礼するぞ。」
歴史部廃部危機事件から数日。歴史部にまた来客があった。会長と副会長だ。
「何の用だ。」
ちぃ先輩が会長を睨む。負けじと会長もちぃ先輩を睨む。バチバチと火花が散ったところで、みぃちゃんが副会長に声をかけた。
「どうしたの?お兄ちゃん。」
副会長は、いつものニコニコした顔で、言った。
「実はね、歴史部に引き取って欲しいものがあるんだよ。」
「引き取って欲しいもの、だと?」
カンナ先輩が怪訝な眼差しで副会長を見つめる。
「おい、歴史部に何を押し付けるつもりだ!」
ちぃ先輩も会長に噛み付く。
「大丈夫。君らにとって悪いものじゃあないと思うから。」
副会長の笑みに恐怖を覚えたのは内緒だ。会長と副会長は、僕らの話を全く聞かず、ダンボール箱をいくつか運び込んだ。僕らはダンボールを恐る恐る開けた。そこに入っていたのは・・・
「わぁ、すごい・・・」
そこに入っていたのは、着物や鎧や兜、弓矢や刀や火縄銃といった、いかにも昔っぽいアイテムの数々だった。
「前にあった演劇部の衣装と小道具だ。演劇部はかなり前に廃部になっているが、衣装や小道具はかなり本格的でだな、捨てるにも捨てられなくて今も残っているんだ。その中の時代劇の衣装と小道具をお前たちに引き取ってもらいたい・・・って聞いてるか?」
「聞いてないね。」
僕らは衣装と小道具を見て目を輝かせていた。会長はため息をつくと、副会長と一緒に生徒会室へ戻っていった。

僕は日本刀を(勿論模型)手に取った。ヤバイ、カッケー!僕だって年頃の男子だもん。こーゆー武器は憧れる。イオリは、火縄銃(勿論模型)を手に取って、僕と同じように目を輝かせていた。と同時に、女物の綺麗な着物を羽織って嬉しそうにくるりと回ってみせたみぃちゃんを、うっとりと微笑ましそうに見ていた。ちぃ先輩は、弓矢を手に取った。少し何か言いたげな顔をしている。きっと、『兄者から貰ったのは癪だが、かっこいいな』とでも思っているんじゃないかな。カンナ先輩は、自分の最大のオシである、黒田官兵衛(って言ったよね)の兜を被った。いやぁ、似合うなぁ。でも、そういえば。
「黒田官兵衛の兜って、シンプルって言うか、地味ですよね。」
思わず口に出た。すぐさま後悔した。また、カンナの歴史講座が始まる。
「黒田官兵衛の銀白檀塗合子形兜びゃくだんぬりごうすなりかぶとは、結婚の際に舅となった櫛橋伊定から贈られたものと言われている。むすぶ、つれそうなど意味合いを持ってだな、夫婦間を表していたり、敵を飲み干すと言った意味合いもある。」
へぇー。赤いお椀ひっくり返したような官兵衛の兜にはそんな意味が。
「さすがカンナちゃん。・・・私は、コレかな!」
今度はナノ先輩が日本刀(勿論模型)を手に取った。途端、部室が凍りつく。・・・へ?
「ナ、ナノ!よしとけって・・・」
ちぃ先輩が止めた、でも遅かった。ナノ先輩が嬉しそうに刀を構えた。そして、見境なく刀を振り回した!ちょ!ナノ先輩!?ナノ先輩の細い目がぱっちりと開いている(はじめて見た)。普段は温厚でフワフワしてるナノ先輩からは考えられないほどキレキレだった。
「あいつの家は剣道の道場でだな、竹刀とかそういう系ののものを持ってるとああなってしまうんだよ・・・」
えええええええ。どうすんのさ。
「ちょっとナノ先輩!落ち着いて・・・」
あ、ヤバイ。こっち来た。斬られる!ってマジで思った。本物じゃないけど。僕はとっさに、持っていた刀で攻撃を受け止めた。そして、ナノ先輩を思い切り押し返した。僕だって男だ。僕にはナノ先輩のような技術はないけど、それなりの力はあるつもりだ。僕は刀を構える。そして、僕の意識は飛んだ。

 「ハヤテ!」
『危ない!』そう叫ぼうとして言葉を失った。ハヤテは、流れるように刀を振るうと、ナノの手を叩いた。一瞬、背中に冷たいものが走った。そのままハヤテは倒れ、刀もころんと転がった。
「痛ったあ。・・・あ、ごめーん。またやっちゃった☆」
のんきにナノが起き上がる。私、カンナは、ナノの『やっちゃった☆』ってゆうノリよりも、倒れてしまったハヤテのほうが気にかかった。
「ハヤテ!ハヤテ!」
ハヤテは、「うーん」と言いながら起き上がった。そして、普段通りのナノを見ると安心した笑みを見せた。その笑顔を見て、また一瞬、背中に冷たいものが走った。なんなんだいったい。

 「ごめんね、ハヤテ君。」
ナノ先輩は僕に謝ってくれる。
「大丈夫ですよ。」
僕は、精一杯の親しみやすい笑顔で返した。
「そういえば、カンナと出会った時も暴走してたんだったよな。」
「ちょっとぉ、暴走なんていわないでよ。」
ナノ先輩はちぃ先輩をポカポカと叩く。
「でも、そうだね・・・」
ナノ先輩は、いつも細い目をさらに細くした、気がした。あ、ここから先輩の回想はじまります。

 私には、好きなものを語り合える友達はいない。そんなこと知ってる。

 「あ、すみませーん。それ、拾ってもらえませんかー。」
私の足元に竹刀が転がる。剣道部だ。私は竹刀を拾い上げる。そして、振るう。やっぱり、竹刀を振るのってたのしい。
「・・・」
私は、はっとした。またやっちゃった。私は、竹刀を剣道部に渡すと、逃げるようにその場から離れた。
「すごいな、君!」
話しかけられた。背の高い女子。・・・見られてた・・・私は、無視して通りすぎようとした。
「まるで、柳生宗矩のようだ。」
私の歩みが止まった。柳生宗矩。江戸時代初期の大名で、剣術家よね。将軍家御流儀である柳生新陰流の地位を確立したすごい人だ。もちろん小・中学で習う訳ないし、もしかしてこの人も・・・
「歴女・・・」
私は歴女だ。男の子みたいだとか、たくさん言われた。好きなアイドルについてキャッキャッと語り合う女の子達みたいに私も友達と語り合ってみたかった。でも、分かり合える人なんていなかった。
「おお!君もか!」
え・・・
「どうしてそう思ったの?」
「だって、瞳がキラキラ輝いているぞ。」
彼女は当たり前のように言った。
「歴史が好きだなんて、散々。」
どうして好きになっちゃったんだろう。
「いいじゃないか。好きなものは好きで。」
また当たり前のように言った。その言葉は、私の体を電流のように走り抜けた。
「そっちのほうが、絶対楽しいじゃん。」
二カッと笑う彼女の笑顔がまぶしかった。
「私は1年2組の中川カンナ。ねえ、一緒に社準行かない?友達もいるから、一緒に歴史についてだべろうや。」
これが、彼女、いや、カンナちゃんとの出会いだった。

 「あれから1年になるのねぇ。」
なんというか、ほっこりした。あと、カンナ先輩かっこよかった。
「よかったですね。」
僕も自然と笑顔になった。
「うん!・・・カンナちゃん、ちぃちゃん。」
「お、なんだ。」
「2人とも、大好き。」
ナノ先輩のバックに、かわいいタンポポの花が見えた。カンナ先輩とちぃ先輩は、顔を染めると、ナノ先輩に抱きついた。
「ナノ~可愛すぎるぅ!私も大好きだぞ~!」
「ほっぺたスリスリさせてぇ!」
歴史部は、今日も平和です。

 「そういえば、ハヤテ君もすごいね。剣道でもやってたの?」
え?どゆこと?
「だってあのナノ先輩をなんというか、バーンって。」
「いーちゃん、語彙力死んでる。」
確かにイオリの語彙力は死んでいたが、何があったかなんとなくだけど察することができた。
「そんなに?あの時、意識と記憶が飛んだからなにも覚えていないけど・・・もしかして僕って物凄い才能があるんじゃ・・・」
僕ら1年生組は愉快に笑いあった。

 「・・・」
その様子を、カンナはナノハにスリスリしながら横目で見ていた。

Re: レキシブ! ( No.5 )
日時: 2019/04/17 17:48
名前: N

友達なんていらない。1人は楽だ。誰も傷つけない。誰にも傷つけられない。でも、なんでだろう。なんでこんなに虚しいんだろう。

第6話 私の歴史部~ちぃ編~

 「そういえば、どうしてちぃ先輩は『ちぃ』何ですか?『ちより』なら、『ちよ』とかのほうが妥当な気がするんですけど。」
僕は、純粋に思ったことを聞いた。
「さぁ?カンナが呼びだしたから理由は知らん。」
その場にいる全員がカンナ先輩の方を見た。
「なあに、そんなの簡単だ。」
カンナ先輩は、人差し指を立てると、自慢げに言った。
「小さいからだ。」
部室の気温が大幅に下がった。
「な、なにぃー!」
いや、1人だけ体温が上がった。もちろんちぃ先輩。僕は、聞いたことを悔やんだ。確かにちぃ先輩は小柄だ。多分、150そこそこだと思う。
「ちなみに147㎝のちぃは、源義経と同じくらい。ついでだが、170弱の私は、織田信長。160弱のナノは、徳川家康。150半ばのみぃは、勝海舟。160位のイオリとハヤテは、上杉謙信と同じくらいだと言われている。諸説ありだからあまり本気にしてはいけないが、なんかロマンがあるだろう。」
へぇ。僕は、上杉謙信と同じくらいかぁ。もっと背の高いイメージだった。なんか、カンナ先輩の言うロマンって言うのが、なんとなくわかった気がした。
「そうじゃなーい!」
「あっ、ちぃ先輩!」
ちぃ先輩は、ひどいぞーと叫びながら部室を飛び出した。

 「昨日さぁ、新しい筆箱買って貰ったんだよねー。可愛くない?」
幼い少女たちがキャッキャッとだべっている。リーダー格の少女が真新しい筆箱を自慢する。
(あんま可愛くない・・・どちらかというと、ダサい・・・)
他の少女たちは、思ったことを言わなかった。
「ダサ・・・」
グループの外にいた1人の少女が、つまらなそうに呟いた。幼い頃のちより・・・

 小さい頃から、思ったことを口に出してしまう。空気が読めないとか、我慢できないとか、まぁそんな感じだ。おかげでいじめられていた時期もあった。うちは、1人でいることにした。周りに関心も抱かない。そうすれば、他人を傷つけることも、自分が傷つくこともない。そのうち、いじめられても、なにも感じなくなった。そのうち、誰もうちに関わらなくなった。そうして、うちも中学生になった。
 入学式が終わって、そろそろ1週間が経った。昼休み。うちは、1人で本を読んでいた。お気に入り歴史小説を読んでいた。結構な人数が体育館に遊びに行って、教室には、数名しかいない。まぁ、うちには関係が。
「・・・私は彼の手を離さなかった。離したら、もう二度と触れることができなくなるような気がしたのだ・・・。」
うちが読んでいる小説の一節だ・・・いやそうじゃなくて、うるさい奴が来た。
「なんなんだ、中川カンナ。」
うちは、読書の邪魔をされて腹が立った。
「いいよなぁ、それ。私も読んだが、ボロボロ泣いたぞ。」
奴の名は、中川カンナ。入学式の日、奴に目をつけられた。理由は、うちが読んでいた本だ。お互い歴女だった。はじめて趣味の合う奴に会った。だが、友達を作る気なんて、うちにはない。それに、うちなんかが奴と友達なんてなっていいはずがなかった。なんで“この人”がこんな普通の学校にいるんだよ。
 キーンコーンカーンコーン。昼休み終了の合図。ぞろぞろとクラスメイトが帰って来る。バカでうるさい田中。私リア充感がウザイ西島。偽善者鈴木。・・・ったく・・・
「・・・さい。」
「おい、全部口から出てたぞ。」
え。うちは、深いため息をついた。これだから人と関わるのは・・・

 それからというもの、奴はうちを『ちぃ』と呼び、ひたすらにかまってきた。休み時間、移動教室、下校時まで!うちは、物好きな奴だなと心の中であざ笑っていた。いや、口にだしていたかもしれない。
「ちぃ!おーい、ちーぃ!」
放課後。今日も例外じゃなかった。
「なぁなぁ、社準行こうや!先生に許可貰ったからさ。歴史の本いっぱいあるって!」
歴史の本。確かに魅力的だが、奴とは行きたくない。
「なぁなぁ!」
「うるさい!」
ついにうちは、キレた。
「うるさい!嫌だって言ってるでしょう。なんでアンタはうちにかまうの!“なんでアンタのような人が、うちなんかと関わろうとするの!”」
「おまっ、・・・もしかして、気づいて・・・」
あ、やっちまった。何かしらの事情があるって、うちだってわかってた。わかってたのに。うちは逃げようとした。
「待てよ。」
奴はうちの手首をがっちりとつかんだ。
「人との関わりを拒絶するのは何故?」
無言を通した。
「人を傷つけるのが怖い?・・・優しさじゃん。」
「違う!」
思わず叫んでしまった。周りに人がいなくて本当によかった。
「知ってるさ。」
・・・は?
「傷つくのが怖い。でも、本当は1人は寂しい。」
「何を根拠に・・・」
「人と関わりをもちたくないのなら、なんでクラス全員の名前覚えたのさ。」
あっ。うちがこぼしていたクラスメイトの愚痴・・・聞かれていたんだ、全部。泣き出しそうなうちを見て、奴は大きく息を吸った。
「“常に素直に語れば、卑しい人間はお前を避けるであろう”。」

 18世紀末から19世紀前半を生きたイギリスの詩人、ウィリアム・ブレイクの『天国と地獄の結婚』の一節だ。そして、彼女は続けた。
「私と友達になってよ。」
はじめてだった。言われたことのないセリフに、うちは困った。でも、このウィリアムの言葉に、彼女の思いが詰まっている。・・・ん?待て?詰まっている?
「アンタ、卑しい人間じゃないって断言できるんだ。」
思わずふき出した。

 「ちぃ先輩ー!」
僕は、ちぃ先輩に追いついた。やっと見つけた。
「ハヤテ、どうしてお前が・・・」
「カンナ先輩に、『迎えに行ってやれ』って。戻りましょう、先輩。」

 「なるほど。先輩は、校長先生に『ズラだ』って言っちゃうタイプですか。」
「随分とわかりやすくて、かわいい例えだな。まぁやったことあるけどな。」
あるんかーい。これからは、先輩のこと『勇者』って呼ぼうかな。(じょ、冗談だよ。)それにしても、カンナ先輩とちぃ先輩にそんな過去が・・・
「戻る。」
ちぃ先輩は、部室に戻ることをあっさり受け入れた。面倒くさくなくて助かる。

 ガラガラ。扉が開く。
「ち・・・ちより・・・!」
カンナは、ちぃとは呼べなかった。ちよりは、顔色一つ変えずカンナの横を通り過ぎた。
「ちぃでいい。」
「・・・え。」
カンナだけでなく、全員が驚きの声を出した。
「理由は気に入らんが、その愛称は嫌いじゃない。」
ちよりは、ニカッと笑って見せた。

 ちぃは機嫌を直してくれたみたいだ。よかった。
「よかったですね。」
ハヤテがひょこっと顔を出した。ニコニコと笑うハヤテはまるで小動物だったが、私は、またもや背筋に冷たいものが走った。時々感じるこの感覚はなんなんだ。
  ・・・怖い・・・
「どうしたんですか、カンナ先輩。」
キョトンととした顔で私の顔を覗き込んだ。それが私の脳裏にザッピングを起こした。幼い男の子の声・・・・
ーどうしたの?お姉ちゃん。-


 そういえば、ちぃ先輩はカンナ先輩をなんで“この人”って言って避けたんだろ。

Re: レキシブ! ( No.6 )
日時: 2019/04/20 09:30
名前: N

 僕は、いや歴史部ぼくらは、今、沖縄にいます・・・

第7話 夏だ!海だ!歴史だ・・・?

 「皆の衆、全員集まったな。大切な話だ。」
カンナ先輩の声に、それなりにガヤガヤしていた部室は、シンと静まり返った。
「我々は、歴史が好きで集まり、語り合い、楽しんでいる。」
僕は無理やり・・・とは、もう突っ込まないことにした。僕は、みんなみたいに高度な話こそできないけど、それなりに歴史を楽しんでいる。
「しかし!我々は、おぞましい負の歴史から目をそむけつつある。」
おぞましい負の歴史?
「・・・戦争の歴史だな。」
カンナ先輩の独壇場だったが、ちぃ先輩が口を開いた。
「そうだ。我々は、歴史を学ぶ者として、この悲惨な事実から目をそむけてはいけない。」
「なにが言いたいんですか・・・?」
僕は思わず声を出してしまった。静まり返った部屋では、意外と声が響く。
「フッフッフッ。」
カンナ先輩は不敵な笑みを浮かべる。僕らは、身を固くした。
「と、いうわけでだ、夏休みを使って、8月の頭から1週間、合宿に行く!」
・・・ん?
「歴史部inオキナーワーーー!」
んんんんん?
「・・・え?」
全員の意見だった。え?沖縄?オキナーワ・・・
「いやいやいやいや、沖縄に合宿って、そんなにいきなり・・・っていうか、そんな簡単に行ける場所じゃないでしょ沖縄って!」
皆、口々に言う。今は、7月の中頃。来週から夏休みだ。カンナ先輩はまたもや不敵な笑みを浮かべた。
「案ずるな。その辺のことに関しては私に任せろ。」
そんなこと簡単いわないで欲しい、マジで。僕らの慌てぶりを見て、カンナ先輩はぷっとふき出した。
「いやな、夏休みに沖縄にある叔父の別荘に遊びに行くのだがな、その叔父が友達を連れて来てもいいって言ってたんだよ。」
なるほどそれで・・・ん?別荘?
「と、いうわけでだ。皆の者、夏休みの課題終わらせとけよ!」

 -いいか、朝の9時に大通り公園前に集合だ。寝るところと食事はこちらが用意しているから、着替えと水着は忘れるなぁ!-

 当日の9時前。僕は一足早く大通り公園前にいた。学校ジャージに身を包み、ペラペラとカンナ先輩作の『合宿のしおり』を読んでいた。

1日目 初日 移動日
2日目 ビーチ
3日目 水族館
4日目 琉球関係
5日目 島々
6日目 戦争関係
7日目 最終日 移動日

 なんというか、ぼやっとしているなぁ。

 「おーハヤテ!早いなぁ・・・!?」
ちぃ先輩とナノ先輩は僕を見て固まった。逆に僕は2人を見て固まった。1つ違うのは、先輩達はワンテンポ遅れてふき出したことだ。
「お、お前、ジャージって!」
「・・・し、ふく・・・?」
なぜ。
「ハヤテ君、真面目だねぇ。」
いつものふわふわスマイルで言った。肩が微妙に揺れている。



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